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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y05 |
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管理番号 | 1326035 |
審判番号 | 取消2016-300291 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2016-04-28 |
確定日 | 2017-03-06 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2461636号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2461636号商標の指定商品中、第5類「薬剤」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 登録第2461636号商標(以下「本件商標」という。)は、「シャイン」の片仮名と「SHINE」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成2年5月18日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年9月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については、同14年10月23日に指定商品を第1類ないし第4類、「薬剤」を含む第5類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成28年5月17日にされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べた。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第5類「薬剤」について、継続して3年以上日本国内において、被請求人が使用した事実は存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)乙第1号証ないし乙第3号証について 本件商標は「シャイン/SHINE」の二段併記の構成であるところ、被請求人は「アルフェシャイン」の使用を主張しており、乙第2号証には、横一列の片仮名「アルフェシャイン」が見受けられる。「アルフェシャイン」は外観上まとまりよく構成されていることより、そこからは全体を一語として「アルフェシャイン」の称呼のみが生じるのが自然であり、また、一種の造語であることから、同語からは特定の観念は生じない。 よって、「シャイン/SHINE」と「アルフェシャイン」とを比較すれば、称呼、観念及び外観を明らかに異にすることから、両者は非類似の商標であり、被請求人が本件商標を使用していることは証明されていない。 また、「アルフェシャイン」は、被請求人自身が、識別標識としての商標として認識しておらず、使用されていない。このことは、被請求人が提出した証拠からも明らかである。乙第1号証及び乙第3号証は、被請求人の製品に関するウェブサイトの写しであるが、該証拠には「ナリッシュ」、「NOURISH」の他、「ナリッシュBBドリンク」の表記が見られるものの、「アルフェシャイン」の語は一切表示されていない。 なお、被請求人は、指定医薬部外品の販売名として「アルフェシャイン」を使用していることを主張している。乙第2号証では「アルフェシャイン」の文字が視認できるものの、「アルフェシャイン」は該製品の瓶の背面のラベルに小さく表示されているにすぎず、同種の製品は正面のラベルが表示されるように店頭では並べられ、販売されている取引実情を鑑みると、需要者、取引者が、かかる「アルフェシャイン」の表示を商品の識別機能を有する商標として認識することは考えられない。むしろ、瓶の正面ラベルには欧文字「NOURISH」、「+ff」及び「BB」が重なるように大書され、中央下部には「ナリッシュBBドリンク」が記されているため、それらを商標として認識するのが自然である。現に、乙第1号証及び乙第3号証では「NOURISH BB」が商標として表示されている。 よって、被請求人は、「アルフェシャイン」を商標として使用しているとはいえない。 以上より、被請求人が、本件商標を指定商品「薬剤」に使用していないことは明白である。 (2)乙第4号証及び乙第5号証について 乙第5号証はALFEシリーズのラインナップに関する被請求人のウェブサイトの写しであるが、そこには使用証拠として被請求人より今回提出された「アルフェシャイン」の製品は紹介されておらず、かつ、ラベルデザインも紹介されているシリーズ3製品とは明らかに相違している。 よって、仮に「アルフェ」が周知であるとしても、「アルフェシャイン」が被請求人自身によって「アルフェ」シリーズとして扱われていない状況下では、取引者、需要者が「アルフェシャイン」を「アルフェ」シリーズの「シャイン」製品と認識するとは考えられない。 また、被請求人がアルフェシリーズの製品を製造販売してきたことが事実だとしても、売上高、販売本数、販売地域・場所、販売方法及び広告などに関する証拠は一切提出されておらず、被請求人の主張のみをもってして「アルフェ」が被請求人の商標として我が国において周知であることは認められず、取引者、需要者が「アルフェ」シリーズ中の「シャイン」製品であることを容易に認識するとは認められない。 (3)以上の理由により、被請求人の提出した乙各号証は、本件審判の予告登録前3年以内に日本国内における使用事実を立証するものではない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、審判事件答弁書及び平成28年11月14日付け上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 商標権者である被請求人は、本件商標について、少なくとも2013年6月25日時点において、指定商品「薬剤」に該当する「指定医薬部外品」の販売名に「アルフェシャイン」として使用していた。 上記事実を裏付ける証拠として、インターネットページのアーカイブが保存されている「WayBack Machine(https://archive.org/web/)」における被請求人の通販サイト「大正製薬ダイレクト(https://www.taisho-direct.jp/)」の2013年6月25日時点のアーカイブ(乙1)を提出する。 当該通販サイトの中段にある「美容サポート」の項目に「NOURISH BB」という製品があり、当該製品の「販売名」として「アルフェシャイン」が使用されている。本事実を裏付ける証拠として、実際の製品の写真(乙2の1?3)を提出する。「販売名」は指定医薬部外品である本製品の承認申請に必要な名称であって、製品にも表示されるものである。なお、本製品は2006年6月に販売を開始している(乙3)。 被請求人の販売に係るアルフェシリーズについては、1997年2月に女性特有の疲れを研究したミニドリンク剤「アルフェ・ミニ」を、2008年7月に「アルフェ ネオ」を、そして2011年6月には鉄分をアルフェシリーズで最大量配合した「アルフェ エフイーアップ」等が発売され、被請求人は「アルフェ」ブランドの拡充を図ってきたところである(乙4の1?3)。なお、これら3製品は現状でも販売を継続している(乙5)。 このように被請求人の長年にわたる使用の結果、「アルフェ」は被請求人の製品として広く知られるところとなっており、本件使用証拠である「アルフェシャイン」を目にした取引者、需要者は、「アルフェ」シリーズ中の「シャイン」という製品であることを容易に理解するものである。なお、本件商標と同様に、上記「アルフェ エフイーアップ」の商標「エフイーアップ」について、被請求人は登録第5347432号、第5347433号及び第5379785号商標を保有している。 以上のとおり、被請求人は指定商品「薬剤」について、審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用しており、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。 2 平成28年11月14日付け上申書 不使用取消審判における「商標の使用」については、指定商品(指定役務)について、なんらかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではない、と判断された判決例は多く、最近でも、平成26年(行ケ)第10234号や平成28年(行ケ)第10086号等がある。 第4 当審の判断 商標法第50条第1項は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品についての登録商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができ、当該請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 1 請求人は、本件商標の商標権者である被請求人が、指定商品中の「薬剤」について、継続して3年以上日本国内において本件商標を使用した事実は存在しない旨主張するのに対し、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内である平成25年5月17日から同28年5月16日までの期間内(以下「要証期間内」という。)に、本件商標について、「指定医薬部外品」の販売名に「アルフェシャイン」として使用していると主張しているところ、その使用につき、以下検討する。 (1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証は、本件商標権者の通販サイト「大正製薬ダイレクト」の2013年(平成25年)6月25日時点のウェブサイトのアーカイブであり、1ページ目の右下部に「NOURISH BB」の記載とドリンク剤の写真があるが、本件商標を確認することができない。 イ 乙第2号証の1ないし3は、「NOURISH BB」なる商品の正面、背面、側面の写真の写しであり、同号証の2の背面写真の上部に、「指定医薬部外品」、「販売名:アルフェシャイン」の記載、下部に、本件商標権者の名称である「大正製薬株式会社」、「使用期限(西暦年月)2014.7」の記載がある。 ウ 乙第3号証は、本件商標権者のホームページ内のニュースリリースの写しであり、1ページ目に「疲れをケアしていつも美しい笑顔を『ナリッシュBBドリンク』通販限定で新発売」の記載、2ページ目に「発売日 2006年6月5日」の記載があるが、本件商標を確認することができず、かつ、要証期間外のものである。 エ 乙第4号証の1は、本件商標権者のホームページ内のニュースリリースの写しであり、1ページ目に「女性特有の疲れを研究したミニドリンク剤[アルフェ・ミニ]新発売」の記載、「製品の概要」の項目に、「発売日 平成9年2月10日」の記載がある。 オ 乙第4号証の2は、本件商標権者のホームページ内のニュースリリースの写しであり、1ページ目に「鉄分配合なのに服用しやすいミニドリンク剤『アルフェ ネオ』新発売」の記載、「製品概要」の項目に、「製品区分 医薬部外品」の記載、2ページ目に「発売日 2008年7月21日」の記載がある。 カ 乙第4号証の3は、本件商標権者のホームページ内のニュースリリースの写しであり、1ページ目に「アルフェシリーズ最大量の鉄分配合 第2類医薬品ミニドリンク剤『アルフェ エフイーアップ』新発売」の記載、「製品概要」の項目に、「製品区分 第2類医薬品」、「発売日 2011年6月15日」の記載がある。 キ 乙第5号証は、2016年(平成28年)6月17日出力の本件商標権者のホームページの写しであり、1ページ目に「ALFE Style アルフェスタイル」の見出しの下、「ドリンク剤アルフェシリーズ成分表」の項目に「製品名 アルフェ ネオ 指定医薬部外品 アルフェミニ 指定医薬部外品 アルフェ エフイーアップ 第2類医薬品」の記載がある。 (2)上記(1)によれば、以下のとおり判断することができる。 乙第2号証で示されている本件商標権者を販売元とする「NOURISH BB」なる商品は、そのラベル表示によれば「指定医薬部外品」であり、本件請求に係る指定商品「薬剤」の範ちゅうに属する商品と認められる。 そして、当該商品には、本件商標権者の名称が記載されているとともに、使用期限が「(西暦年月)2014.7」と表示され、これより、当該商品が2014年(平成26年)頃に製造・販売されたものと認められること(乙2の1?3)や当該商品の販売広告と認められる記事が2013年(平成25年)6月25日の時点で本件商標権者の通販サイトで掲載されていたこと(乙1)からすれば、当該商品は、平成25年6月から平成26年頃にかけて、本件商標権者により販売されていたことが推認される。 また、当該商品には、販売名として「アルフェシャイン」の記載がある(乙2の2)。 そうすると、本件商標権者は、要証期間内に日本国内において、本件請求に係る指定商品中の「薬剤」について、「アルフェシャイン」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)を使用していたものと推認される。 (3)本件商標と使用商標とが社会通念上同一であるか否かについて 本件商標は、上記第1のとおり、「シャイン」の片仮名と「SHINE」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、「シャイン」の称呼及び「光、輝き」等(「ジーニアス英和辞典」大修館書店発行)の観念を生じるものである。 他方、使用商標は、同書、同大、等間隔にまとまりよく一体的に表したものであり、これより生じる「アルフェシャイン」の称呼も無理なく一連に称呼されるものである。 そして、かかる構成において、取引者、需要者が「シャイン」の文字部分のみに着目して、商品の出所識別標識として把握、認識するというべき特段の事情も見当たらない。そうすると、使用商標は、その構成全体をもって、不可分一体のものと認識されるとみるのが自然であり、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識、把握されるものといえるから、特定の観念を生じないものである。 そこで、本件商標と使用商標とを対比するに、両者は、外観において明確に区別し得る差異を有し、称呼においても「アルフェ」の音の有無において明らかに相違するものであり、観念においても相違するものである。 よって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しないというべきである。 (4)被請求人の主張について 被請求人は、「アルフェ」シリーズのドリンク剤を長年販売した結果、「アルフェ」は被請求人の製品として広く知られるところとなっており、使用商標を目にした取引者、需要者は、「アルフェ」シリーズ中の「シャイン」製品であると理解する旨主張する。 しかしながら、前記(1)の事実からは、平成9年以降、本件商標権者は、指定医薬部外品について、「アルフェシャイン」の文字のほか、「アルフェ・ミニ(アルフェミニ)」、「アルフェ ネオ」、「アルフェ エフイーアップ」の文字からなる商標を使用していることがうかがえるとしても、被請求人の主張、立証からは「アルフェ」の文字のみからなる商標がどの程度知られていたかを把握することができず、また、「アルフェ」の文字を含むこれらの商標を使用した商品の売上高、販売本数、宣伝広告の態様、期間等を具体的に把握し得る証拠の提出もないから、「アルフェ」の文字のみからなる商標が被請求人のブランド又はシリーズ商標として広く認識されていると認めることはできない。 したがって、使用商標について、これをことさら、「アルフェ」と「シャイン」に分離して観察するというべき特段の事情は見いだせないものであるから、被請求人の主張は採用することができない。 2 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしたことを証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、「薬剤」について、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-01-05 |
結審通知日 | 2017-01-10 |
審決日 | 2017-01-24 |
出願番号 | 商願平2-55843 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y05)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
大橋 洋子 原田 信彦 |
登録日 | 1992-09-30 |
登録番号 | 商標登録第2461636号(T2461636) |
商標の称呼 | シャイン |
代理人 | 田中 陽介 |
代理人 | 山田 卓二 |