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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない W25
審判 全部無効 外観類似 無効としない W25
審判 全部無効 観念類似 無効としない W25
管理番号 1326034 
審判番号 無効2016-890041 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-06-30 
確定日 2017-03-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5681205号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5681205号商標(以下「本件商標」という。)は、「SNOW MONKEY」の文字を標準文字で表してなり、平成26年1月30日に登録出願、第25類「ティーシャツ,被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年6月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が、本件商標について、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5260873号商標(以下「引用商標」という。)は、「雪猿」の文字を標準文字で表してなり、平成21年2月4日に登録出願、第16類「文房具類,紙製包装用容器,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙類,印刷物,書画,写真,写真立て」、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,ネックウォーマー,レッグウォーマー,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」及び第34類「紙巻きたばこ用紙,たばこ,喫煙用具,マッチ」を指定商品として、同年8月28日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
(1)本件商標の構成中、語頭の「SNOW」の語は、英和辞書の最初に記載されているとおり、「雪」を意味する英語であり、両語は、同義語として、広く認識、理解されている。
また、本件商標の構成中、語尾の「MONKEY」の語も、「猿」を意味する英語であり、両語は、同義語として、広く認識、理解されている。
そして、上記2語を結合してなる本件商標は、既成の語として辞書類に載録されていないものであるとしても、「雪猿」のように、「雪」と「猿」とが一連となり、例えば、「雪の中にいる猿」や「雪上を猿のように動き回る奴」などといった様々な思いを巡らされる言葉であるから、具体的に明確な言葉として定義することができないとしても、特定の意味合いを認識させるものであり、全体として特定の観念が生じる商標であることは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標とは、英語で表されているか又は漢字で表されているかの差異があるにすぎないものであって、観念を同一とするものであり、また、両商標の外観及び称呼における差異が観念における同一を上回るほど著しく異なるものでもないため、両商標は、類似の商標である。
(2)商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それにはそのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく,しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当であるところ、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、外観及び称呼は相違するものの、観念を同一にする類似の商標であり、さらに、両商標に係る指定商品においても共通するものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念を同一にするものであって、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、同一の指定商品に使用した場合、商品の出所につき誤認混同されるおそれがあるものであり、これに反する取引の実情は見当たらない。
したがって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
なお、上記請求人の主張は、甲第5号証として示す審決取消請求事件(平成21年(行ケ)第10052号)の判決例を踏まえれば、妥当なものである。
(3)被請求人は、「SNOW MONKEY」の語から「雪の中にある温泉に入る猿」といった観念を生じる一方、「雪猿」の語から一義的な観念は生じない旨主張するが、前者は、被請求人が主張するような観念のみが生じるとはいえないし、仮に、前者について、被請求人が主張するようを観念を生じるとしても、後者についても同様の観念を生じることは明らかである(甲第6号証)。
また、被請求人は、甲第5号証として示した判決は、本件とは全く異なる事例である旨主張するが、当該判決は、単に漢字表記を誰もが分かる簡易な英語で表記しただけの違いにすぎない事例であるから、本件と同様の事例である。
(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べた。
(1)本件商標を構成する「SNOW MONKEY」は、直訳すれば「雪の猿」となるものである。
そして、上記「SNOW MONKEY」の語は、雪の中にある温泉に入る猿という事象を意味する語句として、国内だけでなく、海外においても周知となっており、「雪の猿」という単なる直感的な観念を超えて、特別な観念を生じているものである。
他方、引用商標を構成する「雪猿」は、造語であって、「雪」や「猿」という一般名称の単語とは異なり、観念が一義的に定義されるものではない。
すなわち、「雪猿」とは、雪で作った猿なのか、雪のような猿なのか、雪でも元気な猿なのか、あるいは、海難に立ち向かう「海猿」をもじって、雪による遭難を救援する人間の「雪猿」なのか、不明であり、一義的な観念を生じるものではないし、「雪猿」について、上記「SNOW MONKEY」の語のような観念は生じていない。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念を同一とするものではない。
(2)請求人が甲第5号証として提出した判決は、「天使のスィーツ」と「Angel Sweets」とに関するものであるところ、前者を直訳すれば後者となる関係があるものであって、かつ、「スィーツ」が商品名を表したものであるから、本件とは全く異なる事例である。
(3)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

5 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「SNOW MONKEY」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、当該文字は、「SNOW」の英単語と「MONKEY」の英単語とを1文字分程度の間隙を設けて組み合わせてなるものとして看取、把握されるものであるが、その組合せ全体をもって、既成の語として辞書類に載録されているものではなく、また、特定の意味合いを想起させる語として、本件商標の指定商品に係る取引者、需要者の間に認識されているとは認められないものである。
この点につき、被請求人は、上記「SNOW MONKEY」の語について、雪の中にある温泉に入る猿という事象を意味する語句として、国内だけでなく、海外においても周知となっている旨主張するが、その主張を裏付ける証拠は何ら提出されておらず、また、当該語については、上記のとおり、取引者、需要者の間において特定の意味合いを想起させる語として認識されているとは認められないことから、被請求人による当該主張は、採用することができない。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、その構成全体をもって特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、「SNOW MONKEY」の文字を標準文字で表してなるものであって、その構成全体から「スノーモンキー」の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「雪猿」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、当該文字は、「雪」の漢字と「猿」の漢字とを組み合わせてなるものとして看取、把握されるものであるが、その組合せ全体をもって、既成の語として辞書類に載録されているものではなく、また、特定の意味合いを想起させる語として、引用商標の指定商品に係る取引者、需要者の間に認識されているとは認められないものである。
この点につき、請求人は、上記「雪猿」の語について、たとえ辞書類に載録されているものではないとしても、「雪」と「猿」の各単語を結合してなるものであり、「雪の中にいる猿」や「雪上を猿のように動き回る奴」などといった様々な思いを巡らされる言葉であるから、具体的に明確な言葉として定義することができないとしても、特定の意味合いを認識させるものであり、全体として特定の観念が生じる旨主張するが、仮に、請求人が述べるように、「雪猿」の語について「雪の中にいる猿」や「雪上を猿のように動き回る奴」などといった様々な思いが巡るならば、そのような様々な思いを通じて想起される意味合いないし観念も様々なものとなり、特定されることはないとみるのが相当である。
また、請求人は、甲第6号証を提出して、「雪猿」の語と「SNOW MONKEY」の語の双方から同じ観念が生じている旨主張するところ、同号証は、「wahoo.tv」と称するウェブサイト(写し)であって、「雪猿 The Snow Monkey?スノーモンキー? 地獄谷野猿公苑・温泉に入る雪猿たち」の見出しの下、ビデオオンデマンドのタイトルとしての「雪猿?The Snowmonkey?」やDVDのタイトルとしての「雪猿?SnowMonkey?・スノーモンキー」の表示のほか、「Snow Monkey(スノーモンキー)ってご存じですか!? スノーモンキー≒温泉にはいる猿・雪猿・温泉猿などとも言われています。」の記載が見受けられるものの、これをもって直ちに、引用商標の指定商品に係る取引者、需要者において、上記2語から同じ観念を生じ得るとは認め難い。
してみれば、請求人による上記いずれの主張も、採用することができない。
そうすると、引用商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、その構成全体をもって特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものとみるのが相当である。
したがって、引用商標は、「雪猿」の文字を標準文字で表してなるものであって、その構成全体から「ユキザル」又は「セツエン」の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は「SNOW MONKEY」の文字を標準文字で表してなるのに対し、引用商標は「雪猿」の文字を標準文字で表してなるものであり、両商標は、その構成文字の種類において明らかに相違するものであるから、外観上、明確に区別し得るものである。
また、本件商標から生じる「スノーモンキー」の称呼と引用商標から生じる「ユキザル」又は「セツエン」の称呼とを比較すると、「スノーモンキー」と「ユキザル」、「スノーモンキー」と「セツエン」のいずれの比較においても、その音の構成及び数が明らかに相違するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、互いに聞き誤るおそれはないものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、互いに紛れるおそれがあるとはいえないものである。
その他、請求人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標との関係において、商品の出所について混同を生ずるおそれがあると認めるに足る事実は見いだせない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない商標であり、さらに、両商標をそれぞれの指定商品について使用した場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあると認めるに足る取引の実情等も見いだし得ないことから、両商標は、非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとは認められないから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-01-10 
結審通知日 2017-01-12 
審決日 2017-01-24 
出願番号 商願2014-6465(T2014-6465) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (W25)
T 1 11・ 261- Y (W25)
T 1 11・ 262- Y (W25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 椎名 実神前 博斗 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 田中 敬規
松浦 裕紀子
登録日 2014-06-27 
登録番号 商標登録第5681205号(T5681205) 
商標の称呼 スノーモンキー、モンキー 
代理人 吉井 剛 
代理人 吉井 雅栄 
代理人 小林 庸悟 

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