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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09 |
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管理番号 | 1326016 |
審判番号 | 取消2016-300473 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2016-07-08 |
確定日 | 2017-02-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2488455号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2488455号商標(以下「本件商標」という。)は、「AIC」の欧文字を横書きしてなり、平成2年1月23日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同4年12月25日に設定登録がされ、その後、同15年12月24日に指定商品を第9類「配電用又は制御用機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の予告登録日は、平成28年7月19日である。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標に係る「第9類 全指定商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べている。 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し何ら弁駁していない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。 1 本件商標の使用について 以下のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)はもとより、それ以前より継続して本件商標を使用している。 (1)使用に係る商標 乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人が製造する2014年版から2016年版までのコンデンサの英文総合カタログ(以下、まとめて「本件各カタログ」という場合がある。)であり、当該カタログの表紙において、本件商標は使用されている。 なお、当該表示は、「Hitachi」の文字に続いて横一連の態様であるが、「Hitachi」と「AIC」の文字の間には空白があり、外観上明確に分離し、「AIC」の文字が単独で認識される。また、「Hitachi」の文字は「日立グループ」を認識させる一方、「AIC」は特段の意味を認識させず、両者は観念上の結びつきがなく、別異のものとして容易に認識、把握される。さらに、こうした外観、観念上の特徴から、称呼においても殊更一連で称呼されるといった事情はない。よって、本件各カタログの表紙における「AIC」の表示は、本件商標「AIC」と同一の機能を果たすもので、その使用に該当する。 (2)使用に係る商品 本件各カタログは、コンデンサ(蓄電器、Capasitors)の製品カタログであり、コンデンサは、配電用又は制御用のものが「配電用又は制御用機械器具」の範疇に含まれ、電気通信機械器具用のものが「電気通信機械器具」の範疇に含まれる(乙4)。被請求人が製造する製品は、幅広い分野で使用されており、このどちらにも該当すると考えるが、いずれにせよ「配電用又は制御用機械器具」も「電気通信機械器具」も本件商標の指定商品であり、本件商標はその指定商品に使用されているといえる。 (3)使用時期その他の使用の事実 ア 使用時期 (ア)乙第1号証のカタログ 乙第1号証のカタログは、その裏表紙の最下部に「Printed in Japan(TS)(Sep.2013)」と記載されていることから、当該カタログが、2013年9月に作成されたことがわかる。 また、当該カタログの印刷に係る請求書(乙5)の日付は、「2013年10月31日」であり、通常、商品の納品と共に、あるいはその直後に請求書は発行されるものであるから、当該カタログが要証期間内の2013年10月31日頃に納品され、頒布に供されたことは明らかである。 (イ)乙第2号証及び乙第3号証のカタログ 上記(ア)と同様に、乙第2号証及び乙第3号証のカタログの裏表紙の最下部の記載及びそれらの印刷に係る請求書(乙6、乙7)の記載から、乙第2号証のカタログは2015年1月30日頃、乙第3号証のカタログは2016年3月25日頃に納品され、頒布に供されており、いずれの日付も要証期間内であり、本件審判の請求の予告登録前3年以内の使用ということができる。 イ 使用者 本件各カタログは、何れもその裏表紙の下段において、「製造元:日立エーアイシー株式会社(Manufacturing Hitachi AIC Inc.)」と記載されている。これよりは、被請求人が本件商標を使用していることが認められる。 なお、本件各カタログ裏表紙に記載されているとおり、製品の販売元は、被請求人の親会社である日立化成株式会社(Sales&Marketing Hitachi Chemical Co.,Ltd.)である。乙第5号証ないし乙第8号証の本件各カタログの印刷に係る「請求書」の宛先は、日立化成株式会社であり、本件各カタログの作成は同社が関与していることがわかるが、仮に本件商標の使用者が日立化成株式会社と認識されたとしても、同社は被請求人の親会社であって本件商標の通常使用権者であり、商標法第50条第1項の要件を満たすものである。 ウ 使用態様・使用場所 本件各カタログは、日本国内において、例えば外資系メーカーの日本法人(の外国人技術者)等との商取引において頒布されている。これは、商標の「使用」について定義する商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。 2 むすび 上述のとおり、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品「配電用又は制御用機械器具」及び「電気通信機械器具」に関する取引書類に、本件商標と社会通念上同一と認められる標章を付して頒布しているのであるから、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を使用していたものとはいえないとする請求人の主張は失当である。 第4 当審の判断 1 使用の事実について 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、「被請求人のコンデンサ総合カタログ2014英語版(抜粋)」の写しとのことであるが、その1枚目の上部中央には、「Hitachi AIC」、「Capacitors All Guide」及び「2014」の文字を3段に書した記載があり、同2枚目には、「Product Specifications」等の記載と共に、製品の写真、仕様表及び図解の掲載があり、また、同3枚目には、「Sales&Marketing Hitachi Chemical Co.,Ltd.」、「Manufacturing Hitachi AIC Inc.」及び「Printed in Japan(TS)(Sep.2013)」等の記載がある。 (2)乙第2号証は、「被請求人のコンデンサ総合カタログ2015英語版(抜粋)」の写しとのことであるが、その1枚目の上部中央には、「Hitachi AIC」、「Capacitors All Guide」及び「2015」の文字を3段に書した記載があり、同2枚目には、「Product Specifications」等の記載と共に、製品の写真、仕様表及び図解の掲載があり、また、同3枚目には、「Sales&Marketing Hitachi Chemical Co.,Ltd.」、「Manufacturing Hitachi AIC Inc.」及び「Printed in Japan(TS)(Dec.2014)」等の記載がある。 (3)乙第3号証は、「被請求人のコンデンサ総合カタログ2016英語版(抜粋)」の写しとのことであるが、その1枚目の上部中央には、「Hitachi AIC」、「Capacitors All Guide」及び「2016」の文字を3段に書した記載があり、同2枚目には、「Product Specifications」等の記載と共に、製品の写真、仕様表及び図解の掲載があり、また、同3枚目には、「Sales&Marketing Hitachi Chemical Co.,Ltd.」、「Manufacturing Hitachi AIC Inc.」及び「Printed in Japan(TS)(Mar.2016)」等の記載がある。 (4)乙第5号証は、「乙第1号証製品カタログの印刷に係る請求書」の写しとのことであるが、当該請求書の右上には、「2013年10月31日」及び「東誠印刷株式会社」の記載と同社の住所、電話及びファクシミリの番号の記載が、当該請求書の左上には、「日立化成株式会社」の記載と同社の住所、同社の部署名及び氏名の記載があり、その下部に「下記のとおり御請求申し上げます。」の記載と共に請求金額(請求金額は黒塗りされている。)の記載がある。また、請求に係る項目として「00079962 コンデンサ和文総合カタログ 2,040部」(単価、金額については黒塗りされている。)及び「0079963 コンデンサ英文総合カタログ 1,880部」(単価、金額の額については黒塗りされている。)等の記載がある。 (5)乙第6号証は、「乙第2号証製品カタログの印刷に係る請求書」の写しとのことであるが、当該請求書の右上には、「2015年1月30日」及び「東誠印刷株式会社」の記載と同社の住所、電話及びファクシミリの番号の記載が、当該請求書の左上には、「日立化成株式会社」の記載と同社の住所、同社の部署名及び氏名の記載があり、その下部に「下記の通り、ご請求申し上げます。」の記載と共に請求金額(金額は黒塗りされている。)の記載がある。また、請求に係る項目の第1欄に「品名」として「コンデンサ和文カタログ」、数量として「1,000」(単価及び金額の欄は黒塗りされている。)、及び第2欄に「品名」として「コンデンサ英文カタログ」、数量として「1,880」(単価及び金額の欄は黒塗りされている。)等の記載がある。 (6)乙第7号証は、「乙第3号証製品カタログの印刷に係る請求書」の写しとのことであるが、当該請求書の右上には、「2016年3月25日」及び「東誠印刷株式会社」の記載と同社の住所、電話及びファクシミリの番号の記載が、当該請求書の左上には、「日立化成株式会社」の記載と同社の住所、同社の部署名及び氏名の記載があり、その下部に「下記の通り、ご請求申し上げます。」の記載と共に請求金額(金額は黒塗りされている。)の記載がある。また、請求に係る項目の第1欄に「品名」として「コンデンサ和文カタログ」、数量として「1,500」(単価及び金額の欄は黒塗りされている。)、及び第2欄に「品名」として「コンデンサ英文カタログ」、数量として「2,000」(単価及び金額の欄は黒塗りされている。)等の記載がある。 (7)乙第8号証は、「被請求人の会社概要」の写しとのことであるが、その1枚目には、「会社名:日本エーアイシー株式会社 Hitachi AIC Inc.」等の記載があり、また、同2枚目には、「■日本エーアイシー株式会社 合併後の当社の沿革は次のとおりです。」の項目中に「2013(平成25)年 4月:販売窓口を日立化成(株)とする」及び「2016(平成28)年 1月:日立化成(株)の子会社となる」等の記載がある。 2 判断 上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商品及び本件使用商標について 本件各カタログの表紙(1枚目)の上部中央には、「Hitachi AIC」、「Capacitors All Guide」及び「2014(2015、2016)」を3段に書した記載があるところ、その構成中「Capacitors」の語は、「蓄電器。コンデンサー。」(ランダムハウス英和大辞典<特装版>株式会社小学館)を意味するものであり、かつ、本件各カタログの2枚目に「Product Specifications」(商品の仕様)の記載及び製品の写真、仕様表及び図解が掲載されており、また、その3枚目に「Printed in Japan(TS)(Sep.2013)、(Dec.2014)、(Mar.2016)」の記載があることから、本件各カタログが、被請求人の製品である蓄電器(コンデンサー)についての、2014年版(2015年版、2016年版)の総合ガイド(商品カタログ)であると認められる。 次に、本件各カタログの表紙に記載された一段目の「Hitachi AIC」の文字部分は、「Hitachi」と「AIC」の文字との間に空白があることから、視覚上分離して看取されるとみるのが自然であり、また、両文字部分を一体としての観念が生ずるものでもなく、他に構成全体を一体に捉えて把握しなければならないとみるべき特段の事情も見当たらないことから、これに接した取引者、需要者において、「AIC」の文字部分も独立して自他商品識別標識として機能し得るものである。そして、該「AIC」の文字は、本件商標と同一の文字からなるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標であるといえる。 また、本件各カタログに掲載されている「蓄電器(コンデンサー)」は、その用途に応じて、本件審判請求に係る指定商品中「配電用又は制御用機械器具」又は「電気通信機械器具」の範ちゅうのいずれかに含まれる商品である。 (2)使用者について 本件各カタログの裏表紙にある「Sales&Marketing Hitachi Chemical Co.,Ltd.」及び「Manufacturing Hitachi AIC Inc.」の記載(乙1ないし乙3の3枚目)並びに本件各カタログの印刷に係る「東誠印刷株式会社」から請求書(乙5?7)の請求先として、「日立化成株式会社」に宛てた請求書(乙5?7)によれば、本件各カタログに掲載の製品の製造者は、被請求人である本件商標の商標権者であり、本件各カタログの作成者及び商標権者の製品の販売元は日立化成株式会社であるといえる。 そうとすると、本件各カタログは、商標権者の製品の販売のために日立化成株式会社により作成され、頒布されるものと理解するのが自然である。 また、被請求人の「会社概要」(乙8)によれば、2013年(平成25年)4月以降、被請求人の販売窓口を日立化成株式会社が担当しており、さらに、2016年(平成28年)1月に、被請求人は、日立化成株式会社の子会社となっていることからすると、2013年(平成25年)4月以降は、日立化成株式会社は、本件商標の使用について、被請求人(商標権者)から黙示の許諾を受けていた通常使用権者であるとみて差し支えないものである。 (3)使用時期及び使用場所について 本件各カタログは、その裏表紙(乙1ないし乙3の3枚目)の下部に「Printed in Japan(TS)(Sep.2013)」(乙1)、「Printed in Japan(TS)(Dec.2014)」(乙2)及び「Printed in Japan(TS)(Mar.2016)」(乙3)との文字が記載されており、また、本件各カタログの印刷に係る請求書の日付が「2013年10月31日」(乙5)、「2015年1月30日」(乙6)及び「2016年3月25日」(乙7)と記載されていることから、本件各カタログは、2013年(平成25年)9月頃から2016年3月頃にかけて、通常使用権者である日立化成株式会社に納品され、その後、その顧客(取引者・需要者)に頒布されたと推認できるものであり、上記期間は、要証期間内のものである。 また、本件各カタログは、英文によるものであるが、本件各カタログの裏表紙には、上記のとおり「Printed in Japan」との記載があり、本件各カタログの印刷に係る請求書(乙5?7)において、請求に係る項目には、和文によるカタログと英文によるカタログを共に約1000部から2000部同時に作成していることから、日本において印刷された本件各カタログを、外資系メーカーの日本国内法人等との商取引において、外国人技術者に対して、頒布していたものとする被請求人の主張に不自然な点はない。 (4)小括 以上を総合すると、平成25年9月頃から平成28年3月頃にかけて、本件商標の通常使用権者である日立化成株式会社が、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件審判の請求に係る指定商品「配電用又は制御用機械器具」及び「電気通信機械器具」に含まれる商品「コンデンサ(蓄電器)」について、その販売を目的とした商品カタログに付して、日本国内で頒布していたというべきである。 そして、通常使用権者の上記行為は、「商品・・・に関する広告・・・に標章を付して・・頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。 3 むすび 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が、請求に係る指定商品に含まれる商品「コンデンサ(蓄電器)」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したといえる。 したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-12-22 |
結審通知日 | 2017-01-04 |
審決日 | 2017-01-17 |
出願番号 | 商願平2-5226 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y09)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
酒井 福造 真鍋 伸行 |
登録日 | 1992-12-25 |
登録番号 | 商標登録第2488455号(T2488455) |
商標の称呼 | エイアイシイ |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 井上 博人 |