• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1325939 
審判番号 取消2016-300437 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-06-22 
確定日 2017-02-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4423786号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4423786号商標(以下「本件商標」という。)は,「廉価良品」の文字と「MADEINWORLD」の欧文字を二段に書してなり,平成11年11月8日に登録出願,第25類「被服」を指定商品として,平成12年10月13日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成28年7月5日である。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べた。
1 請求の理由
被請求人は,本件商標を,その指定商品について使用していない。
よって,本件商標は,その指定商品について,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお,請求人は,被請求人の答弁に対して,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用について
乙第1号証の1及び2は,平成28年8月に被請求人が撮影した本願商標が付されたスーツの写真であるところ,本件商標が使用されたネームがスーツの商標として付されていること,当該商品の品番が「26K045A-09N」であることが看取できる。なお,当該写真自体は本審判請求後に撮影されたものであるが,これと同じ商品が本審判請求前から流通している。
乙第2号証は,被請求人が作成した平成26年12月16日付けの受注書(控)の写しである。当該受注書には,宛先欄に「百貨店 催事用」の記載があり,特記欄に「230着 山形屋,丸井今井,札幌・函館 不足分として」の記載がある。また具体的な受注内容として,品番「26K045A」,色番「09(ブラック)」,品名「2P(ツーピース)」,体型,数量,サイズごとの数量の内訳,納期が示されている。つまり,本受注書により,品番「26K045A」ブラックのツーピースをY体63着,A体63着,AB体62着,BB体42着の計230着を,12月18日を納期として,百貨店である山形屋及び札幌と函館の丸井今井における催事用商品として受注されたことが示されている。
乙第3号証は,被請求人が作成した平成26年12月16日付けの作業依頼書の写しである。当該作業依頼書には顧客名として「百貨店」の記載があり,その下には「3.転売」の箇所にチェックが入り,更にその下には「廉価良品ネーム」と記載されている。また,その下の項目では,「6.ネーム付」の箇所にチェックが入っており,その横に「230着」の記載がある。これにより,百貨店向けの転売用の商品230着(受注書の記載に対応)に「廉価良品ネーム」を付ける作業を営業部が物流管理部に対して依頼した事実があったことを読み取ることができる。なお,「廉価良品ネーム」とは,社内の共通認識で乙第1号証の1及び2に示されたネームのことである(以下「使用商標」という。)。
乙第4号証は,被請求人が作成した補修伝票である。当該補修伝票には買い上げ日として「(平成)28年6月25日」と明記されており,また,「スラックス」の項目に,股下「74cm」,S(シングル仕上げ),品番「26K045A」,色「09」,サイズ「AB6」,品名「スーツ」,金額「6500」と記載されている。品番「26K045A」の商品は,上着とスラックスとがセットになったツーピースの商品であり,スラックスの品番「26K045A」は上着の品番と共通していることから,当該補修伝票により,品番「26K045A」のスーツが平成28年6月25日に販売された事実を読み取ることができる。
(2)本件商標の使用事実
被請求人の大栄既製服株式会社(商標権者)は,衣料品販売店からの受注に応じてスーツ等の被服を製造,卸販売等する業務を主として行っている。しかしながら,受注販売の商品もある程度作り置きしておく必要があるため,受注先である衣料品販売店には納品されずに,被請求人のもとに留まる商品も存在する。そのような商品については,被請求人においてブランドを変えて,百貨店等の催事用商品として被請求人自ら転売を行い,更に売れ残った商品については,自身のファミリーセールにて格安で販売するなどして在庫整理を行っている。
このように衣料品販売店から受注により製造した商品を,被請求人自身により販売を行う場合には,どの商品をどこで何着販売するものとして準備すべきかを示す受注書(乙2)を作成し,更に当該商品を自身で販売するために必要とされる作業を指示する作業依頼書(乙3)を作成している。
この点,乙第2号証によれば,品番「26K045A」ブラックのツーピースの商品計230着を,山形屋及び丸井今井での百貨店催事用として12月18日を納期として準備すべきこと,また,乙第3号証によれば,当該百貨店向けの転売商品230着について「廉価良品ネーム」を付すべきことが記されている。この時に上記ネームが付された品番「26K045A」ブラック(09)のツーピースの商品のうち,現在まで被請求人のもとに残っている商品を答弁書提出にあたって撮影した画像が乙第1号証の1及び2である。
これら乙第2号証及び乙第3号証はいずれも本審判請求登録前3年以内の平成26年12月16日に作成された書類であり,納期の12月18日までには商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)であるネーム付けがなされているものである。したがって,当該行為は,審判請求登録前3年以内に日本国内において商標権者が指定商品に登録商標を使用する行為に該当する(同第50条第2項)。
また,上記の百貨店の催事用商品として販売したものの,さらに売れ残った品番「26K045A」ブラック(09)のツーピースの商品は,その後,被請求人のファミリーセールでの販売に回された。乙第4号証の補修伝票は,本審判請求登録前3年以内である平成28年6月25日に品番「26K045A」の商品が販売されたこと,すなわち,商品に標章を付したものを譲渡する行為(同法第2条第3項第2号)があった事実を示している。したがって,当該行為は,審判請求登録前3年以内に日本国内において商標権者が指定商品に登録商標を使用する行為に該当する(同第50条第2項)。
なお,乙第1号証の1及び2に示されている使用商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(3)結論
被請求人が本審判請求の予告登録日前3年以内に本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品である「被服」について日本国内で継続的に使用してきたことは,提出した証拠によって証明された。
よって,本件商標は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)乙第1号証の1及び2は,平成28年8月に商標権者が撮影したスーツの上着とする写真であるところ,上着の裏側には,「廉価良品」の文字と図形の内部に表示された「MADE IN WORLD」の文字からなる商標(以下「本件使用商標」という。)を付したネームが縫い付けられ,また,内ポケットには,「26K045A-09N」の記号が記載されたタグが縫い付けられている。
(2)乙第2号証は,商標権者が作成した受注書(控)であるところ,商標権者は,平成26年12月16日に,百貨店催事用として,「品番」を「26K045A」,「色番」を「09」,「品名」を「2P」とする商品合計230着を受注したことが認められる。そして,上記品番及び色番号は,乙第1号証の1及び2のタグの記号に符合することからすれば,商標権者の受注した商品は,「ツーピース(スーツ)」であると認められるものであり,本件使用商標が付されたものとみることができる。
(3)乙第3号証は,商標権者が作成したとする,平成26年12月16日付けの社内部署間の作業依頼書であるところ,「顧客名」欄に「百貨店」,「作業項目」欄に「ネーム付(230着)」の記載があるほか,「真の問題点」とする欄に「※廉価良品ネーム」の記載がある。そして,上記日付け及び「230着」の記載は,乙第2号証の受注書に記載の日付け及び数量と一致するものであることからすれば,商標権者は,平成26年12月16日に,百貨店用として受注した商品「スーツ」230着に,本件使用商標を付す作業を行ったものといえる。
(4)乙第4号証は,商標権者が作成したとする,スーツのスラックスの補修伝票であるところ,当該補修伝票によれば,品番を「26K045A」,色を「09」とするスーツが平成28年6月25日に10300円で販売されたことが認められる。そして,上記品番及び色番号は,乙第1号証の1及び2のスーツの上着に付されたタグの記号に符合するものであることからすれば,商標権者は,平成28年6月25日に,本件使用商標を付した商品「スーツ」を販売したものと認めることができる。
2 上記1で認定した事実を総合すると,次のことがいえる。
(1)使用商標,使用商品及び使用時期について
商標権者は,平成26年12月16日に,百貨店催事用の商品として,商品「スーツ」230着を受注し,これらに本件使用商標のネームを付したこと,また,平成28年6月25日に,本件使用商標を付した商品「スーツ」を販売したことが認められる。
そして,商品「スーツ」は,本件審判の請求に係る指定商品「被服」の範ちゅうに含まれる商品と認められる。
(2)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,上記第1のとおり,「廉価良品」の文字と「MADEINWORLD」の欧文字を二段に書してなるものであるところ,本件使用商標は,上記1のとおり,上段に「廉価良品」の文字,下段には,図形の内部に「MADE IN WORLD」の文字が使用されているものであるから,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
(3)小括
上記(1)及び(2)によれば,商標権者は,本件審判の請求の登録(平成28年7月5日)の前3年以内(以下「要証期間」という。)に,本件審判の請求に係る指定商品「被服」に含まれる「スーツ」に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付し,また,販売したものと推認することができる。そして,当該行為は,「商品・・・に標章を付する行為」,「商品・・・に標章を付したものを譲渡し,引渡し,・・・する行為」(商標法第2条第3項第1号及び同項第2号)に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者が本件審判請求に係る指定商品「被服」に含まれる「スーツ」について,本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をした事実を証明したものと認めることができる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-12-09 
結審通知日 2016-12-14 
審決日 2017-01-05 
出願番号 商願平11-102334 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 烈榎本 政実 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 平澤 芳行
小林 裕子
登録日 2000-10-13 
登録番号 商標登録第4423786号(T4423786) 
商標の称呼 レンカリョーヒン、メイドインワールド 
代理人 石田 正己 
代理人 稲葉 民安 
代理人 石田 喜樹 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ