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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W12 審判 全部申立て 登録を維持 W12 審判 全部申立て 登録を維持 W12 審判 全部申立て 登録を維持 W12 |
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管理番号 | 1325108 |
異議申立番号 | 異議2016-900357 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-11-07 |
確定日 | 2017-02-23 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5871441号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5871441号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5871441号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成28年1月29日に登録出願され,同年7月13日登録査定,第12類「航空機・自動車・二輪自動車・自転車用タイヤ,空気タイヤの外殻,空気タイヤ,自動車用タイヤ,空気タイヤ用チューブ,航空機・自動車・二輪自動車・自転車用ソリッドタイヤ,チューブ修理用具,航空機・鉄道車両・自動車・二輪自動車・自転車用車輪,自動車」を指定商品として,同年8月5日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお,証拠において,全ての枝番号を示す場合は,以下,枝番号を省略する。 1 引用商標 申立人が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下の6件であり,いずれも,現に有効に存続しているものである。 以下,これらをまとめて「引用商標」という。 (1)登録第508724号(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,昭和31年8月31日登録出願,同32年10月14日に設定登録されたものであり,その商標権は,第7類及び第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (2)登録第3098166号(以下「引用商標2」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成4年4月6日登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同7年11月30日に設定登録されたものである。 (3)登録第4764606号(以下「引用商標3」という。)は,別掲4のとおりの構成からなり,平成15年8月29日登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同16年4月16日に設定登録されたものである。 (4)登録第4751400号(以下「引用商標4」という。)は,別掲5のとおりの構成からなり,平成15年8月29日登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同16年2月27日に設定登録されたものである。 (5)登録第5162665号(以下「引用商標5」という。)は,別掲5のとおりの構成からなり,平成19年6月29日登録出願,第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として,同20年8月29日に設定登録されたものである。 (6)登録第5170940号(以下「引用商標6」という。)は,別掲5のとおりの構成からなり,平成20年2月22日登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同年10月3日に設定登録されたものである。 2 引用商標の著名性について (1)申立人は,昭和20年8月1日に設立され,主に各種タイヤ(乗用車用,トラック・バス用,建設機械用,産業車両用)並びにタイヤ関連商品の製造販売及び自動車用部品・鉄道車両用部品・断熱防水資材,産業建築資材,その他資材を製造販売する会社であり,世界13か国にタイヤ販売会社を有し,100か国以上でタイヤを販売するグローバルな事業展開を行っており,年間4,077億円以上の売上を誇る(平成27年1月?12月),我が国を代表する著名なタイヤメーカーである(甲1,甲2)。 (2)申立人は,遅くとも昭和33年までに,「自動車用タイヤ」等について商標「TOYO」(引用商標1,2)の使用を開始し(甲7),その後,平成14年11月に「TOyO」(引用商標3)及び「TOyO TIRES」(引用商標4?6)をハウスマーク(コーポレートブランド)として採択し,申立人又は申立人の製造・販売に係る「自動車用タイヤ」等を示すものとしてパンフレット,ホームページ及びカタログ等あらゆる媒体で(甲1?甲3,甲9,甲11?甲14),現在まで継続して使用しているものである(甲8)。 申立人の製造,販売に係る「自動車用タイヤ」のほぼ全ての側面に個々の商品名と共に「TOyO」(引用商標3)又は「TOYO」(引用商標1,2)の文字が直接刻印され,使用されている(甲1,甲4,甲9)。 (3)申立人は,引用商標を使用して積極的な広告宣伝活動を展開しており,その広告宣伝費用は,平成26年(2014年)時点で年間70億円を超え,本件商標の登録出願時においても同規模の広告宣伝活動を行っていた。 また,2008年ないし2016年には,業界紙,一般紙,新聞への広告,2014年のプロ野球オールスター番組におけるテレビコマーシャル出稿,球場における看板の掲出,その他のテレビコマーシャル,雑誌へ記事を掲載し(甲11?甲14,甲21?甲23,甲25),申立人の売上高は,年間4,000億円を超え,タイヤ事業について,毎年約3,000億円という巨額な売上を計上し(甲2),申立人は,タイヤメーカーとして,日本国内で第4位(甲16),世界で第11位と上位にランクインされている(甲13の45)。 (4)以上のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,既に,申立人又は申立人の業務に係る「自動車用タイヤ,自動車並びにその部品及び附属品,その他タイヤ関連商品」を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間で周知著名性を獲得していたことが認められる。 3 商標法第4条第1項第15号の該当性 (1)本件商標と引用商標の類否 本件商標は,図形の右横に「TOYOMOTO」の文字を配した構成からなるところ,「TOYOMOTO」の文字部分は,商標の識別標識として最も需要な語頭部分に申立人並びに申立人の商品を示す商標として周知著名な「TOYO」の文字を含むものであり,当該「TOYO」の文字部分が,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと評価できるため,需要者及び取引者は,これを本件商標の要部と認識し,取引に当たると考えるのが相当である。 また,引用商標4ないし引用商標6は,その構成中「TIRES」の文字部分が「タイヤ」を意味する平易な英語であり,本件商標の指定商品との関係において,自他商品識別標識としての機能が極めて弱いことから,その構成中の「TOyO」(TOYO)の文字が商標の要部になり得るものといえる。 そうすると,本件商標と引用商標は,商標又はその要部が全て「TOYO」(TOyO)で共通するものであり,当該文字部分に相応して,「トーヨー」の称呼及び「東洋」の観念が生じるものといえる。また,本件商標は,その構成中に申立人の業務に係る商標として取引者,需要者の間で周知著名な「TOYO」の文字と綴り字が全く同一の「TOYO」の文字を含むものと認識,看取されるものであり,外観上も類似する。 したがって,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念を共通にするものであり,互いに類似するものである。 以上より,本件商標と引用商標の類似性は非常に高いと評価される。 (2)引用商標の周知性 上述のとおり,引用商標に係る「TOYO」ないし「TOyO TIRES」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人自身を示すハウスマーク又は申立人の業務に係る商品「自動車用タイヤ,自動車並びにその部品及び附属品,その他タイヤ関連商品」を表示する商標として,我が国の需要者及び取引者の間で広く知られていたことは明らかである。 (3)本件商標の指定商品等と申立人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情について 本件商標の指定商品は,全て乗物用タイヤあるいは乗り物に関するものであるため,その性質,用途又は目的について,申立人の業務に係る商品「自動車用タイヤ」等と高い関連性を有する。 また,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「自動車用タイヤ」の主な取引者及び需要者は,共に一般消費者,乗り物(自動車・二輪自動車・自転車・航空機)メーカー,乗り物販売店,乗り物関連商品の販売店であるため,両者の取引者及び需要者は共通する。 (4)諸外国において認められた混同のおそれ(その他の事情) 商標権者は,日本だけでなく,欧州連合,中国,シンガポール,オーストラリア等の諸外国にも本件商標と同一の商標を登録出願しており,申立人は,該登録商標について,商標「TOYO」に基づき,商品の出所の混同を生じるおそれがあることを理由に異議申立てをしたところ,最終的に全ての国で申立人の請求が認められ,該登録は拒絶された事実がある(甲20の1?4)。 また,申立人は,米国における商標権者の商品「自動車用タイヤ」に関する商標「TOYOMOTO」の使用について,自己の「TOYO」に係る商標権に基づき侵害訴訟を提起したところ,ネヴァダ州地方裁判所の判決で,商標「TOYO」の周知性並びに商標「TOYOMOTO」と「TOYO」が混同を生ずるほど類似することが認定され,商標権者の商標「TOYOMOTO」の使用の差止め並びに損害賠償請求が認められている(甲20の5)。 (5)小活 以上のとおり,我が国の少なくとも商品「自動車用タイヤ」の分野において,「TOYO」の文字は,申立人の商品「自動車用タイヤ」を示すものとして周知著名な商標を指すものに他ならない。そうすると,本件商標は,その構成中に申立人及び申立人の業務に係る商品「自動車用タイヤ」を表すものとして取引者,需要者の間で広く認識されている「TOYO」の文字と同一の綴り字の「TOYO」の文字を含むものであって,引用商標と高い類似性を有する商標であり,本件商標と引用商標が使用される商品間の関連性,取引者・需要者の共通性,並びに諸外国での異議決定や判決の内容に鑑みれば,本件商標は,これをそのいずれの指定商品について使用した場合であっても,これに接する取引者,需要者が,その構成中の「TOYO」の文字部分から,申立人の業務に係る商品「自動車用タイヤ」等を連想,想起し,当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第11号の適用 上述のとおり,本件商標と引用商標は,商標の要部が「TOYO」(TOyO)で共通するものであり,当該文字部分に相応して,「トーヨー」の称呼及び「東洋」の観念が生じるものといえる。また,両商標は,その構成中に「TOYO」の文字を有することにより,外観上も類似する。 したがって,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念を共通にするから,両商標は,類似の商標とみるのが相当である。 また,本件商標の全ての指定商品は,引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものである。 そうすると,本件商標と引用商標は,類似し,かつ,その指定商品及び指定役務も同一又は類似することから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 第3 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人の提出する証拠及びその主張によれば,申立人は,1945年(昭和20年)8月1日に設立以来,各種タイヤ及びその関連製品を中心に,日本,北米,欧州,中国,東南アジアなどに販売し,2014年(平成26年)及び2015年(平成27年)の売上げは,3,937億及び4,077億円に上り(甲1,甲2),引用商標は,我が国において,申立人の業務に係るタイヤの側面及びタイヤラベル,主に自動車用タイヤのパンフレット,カタログ,ホームページ及び各種広告媒体において表示されている(甲4,甲9,甲11?甲14)。また,申立人は,2002年(平成14年)11月から,引用商標3ないし引用商標6を,申立人のハウスマークとして使用しているものであり(甲8),タイヤ業界における2013年(平成25年)から2014年(平成26年)の我が国における売上高の約6%のシェアを占めている(甲16)。 そうすると,引用商標は,申立人の業務に係る「自動車用タイヤ」を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に一定程度広く認識されていたというのが相当である。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は,別掲1のとおり,図形と「TOYOMOTO」の欧文字を横一連に表してなるところ,「TOYOMOTO」の文字部分は,同書,同大,等間隔でまとまりよく一体に表され,該文字から生じる「トヨモト」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであるから,本件商標からは,その構成文字に相応して「トヨモト」の称呼を生じるものであり,特定の観念を生じないと判断するのが相当である。 (2)引用商標について 引用商標1ないし引用商標3は,別掲2ないし4のとおり,「TOY(y)O」の欧文字からなるものであるから,「トーヨー」の称呼を生じ,直ちに特定の観念を生じないものである。 また,引用商標4ないし引用商標6は,別掲5のとおり,「TOyO TIRES」の欧文字からなるものであるところ,その構成中「TIRES」の欧文字は,その指定商品(役務)との関係において,自他商品(役務)の識別力が極めて弱いものであるから,その構成文字全体に相応して生じる「トーヨータイヤズ」の称呼のほかに,「TOyO」の文字部分から「トーヨー」の称呼を生じるものであり,いずれからも特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標は,その構成中,欧文字部分において,語頭の「TOY(y)O」の文字を共通にするものの,全体としての構成文字及び構成文字数において明らかに相違するから,外観上,明確に区別し得るものである。 また,本件商標から生ずる「トヨモト」の称呼と引用商標から生ずる「トーヨータイヤズ」及び「トーヨー」の称呼を比較すると,両者は,いずれもが語頭における「ト」の音を共通にするものの,上記のとおり,その余の構成音及び全体の構成音数において,明らかな差異を有するものであるから,判然と聴別し得るものであり,聞き誤るおそれはない。 そして,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念を生じないから,観念上,相紛れるおそれはない。 その他,本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。 してみれば,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号について 引用商標は,上記1のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国において申立人の業務に係る「自動車用タイヤ」を表すものとして,取引者,需要者の間に一定程度知られているものである。 しかしながら,本件商標と引用商標とは,上記2(3)のとおり,非類似の商標であり,相紛れるおそれのない別異の商標というべきであるから,商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者は引用商標を連想又は想起するとはいえないものであって,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 申立人の主張について 申立人は,本件商標はその構成中に「TOYO」の文字を含み,諸外国で引用商標と出所の混同が生じるほど類似すると判断された旨主張するが,本件商標は,上記のとおり,「TOYOMOTO」の文字部分が同書,同大,等間隔でまとまりよく一体的に表されたものであり,該文字から生じる「トヨモト」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであることに加え,「MOTO」の文字部分が,本件商標の指定商品との関係で,商品の出所識別標識としての機能がないか又は極めて弱いなど,本件商標を「TOYO」と「MOTO」に分離して看取すべき特段の事情も見いだせない。 そうすると,本件商標の構成中「TOYOMOTO」の文字部分は,「TOYO」の文字部分が独立して認識されるものではなく,一体のものとして認識されるものであるから,申立人の上記主張は採用できない。 5 まとめ 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録は維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標 2 引用商標1 3 引用商標2 4 引用商標3 5 引用商標4ないし引用商標6 |
異議決定日 | 2017-02-15 |
出願番号 | 商願2016-9903(T2016-9903) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W12)
T 1 651・ 263- Y (W12) T 1 651・ 271- Y (W12) T 1 651・ 262- Y (W12) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 池田 光治 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
大森 友子 冨澤 武志 |
登録日 | 2016-08-05 |
登録番号 | 商標登録第5871441号(T5871441) |
権利者 | 株式会社TOKYO NIHOON RUBBER CORP. |
商標の称呼 | トヨモト、テイ |
代理人 | 田中 成幸 |
代理人 | 白井 里央子 |
代理人 | 柴田 雅仁 |
代理人 | 藤本 昇 |
代理人 | 野村 慎一 |