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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) W16 |
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管理番号 | 1325098 |
異議申立番号 | 異議2016-900178 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-07-11 |
確定日 | 2017-02-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5839273号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5839273号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5839273号商標(以下「本件商標」という。)は,「七六冥法蓮華経」の漢字を横書きしてなり,平成27年11月11日に登録出願,第16類「文房具類,印刷物,書画,写真」を指定商品として,平成28年3月15日に登録査定,同年4月8日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由(要旨) 商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,日蓮宗のお題目を表す「南無妙法蓮華経」を容易に直感させるものであるから,これを一個人が自己の商標として登録使用することは,日蓮宗にとどまらず,宗教関係者に多大な不快感を与えるだけでなく,社会一般の道徳観念に反するものであるから,商標法第4第1項第7号に該当すると主張し,証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 第3 本件商標に対する取消理由 本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するとして,平成28年10月19日付けで通知した取消理由は,以下のとおりである。 1 本件商標 本件商標は,上記第1に記載したとおりである。 2 「南無妙法蓮華経」について 「なむみょうほうれんげきょう(南無妙法蓮華経)」の語について,広辞苑第6版(甲2)には「日蓮宗三大秘法の一つ。妙法蓮華経に帰依する意。これを唱えれば,真理に帰依して成仏するという。題目。本門の題目。七字の題目。御題目。」と,大辞林第3版(2006年10月27日,株式会社三省堂発行)には「[法華経に帰依する意]日蓮宗で,法華経を信仰し加護を求める心持ちを表して唱える語。御題目。」と,及び大辞泉増補・新装版(1998年12月1日,株式会社小学館発行)には「妙法蓮華経すなわち法華経に帰依する意。日蓮宗で,そのよりどころとする法華経の加護を祈るときに唱える語。七字の題目。お題目。」と,それぞれ記載されていることからすれば,「南無妙法蓮華経」の漢字7文字は,「ナムミョウホウレンゲキョウ」と発音(称呼)され,「法華経に帰依する意を有する,日蓮宗のお題目」として,宗教関係者はもとより一般世人にも広く知られているものと認められる。 3 商標法第4条第1項第7号について (1)商標法第4条第1項第7号の解釈 本号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合などが含まれると解される(知財高裁判決 平成17年(行ケ)第10349号)。 (2)本件商標について 本件商標は,上記第1のとおり,「七六冥法蓮華経」の漢字7文字からなるところ,当該7文字からなる漢字は,辞書等には掲載が見当たらないことから,既成の意味合いを有しない造語であると認められる。また,本件商標は,その構成文字に相応して,「ナムミョウホウレンゲキョウ」,「ナナロクメイホウレンゲキョウ」等の称呼を生じ得る。 そして,上記2のとおり,「南無妙法蓮華経」の漢字7文字が「ナムミョウホウレンゲキョウ」と発音される,日蓮宗(仏教の一宗派として日蓮宗。以下同じ。)のお題目として,宗教関係者はもとより一般世人にも広く知られていること,同じく漢字7文字からなる本件商標からは当該お題目と同一の「ナムミョウホウレンゲキョウ」の称呼が無理なく生じるものであること,本件商標の構成中の後半4文字「法蓮華経」が当該お題目の後半4文字と共通すること,及び本件商標が特定の意味を有する既成語ではないことを併せみれば,本件商標は,これを見る者に,日蓮宗のお題目である「南無妙法蓮華経」の前半の漢字3文字「南無妙」をこれと同じに発音される「七六冥」の漢字3文字に置き換えて表したものと認識させるものであるから,当該お題目を容易に想起させるものと判断するのが相当であって,その称呼も基本的には「ナムミョウホウレンゲキョウ」に特定されるものと認められる。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性 本件商標は,上記(2)のとおり,日蓮宗のお題目である「南無妙法蓮華経」の前半の漢字3文字「南無妙」を「七六冥」に置き換えて表したものと認識させるものであるから,当該お題目を容易に想起させるものであって,その称呼も基本的には「ナムミョウホウレンゲキョウ」に特定されるものである。 そして,このように日蓮宗のお題目をそれと同じに発音される他の文字に一部を置き換えて表すこと,及び置き換えて表した標章を「ナムミョウホウレンゲキョウ」の称呼のもと一個人が商標として使用することは,少なくとも日蓮宗の信者をして,日蓮宗の尊厳を毀損され,信仰上の感情を害されるおそれのあるものと判断するのが相当である。 そうすると,日蓮宗のお題目である「南無妙法蓮華経」の前半の漢字3文字「南無妙」を「七六冥」に置き換えて表したものと認識させ,当該お題目を容易に想起させるとともに,その称呼も基本的には「ナムミョウホウレンゲキョウ」に特定される本件商標は,上記(1)の「……他人に不快な印象を与えるような文字」に該当し,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」といわなければならない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。 第4 商標権者の意見 商標権者は,上記第3の取消理由に対して,指定した期間内に意見を述べていない。 第5 当審の判断 本件商標は,上記第1のとおり,「七六冥法蓮華経」の漢字を横書きした構成からなるところ,本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして通知した上記第3の取消理由は,妥当なものと認められる。 したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号に違反してされたものというべきであるから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-12-21 |
出願番号 | 商願2015-110600(T2015-110600) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Z
(W16)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 宗像 早穂 |
特許庁審判長 |
堀内 仁子 |
特許庁審判官 |
田村 正明 早川 文宏 |
登録日 | 2016-04-08 |
登録番号 | 商標登録第5839273号(T5839273) |
権利者 | 豊田 義徳 |
商標の称呼 | シチロクミョーホーレンゲキョー、シチロクメーホーレンゲキョー、ナナロクミョーホーレンゲキョー、ナナロクメーホーレンゲキョー、ナムミョーホーレンゲキョー、ナムメーホーレンゲキョー |
代理人 | 布施 行夫 |
代理人 | 大渕 美千栄 |
代理人 | 中山 清 |