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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1325087 
異議申立番号 異議2016-900204 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-07-28 
確定日 2017-02-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5843750号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5843750号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5843750号商標(以下「本件商標」という。)は、「GOTHAM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年9月30日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同28年2月15日に登録査定、同年4月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するため、その登録は同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
(1)本件商標は、欧文字「GOTHAM」を標準文字で表したものであり、また、引用商標は、欧文字「GOTHAM CITY」をありふれた書体で表したものである。なお、申立人は、「GOTHAM CITY」の文字からなる商標について、我が国において複数の登録商標を保有している(甲2?甲10)。
本件商標と引用商標の相違点は「CITY」という語の有無のみであるが、そもそも「Gotham」とはニューヨーク市のニックネームを意味する(甲11)。ちなみに、例えば「YOKOHAMA CITY」という語に接した者は、「神奈川県の県庁所在地である横浜市」を想起すると思われる。また、「YOKOHAMA」という語に接した者も、同様に「神奈川県の県庁所在地である横浜」を想起すると考えられる。すなわち「CITY」の有無にかかわらず、それに接した者は、その名称の示す都市を想起する。その意味で、本件商標に接した場合も、引用商標に接した場合も、等しく「GOTHAMという都市」を思い浮かべると考えられる。
(2)申立人は、米国で「GOTHAM」という連続テレビドラマを制作しており、第2シーズンまで放映された。日本でもCS放送でこのドラマを見ることができる(甲12)。また、このドラマのDVDも日本でレンタルされ販売されている(甲13、甲16、甲17)。このドラマの舞台は「GOTHAM CITY/ゴッサムシティ」であり、このドラマを宣伝する広告や、このドラマを取り上げた新聞や雑誌の記事の中では、ドラマのタイトルである「GOTHAM」と、そのドラマが展開される舞台である「GOTHAM CITY/ゴッサムシティ」が頻繁に同一ページに現れる。つまり、「GOTHAM」というドラマを紹介する際には、必ず「GOTHAM CITY/ゴッサムシティ」という都市の名前が使われるのである(甲14?甲20)。
(3)このような状況において、上記のとおり「GOTHAM」と「GOTHAM CITY/ゴッサムシティ」から「GOTHAMという都市」という同じ意味を思い浮かべることが予想されることにも鑑みると、本件商標を付した商品に接した需要者・取引者は、該商品が申立人の保有する複数の「GOTHAM CITY」の文字からなる商標との関係から申立人と組織的又は経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、また、ドラマ「GOTHAM」の制作者である申立人と組織的又は経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
(4)以上の理由により、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するため、その登録は取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標「GOTHAM CITY」などについて
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)「GOTHAM」というタイトルのドラマについては、我が国において、(a)少なくとも平成27年の夏頃から10月頃(甲15)及び平成28年10月(甲12)にCS放送でテレビ放映されたこと、(b)同ドラマのファーストシーズンのDVD及びブルーレイはレンタルが平成27年7月に、販売が同年9月に開始されたこと(甲16)、(c)同ドラマのセカンドシーズンのDVD及びブルーレイは平成28年9月に販売が開始されたこと(甲13)及び(d)同ドラマのキャラクター原案は申立人であること(甲15)がうかがえる。
(イ)上記テレビ放映やDVD及びブルーレイの広告、紹介ではドラマのタイトルとして「GOTHAM/ゴッサム」の文字が、同ドラマの舞台の都市名として「GOTHAM CITY/ゴッサム・シティ」の文字が用いられていることがうかがえる(甲12?甲20)。
(ウ)しかしながら、上記テレビ放映の視聴者数、視聴率などの視聴実績や上記DVD及びブルーレイのレンタル実績及び販売実績などを示す証左並びに申立人が同ドラマの制作者であることを示す証左は見いだせない。
イ 上記アの事実によれば、我が国で、「GOTHAM」というタイトルのドラマが平成27年夏頃からCS放送でテレビ放映され、同ドラマのDVD及びブルーレイがレンタル及び販売されたこと、同ドラマの広告などで「GOTHAM/ゴッサム」及び「GOTHAM CITY/ゴッサム・シティ」の文字が用いられていることがうかがえるとしても、同ドラマの視聴実績やレンタル実績、販売実績を示す証左、及び申立人が同ドラマの制作者であることを示す証左は見いだせないから、同ドラマのタイトル「GOTHAM/ゴッサム」及び同ドラマの舞台の都市名「GOTHAM CITY/ゴッサム・シティ」は、我が国の需要者の間で広く知られているものということはできず、かつ、それらが申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることもできない。
そうすると、「GOTHAM CITY」の文字からなる引用商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。
(2)商標の類否について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり「GOTHAM」の欧文字からなり、その構成文字に相応して「ゴッサム」の称呼を生じるものである。
そして、「GOTHAM」の文字は、「米ニューヨーク市のニックネーム」の意味を有する語である(甲11)が、該文字は我が国で親しまれた語とはいえないし、上記(1)のとおりドラマのタイトルとして需要者の間に広く知られているものともいえないから、本件商標は、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は、上記2(1)のとおり「GOTHAM CITY」の欧文字からなり、その構成文字に相応して「ゴッサムシティー」の称呼を生じるものである。
そして、「GOTHAM CITY」の文字は、「DCコミック社の『バットマン』に登場する、バットマンが住む架空の都市」の意味を有する語である(甲11)ものの、該文字は我が国で親しまれた語とはいえないし、上記(1)のとおりドラマ「GOTHAM」の舞台の都市名として広く知られているものともいえないから、引用商標は、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観において両者は、語尾の「CITY」の文字の有無という差異を有し、この差異は視覚的印象に与える影響は大きいものであるから、相紛れるおそれはない。
次に、称呼において両者は、語尾の「シティー」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、相紛れるおそれはない。
さらに、観念において両者は、共に特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標といわなければならない。
(3)出所混同のおそれについて
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品又は役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者をして引用商標を連想又は想起させるものということはできず、また、その商品が他人である申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標を付した商品に接した需要者、取引者は該商品が申立人の保有する複数の「GOTHAM CITY」商標との関係から申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、また、ドラマ「GOTHAM」の制作者である申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれがある旨主張しているので、念のため、以下検討する。
本件商標と申立人の保有する商標「GOTHAM CITY」とは、上記(2)と同様の理由により相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標といえ、また、上記(1)ア(ウ)のとおり申立人がドラマ「GOTHAM」の制作者であることを示す証左は見いだせないから、上記(3)と同様の理由により、申立人の主張には理由がない。
なお、本件商標がドラマのタイトル「GOTHAM」と構成文字において同一であるとしても、上記(1)のとおり、該タイトル「GOTHAM」が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者をして、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-02-01 
出願番号 商願2015-94291(T2015-94291) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小岩井 陽介守屋 友宏 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 大森 健司
松浦 裕紀子
登録日 2016-04-22 
登録番号 商標登録第5843750号(T5843750) 
権利者 株式会社プレジィール
商標の称呼 ゴッサム、ゴサム、ゴットハム 
代理人 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 

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