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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1325063 
異議申立番号 異議2016-685010 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-25 
確定日 2016-12-07 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1221969号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1221969号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1221969商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「DASSAULT WINE ESTATES」の欧文字を横書きしてなり、2014年3月25日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2014年(平成26年)8月1日に国際商標登録出願、平成27年12月15日に登録査定、第33類「Wines.」を指定商品として、同28年2月19日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1069217号商標は、「ASSAULT」の欧文字を横書きしてなり、2011年(平成23年)3月2日に国際商標登録出願、第32類「Beverages,namely,soft drinks;carbonated soft drinks;carbonated energy drinks;carbonated sports drinks;soft drinks,carbonated soft drinks,carbonated energy drinks,and carbonated sports drinks all enhanced with vitamins,minerals,nutrients,amino acids,and/or herbs;concentrates,syrups or powders used in the preparation of soft drinks.」を指定商品として、平成24年1月27日に設定登録されたものである。
2 登録第5772877号商標は、「ASSAULT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成26年9月16日に登録出願、第5類「液状のサプリメント,その他のサプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第32類「炭酸入りエネルギー補給用清涼飲料,炭酸入りエネルギー補給用果実飲料,スポーツ用炭酸入り清涼飲料,スポーツ用炭酸入り果実飲料,清涼飲料,果汁飲料及び果実飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したエネルギー補給用清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したスポーツ用清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したスポーツ用果実飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したスポーツ用飲料用野菜ジュース,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したエネルギー補給用果実飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したエネルギー補給用飲料用野菜ジュース,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,飲料用野菜ジュース,ソーダ水,清涼飲料の調製用濃縮物・シロップ又は粉末,その他のアルコール分を含有しない飲料」を指定商品として、同27年6月19日に設定登録されたものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第239号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標について
本件商標の構成中、後半の「WINE ESTATES」の文字部分は、「ぶどう酒の生産者、ワイン醸造所」といった意味を表すものとして看取される(甲238及び甲239)から、これをその指定商品である第33類「Wines」(以下「本件指定商品」という。)に使用しても単なる品質等の表示として認識されるにとどまり、自他商品識別標識として機能しない。
したがって、本件商標においては、語頭の「DASSAULT」の文字部分が独立の商品出所識別標識として機能することが明らかである。
2 引用商標について
申立人は、2002年から現在までの過去14年間にわたり、エナジードリンクの製品名として「MONSTER」と他の文字の結合からなる「MONSTER」ファミリー商標を使用しており、2004年からは、米国等で「MONSTER ASSAULT」の使用を開始し、「ASSAULT」の文字(引用商標)を、独立の出所識別標識として看取される態様で使用している(甲140及び甲141)。
3 本件商標と引用商標の比較について
本件商標からは、その主要部分「DASSAULT」に基づいて「ダソールト」の称呼が生じるのに対して、引用商標からは、「アソールト」の称呼が生じる。
これらを一連に発音した場合、語韻語調が極めて近似する同質の音として聴取され、互いを明瞭に聞き分けることは困難であるから、両者は、称呼において類似する。
また、「DASSAULT」は、全8文字中、先頭の1文字以外の連続する7文字が引用商標の全構成文字「ASSAULT」と一致するから、両者は、外観も類似する。
さらに、「DASSAULT」は、既成の意味を有するものでないから、既成語の「ASSAULT」に商品の品番、型式番号の記号・符号として用いられる英文字1字「D」を付加してなる形式として看取され、引用商標を想起、連想させる。
本件指定商品は、申立人が「ASSAULT」の文字を製品名として使用しているエナジードリンク製品(清涼飲料、果実飲料)と原材料、用途、効能、販売場所、需要者の範囲が一致ないし重複し、互いに密接な関連性を有する。
4 混同を生じるおそれ等について
本件商標の登録出願時には、申立人の使用に係る「MONSTER」ファミリー商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間で広く認識されていたものであることからすれば、該ファミリー商標の「MONSTER ASSAULT」の構成中の「ASSAULT」の文字もまた、申立人の商品を表示するものとして広く認識されていたといえる。
よって、本件商標が本件指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、「DASSAULT」の文字部分に基づいて、申立人の使用に係る「ASSAULT」の文字及び申立人会社を想起連想し、当該商品が申立人の製造販売に係るエナジードリンク製品の姉妹商品、あるいは、申立人との共同開発による新製品のアルコール飲料であるかのように、申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係る商品であると誤信し、その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
また、商標法第4条第1項第15号は、出所の混同防止のみならず、著名商標の顧客吸引力へのフリーライド、その出所表示力のダイリューションを防止する趣旨も含むものと解される(平成16年(行ケ)第85号審決取消請求事件、平成16年10月20日東京高裁判決)。申立人と何ら経済的又は組織的な関係を有しない本件商標権者によって本件商標が使用された場合、2004年の使用開始から現在に至るまでの長期に及ぶ継続的使用と営業努力によって申立人の商品出所識別標識として広く認識されるに至った引用商標の出所表示力が希釈化することが明らかである。また、本件商標権者による本件商標の使用は、申立人が当該商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)「MONSTER」ファミリー商標及び「ASSAULT」の文字について
ア 申立人は、2002年(平成14年)に、エナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」の販売を決定し、米国で同年3月から広告宣伝を開始し、同年4月から製造販売を開始した(甲7並びに甲58の宣誓供述書の段落9及び10)。
イ 申立人に係るエナジードリンクには、大きく表したM字状の図形と、図案化した「MONSTER」の文字及び該文字より小さく書した「ENERGY」の文字が表示されている(甲4)ほか、2004年(平成16年)に、米国で「MONSTER ASSAULT」が発売された(甲58の宣誓供述書の段落11)。
ウ 「MONSTER ASSAULT」のボトル缶には、大きく表したM字状の図形と、図案化した「MONSTER」の文字の下に「ASSAULT」の文字が表示され、申立人運営のオンラインショップ「MONSTER ARMY」とされる頁において、「ASSAULT」の文字が表示されている(甲140及び甲141)。
エ 日本未発売製品の「MONSTER ASSAULT」は、インターネットのショッピングサイトにより輸入販売されている(甲33、甲126)。
(2)小括
申立人は、本件商標の登録出願時には、「MONSTER」ファミリー商標が使用されたエナジードリンクが、申立人の取扱いに係る商品として国内外で広く知られており、その使用に係る「ASSAULT」の文字(引用商標)もまた、同様に広く認識されている旨主張する。
そして、前記(1)によれば、申立人の業務に係る「MONSTER ASSAULT」と称する商品が、2004年に米国で発売され、インターネットのショッピングサイトを通じて我が国においても販売されていることを認めることができる。
しかしながら、「MONSTER ASSAULT」と称する商品の販売実績が明らかでないうえ、我が国における広告宣伝の方法、回数等は具体的に立証されておらず、また、「ASSAULT」の文字は、該文字単独での使用の事実を確認することができない。
そうすると、申立人が提出した証拠からは、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおり、「DASSAULT WINE ESTATES」の欧文字を横書きしてなるものであって、「DASSAULT」、「WINE」及び「ESTATES」の各文字間に半角程度のスペースがあるものの、全体として同じ書体、同じ大きさでまとまりよく表されており、その構成中の特定の文字部分が強く支配的な印象を与えるものではないから、該文字全体として視覚上一体的に把握されるものといえる。
そして、これから生じる「ダソールトワインエステーツ」の称呼もよどみなく一連に称呼することができるものである。
また、上記構成中の「WINE ESTATES」の文字は、「ワイン醸造所」を意味する英語であるから、本件商標は、「『DASSAULT』というワイン醸造所」という程の一連の意味合いを把握させるものである。
したがって、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、一体のものとして認識され把握されるとみるのが自然である。
申立人は、上記構成中の「DASSAULT」の文字を出所識別標識として機能する部分としたうえで、該文字が既成語の「ASSAULT」に商品の品番、型式番号の記号・符号として用いられる英文字1字「D」を付加してなる形式として看取されるから、引用商標を想起、連想させると主張する。
しかしながら、「ASSAULT」の文字のみが把握されると認めるに足る証拠の提出はなく、本件商標は、上記のとおり一体のものとして認識されるものであるから、上記の申立人の主張を採用することはできない。
(2)引用商標
引用商標は、それぞれ前記第2のとおりの構成のものであって、これらからは、「アソールト」の称呼及び「攻撃する」の観念が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標は、別掲のとおりの構成からなり、引用商標は、いずれも「ASSAULT」の欧文字からなるものであるから、外観において、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「ダソールトワインエステーツ」の称呼と引用商標から生じる「アソールト」の称呼とは、その構成音及び構成数が明らかに異なり、互いに聞き分けることができるものである。
さらに、両者は、観念においても、「『DASSAULT』というワイン醸造所」と「攻撃する」との明確な差異を有するものである。
以上からすれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
3 出所の混同のおそれについて
前記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができず、前記2のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、これを本件商標権者がその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標や申立人を連想、想起することはなく、申立人又は申立人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2016-12-02 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 昌史平野 美和 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 板谷 玲子
田中 亨子
登録日 2014-08-01 
権利者 DASSAULT WINE ESTATES
商標の称呼 ダッソーワインエステーツ、ダソールトワインエステーツ、ダッソーワイン、ダッソー、ダソールト、ワインエステーツ、エステーツ 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 
代理人 田島 壽 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 青木 篤 

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