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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201127961 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W41
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W41
管理番号 1324946 
審判番号 不服2016-4225 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-18 
確定日 2017-01-12 
事件の表示 商願2015- 33386拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「インストラクター資格認定試験」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,検定試験受験者へのセミナーの開催及びこれらに関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教材用書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),教材用ビデオ・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として、平成27年4月9日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『インストラクター資格認定試験』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『インストラクター』の文字は『指導員。特に、機器の操作など特定の技能やスポーツの訓練を行う人。』を、『資格』の文字は『身分や地位。立場。また、そのために必要とされる条件。』を、『認定試験』の文字は『ある事実や資格の有無、事柄の当否などを判断して決定する試験』をそれぞれ意味するものである。また、様々な分野においてインストラクターの資格を認定するための試験が実施されていることを考慮すると、本願指定役務の需要者にあっては、本願商標全体から『インストラクターの資格を認定する試験』ほどの意味合いを容易に理解するものと認める。そうすると、本願商標をその指定役務中、上記試験に関する役務(例えば、『インストラクター資格認定試験のための技芸・スポーツ又は知識の教授,インストラクター資格認定のための検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供』等)に使用するときは、本願商標は、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年8月3日付け証拠調べ通知書によって、証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

(1)新聞記事情報
新聞記事における「インストラクター」及び「資格認定試験」の文字の使用について(下線は合議体による。)
ア 2016年5月4日付け北國新聞17頁
「指導者資格の取得目指し講習 小松市で県キャンプ協会」の見出しのもと、「県キャンプ協会のキャンプインストラクター養成講習会(本社後援)は3日、小松市大杉町の里山自然学校大杉みどりの里で3日間の日程で始まり、県内外の10人が指導者資格取得を目指し、実技研修や講義を受けた。・・5日は資格認定試験が行われる。」の記載がある。
イ 2006年10月23日付けFujiSankei Business i21頁「マネジメントサポート ビジネスマナー教えます、28日に初の資格認定試験」の見出しのもと、「人材育成のコンサルティング会社、マネージメントサポート(東京都港区)が、『ビジネスマナーインストラクターライセンス検定試験』として、今月28日に初級試験を実施。・・・ビジネスマナーのインストラクター養成講座をはじめ、これまでに培ってきた人材関連事業のノウハウを活かし、インストラクター能力を測定する試験を開発。試験により能力が一定水準にあると認められる受検者には、民間資格としてライセンスを与える仕組みだ。」の記載がある。
ウ 2005年8月22日付け北海道新聞朝刊33頁
「登別高生2人がガラス彫刻資格*室蘭の作品展にも出展」の見出しのもと、「登別高校の生徒二人が、伊達市北稀府町のアートサロン『夢工房』(浜田春華さん主催)に通い、『グラススケッチ』と呼ばれるガラス彫刻の資格認定試験に合格した。・・・今後は、二人と共に講座を受け、上級の『インストラクター』の資格を得た瀬尾敦子教諭の指導でさらに技術を磨く。」の記載がある。
エ 2003年12月1日付け富山新聞23頁
「四季のリース、技術競う 小矢部市で創花デザイン資格認定試験 富山新聞文化センターの受講生ら挑戦」の見出しのもと、「アートフラワーをはじめとする創花(造花)の技術向上を目的とした第二回創花デザイン資格認定試験(富山新聞社後援)は三十日、小矢部市のクロスランドおやべで行われた。・・・北陸アートラッピング&創花デザインコーディネーター協会(ASCA北陸、宮口しげみ代表)が主催し、試験は初、中、上級とインストラクターの四段階別に行われた。」の記載がある。
オ 2002年5月26日付け富山新聞33頁
「試験控え、最終調整 40人がラッピング学ぶ 富山新聞高岡会館」の見出しのもと、「来月十六日に金沢市の北國新聞文化センター金沢本部教室で開かれるラッピングコーディネーター、インストラクターの資格認定試験に向け、高岡市の富山新聞高岡会館で二十五日、ラッピング教室の補講が行われた。」の記載がある。
(2)インターネット情報
ウェブページにおける「インストラクター」、「資格」、「認定」及び「試験」の各文字が組み合わされた使用について (下線は合議体による。)
ア 「IBF国際美容連盟」のウェブサイトにおいて、「IBF国際美容連盟認定 第24回 国際メイクアップアーティスト インストラクター資格認定試験 平成28年7月受験 本部試験実施要項」の記載がある。
(http://www.ibf-japan.com/admission/instructor.html)
イ 「公益財団法人 日本ばら会」のウェブサイトにおいて、「資格認定試験」の見出しのもと、「日本ばら会ではインストラクター、上級指導員、審査員の3種類の認定試験を実施しています。」の記載及び「『インストラクター』認定試験要項」の見出しのもと、「出題範囲 1.バラ品種の分類系統 2.バラ栽培基本技術 3.農薬の使用法等」の記載がある。
(http://www.barakai.com/qualification/index.html)
ウ 「MFA JAPAN」のウェブサイトにおいて、「インストラクター資格を取得するには」の見出しのもと、「メディック・ファーストエイドのインストラクターになるには、下記の基本条件を知っておくことが大切です。・インストラクター養成コースの参加資格は18才以上の男女。・プロのインストラクターとしてMFAプログラムを普及したい方のための資格です。」の記載がある。
(http://www.mfa-japan.com/license/procedures.shtml)
エ 「日本インストラクター協会」のウェブサイトにおいて、「インストラクター資格認定 日本インストラクター協会」の見出しのもと、「日本インストラクター協会は、教える力を中心とした技術の各スキルの水準がある一定以上であることを認定する協会です。」の記載がある。
(https://www.jpinstructor.org/)
オ 「ジョギングインストラクター資格認定講座」のウェブサイトにおいて、「ジョギングインストラクター資格認定講座とは」の見出しのもと、「ジョギングインストラクターは健康運動としてのジョギングから、余暇スポーツとしてのマラソン参加まで、『安全に・楽しく・継続して』“走る”を、指導できる指導者資格です。」の記載がある。
(http://lifetime-sports.jp/?page_id=130)
カ 「FREADIA」のウェブサイトにおいて、「インストラクター資格取得コース」の見出しのもと、「日本ヴォーグ社認定インストラクターのカリキュラム(全30単位)を受講して頂き、様々な技法を学び資格を取得することができるレッスンです。作品作りに必要な技法を、一から丁寧にご指導させて頂きます。」
(http://www.freadia-m.jp/690723929)
キ 「資格の王道」のウェブサイトにおいて、「小学校教諭・小学校教員資格認定試験」の見出しのもと、「小学校教員資格認定試験とは、小学校教諭2種免許状の授与を受けるための資質を審査するための認定試験です。」の記載がある。
(http://www.shikakude.com/sikakupaje/syogakko.html)
ク 「文部科学省」のウェブサイトにおいて、「学芸員について」の見出しのもと、「学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業を行う『博物館法』に定められた、博物館におかれる専門的職員です。・・・学芸員になるための資格は、1.大学・短大で単位を履修することや、2.文部科学省で行う資格認定試験に合格すれば得ることができます。」の記載がある。
(http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/gakugei/main14_a1.htm)
ケ 「JAPA健康管理士」のウェブサイトにおいて、「資格認定試験について」の見出しのもと、「東京・大阪・札幌・福岡・仙台・名古屋などの大都市で、年合計20回程度開催しています。」の記載がある。
(http://www.healthcare.or.jp/test/about.html)
コ 「シナプソロジー普及会」のウェブサイトにおいて、「資格認定制度」の見出しのもと、「シナプソロジー普及会では、シナプソロジーの普及のため、さまざまな分野の方を対象に、各種養成講座や養成コースをご用意しております。」の記載があり、「資格と資格取得コース名」として、「インストラクター インストラクター養成コース」の記載がある。
(https://synapsology.com/sy/licensing/)

4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、以下のように述べている。
(1)証拠調べで通知された証拠は、インストラクター関する直接的、具体的な記事、又は、単に資格認定試験の紹介記事であって、いずれも本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する証拠とはなり得ない。
(2)インストラクターの文字は語頭に、それがどのようなインストラクターであるのかを特定する文字と結合することによって、初めて具体的な意味内容が付与されるというべきであり、抽象的、かつ、漠然とした意味合の「インストラクター資格」一般の掲載例は全くない。
(3)したがって、本願商標は、抽象的、かつ、漠然とした意味合いの用語として理解・認識されるとみるのが相当であり、これを本願指定役務に使用しても、自他役務の識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「インストラクター資格認定試験」の文字からなるところ、その構成中の「インストラクター」の文字は、「指導員。特に、機器の操作など特定の技能やスポーツの訓練を行う人。」の意味を、「資格」の文字は、「身分や地位。立場。また、そのために必要とされる条件。」の意味を、「認定」の文字は、「みとめてきめること。ある事実や資格の有無、事柄の当否などを判断して決定すること。」の意味を、「試験」の文字は、「問題や課題を出して回答・実行させ、学習・訓練の成果・習得度や及第・合否・採否を評価・判定すること。」の意味をそれぞれ有する語(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)として一般によく知られているものである。
そして、スポーツや技術的な分野等における指導員や専任講師が、「○○インストラクター」(○○にはスポーツ名や分野名が入る。)又は、単に「インストラクター」と呼ばれており、様々な「インストラクター」の資格を取得するための講座の開設や、試験が実施されている実情が認められる。
また、「資格」、「認定」及び「試験」のそれぞれの文字を合わせた「資格認定試験」の文字は、「資格を認定するための試験」程の意味合いを表す語として、例えば、「教員資格認定試験」、「学芸員資格認定試験」及び「フードコーディネーター資格認定試験」などのように、一般に使用されている実情がある。
そうすると、本願商標を構成する「インストラクター資格認定試験」の文字は、「インストラクター」の文字と「資格認定試験」の文字とを組み合わせた記述的なものであって、本願商標の構成文字の全体から「インストラクターの資格を認定するための試験」程の意味合いを容易に認識させるものである。
してみれば、本願商標を、その指定役務中、「インストラクターの資格を認定するための試験に関する知識の教授,インストラクターの資格を認定するための検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供,インストラクターの資格を認定するための試験に関するセミナーの企画・運営又は開催,インストラクターの資格を認定するための検定試験受験者へのセミナーの開催及びこれらに関する情報の提供,インストラクターの資格を認定するための試験に関する電子出版物の提供,インストラクターの資格を認定するための試験に関する書籍の制作,インストラクターの資格を認定するための試験に関する教材用書籍の制作,インストラクターの資格を認定するための試験に関するビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),インストラクターの資格を認定するための試験に関する教材用ビデオ・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」に使用しても、需要者は、「インストラクターの資格を認定するための試験」に関する役務を表したものとして理解するにすぎず、自他役務の識別標識として認識し得ないものであるから、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の「技芸・スポーツ又は知識の教授,検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,検定試験受験者へのセミナーの開催及びこれらに関する情報の提供,電子出版物の提供,書籍の制作,教材用書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),教材用ビデオ・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、審判請求書及び意見書において、「インストラクター資格認定試験」の語について、「辞書・辞典類にも全く掲載例がないばかりでなく、全国紙、地方紙及び専門紙並びに雑誌等にも掲載例が一切なく、さらには、インターネットで検索しても、全く掲載例がないことよりすれば、該語は、請求人の創作に係る造語と見るのが相当であり、たとえ『インストラクター』『資格』及び『認定試験』のそれぞれの文字が何等かの語義を有し得るとしても、これらの各語を結合した文字全体からは、如何なる指導員であるかは全く不明であるが、何らかの指導員に関する資格を認定するための試験であるという、抽象的、かつ、漠然とした仮想の語義が生ずるにすぎないものであって、直接的、かつ、具体的に指定役務の質等を表示することにはならない。」旨を主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう役務の質に該当するというには、我が国の取引者、需要者が役務の質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり、実際に役務の質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解される。
そうすると、本願商標である「インストラクター資格認定試験」の語が、辞書や雑誌等において記載がなく、また、如何なるインストラクターの資格であるのかが具体的に特定されていないとしても、「インストラクター」及び「資格認定試験」の各文字は、資格を取得することに関連する役務の分野においては、普通に使用されている語であって、それぞれの語の意味合いから、本願商標全体として、「インストラクターの資格を認定するための試験」程の意味合いを容易に認識させるものであり、これを、本願指定役務に使用しても、需要者をして、「インストラクターの資格を認定するための試験」に関連する役務であるという役務の質を表したものとして認識されるにとどまるものである。
また、請求人は、「本願商標と同様に、その前後に語彙が配されず、その意味内容が特定されないことから、その指定商品(指定役務)の品質(質)等を直接的、かつ、具体的に表示するものとは認められないと判断された事例が多数ある。」旨を主張し、審決及び登録例を挙げている。
しかしながら、請求人が挙げる審決及び登録例が、本願商標と同様に語尾に「認定試験」又は「試験」の文字を含むものであるとしても、これらの文字と組み合わせている前半部分の文字は、それぞれの商標権者のみが使用している造語であるなど、資格を取得するための試験の内容を表す語として普通に使用されているとはいい難いものであり、他方、本願商標を構成する「インストラクター」及び「資格」の各文字は、資格を取得することに関連する役務の分野において、普通に使用され、誰もがその意味合いを容易に理解し、役務の質を表したものと認識するものである。
してみれば、該審決及び登録例は、本願とは構成する文字が相違するものであるから、これらをもって、その判断を覆すことはできない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-11-08 
結審通知日 2016-11-15 
審決日 2016-11-29 
出願番号 商願2015-33386(T2015-33386) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W41)
T 1 8・ 272- Z (W41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 緋呂子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 木住野 勝也
榎本 政実
商標の称呼 インストラクターシカクニンテーシケン、インストラクターシカク 
代理人 岩内 三夫 

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