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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
管理番号 1323714 
異議申立番号 異議2016-900136 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-30 
確定日 2016-12-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5830534号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5830534号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5830534号商標(以下「本件商標」という。)は、「GOTHAM NYC」の欧文字及び「ゴッサムエヌワイシー」の片仮名(前記欧文字より小さく表示されている。)を二段に書してなり、平成27年9月2日に登録出願、平成28年1月29日に登録査定がされ、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成28年2月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の2件の登録商標(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2403551号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:GOTHAM CITY
登録出願日:平成元年12月28日
設定登録日:平成4年4月30日
指定商品 :第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(2)登録第2403552号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:GOTHAM CITY
登録出願日:平成元年12月28日
設定登録日:平成4年4月30日
指定商品 :第9類、第25類、第27類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、欧文字「GOTHAM NYC」と片仮名「ゴッサムエヌワイシー」を二段に表したものであり、引用商標は、欧文字「GOTHAM CITY」を表したものであって、両商標の指定商品は、同一又は類似の関係にある。
商標の類否について検討すると、本件商標は、冗長ではない構成ではあるものの、欧文字「GOTHAM」と「NYC」の間に一文字分程度の空白があることから、当該部分のみ抽出して認識される可能性もあり、本件商標から「ゴッサム」という称呼が生じ得る。同様に、引用商標からも「ゴッサム」という称呼が生じる。
また、本件商標の「NYC」は、辞書にも「New York City」の意味であると記載されている(甲3)ように「GOTHAM NYC」は、「ゴッサムニューヨークシティ」と認識されるものの、そのうち「ニューヨーク」は地名であることから識別力がないため、映画「バットマン」の舞台である「ゴッサムシティ」との観念が生じるから、引用商標と同じ観念を生じる。
よって、本件商標は引用商標と称呼上又は観念上類似する商標となり、引用商標は本件商標の他人の先願商標に該当するため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
「ゴッサムシティ」(Gotham City)は、申立人の著名なコミックス「バットマン」に登場する架空の都市名も意味し(甲4、甲5)、「バットマン」関連の多数の出版物、テレビ番組、映画、テレビゲームを含む実質的にすべての著作物のストーリーが「ゴッサムシティ」で展開される。日本でもバットマン関連映画の人気は高く、「GOTHAM CITY/ゴッサムシティ」といえばバットマンに出てくる街を連想する人は多いと思われる。
第一作目の「バットマン」に続き、その続編又はスピンオフ作品として多数の映画が制作され、それらの映画はその後、ビデオ化され、さらにはDVD化等されて、そのパッケージ上、及び当該作品を紹介したAmazon.comのウェブサイトを見ると、映画のあらすじを紹介する箇所では、ストーリーが展開する場所として必ず「ゴッサム・シティ」又は「ゴッサム」に触れている(甲6?甲20)。
また、バットマンのコンテンツは映画に止まらず、ゲーム(甲21、甲22)やパチンコ(甲23)のキャラクターとしても採用され、最近では米国で、申立人の制作した「GOTHAM CITY/ゴッサムシティ」を舞台とする「GOTHAM」という連続テレビドラマが放映され、日本でもドラマ及びそのDVDを見ることができる(甲24?甲29)。
このように、二十数年の長きにわたり多数の関連映画が制作されている「バットマンシリーズ」は、日本国内でも人気が高いことはいうまでもなく、しかもその内容を紹介する文章には、ストーリーの展開に重要な役割を果たす要素としての「ゴッサムシティ」が例外なく記載されている。
したがって、本件商標の商標権者が「ゴッサムシティ」との称呼を生ずる可能性のある本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した需要者・取引者は本件商標が付された商品が、あたかも著名な映画「バットマン」及びそのシリーズ作品、さらにはそれを制作した申立人であるディーシー コミックスと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、上段に「GOTHAM NYC」の欧文字と下段に小さく「ゴッサムエヌワイシー」の片仮名を横書きしてなるところ、上段及び下段の構成各文字は、それぞれ、同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく表されているものであり、また、これより生ずると認められる「ゴッサムエヌワイシー」の称呼も格別冗長というほどのものではなく、よどみなく一気に称呼し得るものである。
申立人は、本件商標の構成中の「GOTHAM」と「NYC」の間に空白があること及び「NYC」の部分が「New York City(ニューヨークシティ)」の略語であり地名であることから識別力がないため、本件商標は、「GOTHAM」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである旨主張している。
しかしながら、「GOTHAM」と「NYC」との間は一文字分にも満たないわずかな空白であり、また、ウェブサイト上の辞書(甲3)のみの記載により、「NYC」の文字が我が国において地名を表すものとして一般に知られているとはいえず、本件商標の上段の欧文字の読みを特定したものとして無理なく認識し得る下段の片仮名「ゴッサムエヌワイシー」が一連に表されていることからみても、本件商標の構成中の「GOTHAM NYC」は、構成全体として一体のものとして看取されるものであり、その他、本件商標の構成にあって、殊更「GOTHAM」の文字部分と「NYC」の文字部分とに分離して観察すべき格別の事情は見当たらないないものであるから、全体として一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成全体として、既成の親しまれた観念を有しないものであって、「ゴッサムエヌワイシー」の称呼のみを生ずるというべきである。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、いずれも「GOTHAM CITY」の欧文字からなるところ、その構成文字部分に相応して「ゴッサムシティー」の称呼を生じるものである。
また、後述するとおり、「GOTHAM CITY」の文字は、映画「バットマン(BATMAN)」に登場する架空の都市を表すものとして、我が国の映画関係の分野の者(ファンを含む。)の間では、ある程度知られているとしても、これが世間一般に広く知られているとはいえないものであるから、特定の観念を生じない一連の造語からなるというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを対比するに、本件商標は、上記1のとおり、「GOTHAM NYC」の欧文字と小さく「ゴッサムエヌワイシー」の片仮名を上下二段に書きしてなり、一方、引用商標は、上記2のとおり、「GOTHAM CITY」の欧文字からなるものであるから、それぞれの構成に照らし、外観においては、判然と区別し得る差異を有するものである。
次に、本件商標から生じる「ゴッサムエヌワイシー」の称呼と引用商標から生じる「ゴッサムシティー」の称呼とを比較すると、称呼の後半部分における「エヌワイシー」の音と「シティー」の音という顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語調、語感が著しく相違し、明瞭に聴別することができる。
さらに、本件商標及び引用商標とは、いずれも親しまれた既成の観念を有しないものであるから、両商標を観念において比較することはできない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 「GOTHAM CITY」の著名性について
申立人の提出した証拠によれば、「ゴッサムシティ(GOTHAM CITY)」は、映画「バットマン(BATMAN)」に登場する架空の都市として、我が国の映画関係の分野の者(ファンを含む。)の間では、ある程度知られているということができる(甲4?甲23)。
しかしながら、これらの証拠は「バットマン(BATMAN)」の映画等の紹介記事やDVD等のパッケージに記載されたあらすじの記載であることから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、映画の分野に係る取引者、需要者(ファンを含む。)の範囲においては、「ゴッサムシティ(GOTHAM CITY)」が広く知られていたものと認めることができるとしても、我が国において、その他の分野において一般に広く知られていたものと認めることはできない。
イ 出所の混同
「GOTHAM CITY」の文字は、上記アによれば、本件商標の指定商品に係る取引者、需要者の間において広く知られていたものとは認めることができないというべきであり、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものであるから、本件商標をその指定商品について使用した場合に、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきである。
してみれば、本件商標は、申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3) まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-12-01 
出願番号 商願2015-84602(T2015-84602) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W1825)
T 1 651・ 263- Y (W1825)
T 1 651・ 261- Y (W1825)
T 1 651・ 271- Y (W1825)
最終処分 維持  
前審関与審査官 宗像 早穂 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
堀内 仁子
登録日 2016-02-26 
登録番号 商標登録第5830534号(T5830534) 
権利者 株式会社NAS
商標の称呼 ゴッサムエヌワイシー、ゴッサムエヌワイシイ、ゴッサム 
代理人 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 
代理人 三宅 始 

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