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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
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審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1323710 
異議申立番号 異議2016-900049 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-02-19 
確定日 2017-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5808471号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5808471号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5808471商標(以下「本件商標」という。)は、「ムーンスター」の片仮名を書してなり、平成27年7月7日に登録出願、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ」を指定商品として、同年10月22日に登録査定、同年11月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次の43件(以下、それらを項番1から順次「引用商標1」「引用商標2」のようにいい、全部をまとめて「引用商標」という。)であり、それらの指定商品及び指定役務、登録出願日並びに設定登録日は商標登録原簿(又は国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿)に記載のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。
商標登録番号 : 商標の態様
1 登録第5379390号:MONSTER(標準文字)
2 登録第5057229号:別掲1のとおり
3 国際登録第1048069号:別掲1のとおり
4 登録第5689430号:別掲1のとおり
5 登録第5730813号:別掲2のとおり
6 登録第5010968号:M MONSTER ENERGY(標準文字)
7 登録第5431413号:別掲3のとおり
8 登録第5788675号:別掲3のとおり
9 登録第5393681号:MONSTER ENERGY(標準文字)
10 登録第5788676号:MONSTER ENERGY(標準文字)
11 登録第5844119号:MONSTER ENERGY(標準文字)
12 登録第5495941号:MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE(標準文字)
13 登録第5769176号:MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO(標準文字)
14 登録第5419513号:別掲4のとおり
15 登録第5757485号:COFFEE MONSTER(標準文字)
16 登録第5715016号:MONSTER ENERGY ULTRA(標準文字)
17 登録第5844163号:別掲5のとおり
18 登録第5394526号:別掲6のとおり
19 登録第5442171号:MONSTER ENERGY PINK(標準文字)
20 登録第5417815号:MONSTER ENERGY AGENT ORANGE(標準文字)
21 登録第5527566号:MONSTER DETOX(標準文字)
22 登録第5476620号:MONSTER REHAB(標準文字)
23 登録第5490798号:MONSTER RECOVERY(標準文字)
24 登録第5497766号:MONSTER UNLEADED(標準文字)
25 登録第5451361号:MONSTER PUMPED(標準文字)
26 登録第5480373号:MONSTER BIOACTIVATED(標準文字)
27 登録第5527567号:MONSTER REHABITUATE(標準文字)
28 登録第5417770号:MONSTER LO-CARB(標準文字)
29 登録第5375090号:PROTEIN MONSTER(標準文字)
30 登録第5327467号:MUSCLE MONSTER(標準文字)
31 登録第5409580号:MONSTER RIPPER(標準文字)
32 登録第5409582号:MONSTER BLACK(標準文字)
33 登録第5419507号:MONSTER DOUBLE BLACK(標準文字)
34 登録第5409583号:MONSTER GIRL(標準文字)
35 登録第5542584号:MONSTER CUBA-LIMA(標準文字)
36 登録第5043703号:JAVA MONSTER(標準文字)
37 登録第5431412号:JAVA MONSTER(標準文字)
38 登録第5423080号:LOCA MOCA JAVA MONSTER(標準文字)
39 登録第5389881号:X-PRESSO MONSTER(標準文字)
40 登録第5657923号:MONSTER ENERGY ULTRA RED(標準文字)
41 登録第5562023号:JAVA MONSTER GREEN BEANS(標準文字)
42 登録第5613400号:MONSTER THRILLER(標準文字)
43 登録第5644852号:KONA CAPPUCCINO M JAVA MONSTER(標準文字)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申立て、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第262号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標「MONSTER」の著名性
(1)申立人は、エネルギー補給用飲料(エナジードリンク)の製造、販売等を行う米国の企業である(甲2、甲58)。
(2)申立人は、2002年(平成14年)にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国で同年4月から製造販売を開始した(甲4、甲7、甲18、甲58)。前記商品の発売開始以降、現在まで継続して、申立人の製造販売する全てのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)には、「MONSTER ENERGY」をはじめ、構成中に「MONSTER」の文字を包含してなる構成を共通点とする多数の商標(以下「『MONSTER』ファミリー商標」という。)が個別商品名として使用されており、かつ、ボトル缶には、「MONSTER」の文字が太字で顕著に表示されている(甲56?甲58、甲11?甲16等)。
(3)2002年(平成14年)から現在までの申立人商品に関する広告等販売促進活動費は、総額30億米ドルを超える(甲58)。その主な内容は、世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会、アマチュア選手、音楽祭及びミュージシャン並びに米国ラスベガスの公共機関モノレールに対する支援活動(スポンサー提供)並びに販売店用什器及び備品の供給である(甲34?甲45、甲52、甲53、甲56?甲58)。
(4)日本国内での申立人商品の販売は、2012年(平成24年)5月8日からアサヒ飲料株式会社を通じて行われている(甲5?甲7)。その発売以降、同年9月時点で既に年間売上目標の100万箱を突破し、その後も好調に売上を伸ばして157万箱の売上を記録した(甲8、甲9、甲97?甲99)。また、前記発売後、テレビでの広告や多数のスポンサー提供、サンプル配布などを含む大々的な広告等が実施された(甲58)。
(5)申立人は、現在までに世界100以上の国や地域で、申立人商品を販売している。販売額は、米国での販売開始以来、世界中で合計240億米ドルを超え、全世界での小売販売額は毎年60億米ドルを超える。日本における申立人商品の販売数量は、2012年(平成24年)5月の販売開始から2015年(平成27年)6月30日までの約3年余りの期間に、約2億3,600万缶を売上げ、総販売額は日本円で170億円以上に上る(甲58)。
(6)申立人は、モンスターの爪痕を象徴する「M」のロゴマーク(引用商標7及び8)、あるいは「M」のロゴマークと「MONSTER」及び「ENERGY」の文字からなる「M MONSTER ENERGY」のロゴマーク(引用商標2ないし5)(以下、これらの商標の複数又は全部について言及する場合は、「『MONSTER』ブランドマーク」という。)を付したアパレル製品・ステッカーや転写シールも製造販売され、日本国内でも輸入販売されており(甲47、甲48)、一般消費者の人気も高く、ビデオゲーム製品等の販売もされている(甲58)。
(7)「MONSTER」ブランドマークの申立人商品情報、アパレル及びアクセサリー等の商品情報は、申立人の開設運営する複数のウェブサイト・ソーシャルメディアサイトを介して日本を含む全世界に対して発信されており、多数の需要者からのアクセス数がある(甲58)。
(8)国内市場における「MONSTER」ブランドマークの人気、周知性の高まりに便乗して、申立人の商標権を侵害するアパレル製品、ステッカー等の模倣品が海外で製造され、申立人の商標権侵害物品として日本の税関で輸入が差止められる案件も増加している(甲59?甲90、甲105?甲118、甲173?甲182)。
以上の事実に照らせば、申立人の使用に係る「MONSTER」の文字は、本件商標の登録出願日の遙か以前より、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本国米国をはじめとする外国で広く認識されていただけにとどまらず、日本国内の需要者の間でも申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第11号及び同項第15号該当性
(1)本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)は、上記第1のとおりであり、このうち、第30類「茶,コーヒー,ココア」は、引用商標7、15、21、22、27、37及び41ないし43の登録に係る指定商品と同一又は類似のものであり、また、引用商標11の登録に係る指定役務と類似のものである。
加えて、本件指定商品は、一般消費者を対象として販売される飲料製品(茶,コーヒー,ココア)及び加工食品(菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ)として把握されるものであり、申立人が「MONSTER」の文字を使用して製造販売し、国内外で広く認識されているエナジードリンクと同一店舗で販売され、同種の目的、用途で購入されることが多いものである。
したがって、本件指定商品は、申立人の取り扱いに係る商品及び役務と同一又は類似のものであり、また、当該商品又は役務と製造部門、販売部門、原材料、用途、効能、販売場所、提供場所、需要者の範囲等が一致ないし重複し、密接な関連性を有する商品及び役務であることが明らかである。
(2)本件商標「ムーンスター」から生じる称呼「ムーンスター」と申立人の使用に係る「MONSTER」から生じる称呼「モンスター」を比較すると、両者は、後半の連続する4音「ン」、「ス」、「タ」、「ー」及びその配列が一致し、かつ、語頭音の「ム」[mu]と「モ」[mo]もマ行の有声の両唇音の鼻音「m」を共通する子音であるから、調音の位置、呼気の流れの点で一致する。加えて、「ム」[mu]と「モ」[mo]の母音[u]と[o]は、いわゆる母音三角形で互いに隣接する位置関係にあるため、音質の類似度が高く、耳で聴いたときに混同されやすい。
また、「ムーンスター」の称呼は、長音の直後に「ン」が続くため、長音が「ン」に吸収されて、「ムンスター」(5音)のように短い音となって聴覚されるから、「ムーンスター」の称呼と「モンスター」の称呼は、語韻語調が極めて近似し、「ムーンスター」の文字は、辞書等に掲載された既成語ではないから、これを「モンスター」と明瞭に聞き分けることは極めて難しい。
さらに、本件商標は、申立人が使用している「MONSTER」の片仮名による表記「モンスター」と後半の連続する4文字及びその配列が一致するから、外観が類似し、上記のとおり称呼も類似するため、出所識別標識として極めて似通った印象を需要者に与える。
したがって、本件商標と申立人の使用に係る商標「MONSTER」及び「モンスター」は、これらが同一又は類似の商品に使用された場合は、その出所について誤認混同を生じるおそれが高い類似のものであることが明らかである。
(3)本件商標の登録出願時には、申立人の使用に係る「MONSTER」の文字は、日本国内及び米国を含む多数の外国において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の指定商品の需要者の間で広く認識されていたものである。本件商標の指定商品は、申立人が出所識別標識として「MONSTER」の文字を使用しているエナジードリンク製品と密接な関連性を有するものであり、販売場所や需要者層を共通にする。
したがって、「MONSTER」と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した需要者は、申立人の「MONSTER」をはじめとする「MONSTER」ブランドマーク及び「MONSTER」ファミリー商標,あるいは申立人会社を想起連想し、当該商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係る商品であると誤信し、その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標が使用された場合、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の文字並びに当該文字を包含する「MONSTER」ブランドマーク及び「MONSTER」ファミリー商標の出所表示力が希釈されるおそれが極めて高いものであり、本件商標の使用は、申立人がこれらの商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず、申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがあるといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 「MONSTER」又は「モンスター」の文字の著名性
申立人は、上記第2記載の引用商標を引用して、これらの商標を「MONSTER」ファミリー商標及び「MONSTER」ブランドマークと称し、申立人が使用する「MONSTER」の文字の著名性を主張した上で、本件商標と類似するから、その指定商品に使用するときは、商品の出所について混同を生じるおそれがある旨主張する。
しかしながら、申立人の提出した証拠によれば、我が国において、2012年(平成24年)5月8日に販売が開始された申立人商品は、その容器(主として缶)の側面の正面に当たる部分に、図案化し、色を施した「m」の文字(以下「『m』図形」という。飲料の種類により色が変化する。)を大きく表示し、その下に、図案化した「MONSTER」の文字を白抜きで横書きし、さらに、その下に、色を施した「ENERGY」の文字を、「MONSTER」の文字に比べ、小さく横書きしてなる構成の商標(別掲1、引用商標2ないし引用商標4、色彩は異なるが、実質的に同一の構成よりなるものを含む。以下「使用商標」という。)の使用が圧倒的に多く、わずかに「MONSTER KHAOS」(引用商標12)(甲7、甲8、甲11、甲14、甲17、甲33、甲103、甲104)、「MONSTER ENERGY ABSOLUTERY ZERO」(引用商標13)(甲10?甲13、甲15、甲17、甲33、甲102?甲104)、「m3」(引用商標14)(甲91、甲93、甲100、甲102?甲104、甲106、甲170)、「MONSTER ENERGY ULTRA」(引用商標16)(甲147?甲149、甲160?甲166)及び「COFFEE MONSTER」(引用商標15)(甲92、甲94、甲104)の使用が認められるものであって、上記第2に示す43件の引用商標が全て使用されているというものではない。
そして、申立人商品について、「MONSTER」又は「モンスター」の文字のみの使用と認め得る証拠はごくわずかであり、(甲96,甲101、甲103、甲104、甲157、甲159、甲161?甲165、甲170等)、「MONSTER」又は「モンスター」の文字のみをもって、申立人又は申立人の業務に係る商品を表わすものとして、我が国における需要者の間に広く知られていたとはいえない。
2 使用商標の著名性
上記1のとおり、申立人商品について主として使用される商標は、使用商標であるから、これが、本件商標の登録出願日(平成27年7月7日)前より、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標であるか否かについて検討する。
(1)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。なお、申立人の提出した証拠のうち、インターネット情報や雑誌等において、掲載日又は発行日の明らかでないもの、訳文の提出がなく我が国で掲載又は発行されたものとは認められないもの、本件商標の登録出願日以降に掲載又は発行されたものと認められるもの又は写真や文字が不鮮明なものについては、事実認定に用いていない。
ア 申立人商品は、我が国において、2012年(平成24年)5月8日から販売され(甲7、甲8)、その容器(缶)には、主として使用商標が表示されている(甲5?甲8、甲14、甲15)ところ、申立人商品は、その販売から同年9月までに、年間売上げ目標の100万箱(何缶かは不明である。)を突破し、157万箱の販売数となった(甲9)。その後、2013年(平成25年)5月7日、2014年(平成26年)8月19日、同月10月7日に、使用商標を表示した新製品が発売された(甲10、甲91?甲94)。
イ 甲第58号証は申立人の最高責任者の宣誓陳述書であるところ、使用商標が表示されている申立人商品について、我が国での申立人商品の販売直後である2012年(平成24年)5月17日から2か月間にわたり、50万缶のサンプルを路上配布したほか、同年6月2日及び3日に、渋谷において路上発表会で4万缶のサンプル配布をし、同年7月に、晴海フェリーターミナルにおいてパンクロックフェスティバルで5,500缶のサンプル配布をし、さらに、2013年(平成25年)7月に、ライブ演奏会場で3,500缶のサンプル配布、その他サーフィン大会の会場やロックコンサートの会場等においてサンプル配布を行ったと陳述した(なお、配布された申立人商品の缶数を裏付ける証拠の提出はない。)。
ウ 申立人が、米国のレーシングチームのスポンサーとなったインターネット記事が日本にも報道され、その記事には、選手のユニフォームや車体等に、使用商標を表示した写真が掲載された(甲42)。また、申立人は、日本のオートバイメーカーのカワサキのレーシングチームのスポンサーとなり、これがインターネット記事として報道された。当該記事には、選手のユニフォームや車体等に、使用商標を表示した写真が掲載された(甲44)。
エ 申立人は、使用商標が表示された被服やステッカーなどの販売について、業者とライセンス契約を締結し、これら商品は、2011年(平成23年)1月頃から我が国においても、インターネット上等で販売されている(甲47、甲48)。
オ 申立人は、日本で開催されたスノーボードイベント及びモータースポーツイベントを主催又は協賛しており、一部のイベントにおいては、使用商標が表示されている申立人商品の試飲が実施されている(甲119?甲126)。
カ 申立人は、使用商標が表示されている申立人商品の写真とともに、「東京ゲームショウ 2013」に、ブースを出展しプレゼントキャンペーン(2013年(平成25年)9月9日ないし30日)を実施する旨の情報をインターネット上に掲載している(甲171)。
(2)上記(1)で認定した事実によれば、我が国においては、使用商標が表示されている申立人商品の販売直後の2012年(平成24年)5月から7月及び2013年(平成25年)7月に、東京を中心に、比較的若い世代が集まる繁華な場所やイベント会場において、使用商標が表示されている申立人商品のサンプル配布が行われたこと、申立人が主催又は協賛したスポーツイベント等においても出場選手のユニフォームや車体等に使用商標の表示が認められることからすると、使用商標は、本件商標の登録出願日(平成27年7月7日)前までには、若い世代を中心とした需要者の間では、ある程度知られていたものと認めることができる。
しかし、申立人商品の我が国での販売直後に、そのサンプル配布が行われたとしても、その配布は、比較的若い世代が集まる繁華な場所やイベント会場において、当該場所に居合わせた人たちに配布されたにすぎず(上記認定のとおり、配布された本数を裏付ける証拠の提出はない。)、これをもって、使用商標の著名性を直ちに基礎付けることはできない。また、申立人が我が国のオートバイメーカーのカワサキのレーシングチームのスポンサーになったり、我が国で開催されたスポーツイベントを主催又は協賛しているといっても、その数はごくわずかである。
さらに、申立人商品の日本での発売日である2012年(平成24年)5月8日から本件商標の登録出願日である平成27年7月7日までの間に、申立人が、我が国において、申立人商品に関するニュースリリース(甲7?甲10、甲91?甲94、甲147)を行ったこと以外に、継続して使用商標を表示した申立人商品の広告等を積極的に行ったという事実を明らかにする証拠の提出はなく、ほかに、使用商標が、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成27年7月7日)及び登録査定日(平成27年10月22日)の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出もない。
以上を総合勘案すると、使用商標が、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
申立人が商標法第4条第1項第11号に該当すると主張する登録商標は、引用商標7、11、15、21、22、27、37及び41ないし43である(以下、これらをまとめていう場合は「11号引用商標」という。)。 (1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「ムーンスター」の文字を書してなるところ、その構成中の「ムーン」及び「スター」の文字は、それぞれが「月」及び「星」を意味する外来語として、いずれも一般に親しまれている語である。
そうすると、本件商標は、「月星」程の意味合いを容易に想起させるものであり、その構成文字全体に相応して、「ムーンスター」の称呼を生じ、「月星」程の観念を生じるものである。
(2)11号引用商標について
ア 引用商標7は、別掲3のとおり、「m」図形からなるところ、特定の称呼及び観念は生じないものといえる。
イ 引用商標11、15、21、22、27、37及び41ないし43は、いずれも「MONSTER」の文字と、「ENERGY」、「COFFEE」、「DETOX」、「REHAB」、「REHABITUATE」、「JAVA」、「JAVA GREEN BEANS」、「THRILLER」、「KONA CAPPUCCINO M JAVA」の文字からなるところ、これらは、いずれも標準文字からなり、外観上まとまりよく一体的に看取し得るものであり、これらの構成中、「MONSTER」の文字以外の文字が捨象されて「MONSTER」の文字のみにより取引に資される実情は見いだせないから、これらの商標から、単に「モンスター」の称呼は生じず、それぞれの構成文字全体に相応した「モンスターエナジー」、「コーヒーモンスター」、「モンスターデトックス」、「モンスターリハブ」、「モンスターリハビチュエイト」、「ジャワモンスター」、「ジャワモンスターグリーンビーンズ」、「モンスタースリラー」、「コナカプチーノエムジャワモンスター」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
(3)本件商標と11号引用商標の類否について
ア 本件商標と「m」図形の類否
本件商標と「m」図形からなる引用商標7は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても類似する商標であるということはできない。
イ 本件商標と「m」図形以外の11号引用商標の類否
本件商標と「m」図形以外の11号引用商標(引用商標11、15、21、22、27、37及び41ないし43)とを比較すると、両商標は、その外観構成には顕著な相違があるから、外観上相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「ムーンスター」の称呼と、「m」図形以外の11号引用商標から生じる各称呼を比較すると、その音構成及び構成音数が明らかに異なるから、称呼上相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標からは「月星」程の観念が生じ、「m」図形以外の11号引用商標からは、特定の観念は生じないから、観念上相紛れるおそれはない。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標と11号引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と使用商標との類似性について
本件商標は、上記3(1)のとおり、「ムーンスター」の称呼及び「月星」程の観念を生じるものである。
一方、使用商標は、その文字部分は外観上まとまりよく一体的に看取し得るものであり、加えて、上記1のとおり、申立人商品について、「MONSTER」又は「モンスター」の文字のみの使用と認め得る証拠はごくわずかであることからすれば、使用商標は「モンスターエナジー」の一連の称呼のみを生じるものといえる。
また、使用商標は、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と使用商標とを比較すると、両商標は、それぞれ全体の構成に照らし、外観は判然と区別し得る差異を有するものであるから、外観上相紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「ムーンスター」の称呼と、使用商標から生じる「モンスターエナジー」の称呼を比較すると、両称呼は、語頭音における「ムー」の音と「モ」の音の差異のみならず、「エナジー」の音の有無に差異を有するものであるから、それぞれ聞き誤るおそれがないこと明らかといえる。
さらに、本件商標は、「月星」程の観念を生じ、使用商標は、特定の観念を生じないから、両商標は、観念上相紛れるおそれはない。
以上のとおり、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
(2)出所の混同について
上記2のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであり、また、上記(1)のとおり本件商標は、使用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する需要者が使用商標を連想又は想起するものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記4のとおり、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する需要者が使用商標を連想又は想起するようなことはないものである。
そうすると、本件商標は、使用商標の信用力又は顧客吸引力にフリーライドするものとはいえない。
また、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字ではないし、本件商標をその指定商品に使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものでもない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
別掲 別掲1(引用商標2ないし引用商標4及び使用商標)


別掲2(引用商標5)


別掲3(引用商標7及び引用商標8)


別掲4(引用商標14)


別掲5(引用商標17)(色彩については原本参照。)


別掲6(引用商標18)





異議決定日 2016-12-22 
出願番号 商願2015-64495(T2015-64495) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W30)
T 1 651・ 262- Y (W30)
T 1 651・ 271- Y (W30)
T 1 651・ 261- Y (W30)
T 1 651・ 22- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2015-11-20 
登録番号 商標登録第5808471号(T5808471) 
権利者 原田 利一郎
商標の称呼 ムーンスター 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 柳田 征史 
代理人 佐久間 剛 

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