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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30
管理番号 1323636 
審判番号 取消2014-301029 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-12-25 
確定日 2016-12-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第5014331号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5014331号商標の指定商品中、第30類「調理済みのそうめん,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5014331号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成18年4月17日に登録出願、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,そうめんのめん,スープ付きのそうめんのめん,その他の穀物の加工品,アーモンドペースト,調理済みのそうめん,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、同19年1月5日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成27年1月21日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第30類「調理済みのそうめん,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」については、継続して3年以上日本国内において使用した事実が認められず、また、商標登録原簿(甲2)からも明らかなように、本件商標を使用する使用権者も存在していないものであるから、上記指定商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件審判の請求に係る指定商品について
本件審判の請求に係る指定商品中、「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」は、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」によれば、複数の食材を用いて調理し、そのまま又は温める程度で食すことができる「ぎょうざ」、「しゅうまい」、「弁当」等が該当する。これらの商品を冷凍処理したもの、レトルトパウチされた商品もこれらの商品に含まれるとされている。
一方、本件審判の請求に係る指定商品中、「調理済のそうめん」は、「すし」、「べんとう」などと同様、店舗で購入してすぐに食べられる商品であって、具体的には、すでに茄でてあるそうめん、めんつゆ、ねぎやしようがなどの薬味が一つの容器に収納され、通常、コンビニエンスストアの弁当売り場やスーパーの総菜売り場にて販売されているものである。念のため、「調理済みのそうめん」に関し、通常販売されている商品の具体例を添付する(甲3)。これらの商品に関する商標は、「Daily YAMAZAKI」、「CircleKSunkus」、「FamilyMart」などのように、乾麺の製造販売者ではなく、調理済みのそうめんを販売するコンビニエンスストアの商標が用いられるのが通例である。
また、「調理済みのそうめん」については、特許情報プラットフォームの「商品・役務名検索」では、「第30類・32F06」とされている。
よって、「調理済みのそうめん」については、乾麺・穀物の加工品ではなく、「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」に類する商品であって、「そのまま食べられる商品」であることは明白である。
(2)提出された証拠に掲載された商品について
乙第5号証ないし乙第11号証及び乙第18号証ないし乙第20号証からは、乾麺(そうめん、ひやむぎ、うどん、そば、茶そば、にゅうめん)、ふし、つゆ、葛きり、緑豆はるさめ、かに缶、メロンゼリーを取り扱っている事実がうかがえる。
しかしながら、これらの商品は、本件審判請求の対象である第30類「調理済みのそうめん,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」のいずれにも該当しない。
提出された証拠に記載された商品のうち、被請求人が使用していると主張する「手延素麺,にゅうめん」は、いずれも「乾麺」である。
このことは、甲第5号証の総合カタログに「手延素麺(賞味期限2年半)」、「にゅうめん(賞味期限1年)」と記載され、乙第9号証の2、乙第10号証の2の「配達受領票」に「品名:乾麺」と記載されていることから明白である。
これらの商品は、いずれも「乾麺」であって、購入してすぐに食べられるものではない。通常、「乾麺」は、自宅に持ち帰って鍋を用いて水を沸騰させた後、好みに合わせて数分茄で、ザルを用いて水切りをした後、水にさらしてから麺を器に盛る、などの手間をかける必要があり、しかも、自分で薬味やめんつゆを用意して食べるものである。
この点、被請求人は、商品の総合カタログやチラシに、調理済みでそのまま食べることのできる、鉢に入れた「にゅうめん」の写真が掲載されているところから、該商品が「調理済みのそうめん」に該当すると主張している。
しかしながら、当該袋の写真には「調理例」と表示されているとおり、消費者が「調理例」をイメージできるようにしたもので、袋の内部に「調理されためん」が入っているものではなく、商品自体は「乾麺のにゅうめん」にすぎない。
したがって、使用していると主張している商品である、「そうめん」又は「にゅうめん」の「乾麺」については、第30類「穀物の加工品」(類似群コード;32F03)に該当することは明らかで、「調理済みのそうめん」(類似群コード:32F06)とは同一商品ではなく、類似関係もない、全く異なる商品である。
なお、商標登録第5014331号の指定商品は、第30類「アイスクリーム用凝固剤,・・・そうめんのめん,スープ付きのそうめんのめん,その他の穀物の加工品,アーモンドペースト,調理済みのそうめん,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,・・・」と分けて記載されているところから、商標権者自ら「そうめんのめん,スープ付きのそうめんのめん,その他の穀物の加工品」(類似群コード:32F03)と「調理済みのそうめん」とは、別商品と認識されていること明白である。
この点、被請求人は、調理済みのそうめんは、乾麺をゆがいてなるもので、その材料はほとんどが素麺である、消費者は、調理済みの商品を素麺と認識する、調理済みのそうめんも、素麺であることに変わりはない、素麺も調理済みのそうめんと同等であると考えられるという主張をしている。
しかしながら、「調理済みのそうめん」と「乾麺のそうめん」とは、製造者及び販売者が相違する、流通経路が異なる、販売店舗が異なり、仮に同一の店舗にて販売される場合があったとしても、売り場が異なる、「そのまま食べる」のか「自宅で調理して食べる」のか、商品の目的が異なる、「調理済みのそうめん」を希望する人は「そうめん」を購入しないなどの相違点が存在するため、実際の取引において「調埋済みのそうめん」=「そうめん」とは決して認識し得ないものである。
してみれば、被請求人の提出にかかる証拠からは、本件商標を登録商標の指定商品中、「調理済みのそうめん,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」について使用していないものといわざるを得ない。
(3)商標の態様について
被請求人の提出に係る証拠は、次のa、b及びcの3種類である。
aは、円輪郭の左側を一部切欠き、「三輪」の漢字を左横書きすると共に、円内に「勝」の文字を表し、かつ下部に平仮名の「たかだ」を縦書きにて表示するものであり、かかる態様からは、「みわまるかつたかだ」の称呼のみが生じ、被請求人が代表を務める会社の旧商号の略称を表示したものであることが理解される。
このことは、インターネット検索においても、「みわまるかつたかだ」をキーワードとすると、上記の会社がヒットするところから、みわまるかつたかだとして知られ、理解されているものと認められる。
かかる現状を考慮すれば、上記態様から、「三輪の漢字」及び「たかだの平仮名」を無視し、「円輪郭の一部を切り欠いた図形」と「勝の漢字」部分のみを抜き出して観察することができず、登録商標とは同一性を有しないものである。
bは、円輪郭の左側を一部切り欠き、「三輪」の漢字を左横書きすると共に、円内に「勝」の文字を表示するものであり、かかる態様からは、「みわまるかつ」の称呼が生じ、被請求人の旧商号の一部を表示したものであることが理解される。
したがって、前記態様から、「三輪」の漢字部分のみを無視し、「円輪郭の一部を切り欠いた図形」と「勝の漢字」部分のみを抜き出して観察することができず、登録商標とは同一性を有しないものである。
cは、円輪郭の左側を一部切り欠き、円内に「勝」の文字を表示するものである。
しかしながら、登録商標とcの態様とは、円の切り欠き部分に関し、登録商標では、欧文字の「C」を反転させた程度の切り欠きであるのに対し、cの態様では、あたかも視力検査に用いる記号程度しか切り欠かれていないため、図形が異なり同一性を有していないものである。
よって、いずれの商標にあっても、登録商標とは同一性がなく、登録商標の使用に該当しないものといわざるを得ない。
(4)その他の使用事実について
提出された証拠からは、請求に係る指定商品について使用しておらず、また、登録商標を使用していないことは明白なため、その他、商標の使用時期、商標の使用者などについては、記載を省略する。
(5)まとめ
被請求人が代表取締役を務める会社は、商品「そうめん」の製造販売を行っていることは理解できる。
しかしながら、商標法は、商標を使用することにより生じる業務上の信用を保護するための法律で、使用していない商標についてはその登録は取り消されるべきである。
なお、実際に使用している商品以外の商品については、著名の程度においては防護標章登録制度により保護すべきで、通常の登録制度では保護範囲外である。
してみれば、本件商標は、被請求人から提出された答弁書及び証拠からは、本件商標の指定商品中、「調理済みのそうめん,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」については、本件審判請求の予告登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に、被請求人が使用していた事実を認めることはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標は通常使用権者である「株式会社マル勝高田商店」(以下「マル勝高田商店」という。)が指定商品「調理済みのそうめん」について継続して使用しているものであり、よって、本件商標は商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるものではない。
(2)通常使用権者の使用
被請求人は、そうめんの本場・三輪の地で手延べそうめんの製造・販売を主たる業務とするマル勝高田商店の前代表取締役社長(現会長)である(乙2、乙3)。
そして、本件商標に関しては、設定登録日(平成19年1月5日)に、マル勝高田商店に通常使用権(範囲:日本全国、全指定商品)を許諾しており、本件商標は、マル勝高田商店が指定商品に継続して使用している(乙4)。
(3)手延素麺についての使用
乙第5号証は、通常使用権者であるマル勝高田商店の総合カタログであり、乙第6号証は、該カタログの制作会社である株式会社大成の請求書である。
乙第5号証の総合カタログの裏表紙の右下には「2014年12月」と印刷されており、該カタログが2014年12月には顧客に配布されていたと理解されるものであり、また、乙第6号証の請求書により、該カタログが平成26年2月の時点で1,000部制作されていたことも証されている。
そして、総合カタログの第4頁には商品「風趣 手延素麺」が掲載されており、この商品には本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている。
乙第7号証は、「風趣 手延素麺」の全体写真であり、乙第8号証は、使用商標が印刷された部分の拡大写真である(撮影日:平成27年2月19日、撮影場所:被請求人代理人事務所内)。
本件商標と当該商品に使用されている商標を比較すると、毛筆書き風の丸い囲みの左側切り欠いた部分の間隔に若干の差異を有しているが、中央部の「勝」の文字や丸い囲みの書体は同一である。
したがって、両者を離隔観察した場合には、その差異はほとんど認識できない程度のものであって、両者は社会通念上同一と解され、また、本件審判の請求に係る商品は「調理済みのそうめん」であるが、調理済みのそうめんは、乾麺のそうめんをゆがいてなるものであるが、その材料はほとんどがそうめんであると共に、消費者は当該商品をそうめんであると認識するものである。そうとすると、調理済みのそうめんもそうめんであることに変わりはなく、「風趣 手延素麺」も調理済みのそうめんと同等であると考えられる。
乙第9号証及び乙第10号証は、「風趣 手延素麺」の出荷案内と配達受領票であり、出荷案内の日付は2014年12月8日と2015年1月13日、すなわち、要証期間内の日付となっている。
したがって、上記事情を総合すれば、調理済みのそうめんと同等である「風趣 手延素麺」に本件商標と社会通念上同一の商標が、要証期間内に通常使用権者によって使用されていた事実は証明される。
(4)にゅうめんについての使用
総合カタログ(乙5)の第8頁には、商品「手延べにゅうめん」、「醤油にゅうめん」及び「カレーにゅうめん」が掲載されており、また、通常使用権者が発行した広告用のチラシ(乙11)にも「冬のご愛顧キャンペーン2014年11月1日?12月25日」の日付と共に「にゅうめん」、「醤油にゅうめん」及び「カレーにゅうめん」が掲載されており、この商品にも本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている。
「にゅうめん」とは、広辞苑(第六版)によると「そうめんを味噌又は醤油でさっと煮たもの」であり(乙12)、また、総合カタログやチラシには、調理済みでそのまま食べることのできる、鉢に入れた「にゅうめん」の写真が掲載されていることからすれば、この商品が本件審判の請求に係る商品「調理済みのそうめん」を指していることは明らかである。
この商品に使用されている商標は、毛筆書き風の丸い囲みの中に毛筆書き風の漢字「勝」を配したものであると共に、丸い囲みの左側切り欠いた部分にそうめんの産地を示す漢字である「三輪」を小さく配したものであるが、この三輪の部分は、そうめんの分野では、そうめんの産地として著名な地名であり単なる産地表示にすぎない言葉である。
また、「三輪」の文字は極めて小さく目立たない程度に表示されており、この三輪の部分の有無は商標の認識に際して特別意味を成さないことから、このカタログやチラシに使用されている商標は、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していると認められるべきである。
平成21年(行ケ)第10171号の知財高裁判決には、上記と同様の考え方が示されている(乙13)。
この判決の考察は、本件商標と使用商標の同一性の解釈にも類推されるべきものであり、本件商標と使用商標では「三輪」の文字を除いた外観的特徴は社会通念上同一であり、通常使用権者の取り扱う商品が「(調理済みの)そうめん」であることに照らすならば、産地表示である「三輪」の文字を付加したとしても、取引者や需要者に与える印象が大きく変わるものとは解されないことから、両商標は社会通念上同一と解されてしかるべきである。
また、平成25年(行ケ)第10090号の知財高裁判決(乙14)及び平成21年(行ケ)第10141号の知財高裁判決(乙15)にも同様の判断が示されている。
なお、商標法第2条第3項第8号により、このカタログやチラシの記載内容は、「調理済みのそうめん」である「にゅうめん」について本件商標を使用しているものと認められるべきであり、これは平成24年(行ケ)第10080号の知財高裁判決(乙16)や平成16年(行ケ)第150号の知財高裁判決(乙17)からも肯定されるものである。
よって、これらの判示からしても、総合カタログやチラシの記載内容はそれのみによって、本件商標の使用に該当することは明らかである。
乙第18号証ないし乙第20号証は、「醤油にゅうめん」及び「カレーにゅうめん」の出荷案内と到着原票・配達原票・配達受領票であり、出荷案内の日付は2014年11月21日、同年12月19日及び2015年1月13日となっており、商品「醤油にゅうめん」及び「カレーにゅうめん」が要証期間内に実際に取引されていた事実を証している。
したがって、これらの伝票に記載の事実のみからしても、調理済みのそうめんである「にゅうめん」に本件商標と社会通念上同一の商標が、要証期間内に通常使用権者によって使用されていた事実は証明される。
(5)審判請求に係る商品について
前出の平成21年(行ケ)第10171号(乙13)の事件は、指定商品を第6類「鋼,建築用又は構築用のスチール製専用材料,スチール製家具・・・」とする登録商標の指定商品のうち、指定商品「鋼」についての登録商標の不使用が争われた事件(使用対象商品は型鋼)であるが、登録商標の指定商品と審判請求に係る商品の関係についても判示されている。
この判決の考察は、不使用取消の対象とした「鋼」に対し、鋼を圧延加工して作った「型鋼」の使用が指定商品「鋼」についての使用と認めたものであり、本件商標の指定商品と本件審判の請求に係る商品「調理済みのそうめん」との関係にも類推されるべきものであり、上記「風趣 手延素麺」は、素麺を加工して作った「調理済みのそうめん」の使用であると認められるべきである。
(6)以上、乙第1号証ないし乙第20号証に照らし判断すれば、本件商標が指定商品「調理済みのそうめん」に、要証期間内に通常使用権者によって使用されていた事実は証明されるものである。
2 平成27年7月27日付けの上申書の内容
審判長は、本件審判事件について、口頭審理を行うべく平成27年7月6日付け審理事項通知書において、「総合カタログ(乙5)に表示されている商品『風趣 手延素麺』は、『乾麺のそうめん』であり、乙第5号証及び乙第11号証に表示されている『にゅうめん』は、『未調理の状態のだし及びかやく付きの即席にゅうめんのめん』であるから、これらをもって本件審判の取消対象の商品中の『調理済みのそうめん』ということは困難である。」旨の暫定的見解を示し、被請求人に対し、該暫定的見解及び請求人の弁駁に対する意見を求め、本件商標の使用をしていることについて新たな証拠の提出を求めた。
これに対して、被請求人は、平成27年7月27日付けの上申書において「口頭審理には出頭せず、口頭審理陳述要領書の提出も差し控える。」旨、述べるのみで、該暫定的見解及び請求人の弁駁に対する意見及び本件商標を使用していることについて新たな証拠は提出してしない。

第4 当審の判断
1 被請求人は、要証期間内に、通常使用権者であるマル勝高田商店が本件商標を指定商品「調理済みのそうめん」について使用している旨主張し、乙各号証を提出しているところ、被請求人の主張及び提出された証拠によれば、次のとおりである。
(1)使用者について
乙第2号証ないし乙第4号証によれば、マル勝高田商店は、要証期間を含む平成19年1月5日以降継続して本件商標の通常使用権者であるといえる。
(2)使用商品について
ア 「調理済みのそうめん」について
本件審判の請求に係る指定商品中、第30類「調理済みのそうめん」とは、茹でた「そうめんのめん(つゆや薬味などが添付されているものを含む)」であって、そのまま又は暖める程度で食すことができるもの(冷凍食品やレトルト食品を含む)をいうものと解するのが相当である。
通常使用権者の使用商品について
(ア)被請求人は、マル勝高田商店の総合カタログ(乙5)の第4頁に掲載されている商品「風趣 手延素麺」、同第8頁に掲載されている商品「手延べにゅうめん」及びマル勝高田商店の広告用チラシ(乙11)に掲載されている「にゅうめん」をもって、「調理済みのそうめん」の使用である旨主張しているので、まず、これらについて検討する。
a 乙第5号証の第4頁に「風趣 手延素麺」として、内容量、賞味期限などの商品説明が記載され、商品の写真が掲載されているが、その写真から、該商品が「乾麺のそうめん」であると認められる。
そうすると、これが、そのまま又は暖める程度で食すことができる状態のものとはいえないから、これをもって、本件審判の請求に係る指定商品中の「調理済みのそうめん」ということはできない。
b 同号証の第8頁に「手延べにゅうめん(だし・かやく付)」として、「醤油にゅうめん」及び「カレーにゅうめん」について、内容量、賞味期限などの商品説明が記載され、包装袋に入った商品の写真が掲載され、その写真には、「[調理例]」の文字と共に具材と汁とにゅうめんが入った鉢の写真が表示されている。
そして、「にゅうめん用に作られた素麺はコシが強く、茹でのびしにくい麺に仕上がっています。」の記載があることからすれば、これらの商品は、茹でた後に食する商品といえるから、未調理の状態の「だし及びかやく付きの即席にゅうめんのめん」であるとみるのが相当である。
また、乙第11号証のチラシの上部には、「にゅうめん だし・かやく付」として、「醤油にゅうめん」及び「カレーにゅうめん」の写真及び商品説明が記載されているが、これらは、乙第5号証の第8頁のにゅうめんと同一の商品と認められる。
被請求人は、「総合カタログ(乙5)やチラシ(乙11)には、調理済みでそのまま食べることのできる、鉢に入れた『にゅうめん』の写真が掲載されていることからすれば、この商品が審判請求に係る商品『調理済みのそうめん』を指していることは明らかである。」旨主張するが、商品の包装袋に、「調理例」との記載があることからすれば、鉢に入れた「にゅうめん」は、調理後のイメージ写真を表示したものと解するのが自然であるから、該写真部分をもって、これらの商品が「調理済みのそうめん」であるということはできない。
さらに、乙第18号証の2、乙第19号証の2及び乙第20号証の2の「配達受領票」等に「品名:乾麺」と記載されている。
以上のことからすると、乙第5号証及び乙第11号証のにゅうめんが、「調理済みのそうめん」であるということはできない。
(イ)乙第5号証には、上記の商品のほかにもそうめんが掲載されているが、いずれも、乾麺のそうめんであって、「調理済みのそうめん」ということはできない。
(ウ)以上からすると、通常使用権者であるマル勝高田商店が本件商標を「調理済みのそうめん」に使用したということはできない。
2 上記の商品のほか、総合カタログ(乙5)には、ひやむぎ、うどん、そば、茶そば、ふし、つゆ、葛きり、緑豆はるさめ、かに缶、メロンゼリーが掲載され、また、チラシ(乙11)には、うどん、そば、つゆが掲載されているが、本件審判の請求に係る指定商品である「調理済みのそうめん,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」に相当する商品は掲載されていない。
3 被請求人は、口頭審理における審理事項通知に対して、上記第3、2のとおり、上申書において「口頭審理には出頭せず、口頭審理陳述要領書の提出も差し控える。」旨述べるのみで、被請求人提出の乙各号証のほかに、新たな証拠は提出していない。
4 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしたことを証明したということはできない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第30類「調理済みのそうめん,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 (本件商標)



審理終結日 2016-10-25 
結審通知日 2016-10-27 
審決日 2016-11-09 
出願番号 商願2006-35061(T2006-35061) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y30)
最終処分 成立  
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 土井 敬子
原田 信彦
登録日 2007-01-05 
登録番号 商標登録第5014331号(T5014331) 
商標の称呼 カツ、ショー、マサル 
代理人 幸田 全弘 
代理人 辻本 希世士 
代理人 斎藤 理絵 
代理人 神吉 出 
代理人 辻本 一義 

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