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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W072024
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W072024
審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 取り消して登録 W072024
管理番号 1323620 
審判番号 不服2015-14285 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-30 
確定日 2017-01-10 
事件の表示 商願2013-20410拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「TACHIKAWA」の欧文字を横書きしてなり、第7類、第20類及び第24類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成24年4月5日に登録出願された商願2012-26923に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同25年3月21日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同25年5月13日付け並びに当審における同27年9月3日受付及び同28年8月26日受付の手続補正書により、最終的に、別掲のとおりの商品に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、東京都西部の市の名称である『立川』に通ずる『TACHIKAWA』の文字を横書きしてなり、商品の産地・販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標は、ありふれた氏の一つと認められる『立川』に通じる『TACHIKAWA』の文字を横書きしてなるものであり、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第4号に該当する。さらに、出願人が提出した証拠によっては、本願商標の使用が全ての指定商品について確認できず、売上高、販売地域、販売期間等も不明な商品があるから、商標法第3条第2項の要件を満たすものとは認められない。」 と認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、前記1のとおり、「TACHIKAWA」の欧文字を普通に用いられる方法で表示するものである。
そして、株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」によれば、東京都西部の市である「立川」が存在することが認められ、日常の商取引において地名を表す場合には、必ずしも漢字のみに限らず、ローマ字等で表示する場合も決して少なくないものであるから、本願商標を構成する「TACHIKAWA」の文字は、地名の「立川」を欧文字で表記したものと認識するとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、東京都の市の名称である「立川」を普通に用いられる方法で表してなるものと容易に需要者に認識させるものであるから、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、その商品が東京都立川市で製造、販売されたものであること、すなわち、商品の産地、販売地を表示したものと認識させるにとどまるものである。
したがって、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、請求人は、東京都立川市以外にも「立川」の地名をもつ地域が存在することから、本願商標は、特定の地域・地名を想起させるというよりは、商品の出所を示すものとして認識される旨主張している。
しかしながら、「立川」の地名を表す地域が複数あるとしても、そのことを理由に、本願商標に接する需要者が、本願商標が商品の産地、販売地を表示するものと認識しないということはできない。
(2)商標法第3条第1項第4号について
本願商標は、前記1のとおり、「TACHIKAWA」の欧文字を普通に用いられる方法で表示するものである。
そして、「立川」は、我が国において、約25,000人程度の者がいることから(甲1)、ありふれた氏と認められ、また、日常の商取引において氏を表す場合には、必ずしも漢字のみに限らず、ローマ字等で表示する場合も決して少なくないものであるから、本願商標を構成する「TACHIKAWA」の文字は、ありふれた氏である「立川」を欧文字で表記したものと認識するとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第4号に該当するものである。
(3)商標法第3条第2項について
ア 請求人は、本願商標は、長年継続して使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第452号証を提出したところ、請求人の主張及び甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、その前身である有限会社立川工業所を昭和13年(1938年)5月に設立し、創業当初から、布製・木製ブラインド、ロールブラインド等の「屋内用ブラインド」を製造し、昭和22年(1947)年に株式会社に改組するとともに、現在の社名である「立川ブラインド工業株式会社」に改称し、現在は、ブラインド、間仕切り、カーテンレール、室内外装飾品等の製造・販売等を事業内容とする企業である(甲5?7、9)。
そして、請求人は、昭和41年(1966年)には、全国10都市に営業所を開設し、2015年には、全国をエリアとして、71か所に支店及び営業所並びに7か所にショールームを有している(甲6、10)。
(イ)請求人は、グループ各社を含め、「屋内用ブラインド」を中心に、補正後の本願指定商品も合わせて取り扱い、グループ全体の売上高は、1989年には400億円を超え、2005年から2014年の間においても毎年400億円前後で推移している(甲4、9、12)。
そして、平成25年度において、請求人の「屋内用ブラインド」のシェアは約40%で、該商品を取り扱う業界において第1位であり、また、請求人の「カーテンレール」のシェアは、該商品を取り扱う業界において第2位であり(甲4)、「会社四季報(2013年第1集)」においても、「ブラインドと間仕切りのトップメーカー」との記載が認められる(甲64)。
(ウ)請求人は、昭和40年から現在に至るまで継続して、日本国内において、「TACHIKAWA」の商標(以下、「使用商標」という。)を、「屋内用ブラインド」をはじめ、補正後の本願指定商品について使用しており、使用商標を商品及びその梱包箱に付すとともに、同社発行の商品カタログ及びショールーム紹介パンフレットに記載し(甲15、31?33、42、47、52、54、66、67、70、438、445?449)、展示会においても掲示している(甲16)。特に、商品カタログは、2008年3月から2012年9月の4年6月の間に約170万部が発行されたことが認められる(甲46)。
また、請求人に係る補正後の本願指定商品は、全国各地の1500を超える家具店やインテリア用品店等(甲3、56?62)並びに大手住宅メーカー及び工務店(甲63)で取り扱われ、インターネット上においても、多数の小売店等の記事において請求人に係る商品が紹介、販売されていることが認められる(甲78、80?82、86、87ほか)。
(エ)請求人は、1991年から2002年までの間に、テレビCMにおいて、自社のブランド及び取扱商品について宣伝広告を行っており、該CM中に使用商標を視認することができる(甲48?51)。
イ 小括
以上からすれば、請求人は、昭和40年から現在に至るまでの約50年間、本願商標と同一と認められる使用商標を、「屋内用ブラインド」をはじめとする補正後の本願指定商品に使用し、相当程度の商品カタログの発行やテレビCM等の広告宣伝を行ってきたことが認められる。そして、請求人の取扱いに係る補正後の本願指定商品は、全国的に開設された支店、営業所及びショールームを通じ、1500を超える家具店、インテリア用品店等の小売店及び大手住宅メーカー等の建築業者により、全国的に販売されて、請求人は、2005年からの2014年の間において、毎年約400億円を売り上げ、業界のトップメーカーとして取引者、需要者に認識されていることがうかがえる。
さらに、職権調査によれば、出願人以外の者が「TACHIKAWA」の文字を補正後の本願指定商品について使用している事実は発見できなかった。
そうすると、本願商標は、使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第4号に該当するものであるが、同条第2項の要件を具備するものである。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標に係る指定商品)
第7類「電動式カーテン引き装置並びにその部品及び附属品,電動式ブラインド開閉装置並びにその部品及び附属品,電動式可動ルーバー開閉装置並びにその部品及び附属品,電動式ロールスクリーン開閉装置並びにその部品及び附属品,電動式ローマンシェード開閉装置並びにその部品及び附属品,電動式プリーツ状ブラインド開閉装置並びにその部品及び附属品,電動式間仕切用開閉装置」
第20類「室内用横型ブラインド,室内用縦型ブラインド,屋内用ロールスクリーン式ブラインド,ローマンシェード,カーテンレール,プリーツ状に上下に開閉する屋内窓用シェード,プリーツ状に上下に開閉する屋内窓用ブラインド,屋内用ブラインド並びにその部品及び附属品,屋内窓用織物製シェード,カーテン金具,すだれ,アコーディオン式開閉間仕切り,その他の間仕切り(金属製のものを除く。),カーテンフック,カーテン用止めひも,カーテン用留め具(織物製のものを除く。),カーテン用留飾り(織物製のものを除く。)」
第24類「パネルカーテン,カーテン,織物製壁掛け」


審決日 2016-12-27 
出願番号 商願2013-20410(T2013-20410) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W072024)
T 1 8・ 17- WY (W072024)
T 1 8・ 14- WY (W072024)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青野 紀子松浦 裕紀子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 藤田 和美
田中 幸一
商標の称呼 タチカワ 
代理人 佐藤 勝 

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