ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 |
---|---|
管理番号 | 1322486 |
異議申立番号 | 異議2015-900360 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-11-26 |
確定日 | 2016-11-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5799460号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5799460号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5799460号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成27年5月1日に登録出願され,第18類「愛玩動物用被服」を指定商品として,同年9月8日に登録査定,同年10月16日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由(要旨) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同項第15号,同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第126号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 引用商標 申立人が引用する登録商標は,以下の(1)ないし(32)のとおりであり,いずれも,現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4376377号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲(2)のとおりの構成よりなり,「愛玩動物用被服類」を含む,第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成12年4月14日に設定登録されたものである。 (2)登録第4376378号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲(2)のとおりの構成よりなり,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成12年4月14日に設定登録されたものである。 (3)登録第4378318号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲(2)のとおりの構成よりなり,「愛玩動物用おもちゃ」を含む,第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成12年4月21日に設定登録されたものである。 (4)登録第4399811号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲(2)のとおりの構成よりなり,第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成12年7月14日に設定登録されたものである。 (5)登録第4614579号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲(2)のとおりの構成よりなり,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成14年10月18日に設定登録されたものである。 (6)登録第5337064号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲(2)のとおりの構成よりなり,第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成22年7月9日に設定登録されたものである。 (7)登録第5411991号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲(2)のとおりの構成よりなり,第1類,第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成23年5月13日に設定登録されたものである。 (8)登録第4025668号商標(以下「引用商標8」という。)は,別掲(3)のとおりの構成よりなり,平成9年7月11日に設定登録され,その商標権は,第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (9)登録第4180654号商標(以下「引用商標9」という。)は,別掲(3)のとおりの構成よりなり,平成10年8月21日に設定登録され,その商標権は,第14類,第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (10)登録第2593080号商標(以下「引用商標10」という。)は,別掲(3)のとおりの構成よりなり,平成5年10月29日に設定登録され,その商標権は,第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (11)登録第2708505号商標(以下「引用商標11」という。)は,別掲(3)のとおりの構成よりなり,平成7年7月31日に設定登録され,その商標権は,第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (12)登録第3147520号商標(以下「引用商標12」という。)は,別掲(4)のとおりの構成よりなり,第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成8年4月30日に設定登録されたものである。 (13)登録第3284231号商標(以下「引用商標13」という。)は,別掲(4)のとおりの構成よりなり,第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成9年4月18日に設定登録されたものである。 (14)登録第5645150号商標(以下「引用商標14」という。)は,別掲(5)のとおりの構成よりなり,第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成26年1月24日に設定登録されたものである。 (15)登録第1423465号商標(以下「引用商標15」という。)は,別掲(6)のとおりの構成よりなり,昭和55年6月27日に設定登録され,その商標権は,第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (16)登録第1587778号商標(以下「引用商標16」という。)は,別掲(6)のとおりの構成よりなり,昭和58年5月26日に設定登録され,その商標権は,第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (17)登録第2609079号商標(以下「引用商標17」という。)は,別掲(6)のとおりの構成よりなり,平成5年12月24日に設定登録され,その商標権は,第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (18)登録第2693723号商標(以下「引用商標18」という。)は,別掲(7)のとおりの構成よりなり,平成6年8月31日に設定登録され,その商標権は,第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (19)登録第2704525号商標(以下「引用商標19」という。)は,別掲(7)のとおりの構成よりなり,平成7年2月28日に設定登録され,その商標権は,第18類,第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (20)登録第2671515号商標(以下「引用商標20」という。)は,別掲(8)のとおりの構成よりなり,平成6年6月29日に設定登録され,その商標権は,第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (21)登録第2693724号商標(以下「引用商標21」という。)は,別掲(8)のとおりの構成よりなり,平成6年8月31日に設定登録され,その商標権は,第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (22)登録第2671514号商標(以下「引用商標22」という。)は,別掲(9)のとおりの構成よりなり,平成6年6月29日に設定登録され,その商標権は,第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (23)登録第2693722号商標(以下「引用商標23」という。)は,別掲(9)のとおりの構成よりなり,平成6年8月31日に設定登録され,その商標権は,第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (24)登録第5043717号商標(以下「引用商標24」という。)は,別掲(10)のとおりの構成よりなり,第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成19年4月27日に設定登録されたものである。 (25)登録第5322769号商標(以下「引用商標25」という。)は,別掲(10)のとおりの構成よりなり,第3類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成22年5月14日に設定登録されたものである。 (26)登録第4522862号商標(以下「引用商標26」という。)は,別掲(11)のとおりの構成よりなり,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする立体商標として,平成13年11月16日に設定登録されたものである。 (27)登録第4522863号商標(以下「引用商標27」という。)は,別掲(12)のとおりの構成よりなり,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする立体商標として,平成13年11月16日に設定登録されたものである。 (28)登録第4522864号商標(以下「引用商標28」という。)は,別掲(13)のとおりの構成よりなり,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする立体商標として,平成13年11月16日に設定登録されたものである。 (29)登録第2147023号商標は,「THE BRAND WITHTHE 3 STRIPES」の文字よりなり,平成元年6月23日に設定登録され,その商標権は,第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (30)登録第2160863号商標は,「THE BRAND WITHTHE 3 STRIPES」の文字よりなり,平成元年8月31日に設定登録され,その商標権は,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (31)登録第2190105号商標は,「THE BRAND WITHTHE 3 STRIPES」の文字よりなり,平成元年11月28日に設定登録され,その商標権は,第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (32)登録第2199877号商標は,「THE BRAND WITHTHE 3 STRIPES」の文字よりなり,平成元年12月25日に設定登録され,その商標権は,第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 2 商標法第4条第1項第11号及び同項第15号について 申立人の登録及び使用に係る引用商標1ないし引用商標28に例示する3本線を基調とする商標(以下「3本線商標」という。)は申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び査定時に取引者,需要者の間で広く認識されていた(甲2?106,119?126)。そして,「THE BRAND WITH THE 3 STRIPES」の文字についても,申立人は,その取扱いに係る各種のスポーツ及びファッション関連商品を指定商品として,商標登録している(上記1(29)?(32))。 本件商標は,黒塗りの長方形の中に,仮想水平線に対し,左方向にやや傾けた黒塗りの細長の台形様図形を互いに平行になるように等間隔で3本並べ,そのうちの左端に位置するものを最も短くし,右方向に向かって順次長くしていき,右端に位置するものを最も長くした図形において,各細長台形様図形の上端が二枚葉状もしくはハート型状であり,そのうち右端に位置するものの下端右半身が一枚葉状である図形を白抜きで描いたもの(以下「本件商標の3本線図形部分」という。)から構成される。 これに対して,引用商標1ないし14の構成中の図形部分は,仮想水平線に対し,左方向にやや傾けた黒塗りの細長の台形様図形を互いに平行になるように等間隔で3本並べ,そのうちの左端に位置するものを最も短くし,右方向に向かって順次長くしていき,右端に位置するものを最も長くしたものである。 したがって,本件商標の3本線図形部分は,引用商標1ないし引用商標14の構成中の図形部分と構成の軌跡を一にする類似のものである(甲106)。そして,本件商標の構成中の黒塗りの長方形は単なる装飾・背景として認識されるにすぎず,3本線の図形部分が商品出所識別標識として機能する部分であるから,本件商標は,引用商標1ないし引用商標14の構成中の図形部分と類似する。 本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)は,引用商標1及び引用商標3の指定商品と同一又は類似のものであり,当該引用商標は,本件商標より先に登録出願されたものである。 したがって,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかである。 さらに,本件指定商品は,申立人の主要商品であって引用各商標を永年使用している被服,かばん類,履物等と製造部門,販売場所,需要者の範囲等を共通にする極めて関連性の高い商品である。海外の高級有名ブランドが犬用首輪・引き紐,犬用衣服,犬猫用食器などのペット用品を製造販売することは珍しくなく,高級ブランドのペット用品がインターネットのショッピングサイトで一般消費者向けに販売されている(甲107,108)。 本件商標の3本線図形部分は,引用商標1ないし引用商標14の構成中の図形部分(1996年以降,現在に至るまでアディダス社の社章にも採択されている3本線)と構成の軌跡を一にする類似のものであるのみならず,一見して明瞭に「3本線」「スリーストライプ」と認識されるから,引用各商標とも称呼及び観念を共通にする類似のものであり,申立人の出所識別標識として広く認識されている3本線商標及び申立人会社を容易に想起連想させる。本件指定商品は,比較的安価な日用品で,比較的短期間で買い換える消耗品であり,主な需要者は一般家庭の消費者であるから,本件指定商品の通常の需要者の注意力は高いものとはいえない。また,申立人は,アニメや映画の人気キャラクターや有名アパレルブランド,著名デザイナー等との共同開発によるコラボレーション商品や提携商品も多数取り扱っている(甲93,96?99)。 したがって,本件商標が指定商品に使用された場合,申立人又は申立人から使用許諾を受けた者の取り扱いに係る商品,あるいは申立人とのいわゆるコラボ商品であると誤信し,その出所について混同を生ずるおそれが高いことが明らかである。 加えて,本件商標の3本線図形部分の構成は,引用商標1ないし14の図形部分に酷似しており,申立人の3本線商標のブランド力,顧客吸引力にフリーライドする意図で採択されたものといわざるを得ない。本件商標がペット用衣服に使用されれば,世界的な著名ブランドである申立人の3本線商標の商品出所表示機能が著しく希釈化することは明白である。 したがって,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当する。 3 商標法第4条第1項第19号について 本件商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されている引用商標1ないし引用商標14に類似するのみならず,その他の引用各商標とも「3本線」「スリーストライプ」の称呼及び観念を共通にする類似のものである。 商標権者がインターネットで運営するペット用品のオンラインショップでは,本件商標の3本線図形部分と申立人の著名商標「adidas」のロゴマークの書体を模倣した「adidog」の文字を背中部分に付し,引用商標26に示すとおりの連続する3本線を前脚部分に付した犬用衣服等が販売された(甲115?118)。当該使用に係る商標は,申立人が提出した登録異議申立事件(異議2007-900190号)で登録が取消された登録第5020504号商標(甲106)とほぼ同一のものである。本件商標は,申立人の3本線のブランド力,名声,申立人会社の信用力にフリーライドする不正目的で採択されたものといわざるを得ず,本件商標の使用により,申立人の著名商標の出所表示機能が著しく毀損,希釈化され,経済的,精神的な損害を与えることは明らかである。 以上のとおり,本件商標は,標法第4条第1項第19号に該当する。 4 商標法第4条第1項第7号について 本件商標の登録及び使用が社会一般の道徳観念,公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神,さらには国際信義に反することは明白であるから,本件商標は公の秩序を害するおそれがあるというべきである。 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は,別掲(1)のとおり,黒塗り長方形内に,いずれも白抜きで,右から,台形図形と二枚葉状図形及び一枚葉状図形を組み合わせた図形,台形図形と二枚葉状図形を組み合わせた図形及び二枚葉状図形を,左方向にやや傾けた構成からなるものである。 (2)引用商標1及び3 引用商標1及び引用商標3は,別掲(2)のとおり,黒塗りの台形図形を互いに平行に等間隔で3本並べ,右端の図形から順次短く表し,左方向にやや傾けた構成からなるものである。 (3)本件商標と引用商標1及び3との類否 本件商標は,上記(1)のとおり,黒塗り長方形内に,傾斜した台形図形と二枚葉状図形及び一枚葉状図形を組み合わせた図形,傾斜した台形図形と二枚葉状図形を組み合わせた図形及び二枚葉状図形を配したものであり,これに対して,引用商標1及び引用商標3は,上記(2)のとおり,傾斜した3本の黒塗り台形図形のみで構成されている。 してみると,本件商標と引用商標1及び引用商標3とは,傾斜した3個の図形から構成されていることにおいて共通するが,上記のとおり,二枚葉状図形,一枚葉状図形及び台形図形の組合せからなる本件商標と,単に黒塗り台形図形のみの組合せからなる引用商標1及び引用商標3とは,その構成において,明らかな差異を有し,構成全体から受ける視覚的印象は明確に相違するものであるから,これらを時と処を異にして離隔的に観察しても,外観上相紛れるおそれはない。 また,本件商標は,その構成から特定の称呼及び観念を生じるものとは認められないから,本件商標と引用商標1及び引用商標3とは,称呼及び観念において比較することができず,相紛れるおそれはないというべきである。 したがって,本件商標と引用商標1及び引用商標3は,外観,称呼及び観念のいずれからしても非類似の商標というべきである。 (4)小括 よって,本件商標と引用商標1及び引用商標3とは,上記のとおり,相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,両商標の指定商品が同一又は類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するということができない。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)申立人の3本線商標の著名性について 申立人の提出に係る証拠によれば,申立人は,1920年からスポーツシューズを開発し,1949年に3本線を基調とした商標の使用を開始して以来,世界各国において,各種のスポーツシューズ,スポーツウェアを始めとするスポーツ用品に使用してきたものであり(甲26?甲99),3本線商標は,本件商標の登録出願日前から,我が国及び世界各国においても,申立人の商品を表示する商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。 (2)本件商標と3本線商標との類似性について ア 3本線商標の図形部分について (ア)引用商標1ないし引用商標17、引用商標22及び引用商標23の構成中,台形図形(部分)は,別掲(2)ないし(6),(9)のとおり,左方向にやや傾けた黒塗りの台形図形又は縦線が鋸型の略台形図を互いに平行に等間隔で3本並べ,右端の図形から順次短く表した構成からなるものである。 (イ)引用商標18ないし引用商標21の構成中の黒色図形(部分)は,別掲(7)及び(8)のとおり,左方向にやや傾けた,縦線を鋸型にした黒塗りの略台形図形を互いに平行に等間隔で3本並べた構成からなるものである。 (ウ)引用商標24及び引用商標25は,別掲(10)のとおり,3枚の木の葉状の図形を放射状に組み合わせ,その下半分に白色の3本線を配した構成からなるものである。 (エ)引用商標26ないし引用商標28は,別掲(11)ないし(13)のとおり,その構成中に黒色の3本線を有するものである。 イ 本件商標と3本線商標のとの比較 (ア)本件商標は,上記1(1)のとおり,二枚葉状図形,一枚葉状図形及び台形図形を組み合わせたものであるのに対し,3本線商標の図形部分は,上記アのとおり,3本の台形図形,3本の縦線が鋸型の略台形図形又は3本線を組み合わせたものであることから,両者を比較しても,外観から受ける印象は明らかに異なるというのが相当であり,時と所を異にして離隔的に観察しても,外観上相紛れるおそれはない。 そして,本件商標は,その構成から特定の称呼及び観念を生じるものとは認められないから,本件商標と3本線商標の図形部分とは,称呼及び観念において比較することができず,相紛れるおそれはないというべきである。 よって,本件商標と3本線商標の図形部分は,類似しない。 (イ)3本線商標中,引用商標8ないし引用商標14,引用商標20ないし引用商標23は,その構成中に「adidas」,「EQUIPMENT」又は「Professional」の文字を有するものであるところ,本件商標から特定の称呼及び観念を生じないものであるから,本件商標と上記文字部分とは,称呼及び観念において比較することができず,相紛れるおそれはないというべきであり,その外観においては,図形と文字において,その構成が明らかに相違する。 よって,本件商標と3本線商標の文字部分は,類似しない。 (3)小括 上記(2)からすると,本件商標と3本線商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。 そうすると,3本線商標が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして本件商標の登録出願日前から需要者の間に広く認識されていたとしても,本件商標は,これに接する取引者・需要者が,3本線商標を連想し,又は想起するものということはできない。 よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第19号について 上記2のとおり,3本線商標は,本件商標の登録出願日前から,我が国及び世界各国においても,申立人の商品を表示する商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたと認められるが,本件商標と3本線商標は,相紛れるおそれのない,非類似の商標であるから,本件商標が,不正の目的等,本号の他の要件について論及するまでもなく,商標法第4条第1項第19号に該当するものとはいえない。 4 商標法第4条第1項第7号について 上述のとおり,本件商標は,これをその指定商品に使用しても申立人の使用に係る3本線商標を連想し,又は想起させるものではなく,これら商標とは別異の商標というべきものであるから,3本線商標の名声にフリーライドするものとはいえず,その出所表示機能を毀損し,希釈化するおそれはないものということができる。 その他,本件商標が,国際信義に反し,あるいは,本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合などに該当するということはできず,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできないものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号,同項第19号及び同項第7号のいずれにも違反して登録されたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(1)(本件商標) 別掲(2)(引用商標1?引用商標7) 別掲(3)(引用商標8?引用商標11) 別掲(4)(引用商標12,引用商標13) 別掲(5)(引用商標14) 別掲(6)(引用商標15?引用商標17) 別掲(7)(引用商標18,引用商標19) 別掲(8)(引用商標20,引用商標21) 別掲(9)(引用商標22,引用商標23) 別掲(10)(引用商標24,引用商標25) 別掲(11)(引用商標26) 別掲(12)(引用商標27) 別掲(13)(引用商標28) |
異議決定日 | 2016-10-20 |
出願番号 | 商願2015-46611(T2015-46611) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W18)
T 1 651・ 261- Y (W18) T 1 651・ 222- Y (W18) T 1 651・ 262- Y (W18) T 1 651・ 22- Y (W18) T 1 651・ 263- Y (W18) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 深田 彩紀子 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
田村 正明 堀内 仁子 |
登録日 | 2015-10-16 |
登録番号 | 商標登録第5799460号(T5799460) |
権利者 | 株式会社DEAR PUPPY |
代理人 | 中熊 眞由美 |
代理人 | 柳田 征史 |
代理人 | 佐久間 剛 |