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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y14 |
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管理番号 | 1322390 |
審判番号 | 取消2015-300714 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-10-07 |
確定日 | 2016-11-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5031088号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5031088号商標(以下「本件商標」という。)は、「Le Jour」の欧文字を上段に、「ル・ジュール」の片仮名を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成18年2月15日に登録出願、第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,時計,貴金属製喫煙用具」を指定商品として、同19年3月9日に設定登録されたものである。 なお、本件審判の請求の登録日は、平成27年10月26日である。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第14類「全指定商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品について登録商標の使用をしていないので、商標法第50条第1項の規定による商標登録の取り消しを求める。」と述べた。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対して弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。 1 本件商標の使用実績について 本件商標は、以下の事実により、少なくとも本件審判の請求の登録前3年(平成24年10月26日から同27年10月25日まで。以下「要証期間」という。)以内に、本件商標の指定商品について使用実績のある商標であり、商標法第50条第1項による審判により取り消されるべきではない。 (1)本件商標の使用 本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)である株式会社三陽商会は、本件商標について商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号に規定する「商標の使用」に該当する行為を要証期間内に行っている。 すなわち、商標権者は、本件商標の指定商品の一つである身飾品(ネックレス、イヤリング等)及びその包装に本件商標を使用しているのであり(商標法第2条第3項第1号)、また、本件商標を付した身飾品を販売(譲渡)しており(商標法第2条第3項第2号)、かつ、商標権者のカタログ等の販促資料に本件商標を使用した身飾品を掲載しており(商標法第2条第3項第8号)、商標権者が本件商標を使用している。 (2)商標権者による本件商標の使用実績 商標権者は、商標「LE JOUR」を使用した各種ファッション商品(被服、バッグ類、身飾品ほか)の販売を2006年秋冬シーズンから開始している。 また、商標「LE JOUR」を使用した各種ファッション商品を販売する専門店の店舗数は、2014年には約20店舗であり、2015年は約10店舗となっている。 (3)本件商標の使用を立証する資料 上記のとおり、本件商標は商標権者により使用されているので、商標権者としては、本件商標を立証する資料として、商標権者が作成し配布したカタログ冊子「AUTUMN & WINTER 2014」(乙1)を提出する。 商標権者は毎年2回(春夏シーズンと秋冬シーズン)この種のカタログ冊子を作成して、販売店舗や本件商標を使用した商品の得意先(顧客)に配布している。 今回提出する冊子の頭表紙の中央には「LE JOUR」の文字が大きく記載されており、その下段には「AUTUMN & WINTER 2014」の記載がある。また冊子の中には本件商標の指定商品である身飾品についての記載・写真も数多くある。そして、当該冊子の最終ページには「LE JOUR」の店舗リストが掲載されており、オンラインショップのリストも記載されている。多くの有名なネットショップのサイトが記載されている。本件商標を使用した身飾品がこれらのショップ及びサイトにて販売されていたことは容易に推測できる。 上記冊子(乙1)は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為」に該当することになり、本件商標の「商標の使用」に該当することは明らかである。 2 本件商標と使用商標の態様について 本件商標は、上段に欧文字「Le Jour」を、下段に片仮名「ル・ジュール」を書してなる商標であるが、下段の片仮名は上段の欧文字の称呼を記載したものであり、特段の要素として記載したものではない。 上段の「Le Jour」はフランス語であり、その意味は英語の「The Day」の意味、すなわち「その日」を意味しており、そこから生じる称呼である「ルジュール」を記載したものであり、これ以外に特段の意味はない。 なお、本件商標の片仮名の態様においては「ル・ジュール」と記載されており、「ル」と「ジュール」との間に中黒「・」があるが、これは欧文字が「Le」と「Jour」との間にスペースがあることに対応させて設けた中黒であり、特段の別の称呼が生じるものではなく、「ルジュール」と呼称されるものである。 したがって、乙第1号証では、本件商標の使用態様が欧文字のみとなっているが、この欧文字のみの使用であっても「本件商標との同一性のある商標の使用」であることが否定されるものではないと考える。 すなわち、本件商標の場合、2段書きからなる商標とはいえ、上段の欧文字「Le Jour」はフランス語であることから、下段の片仮名はそのフランス語から生じる通常の称呼といえるので、上段の欧文字のみを使用していれば本件商標と同一性のある商標を使用しているといえる。 第4 当審の判断 1 被請求人は、本件商標が、要証期間内に使用されていると主張し、証拠方法として乙第1号証を提出している。 これによれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証の商品カタログの表紙の上部中央には「LE JOUR」の欧文字が表示されていること。 (2)同号証の表紙の下部には「AUTUMN & WINTER 2014」の文字が記載されていること。 (3)同号証の3頁ないし8頁、10頁、13頁ないし15頁及び最終頁には、本件商標の指定商品である「ネックレス」が、同号証の7頁、9頁、15頁には、本件商標の指定商品である「ピアス」がその価格とともに掲載されていること。 (4)同号証の最終頁右側下部には、「SANYO SHOKAI LTD. C.R.DEPT.」の文字が表記されていること。 2 判断 (1)使用者について 乙第1号証の商品カタログの最終頁右側下部には、「SANYO SHOKAI LTD. C.R.DEPT.」との文字が表記されていることから、この商品カタログは、商標権者が作成したものと推認できるものであり、同カタログの表紙に使用されている商標「LE JOUR」の使用者は、商標権者と認められる。 (2)本件商標と使用商標の同一性について 上記1によれば、乙第1号証の商品カタログの表紙には、「LE JOUR」の欧文字(以下「使用商標」という。)が表示されているところ、本件商標の上段部の欧文字「Le Jour」とは、大文字と小文字の差異はあるとしても同じ綴りの欧文字よりなるものであるから、本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる社会通念上同一のものといえるものである。 そして、本件商標は、下段部に「ル・ジュール」の文字を有しているところ、この文字は、上段部の「Le Jour」の文字(フランス語)の発音を表記したといえるものであることから、使用商標に、その発音である「ル・ジュール」の文字が併記されていないとしても、「LE JOUR」の欧文字よりなる使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものと判断するのが相当である。 したがって、乙第1号証の商品カタログには、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていると認められる。 (3)使用時期について 上記1によれば、乙第1号証の商品カタログは、「AUTUMN & WINTER 2014」との文字が記載されていることから、この商品カタログは、2014年秋から冬、すなわち同年9月頃から12月頃にかけて、商標権者の顧客(取引者・需要者)に頒布されたと推認できるものであり、上記期間は、要証期間内である。 (4)使用商品及び本件商標の使用について 上記1によれば、使用商標が表示された乙第1号証の商品カタログには、本件商標の指定商品である「ネックレス」及び「ピアス」が掲載されているところ、これら商品は、本件審判の請求に係る指定商品中の「身飾品」の範ちゅうに含まれる商品であり、これら商品が掲載されたカタログが、商標権者の取引者・需要者に頒布されたと推認でき、この行為は、商標法第2条第3項第8号の標章の使用に該当すると認められる。 3 まとめ 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品中「身飾品」の範ちゅうに含まれる「ネックレス」及び「ピアス」について、本件商標と社会通念上同一といえる商標の使用をしたことを証明したといえるものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-09-12 |
結審通知日 | 2016-09-14 |
審決日 | 2016-09-29 |
出願番号 | 商願2006-12678(T2006-12678) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y14)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 泉田 智宏 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 平澤 芳行 |
登録日 | 2007-03-09 |
登録番号 | 商標登録第5031088号(T5031088) |
商標の称呼 | ルジュール、ジュール |
代理人 | 市原 俊一 |