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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1320427 
異議申立番号 異議2016-900106 
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-26 
確定日 2016-10-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5822693号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5822693号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5822693号商標(以下「本件商標」という。)は、「ケアトランポビクス」の片仮名を標準文字で表してなり、平成27年8月5日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,運動用具の貸与」を指定役務として、同28年1月4日に登録査定、同月29日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する商標は、以下の登録商標(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)であって、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5090759号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TRAMPOBICS」の欧文字とその下中央に「トランポビクス」の片仮名を書してなり、平成18年11月20日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,運動施設の提供,娯楽施設の提供,運動用具の貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」を指定役務として、同19年11月9日に設定登録されたものである。
(2)登録第5204855号商標(以下「引用商標2」という。)は、「TRAMPOBICS」の欧文字とその下中央に「トランポビクス」の片仮名を書してなり、平成19年7月19日に登録出願、第28類「運動用具,スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」を指定商品として、同21年2月20日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
(1)商標「トランポビクス」について
約20年前、申立人がミニトランポリンを使用したエアロビクスエクササイズを開発し、これに「トランポビクス」と名付けた。
「トランポビクス」は、申立人によって創作された造語であり、申立人及び申立人から認定を受けた指導員などの関係者がエクササイズの指導等に使用していると共に、申立人が認定した用具に使用している商標である(甲1)。
(2)引用商標について
引用商標について、申立人は、法人格がないことから、申立人の理事長の名義で商標登録出願をして登録を受けた。
申立人は、エクササイズを多くの人に正しく、かつ、安全に行ってもらうためには、適切な指導の下で行ってもらう必要があると考え、申立人による適切な指導の下で普及を図るべきとの主旨から引用商標1の登録出願をし、申立人の適切な品質管理の下に、エクササイズに使用する運動用具等を提供する必要から、引用商標2の登録出願をした。
(3)申立人の指導について
申立人は、商標「トランポビクス」のエクササイズを正しく、安全に普及するために、当初より公認トランポビクス指導員の制度を置いて積極的に指導している。
公認トランポビクス指導員資格取得は、短期集中講習会のコースと養成コースがあり(甲5)、申立人のホームページには、トランポビクス(商標)のエクササイズが紹介され(甲6)、全国200箇所、2万人の愛好者が汗を流している(甲7)。インターネットには、教室の紹介もされている(甲8)。
(4)本件商標について
本件商標中の「ケア」の部分は、「介護用」、「介護の」の意味を有する語として広く知られ、使用されている(甲9)。
したがって、本件商標「ケアトランポビクス」は、介護のための「トランポビクス」(商標)というエクササイズの意味を生じるものである。すなわち、本件商標がその指定役務である「技芸・スポーツまたは知識の教授」の役務に使用されたときは、「介護のために提供されている申立人が認定した『トランポビクス』(商標)というエクササイズの教授」との認識を容易に想起するものである。他の役務についても同様に申立人が提供している役務であるとの認識を容易に想起するものである。
このことは、申立人が関与しているかのごとき認識を生じさせ、役務の出所に混同を生じ、役務の質に誤認を生じさせる。
本件商標の使用が申立人と無関係の者に認められるときは、「トランポビクス」といえば申立人の指導の下に教育を受けた指導員によって指導がされていると信じている需要者に対し、申立人の指導を全く受けていない者による教授がされることになり、申立人の重要視している、安全で正しいエクササイズの普及がされず、時には、需要者の期待を裏切り、時には、需要者の健康を損なうことにさえなるおそれがある。
そして、需要者の健康に直結するおそれがあるからこそ、登録商標として国の保護を受け、その使用のためには、申立人が指定する資格を求めているのであって、「ケア」の2文字が付加されただけで、申立人がこれまで長年かけて積み重ねてきた商標「トランポビクス」の信用が無視されるとすれば、商標制度の意義が滅却されるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第16号に違反するものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
甲第1号証及び甲第4号証ないし甲第7号証は、日本トランポビクス協会のホームページであるところ、甲第1号証に「トランポビクスは、一人用のトランポリンの上で行う体にやさしい運動です。」、「専用器具ミニトランポリン(ジョグ)」と記載され、甲第4号証に、該協会の歩みとして、日本トランポビクス協会が1985年に設立され、その後、全国集会や大会の開催が2008年までに10回程行われていること、海外の活動として、1995年に韓国トランポビクス協会設立、1999年にハワイ中心街にてパフォーマンス実施及び2005年に20周年記念事業in台湾等の活動が記載され、甲第5号証ないし甲第7号証には、公認トランポビクス指導員資格取得は、短期集中講習会のコースと養成コースがあることが紹介され、教室の案内として、「トランポビクスは子どもから高齢者まで様々な世代にわたって行うことが出来る運動として普及しており、全国200ケ所、2万人の愛好者が汗を流しています。地域の公共のスポーツ施設や日本トランポビクス協会主催の各地の教室に参加していただくことができます。」と記載されている。
また、甲第8号証は、「Rhythm」をタイトルとするウェブサイトであるところ、1葉目に、「トランポリンダイエット!NASAも認めたトランポビクスを初体験!」(更新日:2016年3月4日)の見出しのもと、「あのNASAも認める、”バウンド”エクササイズ、トランポリンダイエットを体験!」と記載され、3葉目には、「腰位置も姿勢も改善。Let’s トランポビクス!」と記載され、6葉目には、使用されているミニトランポリンに「TRAMPO BICS」の文字が表示され、12葉目には、「日本トランポビクス協会認定のジョグは、各種ショッピングサイトで購入可。」と記載されている。
イ 以上からすると、ミニトランポリンを使用したエクササイズを「トランポビクス」と称し、申立人が公認トランポビクス指導員資格取得の養成コースや該エクササイズの教室を開催していること、また、トランポビクスで使用するミニトランポリンに「TRAMPO BICS」の文字が表示されていることが認められる。
しかしながら、申立人のホームページにおいて、申立人の設立から遅くとも2008年までの活動の記載は認められるものの、その後のエクササイズを取り扱う業界における申立人の大会や教室の規模等について具体的な状況が見いだせず、また、申立人の提供する役務についての引用商標の使用、広告の範囲及び部数及び引用商標を使用したミニトランポリンの取引や宣伝広告等の実情についても把握することができない。
そうすると、かかる証拠のみによっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の提供する該エクササイズに関する役務及びミニトランポリン(以下「申立人役務及び商品」という。)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「ケアトランポビクス」の片仮名を標準文字で表してなるところ、構成文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく表されており、また、その構成全体から生じる「ケアトランポビクス」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、該文字は、辞書類に載録されている既成の語とは認められず、その構成中の「ケア」の文字は、「介護。世話。手入れ。」等の意味を有する語として親しまれている語であるが、本件商標の指定役務の質を表示するものと認めるに足る事実は見いだせない。
また、上記(1)のとおり、本件商標の構成中の「トランポビクス」の文字が、申立人役務及び商品を表す商標として、需要者の間に広く知られているともいえず、他に「トランポビクス」の文字部分のみが分離抽出されて看取、把握されると認めるに足りる証拠の提出もない。
してみれば、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の一種の造語として理解、認識されるとみるのが相当であるから、その構成文字に相応する「ケアトランポビクス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。
イ 引用商標
引用商標は、「TRAMPOBICS」の欧文字とその下中央に「トランポビクス」の片仮名を書してなるところ、構成文字に相応して「トランポビクス」の称呼を生じるものである。
また、「TRAMPOBICS」及び「トランポビクス」の文字がいずれも辞書類に載録されている既成の語とは認められず、上記(1)のとおり、申立人役務及び商品を表す商標として、需要者の間に広く知られているともいえないから、引用商標は、特定の観念を生じないものというべきである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、外観において、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「ケアトランポビクス」の称呼と引用商標から生じる「トランポビクス」の称呼とを比較すると、「ケア」の音の有無において差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、互いに聴き誤るおそれはなく、本件商標と引用商標は、称呼において、相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において、相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。また、ほかに本件商標が引用商標と類似するとみるべき特段の事情も見いだし得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、また、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人役務及び商品を表示するものとして需要者の間に広く知られていたということができない。
そうすると、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、該役務が申立人又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記(2)アのとおり、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと把握、認識されるものであるから、その構成中の「トランポビクス」の文字部分が独立して把握、認識されるものとはいえない。また、本件商標の構成から、エクササイズの教授や運動用具の貸与関連の分野において、その需要者がその構成中の「トランポビクス」の文字部分を役務の質を表示するものとして認識するといった取引の実情があると認めるに足りる証拠は見いだせない。
してみると、本件商標は、これをその指定役務中の「スポーツの教授,運動用具の貸与」を始め、いずれの役務に使用しても役務の質の誤認を生じるということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第16号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-09-27 
出願番号 商願2015-75020(T2015-75020) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W41)
T 1 651・ 262- Y (W41)
T 1 651・ 271- Y (W41)
T 1 651・ 261- Y (W41)
T 1 651・ 272- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 友子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 土井 敬子
原田 信彦
登録日 2016-01-29 
登録番号 商標登録第5822693号(T5822693) 
権利者 株式会社サンライフ
商標の称呼 ケアトランポビクス、ケア、トランポビクス 
代理人 福島 三雄 
代理人 塩田 哲也 

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