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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X32 |
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管理番号 | 1320379 |
審判番号 | 取消2015-300313 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-04-27 |
確定日 | 2016-10-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5265610号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5265610号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5265610号商標(以下「本件商標」という。)は、「めぐり」の文字を標準文字で表してなり、平成21年2月26日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同21年9月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成27年5月18日である。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対し、以下のとおり弁駁する。 (1)商標権者の主張 商標権者は、「本件商標は本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において本件商標の指定商品に使用された事実がある」旨、具体的には「少なくとも平成26年12月19日より、いわゆる清涼飲料の取引において『めぐり』の商標を使用している」旨主張し、その事実を示す証拠として、「平成26年12月19日より使用開始の本件商標権者のホームページ」(乙1)を提出した。 (2)商標権者の主張に対する弁駁 上記(1)の商標権者の主張は妥当ではない。その理由について以下に詳述する。 ア 使用態様について 乙第1号証に示されている商標権者のホームページは、商標権者が販売している清涼飲料(商品名「ヘスペリジン&コラーゲン」)(以下「本件商品」という場合がある。)の宣伝広告ページである。 商標権者の主張によれば、本件商標「めぐり」の文字は、当該ページの中盤に記載されている「めぐりで健康的な毎日をめざしましょう」の文章の一部として表示されている。 しかしながら、乙第1号証中、需要者が商標として認識し得るのは、商標権者の名称を示す「glico(筆記体)」の文字と、せいぜい本件商品の名称「ヘスペリジン&コラーゲン」のみであって、上述のような文章の一部にある「めぐり」の文字を、自他商品識別力を具備した識別表示、すなわち商標であると認識することはあり得ない。 また、「めぐり」の文字の意味するところについても、該記載の上部の桃色囲み部内に記載されている「健康的で美しいお肌を保つ上では、身体のめぐりを良くすることはとっても大事です!」の説明を受けたものであると思われるが、そもそも「めぐり」が何であるかについては、全く意味不明であり、何かが身体の中をめぐるという、何らかの作用の意として認識される程度である。 したがって、乙第1号証に係るホームページを閲覧した需要者が「めぐり」と本件商品「ヘスペリジン&コラーゲン」との関連性を想起し、「めぐり」の文字が本件商品を指し示す識別表示であると認識すること等到底あり得ない。 よって、乙第1号証の使用態様が、商標法第2条第3項各号のいずれの使用態様に該当することはない。 なお、商標権者は、「めぐり」の文字の右下部に登録商標である旨を示す記号(以下「Rマーク」という。)を表示して、これをもって「めぐり」の商標を使用していると主張しているとも思われる。 しかしながら、上述のとおり、そもそも乙第1号証中の「めぐり」の文字は、Rマークの表示の有無に関わらず何らの識別力も有していないことから、当該Rマークを記載することは、商標的使用である旨を担保するものではなく、何らの識別性を有さない「めぐり」の文字に当該Rマークがつけられていることはかえって不自然である。 すなわち、工業所有権逐条解説(第19版)には、「・・・単に不使用取消を免れる為に名目上な使用の行為があっても、使用とは認められない」旨の記載があるところ、乙第1号証のような使用態様は、まさしく上記の「名目上な使用の行為」であることを強く想起させるものであるといわざるを得ない。 以上のことから、乙第1号証における使用態様は、本件商標の使用には該当せず、商標権者の主張は極めて妥当性を欠くものである。 イ 乙第1号証の信頼性について 商標権者は、乙第1号証に示されたホームページが、平成26年12月19日から使用されている旨主張し、その証明にホームページ作成者とのやり取り、タイムスタンプ等の開示する準備があると主張している。 しかしながら、当該ホームページのURLである、「http:// www.glico-direct.jp/kenko/lp/HCTk_HAC01o_--_-/」のアーカイブ情報を、インターネットアーカイブの閲覧サービスであるウェイバックマシン(Wayback Machine)(http://archive.org/web/)で参照した(甲3)ところ、少なくとも平成27年3月15日の時点において公開されていたホームページにおいては、「めぐり」の文字にはRマークは付されていないことが明らかである(甲4)。アーカイブ情報にはそれ以前、及び以後に変更(変更前の状態が保存)された記録はない。したがって、商標権者の、平成26年12月19日から使用されているとの主張には、甚だ疑義が生じるばかりか、当該Rマークは、本件審判請求がされたことを商標権者が知った後に付されたものである蓋然性が極めて高い。 また、仮に、Rマークを付したタイミングが商標権者の主張どおりだとしても、上記アで述べたとおり、乙第1号証における「めぐり」の文字は何らの自他商品識別力を有さず、またその使用態様も商標の使用には該当しない。 更に言えば、商標権者がRマークを事後的に付したということは、Rマークがない使用態様では商標の使用には該当しないと、商標権者自身が認識していたことに他ならない。 (3)まとめ 以上のとおり、答弁書における商標権者の主張は妥当性を欠いたものである。 したがって、本件商標は、本件審判の請求の3月前(平成27年1月27日)よりも前に本件商標は使用されたものではないことから、弁駁の趣旨のとおりの審決を求めるものである。 3 平成27年10月29日付け上申書 請求人は、上申書において「これまでの審判請求書、答弁書及び弁駁書により議論が尽くされたと考えており、また、被請求人が平成27年10月21日付け上申書において書面審理を希望していることから、請求人としても書面審理を希望する」と述べた。 第3 被請求人の主張 1 答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。 (1)使用状態の説明 本件商標権者は、少なくとも平成26年12月19日より、いわゆる清涼飲料の取引において「めぐり」の商標を継続的に使用している。 乙第1号証は、「めぐり」商標を使用していることを証する本件商標権者のホームページの画像である。ホームページにおいて「めぐり」を使用している。 (2)指定商品との関係 本件商標を使用しているホームページは、清涼飲料販売のためのものであり、本件審判請求で指定商品として挙げられている「清涼飲料」と合致している。 (3)ホームページ作成者への依頼の書面 乙第1号証のホームページは平成26年12月19日から存在している。守秘事項の関係で添付していないが、使用開始日の証明のためのホームページ作成者とのメールのやりとり、タイムスタンプ等の資料が必要な場合は、開示を求められれば特許庁に対して提示する用意がある。 (4)まとめ 以上より、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。)に日本国内において商標権者が少なくとも「清涼飲料」に使用した結果、業務上の信用が化体しているものであり、本件審判の取消の対象とはなり得ない商標である。 したがって、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めるものである。 2 平成27年10月21日付け上申書 被請求人は、口頭審理に係る審理事項通知書に対して、「平成27年11月12日に行う口頭審理において、出頭して主張することはないため、欠席する。今後は、書面審理を希望する。」旨述べた。 第4 当審の判断 1 本件審判の経緯 本件審判の審理について、口頭審理期日を指定し、両当事者に送付した平成27年9月30日付けの審理事項通知書の内容は、要旨別掲のとおりであり、これには、合議体の暫定的見解を示し、被請求人に対し、合議体の暫定的見解及び請求人の弁駁に対する意見を求め、本件商標の使用をしていることについて補足の証拠及び新たな証拠の提出を求めた。これに対し、被請求人から、上記第3、2のとおり、口頭審理を欠席する旨の申し出があり、両当事者が書面審理を希望したため、口頭審理は行わず、本件審判の審理は、書面審理によったものである。 2 検討 被請求人は、商標権者が本件商標を、本件審判の取消請求に係る指定商品中「清涼飲料」について、要証期間内に日本国内において使用していると答弁し、証拠方法として乙第1号証を提出しているので、以下、検討する。 (1)乙第1号証について ア 乙第1号証は、最終頁(13頁)の右下に「江崎グリコ株式会社 Copyright」等の表示があることから、「被請求人のホームページ」であると認められる。 イ 1頁、3頁及び10頁に示された紙パッケージの商品の写真には、「ヘスペリジン&コラーゲン」及び「清涼飲料水」の表示が認められる。 ウ 4頁には、(ア)「ヘスペリジン&コラーゲンのここがすごい!」、(イ)「・・・からだのすみずみまでめぐります。」、(ウ)「健康的で美しいお肌を保つ上では、身体のめぐりを良くすることはとっても大事です!」、(エ)「めぐりで健康的な毎日をめざしましょう」(「めぐり」の文字の右下には小さいRマークが表示されている。)の記載、6頁には、「お風呂上がりは本当にめぐりがいいように思います。」の記載がある。 エ Rマークが付された「めぐり」の文字は、4頁の上記ウ(エ)の表示のほかには見いだせない。 オ 被請求人は、乙第1号証は平成26年12月19日から存在しているホームページであると主張するが、それを裏付ける証拠の提出はない。 (2)判断 以上によれば、乙第1号証は、「ヘスペリジン&コラーゲン」という「清涼飲料」に関する被請求人のホームページであることが認められる。 しかしながら、該ホームページにおいて、「めぐり」の文字は、上記(1)ウのとおり、一連の文中に含まれているにすぎないことから、これらが自他商品の識別標識として機能するとはいえず、また、Rマークが付された「めぐり」の文字は、13頁ある中のわずか一箇所に記載されているにすぎず、「ヘスペリジン&コラーゲン」という「清涼飲料」のパッケージにも「めぐり」の文字は表示はされていないから、乙第1号証のみによっては、取消請求に係る商品「清涼飲料」に本件商標を使用したと認めることはできない。 なお、被請求人は、乙第1号証は平成26年12月19日から存在しているホームページであるとも主張するが、それを裏付ける証拠の提出はないし、請求人が提出した甲第3号証及び甲第4号証によれば、2015年(平成27年)3月15日の時点において公開されたホームページには、「めぐり」の文字にRマークは付されていないから、乙第1号証は、被請求人が主張する平成26年12月19日から継続して掲載されていたものと認めることもできない。 3 その他、本件商標が要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、請求に係る指定商品について使用されたことを証明する証拠の提出はない。 4 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したということはできず、また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 審理事項通知書 1 合議体の暫定的な見解 被請求人は、商品「清涼飲料」について、商標権者、通常使用権者が本件商標を使用していると主張し、乙第1号証を提出している。 しかしながら、乙第1号証に「めぐり」の文字の表示及び「R(マルアール)」の記号の表示があるとしても、それらは、一連の文中に含まれているにすぎず、その上、13頁ある中のわずか一箇所において表示されているにすぎないから、乙第1号証のみによっては、商品「清涼飲料」に係る本件商標の使用を証明したと認めることは困難である。 また、請求人提出の甲第3号証及び甲第4号証によれば、乙第1号証は、被請求人が主張する平成26年12月19日から継続して掲載されていたものと認めることも困難である。 2 口頭審理陳述要領書について (1)被請求人 被請求人は、上記1の暫定的な見解及び請求人の提出した平成27年7月21日付け審判事件弁駁書に対して意見があれば、主張されたい。 また、被請求人は、すでに提出した乙第1号証以外に、商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている証拠があれば提出し、説明されたい。 (2)請求人 請求人は、被請求人提出の口頭審理陳述要領書に対して意見があれば主張されたい。 |
審理終結日 | 2016-08-01 |
結審通知日 | 2016-08-03 |
審決日 | 2016-08-25 |
出願番号 | 商願2009-13968(T2009-13968) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(X32)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 黒磯 裕子 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
大森 健司 原田 信彦 |
登録日 | 2009-09-11 |
登録番号 | 商標登録第5265610号(T5265610) |
商標の称呼 | メグリ |
代理人 | 村雨 圭介 |
代理人 | 早川 裕司 |
代理人 | 田岡 洋 |