ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 |
---|---|
管理番号 | 1319363 |
異議申立番号 | 異議2015-900244 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-07-21 |
確定日 | 2016-09-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5757957号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5757957号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5757957号商標(以下「本件商標」という。)は、「肌がよろこぶスキンウエア」の文字を標準文字で表してなり、平成26年6月12日に登録出願、同27年3月26日に登録査定、第5類「生理用ショーツ,生理用ナプキン,失禁用ショーツ,失禁用吸収パッド」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年4月10日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する商標は、申立人が「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,キャミソール,ティーシャツ,アイマスク,ショール,足袋,マフラー」などのアパレル業務の商品(以下「申立人商品」という。)において使用している「Skinware」の欧文字(以下「引用商標1」という。)、及び「スキンウェア」の片仮名からなる商標(以下「引用商標2」といい、引用商標1及び2をまとめて「引用商標」という場合がある。)である。 3 登録異議の申立ての理由の要旨 申立人は、本件商標はその指定商品中、第25類「被服」について、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、ファッションデザイナーである申立人のアパレル業務に係る引用商標と類似関係にあり、かつ、申立人の引用商標は、本件商標の登録出願前において申立人商品について使用されている商標として需要者の間に広く認識されており、登録出願日以降、登録査定日を経て現在に至るまでも同様である。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人のアパレル業務に係る引用商標が需要者の間に広く認識されていることにより、本件商標が第25類の「被服」に含まれる申立人商品と同一又は類似の商品について使用された場合には、申立人の商品と混同を生じるおそれがある。 (3)本件商標の登録に至る経緯 本件商標において、拒絶理由通知において引用された「Skinware」からなる登録第4901997号商標は、申立人が代表者であるアパレル会社(有限会社WHITESCOPE;以下「WHITESCOPE」という。)が所有していたが、同企業が平成20年に活動を休止し、平成23年に解散したことから、本件商標の出願段階で当該出願人から平成26年7月25日に不使用取消審判(取消2014-300559)が請求され、平成27年3月18日にその取消審決が確定している。 また、申立人は本件商標に係る商標登録出願に対して平成27年2月16日付けで刊行物提出書を提出して情報の提供を行ったが、その情報は利用されないまま登録査定に至っている。 (4)具体的理由 ア 本件商標と申立人のブランドに係る商標 本件商標は、前記1に示すとおり、「肌がよろこぶスキンウエア」の文字を標準文字で表してなるものであり、第5類及び「被服」を含む第25類の商品を指定商品とするものであり、一方、ファッションデザイナーとしての申立人のブランドは「Skinware」及び「スキンウェア」であって、それらは商標として申立人商品について使用されてきたものである。 したがって、上記(3)の経緯から明らかなように、本件商標と申立人のブランドに使用する引用商標とは類似関係にあり、また、本件商標の指定商品中の被服(「和服、ナイトキャップ、帽子」を除く。)と引用商標が使用されてきた商品とは同一又は類似の関係にある。 イ 申立人のブランド展開の概要 デザイナーである申立人は、2004年にオーガニックコットンを素材とするレディースラウンジウェア/ランジェリーのブランド「Skinware」を立ち上げ、商品企画・製造卸を主たる業務とするアパレル会社である「WHITESCOPE」を設立して、2008年まで毎年、秋には春夏コレクション発表展示会を、春には秋冬コレクション発表展示会を開催するとともに、商品を新宿伊勢丹、立川伊勢丹、その他卸し先約20店舗で販売し、「Elle Japon」、「SPUR」、「ecocoro」などのメディアにも掲載されていたことにより、当時としてはほとんど知られていなかったEthical Fashion(エシカルファッション)の分野を先がけた代表的ブランドとしての評価を受けるに至っていた。 前記「Skinware」ブランドの展開は事情により2008年で一旦活動を休止したが、4年間のブランクを経て2013年9月に、2004年の「Skinware」のブランドコンセプトをより深化させた形での「Skinware」ブランドを株式会社クジライの下で再開させ、2015年1月に新規に設立した申立人を代表取締役とするアパレル会社である株式会社AWAの下で、商品アイテムを拡充させつつより充実したブランド戦略を展開して現在に至っている。 ウ デザイナーアパレルとしてのブランド戦略 デザイナーアパレルの商品の販売に関しては、大規模なアパレルメーカーが不特定多数の消費者を対象として全国規模で広告宣伝して大量販売するナショナルブランドとは異なり、ブランドコンセプトに共感する特定の顧客層をターゲットとするため、コレクションを発表する展示会を通じて、百貨店や小売専門店などのバイヤーや新聞・雑誌などの「プレス」と総称されるメディアに対してブランドイメージの理解と浸透を図る方法が採用されており、商品の流通過程でバイヤーとプレスの果たす役割が極めて大きいというデザイナーアパレルの業態やその取引の実情に特殊性がある。 エ 申立人によるブランド戦略と商標「Skinware」の周知性 以下のとおり、申立人のデザイナーアパレル会社は、デザイナーブランド「Skinware」を商標として、2004年から2008年までの期間と2013年9月以降に、ブランド戦略を展開してきたことにより、少なくとも本件商標に係る登録出願日である2014年(平成26年)6月12日以前において、「Skinware」が申立人の業務に係る申立人商品を表示する商標として、需要者の間に広く認識されている状態にあり、その後も、現在に至るまで、より強力にブランド戦略を推進させている。 (ア)2004年から2008年までの「Skinware」 申立人は、2004年の「Skinware」ブランドの立ち上げ後、デザイナーアパレル会社であるWHITESCOPEで2008年まで毎年ブランド戦略を展開しながら商品の販売を行った。 「Skinware」ブランドのコレクション発表と商品の販売に関しては、毎年、春夏/秋冬コレクションを各シーズンの約半年前に展示会で発表し、実シーズンで当該シーズンの商品を販売する業務を繰り返し、2007年11月に2008年春夏コレクションを発表し、2008年に2008年春夏シーズンの商品を販売した後に休止した。 2008年春夏コレクション展示会においては、案内用ダイレクトメール(甲2の1)を1000通作成してバイヤーやプレス宛てに郵送し、同コレクションに係るカタログ(甲2の2)を2000部用意し、展示会で配布するとともに得意先などへ郵送していた。 申立人は、ネット通販を運営し、女性ファッション雑誌(甲2の4?7)では、「Skinware」ブランドの商品が紹介され、また、ファッション雑誌「装苑」のファッションポータルサイト及び各種ブログ(甲2の8?12)には、オーガニックコットンのリラックスウェアブランドである「Skinware」が紹介されており、2004年から2008年の期間におけるブランド戦略の展開において、「Skinware」が既にデザイナーである申立人の商標として広く認知されていた事実をうかがい知ることができる。 (イ)2013年の「Skinware」ブランド再開と2014年春夏/秋冬コレクション 「Skinware」ブランドの再開は、2013年9月17日から19日までニューヨークで開催したSkinware2014年春夏コレクション発表展示会であり、プレスリリース(英語版)(甲3の1)を外国のバイヤーやプレス宛てに1000通、また、その和訳版(甲3の2)のプレスリリースを国内のバイヤーとプレス宛てに同数送った。 そして、国内での実質的な「Skinware」ブランドの再開は、2013年11月6日?8日に開催されたSkinware2014年春夏コレクション発表展示会が最初のイベントである。 該展示会では、先のニューヨークにおける展示会のリポートに関するプレスリリース(甲3の3)も用意して、国内のプレスとバイヤー宛てに1000通送るとともに、ダイレクトメール(甲3の4)をバイヤーとプレス宛てに1000通送り、また、製品カタログ(甲3の5)を500部作成して発注者用に配布できるようにした。 そして、上記のほかに、該展示会が「Skinware」ブランドの再開に係るものであることから、以前のブランドコンセプトをより深化させたブランドコンセプトを提示した”「Skinware」ブランドの再起メッセージ”のプレスリリース(甲3の6)をバイヤーとプレス宛てに1000通送り、総合パンフレット(甲3の7)を1500部作成し、以降、必要に応じて配布し、2014年春シーズン前の2015年2月には、Skinware2014年春夏コレクションカタログ(甲3の8)を3000部作成してバイヤーやプレスなどに配布した。 2014年2月23日から25日までのニューヨークでのSkinware2014年秋冬コレクション発表展示会についても、春夏コレクションの場合とほぼ同様に、プレスリリース(甲3の9)を送付し、また、2014年3月18日から21日まで国内で開催されたSkinware2014年秋冬コレクション発表展示会には、プレスリリース(甲3の10)を送付した。そして、展示会向けには、製品カタログ(甲3の11)を作成・配布し、また、展示会後にコレクションカタログ(甲3の12)を作成・配布した。 上記のとおり、申立人は、本件商標の登録出願日までに、ニューヨークと国内において、2014年Skinwareの春夏コレクション及び秋冬コレクションの発表展示会を開催しており、2014年春夏コレクションについては既に商品の販売を行っていた。 また、「Skinware」ブランド商品の販売形態としては、「伊勢丹新宿 Ma Lingerie」、「高島屋大阪 Style & Edit」などの卸売先(甲3の7)、その他の専門店及び米国の「URBAN OUTFITTERS」が運用するオンラインショップでの販売とともに、申立人のアパレル会社が運営するSkinwareオフィシャルオンラインショップでの販売を定常的に行ってきたが、適宜期間限定で百貨店や専門店のイベントスペースにSkinwarePOP-UPショップを頻繁に開いて「Skinware」ブランドの紹介と商品の販売も推進してきた。 (ウ)女性ファッション雑誌への掲載 女性向け雑誌は販売促進に繋がる有効な媒体とされるが、「Skinware」ブランドが再開されて以降、様々な女性ファッション雑誌などで「Skinware」ブランドの商品やそのブランドコンセプトが採り上げられて掲載されている(甲4の1?10)。 (エ)Skinwareのホームページ 「Skinware」ブランドの再スタートと共に、インターネット上でSkinwareのホームページも再開され、2013年9月から2014年9月までの1ヶ月毎に確認したアクセス数とアクセス人数(甲5の1)は、2014年2月まではそれほど大きな値になっていないが、3月段階から増大し、5月以降はさらに大幅にアクセス件数が伸びている。 (オ)2014春夏コレクション商品に係る取引書類 甲第6号証の1?5は、2014年2月から同年4月にかけてのSkinware2014年春夏コレクションに係る商品についての納品書や発注伝票などの取引書類の一部であり、申立人のデザイナーアパレルは、2013年9月の「Skinware」ブランドの再開後、最初の2014年春夏コレクションの実シーズンでの販売において、既に最大手の有名百貨店やセレクトショップに多数のSkinware商品の卸販売を行っている。 これは、2004年から2008年までの「Skinware」のブランド展開の中で取引のあったバイヤーやショップが、「Skinware」が申立人のデザイナーブランドであること及びそのブランドコンセプトを記憶していたことによるものであり、その意味で前記期間での「Skinware」ブランドに対する認識が2013年9月の「Skinware」ブランドの再開へと継続したのであって、白紙の状態から「Skinware」ブランドを立ち上げた場合と比較して、「Skinware」ブランドに対する認知の引き起こしのための障壁は遥かに低かったといえる。 そして、取引書類(甲6)は、本件商標の商標登録出願日より前の日付であり、その出願日の時点では既に需要者に広く認識されていたといえる。 (カ)「Skinware」のブログ及びFecebookの記事 ブログはブランドの効果的な情報発信機能を果たすものであるところ、甲第7号証の1はレンタルブログサービス:Bloggerにおける「Skinware」の統計・概要データであり、甲第7号証の2?64は2013年12月13日から2015年4月19日までのSkinware自身による投稿記事であり、「Skinware」ブランドの再開後の順調な展開を時系列で確認することができる。 また、申立人は2013年7月26日以来、スキンウェア(Skinware)のアカウントで、 Facebookに参加し、Skinwareに係るイベント・ショップ展開情報、雑誌掲載情報、商品の紹介などを掲載している(甲11)。 (キ)その他ウェブサイト等 「ELLE ONLINE」や「VOGUE JAPAN」などの多くのファッション誌系のWebサイトやタカシマヤのWebサイト(甲8)に、「Skinware」商品や「Skinware」ブランドの紹介記事、コスメ商品とのコラボギフトセットの紹介記事などが掲載され、また、ファッションモデルなどのブログ、各種ショップや情報発信サイトのブログ(甲9)にも、イベントへの協賛ブランドとしての紹介記事や、Skinware商品の紹介がされている。 (ク)バイヤーやプレスの関係者の陳述書 三越伊勢丹のバイヤー、女性ファッション雑誌の編集担当者(プレスに相当)は、2014年4月14日以前において「Skinware」が申立人のブランドを表象する商標であると認識していた旨の陳述をしている(甲10)。 (5)結び 申立人のデザイナーブランドである「Skinware」及び「スキンウェア」は、本件商標と類似関係にあり、使用実績や需要者の評価などから明らかなように、本件商標の登録出願日以前には既に、申立人商品について使用されている商標として需要者の間に広く認識されており、現在に至るまでも同様である。 甲第2号証から第11号証は、デザイナーブランド「Skinware」及び「スキンウェア」が申立人商品について使用されている商標として最終需要者においても広く認識されていることを十分に推察させるものであるが、デザイナーアパレルの場合は、そのブランドコンセプトに共感する特定の顧客層が主たるターゲットとなり、ナショナルブランドのように多数の消費者を対象に販売することが目的とはならず、商品の流通過程でバイヤーとプレスの果たす役割が決定的に大きいという業態の特殊性と取引の実情を考慮すると、「需要者の間に広く認識され」の意味合いは、必ずしも最終需要者にまで広く認識されていることを要さず、取引者である百貨店や小売専門店などのバイヤーやファッション雑誌などのプレスにおいて広く知られていれば足りると思料される。 また、申立人の「Skinware」及び「スキンウェア」が需要者の間に広く認識されていたことにより、本件商標が、第25類の「被服」中の申立人商品と同一又は類似の商品について使用された場合には、申立人のアパレル業務に係る商品と混同を生じるおそれがある。 したがって、本件商標の第25類の指定商品中の「被服」については、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しており、取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の提出に係る甲各号証及び主張によれば以下のとおりである。 (ア)申立人はデザイナーとして引用商標を付した「オーガニックコットンを使用した婦人用被服」のブランド「Skinware」を2004年(平成16年)に立ち上げ、2007年(平成19年)11月に「Skinware2008年春夏コレクション」を発表し、該シーズンの商品販売後に活動を休止した。また、平成20年から平成21年に、女性雑誌において上記商品が紹介された(甲2)。 (イ)その後、申立人は、平成25年9月17日から同19日まで、デザイナーとしての活動を再開する皮切りとして、ニューヨークにおいて「Skinware2014春夏コレクション」を開催し、我が国においては、平成25年11月6日から同8日まで東京都港区青山で同コレクションを開催した。 また、平成26年2月23日から同25日まで、ニューヨークにおいて「Skinware2014年秋冬コレクション」を開催し、我が国においては、平成26年3月18日から同21日まで東京都渋谷区神宮前で同コレクションを開催し、上記「Skinware2014年春夏コレクション」の販売期間である平成26年3月19日から同4月1日まで伊勢丹新宿本館において「Skinwareスプリングフェア」も開催され、これらの展示会等の開催のために作製されたダイレクトメール、カタログ類には、引用商標が表示されている(甲3)。 (ウ)平成25年12月から同26年5月までに発売された複数の女性ファッション雑誌に、引用商標の表示とともに申立人商品が紹介された(甲4の1?10)。 (エ)その他、申立人商品は、平成26年2月から4月にかけて、複数の百貨店等の小売店に納品されこと(甲6)、インターネット上において、ブログやファッション雑誌のWebサイト等において紹介されたこと(甲8、甲9)などを認めることができる。 イ しかしながら、申立人が、本件商標の登録出願前に、ブランド「Skinware」の製造販売を行っていた期間は、平成16年から平成20年の約5年間、及び活動再開後の平成25年9月から平成26年6月上旬までの約9ヶ月にすぎないものである。 そして、申立人が2007年(平成19年)及び2013年(平成25年)以降、ニューヨークや東京においてコレクション発表展示会を開催したことが認められるとしても、これらは、主としてバイヤーやプレスを対象にして数回開催されたにすぎないものであり、該展示会について、申立人自身のフェイスブックやブログ等で紹介されたとしても、取引者、需要者間において、引用商標が、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時に広く認識されていたとまではいうことはできない。 また、ファッション雑誌おける本件商標に関する記事の掲載は、2009年(平成21年)から2010年(平成22年)に4回、2013年(平成25年)12月から2014年(平成26年)に10回と、その掲載回数は多いとはいえないものであり、加えて、そのほとんどが、申立人商品が複数の商品のうちの1つとして紹介されているにすぎないものであるから、これをもって、申立人商品が看者の注意を強く惹くとはいえないものであり、その他、申立人は、雑誌掲載の一覧表を提出しているが、その掲載内容を明らかにしていない。さらに、申立人は、インターネット上のブログやファッション雑誌のWebサイト等を提出しているが、これらは、該ウェブサイト等にアクセスした者しか見る機会のないものである。 そして、百貨店に対する納品もわずか4社にすぎないものであり、その納品数及び販売額もさほど多いとはいえないものであり、その他、申立人は、申立人商品の取扱店舗を複数挙げているが、その販売実績を証する書面は提出されておらず、申立人商品の分野における市場占有率(シェア)、宣伝広告費などの詳細も明らかにしていない。 そうとすれば、申立人提出の証拠によっては、引用商標が、申立人が活動を休止した2008年(平成20年)当時、並びに本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について 引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国において、申立人の業務に係る商品を表すものとして広く認識されていたと認めることができないものである。 そうとすれば、本件商標と引用商標とが類似するものであって、本件異議申立に係る商品「被服」が申立人商品と同一又は類似の商品と認められるものであるとしても、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表すものとして需要者の間に広く認識されていたものではないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。 また、商標権者が本件商標をその指定商品中の「被服」に使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想、想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第25類「被服」について、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-08-29 |
出願番号 | 商願2014-48270(T2014-48270) |
審決分類 |
T
1
652・
25-
Y
(W25)
T 1 652・ 271- Y (W25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 海老名 友子 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 平澤 芳行 |
登録日 | 2015-04-10 |
登録番号 | 商標登録第5757957号(T5757957) |
権利者 | グンゼ株式会社 |
商標の称呼 | ハダガヨロコブスキンウエア、ハダガヨロコブ、スキンウエア |
代理人 | 永井 利和 |
代理人 | 山田 威一郎 |
代理人 | 田中 順也 |
代理人 | 松井 宏記 |
代理人 | 立花 顕治 |