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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0942
審判 全部申立て  登録を維持 W0942
審判 全部申立て  登録を維持 W0942
審判 全部申立て  登録を維持 W0942
管理番号 1319337 
異議申立番号 異議2014-900211 
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-07-28 
確定日 2016-09-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5666017号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5666017号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5666017号商標(以下「本件商標」という。)は,「GOTHAM」の欧文字を標準文字で表してなり,2013年4月19日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成25年5月27日に登録出願,同26年4月3登録査定,第9類「情報やデータの統合・分析・管理・協力・アルゴリズムに関する及び人間が引き起こす探査・鑑賞・モデリング・輸出・視覚化・組織化・修正・書籍マーケティング・放送・保管・交換・シェアリング・問い合わせ・会計監査・修正・収集・編集・ホスティング・セキュリティおよびデータや情報の追跡用のコンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「受託によるコンピュータソフトウェアの設計に関する助言,受託によるコンピュータハードウェアの設計に関する助言,コンピュータハードウェア・コンピュータソフトウェア及びコンピュータネットワーク問題のトラブルシューティング(技術支援),コンピュータソフトウェアの保守,受託によるアプリケーションソフトウェアのホスティング,コンピュータの設計に関する技術情報の提供,コンピュータセキュリティに関する助言,情報やデータの統合・分析・管理・協力・アルゴリズムに関する及び人間が引き起こす探査・鑑賞・モデリング・エクスポート・視覚化・組織化・修正・ブックマーク・トランスミッション・保管・交換・シェアリング・問い合わせ・会計監査・修正・収集・編集・ホスティング・セキュリティおよびデータや情報の追跡に関するコンピュータプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案」を指定商品及び指定役務として,同26年4月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録第2631237号商標(以下「引用商標」という。)は,「GOTHAM CITY」の欧文字を書してなり,平成元年12月28日に登録出願,第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同6年3月31日に設定登録され,その後,同15年10月21日,同26年3月18日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同16年3月3日に第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」,第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」及び第21類「電気式歯ブラシ」とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1項第1号によりその登録は取り消されるものである旨申立て,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,欧文字「GOTHAM」を標準文字で表したものであり,引用商標は,欧文字「GOTHAM CITY」をありふれた書体で表したものである。また,両者の指定商品が同一又は類似の関係にあることは明らかである。
本件商標と引用商標の相違点は,「CITY」という語の有無のみで,そもそも「Gotham」とはニューヨーク市のニックネームを意味する。
つまり,「GothamCity」でニューヨーク市を意味し,また,申立人の著名なコミックス「バットマン」に登場する都市名も意味する。
ちなみに,例えば「YOKOHAMA CITY」という語に接した人は,「神奈川県の県庁所在地である横浜市」を想起すると思われる。
また,「YOKOHAMA」という語に接した人も,同様に「神奈川県の県庁所在地である横浜」を想起すると考えられる。
すなわち,「CITY」の有無にかかわらず,それに接した人はその名称の示す都市を想起する。
本件商標及び引用商標に含まれる「GOTHAM」とは,申立人が発行するコミックス「バットマン」や,その映画版に登場する架空の都市の名称であり,架空であるとはいえ都市の名称であって,上記の「横浜」の例と同じく,「GOTHAM」に接した場合であっても「GOTHAM CITY」に接した場合であっても,これらを「GOTHAMという,バットマンに登場する都市」と認識する人は多いと考えられる。
したがって,本件商標及び引用商標から「GOTHAMという都市」という共通の観念が生ずる可能性がある。
また,引用商標の「GOTHAM」部分と「CITY」部分の間にスペースがあることから,これら二語が分離して認識される可能性がある。
したがって,本件商標は,引用商標の「GOTHAM」部分と外観上類似し,かつ,そこから生ずる称呼は,「ゴッサム」として同一であるため,引用商標と称呼上も類似する。
また,引用商標は,本件商標の他人の先願商標に該当する。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,著名商標である引用商標と類似する。
そして,「GOTHAM」は,申立人の発行するコミックス「バットマン」やその映画版に登場する都市名で,本件商標権者は,「GOTHAM」以外にも,申立人の業務に関連する商標を登録していて,そのうちの一つが登録第5613589号である。
この登録に係る商標は,欧文字「METROPOLIS」を標準文字で表したもので,「METROPOLIS」とは,やはり申立人が発行するコミックス「スーパーマン」やその映画版・ドラマ版の中で,主人公が故郷を離れ移住する都市の名称である。
「スーパーマン」は幾度となく映画化されており,米国のみならず日本でも非常に人気のあるシリーズであるため,「METROPOLIS」といえば「スーパーマン」を想起する人も多いと思われる。
そもそも,本件商標権者の名称「パランティア テクノロジーズ インコーポレーテッド」の「パランティア(Palantir)」は,J・J・R・トールキンの「指輪物語」などの創作に登場する物品である。
「指輪物語」の原題は,「ロード・オブ・ザ・リング」であるが,このタイトルのゲームは,申立人の関連会社に当たる「ワーナーエンターティメントジャパン」が発売している。
このように,本件商標権者が,その社名や商標を採択するにあたり,申立人の著名商標と関係のある著名な映画や書籍に含まれる語句を不正な目的で選択していると疑わざるを得ない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,「GOTHAM」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して「ゴッサム」の称呼を生じるものである。
また,該文字は,「米ニューヨーク市のニックネーム」等の意味を有する語(甲4)であるとしても,一般に知られているとはいえず,特定の観念を生じない一連の造語からなるとみるのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は,「GOTHAM CITY」の文字を書してなるものであるところ,その構成文字に相応して「ゴッサムシティ」の称呼を生じるものである。
また,「GOTHAM CITY」の文字は,「DCコミック社の『バットマン』に登場する,バットマンが住む架空の都市。」(甲4,甲5)を表すものであるとしても,一般に知られているとはいえず,特定の観念を生じない一連の造語からなるというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると,本件商標は「GOTHAM」の文字からなり,引用商標は「GOTHAM CITY」の文字からなるところ,両者は,「CITY」の文字の有無において,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。
そして,本件商標から生ずる「ゴッサム」の称呼と,引用商標から生ずる「ゴッサムシティ」の称呼とは,語尾における「シティ」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから,称呼上,互いに相紛れるおそれはない。
さらに,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものあるから,観念において比較することができない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観及び称呼において類似しないものであるから,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)のとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
引用商標の周知性については,申立人の提出に係る証拠において,引用商標が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用され,広く認識されている商標であることを証する証拠は見あたらないものである。
してみれば,引用商標である「GOTHAM CITY」の文字が,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものということができない。
さらに,申立人が主張するような,本件商標権者が,本件商標の出願時点において,その社名や商標を採択するにあたり,申立人の著名商標と関係のある著名な映画や書籍に含まれる語句を不正な目的で選択しているなどの事実を認めるに足る具体的事実も見いだすことができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)なお,本件商標権者と申立人は,友好的解決に向けて努力していること,日本における商標登録異議申立手続は一時中断するものと相互に合意した旨の上申書を提出するが,本件登録異議の申立てから相当の期間が経過した現在においても,両当事者から具体的な進展があったこと等を示す書面の提出はなく,また,本件商標に係る商標権の申立人への移転等の事実も見いだせないことから,これ以上,本件の審理を遅延させるべき合理的な理由はないものと判断し,本件の審理を進めることとした。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-08-26 
出願番号 商願2013-39794(T2013-39794) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W0942)
T 1 651・ 222- Y (W0942)
T 1 651・ 262- Y (W0942)
T 1 651・ 261- Y (W0942)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加藤 百宇下山 月菜堀内 真一 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
登録日 2014-04-25 
登録番号 商標登録第5666017号(T5666017) 
権利者 パランティア テクノロジーズ インコーポレーテッド
商標の称呼 ゴッサム、ゴサム 
代理人 福田 秀幸 
代理人 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 

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