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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y01 |
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管理番号 | 1318166 |
審判番号 | 取消2014-300975 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2014-12-05 |
確定日 | 2016-07-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2712839号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2712839号商標(以下「本件商標」という。)は、「ULTRA」の欧文字をゴシック体で横書きしてなり、昭和61年10月29日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年3月29日に設定登録、同18年3月29日に、指定商品を第1類「工業用カーボンブラック,その他の非金属元素,酸化鉄,その他の金属酸化物」とする指定商品の書換登録がされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成26年12月24日である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標はその指定商品について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張し、その証拠方法として甲第1号証及び甲2号証を提出した。 なお、請求人は、下記第3の被請求人の答弁に対し何ら弁駁するところがない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書及び回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。なお、以下、枝番号のすべてを引用するときは、枝番号を省略する。)を提出した。 1 本件商標の使用の事実 (1)乙第1号証は、「BIRLA CARBON SPECIALTY BLACKS」と題する被請求人の商品カタログであり、作成日は、裏表紙に「○の中に「C」)2014 Birla Carbon」、3頁「GLOBAL SPECIALTY BLACKS PRODUCT PORTFOLIO」の右下に「Rev04/2014」の記載があるから、本カタログは、2014年に作成されたものであることは明らかである。 「Birla Carbon」は、被請求人が使用しているトレードネームであって、裏表紙に「Birla Carbonは、コロンビヤン ケミカルズ カンパニー(以下「コロンビヤン ケミカルズ」という。)及びその全世界の提携会社を意味するものであって、コロンビヤン ケミカルズが支配する又は共通の支配下にあるいかなる会社も含まれる。」の記載がある。 本カタログ中、「SPECIALTY CARBON BLACK APPLICATIONS」の見出しがある2頁の左下には、「Ultra」(当該文字の右上に、○の中に「R」を書した小さな表示がある。以下「(R)」という。)は、コロンビヤン ケミカルズ カンパニーの登録商標です。」の記載がある。また、左の欄に「ULTRA(R) CARBON BLACKS」の記載があり、「Ultra」及び「ULTRA」が工業用カーボンブラックの商標として使用されていることは明らかである。 そして、本カタログが英語で記載されているとしても、その内容は、高度な専門的知識を有する本件商品の需要者(化学メーカー等)が容易に理解できるものであるから、該商品カタログは、日本の需要者を対象として作成されたものということができる。 乙第2号証は、株式会社NUC(以下「NUC」という。)のウェブページの抜粋であり、乙第6号証の1は、乙第1号証の商品カタログが本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に頒布されたことを証明する書面として、被請求人のセールスエージェントのBIRLA CARBON JAPAN株式会社(以下「ビルラカーボンジャパン」という。)の代表のAが、要証期間内である2014年7月8日に、本件商標が付されている商品カタログ「BIRLA CARBON SPECIALTY BLACKS」を、NUCの製品技術開発研究所所長のBに頒布したことを、Bが証明した書面である。乙第6号証の2は、同様に、Aが、要証期間内である2014年8月21日に、該商品カタログを、大日精化工業株式会社(以下「大日精化」という。)の合樹・着材第2技術本部本部長であるDに頒布したことを、Dが証明した書面である。 以上の証拠から、該商品カタログが要証期間内に頒布されたことは明らかである。 (2)乙第3号証は、被請求人のホームページであり、「ULTRA(R) RUBBER CARBON BLACKS」の項に、「Ultra(R)」は、「高品質のカーボンブラックであり、灰及び残留物の含有率を、それぞれ、約0.05%、0.002%より大幅に少ないレベルまで、著しく減少させた点に特徴がある。」の記載がある。 なお、「Ultra」は、本件商標を構成する「ULTRA」と同一の文字からなり、頭文字以外を小文字にしたにすぎないものであって、本件商標と同一の称呼及び観念のみを生ずるものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、取消請求に係る指定商品に含まれる工業用カーボンブラックに関する広告に本件商標を付して頒布していたものである。 (3)乙第4号証の1及び2は、被請求人が発行したインボイスであり、発行日に関しては、第1頁右上に「Invoice Date」として、それぞれ「06/10/2014」、「07/17/2014」と記載され、2014年6月10日及び7月17日に発行されたものであることが明らかである。 また、「Product Description」(製品明細)の欄には、上段に「CARBON BLACK」の記載があり、下段に「RAVEN 1060 ULTRA」、「RAVEN 780 ULTRA」等の記載がある。なお、カーボンブラックは、粉末状又はペレット状で販売されるのが通常であって、表中、「POWDER」の記載があるのが粉末状、記載がないのがペレット状であることを示している。そのため、商品自体に商標を付することはできず、包装に本件商標が付されている。乙第7号証は、その工業用カーボンブラックの包装に本件商標が付された写真である。 そして、上記商品は、被請求人の工場から、大阪市西区信濃橋三井ビルに所在するWilbur Ellis Co(Japan)Ltd(以下「ウィルバー・エリス」という。)に納品された。 したがって、本件商標権者である被請求人は、要証期間内に、本件商標を使用した工業用カーボンブラックを日本国内の会社に引き渡したということができる。 (4)乙第8号証は、被請求人が発行したインボイスであり、発行日については、第1頁右上に「Invoice Date」として、「07/15/2014」と記載され、2014年7月15日に発行されたものであることが明らかである。また、「Product Description」(製品明細)の欄には、上段に「CARBON BLACK」の記載があり、下段に「RAVEN 1060 ULTRA POWDER」、「RAVEN 2500 ULTRA」等の記載がある。そして、上記商品は、被請求人から、東京都港区浜離宮インターシティに所在するウィルバー・エリスに納入された。 乙第9号証は、ウィルバー・エリスのウェブサイトの写しであり、「世界最大のカーボンブラック生産量を有するAditya Birla(アディティアビルラ)グループの一員であるコロンビヤン・ケミカルズは100年以上の歴史を持つカーボンブラックメーカーであります。現在アメリカのジョージア州に本社を置き、韓国を始め世界11力国に工場を持ちグローバルでインキ、塗料、プラスチック分野などあらゆるアプリケーションに強い会社であります。」の記載があり、「Raven 2300 Ultra」、「Conductex 7054 Ultra」等、本件商標も使用されていることから、ウィルバー・エリスが、被請求人から、本件商標を使用した商品を継続的に購入している。 (5)乙第10号証の1及び2は、Wilbur-Ellis Companyの子会社であるCONNEL BROTHERS COMPANYが発行したPURCHASE ORDER(注文書)の写しであり、発行日については、右上の「DATE OF ORDER」の欄に、それぞれ「10/08/13」、「05/19/14」と記載され、2013年10月8日、2014年5月19日に発行されたものであることが明らかである。「SUPPLIER」の欄には、被請求人である「COLUMBIAN CHEMICALS COMPANY」が記載されている。 「DESCRIPTION」(明細)の欄には、「RAVEN 1060U POWDER」、「RAVEN 1080U POWDER」の記載があるが、これは、「RAVEN 1060 ULTRA POWDER」、「RAVEN 1080 ULTRA POWDER」を短縮したものである。例えば、乙第8号証の「Product Description」(製品明細)の欄の2行目には、上段に「BIRLA CARBON-R1060UP-CARBON BLACK」、中段に「R1060UP」、下段に「RAVEN 1060 ULTRA POWDER」の記載があり、これらが同一の商品を意味することは明らかである。 また、乙第10号証の1中、「DESCRIPTION」(明細)の欄の下方には、「1080UP:300G ×2 BOTTLES(FOR MITSUBISHI PENCIL)「1060UP:300G ×4 BOTTLES(FOR DAINICHI SEIKA AND MITSUBISHI PENCIL」の記載があり、「RAVEN 1060 ULTRA POWDER」、「RAVEN 1080 ULTRA POWDER」という商品が、大日精化及び三菱鉛筆向けのものであることは明らかである。さらに「SHIP TO ADDRESS BY COURIER」の下に「OGURA SOKO CO.LTD」とあり、株式会社小倉倉庫(以下「小倉倉庫」という。)のウェブページをみると、主要取引先の1つに、該商品の納入先である「ウィルバー・エリス」があることから、該商品は、埼玉県八潮市大曾根210番地に所在する小倉倉庫に送られたものである(乙11)。 (6)乙第12号証は、BILL OF LADING(船荷証券)の写しであり、発送日については、第1頁右上に「SHIP DATE」として、「11/19/13」と記載され、2013年11月19日に発送されたものであることが明らかである。また、「DESCRIPTION」(明細)の欄には、「RAVEN 1060 ULTRA POWDER」、「RAVEN 1080 ULTRA POWDER」等の記載がある。さらに、「CARRIER INSTRUCTIONS」の欄に「CONNEL」、「JAPAN」の記載があることから、該商品がCONNEL BROTHERS COMPANYの指示により、日本に送られたものである。 以上から、本件商標権者である被請求人が、要証期間内に、本件商標を使用した工業用カーボンブラックを、日本の会社に、継続的に譲渡し引き渡していたということができる。 2 まとめ したがって、本件商標権者が、本件商標を、要証期間内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用していることは明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る乙各号証及びその主張によれば、以下のとおりである。 (1)乙第1号証は、「BIRLA CARBON SPECIALTY BLACKS」及び「Raven and Conductex Products for Specialty Applications」と記載された商品カタログ(写し、抜粋)であるところ、3葉目には、「SPECIALTY CARBON BLACK APPLICATIONS」(特殊カーボンブラックの用途)の見出しとともに、被請求人提出の訳文によれば、「特殊ブラックは、コーティング、印刷用インク、プラスチック、シーリング材を含む広範囲の用途がある。」旨を内容とする記載と、「ULTRA(R)」の商標とともに、「CARBON BLACKS」の記載がある。 そして、4葉目には、「GLOBAL SPECIALTY BLACKS PRODUCT PORTFOLIO」の見出しの下、「Raven and Conductex Products」の欄に、「Raven 1080 Ultra」、「Raven 1060 Ultra」の記載があり、右下に「Rev 04/2014」の記載がある。さらに、5葉目の下部には、被請求人提出の訳文によれば、「Birla Carbonは、コロンビヤン ケミカルズ カンパニー及びその全世界の提携会社を意味するものであって、コロンビヤン ケミカルズ カンパニーが支配する又は共通の支配下にあるいかなる会社も含まれる。」旨を内容とする記載がある。 そして、被請求人は、「Birla Carbon」は、被請求人が使用しているトレードネームである旨を主張している。 (2)乙第6号証の1は、2015年12月8日付けのNUCの製品技術開発研究所所長B作成の書面(写し)であり、(ご確認内容)に、「去る2014年7月8日に、Birla Carbon Japan(株)日本代表Aとの神奈川県川崎市川崎区浮島町8番1号における面談の際、“Birla Carbon Specialty Blacks”brochureを確かに受領、説明を受けたことを証明いたします。」の記載がある。 乙第6号証の2は、2015年12月8日付けの大日精化の合樹・着材第2技術本部本部長D作成の書面(写し)であり、(ご確認内容)に、「去る2014年8月21日に、Birla Carbon Japan(株)代表Aとの東京都足立区堀の内1-9-4における面談の際、“Birla Carbon Specialty Blacks”brochureを確かに受領、説明を受けたことを証明いたします。」の記載がある。 そして、これら書面には、乙第1号証と同様の商品カタログ(写)が添付されている。 (3)乙第8号証は、「Invoice No」及び「Invoice Date」が「5100000191」及び「07/15/2014」とする「コロンビヤン ケミカルズ」から「ウィルバー・エリス」に宛てた「COMMERCIAL INVOICE」(商業送り状)の写しであり、「Product Description」(Customer Item ID)の欄には、「BIRLA CARBON-R1060UP-CARBON BLACK」、「R1060UP-11005P」、「RAVEN 1060 ULTRA POWDER-25 LB PAPER BAG(KHAKI)」等の記載がある。(4)乙第12号証は、「SHIPPERS NUMBER」及び「SHIP DATE」が「00094877021」及び「11/19/13」とする「コロンビヤン ケミカルズ」からCONNEL BROTHERS COMPANYの指示による日本宛のBILL OF LADING(船荷証券)の写しであり、「DESCRIPTION」(製品明細)の欄に、「R1060UP-1402」、「RAVEN 1060 ULTRA POWDER-25 LB PAPER BAG(KHAKI)」、「CARBON BLACK、NOI」等の記載がある。 (4)乙第1号証の5葉目、乙第6号証の1及び2、並びに乙第8号証には、「ADITYA BIRLA」の欧文字、図形及び「BIRLA CARBON」の欧文字について、同一のものがそれぞれ表示されている。 2 以上の事実を総合すれば、以下のとおり判断することができる。 (1)使用者について 上記1(1)によれば、乙第1号証の商品カタログの表紙及び裏表紙に表示される「BIRLA CARBON」は、被請求人である本件商標権者及びその全世界の提携会社を表すものであり、上記1(3)及び(4)によれば、同カタログに掲載された商品を日本に輸出しているのが本件商標権者であることから、同商品カタログは、本件商標権者の作成にかかるものとみて差し支えないものといえる。 (2)使用時期及び使用場所について 上記1(1)によれば、乙第1号証の商品カタログの4葉目の右下に「Rev04/2014」の記載があることから、同カタログは、2014年4月に作成されたものと認められる。 また、同カタログは、英語によるカタログではあるが、上記1(3)及び(4)によれば、本件商標権者は、カタログに掲載された商品を日本に輸出しており、しかも、上記1(2)によれば、NUCの製品技術開発研究所所長のBが、本件商標権者のセールスエージェントであるビルラカーボンジャパンのAから、2014年7月8日に同カタログを受領、説明を受けた旨、同じく、大日精化の合樹・着材第2技術本部本部長のDが、Aから、2014年8月21日に同カタログを受領、説明を受けた旨述べていることから、同カタログは、当該期間に日本国内で頒布されたといえる。 そして、同カタログを作成した2014年4月並びに同カタログを頒布した2014年7月8日及び同年8月21日は、いずれも要証期間内といえる。 (3)使用商品について 上記1(1)の本件商標権者の商品カタログに掲載された「CARBON BLACKS」の記載内容によれば、コーティング、印刷用インク、プラスチック、シーリング材を含む広範囲な工業用としての用途があるものといえるから、該商品は、本件審判の請求に係る指定商品中の「工業用カ?ボンブラック」に含まれる商品と認められる。 (4)本件商標と本件使用に係る商標の同一性について 本件商標は、「ULTRA」の欧文字を書してなるものであり、上記1(1)によれば、本件商標権者の商品カタログ(乙1)には、「ULTRA」とともに、「CARBON BLACKS」が表示されているところ、「CARBON BLACKS」は、使用している商品の普通名称であり、自他商品の識別標識として機能している「ULTRA」の文字は、本件商標と同一の商標と認められる。 (5)小括 以上のとおり、本件商標権者は、要証期間内に本件審判の請求に係る指定商品中の「工業用カーボンブラック」に含まれる「CARBON BLACK」(カーボンブラック)を掲載した商品カタログについて、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものであり、本件商標権者による上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものと認められる。 (6)まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者がその請求に係る指定商品中の「工業用カーボンブラック」に含まれる「CARBON BLACK」(カーボンブラック)について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-03-04 |
結審通知日 | 2016-03-09 |
審決日 | 2016-03-23 |
出願番号 | 商願昭61-114209 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y01)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 厚子 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 平澤 芳行 |
登録日 | 1996-03-29 |
登録番号 | 商標登録第2712839号(T2712839) |
商標の称呼 | ウルトラ |
代理人 | 五十嵐 和壽 |
代理人 | 曾我 道治 |
代理人 | 坂上 正明 |
代理人 | 岡田 稔 |
代理人 | 鈴木 昇 |