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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1317266 
異議申立番号 異議2016-900010 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-12 
確定日 2016-07-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5798612号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5798612号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5798612号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成27年4月24日に登録出願され、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同年9月1日に登録査定、同年10月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第443755号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2005年(平成17年)3月3日に国際商標登録出願(事後指定)、第12類「Motor cars and parts thereof.」を指定商品として、平成18年9月22日に設定登録され、その後、2009年(平成21年)2月24日に国際登録の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由の要旨
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである旨申し立て、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標の態様について
本件商標は、別掲1のとおり、図案化された黒色の「JET」の欧文字を横書きしてなるものである。
一方、引用商標は、別掲2のとおり、欧文字「Jetta」を横書きしてなるものである。
(2)商標の類似性について
ア 称呼について
本件商標「JET」の語は「噴出、ノズル、噴出物、ジェット機、ジェット気流、?を噴出させる」等の意を表す英語として、我が国に一般に広く知られている(甲3の1及び甲3の3)。
また、我が国では、外国語ではないアルファベット3文字からなる語であっても、3文字全体から生ずる称呼がある場合は、「JES」(ジェス、「日本標準規格」の略)、「JEM」(ジャム、「(国際宇宙ステーションの)日本の実験モジュール」の略)等のように、アルファベット1文字ずつではなく、全体から生ずる称呼で呼び慣わすのが通常である(甲4)。ましてや、本件商標は、「JET」の英単語が広く知られているので、「ジェット」の称呼が用いられる。
一方、引用商標は、「JET」(ジェット、「上着」等の意)、「Jealousy」(ジェラシー、「嫉妬」等の意)、「Jelly」(ジェリー、「ゼリー」等の意)(甲3の1及び甲3の2)、外来語として我が国においてもそのまま使われている語の発音に倣い、「イェッタ」ではなく「ジェッタ」と称呼されるとみるのが妥当である。
そこで、本件商標から生ずる称呼「ジェット」と引用商標の称呼「ジェッタ」を比較すると、両者は、促音「ッ」を含めて3音とその音数が共通するものであって、その違いは、音の差異を聞き分けがたい、促音に続く語尾の「ト」と「タ」の1音を異にするに過ぎない。「ト」も「タ」も同じタ行に属し、それぞれの母音「オ」及び「ア」は近似する音となる。アクセントは、両者とも語頭音且つ促音の前音でもある「ジェ」にあり、この音が強く聴覚される。そうなると、両者は、全体の音質や音調が近似しているので、時と所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象から、互いに相紛れるおそれのある類似の商標である。
イ 観念について
本件商標からは、上記アで述べたとおり、「噴出、ノズル、噴出物、ジェット機、ジェット気流、?を噴出させる」等の意を有する。
引用商標は、ドイツ語の「ジェット気流」又は「小惑星帯の小惑星544番、ハイデルベルクの伝説的人物」の意を有する(甲5及び甲6)が、小惑星帯の中に数多くある小惑星の1つやドイツの1都市の伝説的人物の知名度が、我が国において、特に商品「自動車」の需要者にとって、それほどあるとは到底考えられないから、「ジェット気流」の観念が生じる。
したがって、本件商標と引用商標は、観念において同一又は類似するものである。
ウ 外観について
本件商標と引用商標は、その外観においては異なるものである。
エ 商標の類似性について
したがって、本件商標と引用商標は、その外観において違いがみられるものの、称呼及び観念が同一又は類似するものであるから、両者は類似の商標というべきものである。
(2)引用商標の周知著名性
ア 申立人は、申立人が製造・販売する商品「自動車」の車種名として、1979年9月に、引用商標の使用を開始した(甲7)。
引用商標を付した申立人の自動車は、日本には1981年より正規輸入され(甲8)、日本では一旦引用商標を使わなくなったものの(北米では継続して使用)、2006年からは、一部地域を除いて、日本を含む全世界で、再び引用商標を自動車について使用している(甲7及び甲8)。
イ 引用商標を付した自動車は高い人気を得ており(甲9)、2013年の全世界販売台数は92万5千台と申立人のラインナップの中では最も販売台数が多かった車種であり、また2014年4月時点での世界総販売実績は1400万台以上にも達している(甲10)。
ウ 我が国においても、継続的に雑誌やインターネット記事で特集が組まれており(甲11ないし甲13)、「Jetta」「ジェッタ」といえば申立人の製造・販売する自動車であると、広く一般に認識されるに至っている(甲14)。
エ 「Jetta」は、申立人の子会社「フォルクスワーゲン グループ ジャパン 株式会社」が全国的に展開するディーラーを始めとして、自動車を取り扱う販売店(中古車販売店を含む)にて現在に至るまで販売されているのみならず、販売された車は、「Jetta」のマーク(商標)が付された状態で市中を始め日本各地で使用され走行し、また、駐車場等に置かれていることからすれば、需要者・取引者のみならず一般人も目にするところであり馴染みのあるものとなっている。
オ 以上の事実からすれば、引用商標は、申立人が商品「自動車」について長年使用し、本件商標登録出願日前には、需要者間において、申立人の取扱いに係る商品を表示する商標として広く認識され周知著名となっていた。
(3)指定商品について
本件商標の指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」は、引用商標の指定商品「Motor cars and parts thereof.」と同一又は類似するものである。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似し、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似しているので、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 結論
上記のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、ややデザイン化された「JET」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「ジェット」及び「ジェイイーティー」の称呼を生じ、「噴出、噴射」の観念を生ずるものである。
2 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「Jetta」の欧文字からなるものであるが、該文字は、「ジェット気流」の意味を有するドイツ語であるとしても、我が国でのドイツ語の普及度を考慮すると本件指定商品の需要者間に馴染まれた語であるとは認められないから、一種の造語として認識され、一般的に、特定の意味を有さない欧文字からなる造語にあっては、我が国において親しまれた外国語である英語読み又はローマ文字読みをもって称呼されるとみるのが自然であるから、引用商標は、その構成文字に相応して「ジェッタ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
3 本件商標と引用商標の類否
(1)称呼について
本件商標より生ずる「ジェット」の称呼と引用商標より生ずる「ジェッタ」の称呼を比較すると、両称呼は、前半部において「ジェッ」の音を共通にし、語尾において「ト」と「タ」の音の差異を有するものである。
しかして、その差異音「ト」(to)と「タ」(ta)の音は、子音(t)を共通にするとしても、母音「o」と「a」は明瞭に聴取されるものであり、その音構成は、促音を含めても3音という短い音構成であることとも相俟って、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、称呼上相紛れるおそれはない。
次に、本件商標より生ずる「ジェイイーティー」の称呼と引用商標より生ずる「ジェッタ」の称呼とを比較すると、両称呼は、その構成音及び構成音数に明らかな差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、称呼上相紛れるおそれはない。
(2)外観及び観念について
本件商標と引用商標とは、別掲1及び2のとおりの構成からなるから、外観において異なるものであり、観念においても本件商標から「噴出、噴射」の観念が生ずるのに対し、引用商標からは特定の観念が生じないものであることから、両者を比較することはできず、外観及び観念においても相紛らわしい商標ということはできない。
(3)小括
以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 申立人の主張について
申立人は、引用商標「Jetta」は、申立人が商品「自動車」について長年使用し、本件商標登録出願日前には、需要者間において、申立人の取扱いに係る商品を表示する商標として広く認識され周知著名となっていた旨主張し、甲第7号証ないし甲第14号証を提出している。
しかしながら、甲第10号証は外国語によるものであって日本語の訳文等がないものであるから、その内容は明確でなく、甲第11号証ないし甲第13号証の雑誌には特集が組まれていたとしても、それらは主に自動車愛好家やモータースポーツファンを対象とするものであるから、限られた範囲の需要者であって、また、引用商標に関し、我が国における商品の販売数量などの取引実績を客観的に把握し得る証左や、新聞、雑誌等による広告内容や広告費等についての実情を具体的及び量的に把握し得る証左は提出されていないから、申立人の提出にかかる証拠をもって、引用商標が申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
5 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標




2 引用商標





異議決定日 2016-07-08 
出願番号 商願2015-40421(T2015-40421) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W12)
T 1 651・ 262- Y (W12)
T 1 651・ 261- Y (W12)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 小松 里美
今田 三男
登録日 2015-10-09 
登録番号 商標登録第5798612号(T5798612) 
権利者 株式会社ジェット・イノウエ
商標の称呼 ジェット、ジェイイイテイ 
代理人 梶 俊和 
代理人 田崎 恵美子 
代理人 丹羽 宏之 
代理人 江崎 光史 
代理人 佐久間 洋子 
代理人 中村 英子 

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