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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
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審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
管理番号 1317237 
異議申立番号 異議2015-900270 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-08-21 
確定日 2016-06-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5765598号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5765598号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5765598号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ORI」の欧文字を標準文字で表してなり、2014年6月17日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成26年12月9日に登録出願、第10類「血液性状・組織特性・脈拍数・脳機能・呼吸特性をモニター及び測定するための患者モニター及び患者センサーを含む医療用機器,医療用機械器具」を指定商品として、平成27年4月14日に登録査定、同年5月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標3件は別掲1ないし別掲3のとおりである。以下、引用各商標を「引用商標1」などといい、引用商標1ないし引用商標3を総称する場合は、「引用商標」という。
なお、引用商標1及び引用商標2の商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

第3 申立て理由要旨
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として第1号証ないし第95号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標の著名性
(1)申立人及びその商品の歴史と事業展開について
申立人は、1945年(昭和20年)にドイツに設立され(2号証)、内視鏡、医療用インスツルメント及び各種装置の製造・販売の分野において、本国ドイツの他、北米、中南米、欧州、アフリカ、中近東、アジアの合計41か国に拠点を置き、事業を展開している。申立人が取扱う医学、獣医学、工業用内視鏡関連の器具のラインナップは、15,000品目以上にも達している(2号証)。
日本では、1995年(平成7年)から事業を営んでいる(3号証)。
(2)申立人の著名性について
申立人は、内視鏡及び最小侵襲手術の分野において医療機器業界の発展に大きく貢献してきており、外科内視鏡市場におけるシェアが世界第1位であること(4号証)、長年にわたり数多くの医療に関する会議に参加し(17号証)、他の参加者と交流してきたこと及び医療団体を医療機器技術の面で支援してきていること(19号証)から、日本を含む世界各国の医療業界及び学会において既に著名になっている。
(3)申立人手術室(OR1)等の普及状況と優秀性について
ア 最小侵襲手術の手法が開発された1990年代、申立人は、当該手術用の統合型手術室「OR1」を開発し(14号証)、それ以来、当該手術室を構成する機械器具その他の医療用機械器具について文字「OR1」を含む商標を継続的に使用してきた(21号証)。当該使用は遅くとも2000年(日本においては2001年)から行われている(22号証)。
イ 2011年の時点で、引用商標使用手術室の全世界設置数は3000室(26号証)であり、2014年5月の時点で、引用商標使用手術室の全世界設置数は4000室(27号証)であり、申立人手術室(OR1)を含む申立人製品(OR1)は、世界中の事業者によって提供されてきた(15号証、28号証ないし43号証)。そして、申立人は、医療機器(OR1)のカタログをウェブサイト上に掲載しており(44号証)、海外向けのカタログ、パンフレットにも掲載されている(45号証)。
これらの資料は、外国語で提供されているが、情報技術が発達した現代においては、機械翻訳が容易になっているから、申立人製品(OR1)は日本の需要者の間において広く認識されている。
ウ 申立人手術室(OR1)は、手術室内環境とIT関連機器を統合することで手術環境と操作・制御の簡素化・最適化を実現し、それにより医療関係者の業務負担を軽減するという優れた機能を備えているものであり(46号証、47号証)、申立人の代表的な製品であって(48号証)、効率の良い直観的な操作、データの容易な取得とドキュメンテーション、手術室内外とのスムーズなデータ交換の3つの要素を強みとしている(49号証)。申立人製品(OR1)は今日までに日本を含む世界各国で広く受け入れられてきた(50号証?58号証)。
エ 医療関連団体や学会による申立人手術室(OR1)の紹介文も数多く見受けられる(59号証?62号証)。また、申立人手術室(OR1)を導入している多くの医療機関は、その旨を自己のウェブサイトに掲載している(63号証?67号証)。これらの資料から、申立人手術室(OR1)は持ち主である医療機関を広告宣伝し、同業者と差別化するのに役立つと認識されている。
そして、申立人手術室(OR1)の導入に関するニュース記事等も多く(68号証?79号証)、申立人の同手術室が著名になっていることは明らかである。
(4)申立人手術室(OR1)等に係る事業実績について
申立人は、多数の事業者と提携関係を結ぶ等して申立人製品(OR1)に関する技術を活用した事業を幅広く展開してきている(76号証、80号証?92号証)。
例えば、Siemens AGやKSL Martin GROUPといった日本を含む世界各地に拠点を有する世界的に有名な企業と統合型手術室システムについて提携した(81号証、82号証)。このことは、申立人手術室(OR1)及び申立人製品(OR1)が有益な製品として世界中の事業者から信頼を得ていることを示すと同時に、引用商標の著名性を裏付けている。
(5)その他
申立人手術室(OR1)は、各国首脳に紹介されている(27号証、93号証、94号証)。また、申立人手術室(OR1)を含む申立人製品(OR1)は多くの書籍においても紹介されている(95号証)。
(6)まとめ
上記各事実から、引用商標が、本件商標の出願日及び登録査定日において、日本を含む世界各国にて広く認識されていたことが理解できる。
2 商標の類似について
(1)本件商標は「ORI」を標準文字で表してなる商標である。
一方、引用商標1は、欧文字「OR1」を、黒色の正方形の図形を背景として白抜きにした商標であり、「OR」を「1」よりも約半文字分上に配し、「R」の右下端と「1」の左上端を白色の線で結んだものである。
引用商標2は、欧文字「OR1」と「NEO」をシンプルな書体で書し、横並びに配した商標である。引用商標3は欧文字「OR1」を一般的な書体で横書きにしてなる商標である。引用商標2において、「NEO」は「新しい」を意味する親しまれた語であって、新商品であること等、商品の内容が新しいことを示す用語として一般に使用されている。したがって、引用商標2の「NEO」の部分は識別力が弱く、要部は「OR1」であると言える。ここで、欧文字「OR1」と「NEO」は離間されて構成されている上、大きさが異なるため、「OR1」は分離して認識される可能性がある。
(2)本件商標「ORI」は、引用商標1及び引用商標3並びに引用商標2の要部と最初の2文字「OR」が共通し、末尾の「I」と「1」は見た目が相紛らわしく、引用商標1及び引用商標3並びに引用商標2の要部と同様に文字間隔が等しく構成されていることから、外観的にその印象が極めて接近している。
したがって、本件商標は引用商標に外観的に類似する。
(3)引用商標1及び引用商標3並びに引用商標2の要部からは、「オオアアルイチ」又は「オオアアルワン」といった称呼が生じる。上記(2)で述べたように、本件商標の構成文字「I」は数字の「1」と外観上相紛らわしい。その上、「I」はローマ数字の「1」を意味することもある。
したがって、本件商標からも同一の称呼「オオアアルイチ」又は「オオアアルワン」が生じ得る。
(4)そして、本件商標と引用商標1及び引用商標3並びに引用商標2の要部は、いずれも特定の意味を有しない造語であるため観念上は比較できず、観念は類否判断に影響を与えない。
オ よって、本件商標は、引用商標と称呼及び外観上類似する商標であり、観念は類否判断に影響を与えないため、両商標は全体として類似である。
3 商品の類否及び関連性について
本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一又は類似である。本件商標の指定商品「・・・医療機器,医療機械器具」には、引用商標が使用されている、申立人手術室(OR1)を含む申立人製品(OR1)が含まれる。
4 出所の混同のおそれについて
前記1で述べたように、本件商標の指定商品の分野において引用商標は、その出願日及び登録査定日に我が国の需要者の間に広く認識されていた。これに加えて、前記2の商標の類似性及び前記3の商品の類似性及び関連性を考慮すれば、本件商標に接する需要者が、本件商標は申立人の出所表示であるとして誤認するおそれ(狭義の混同)、若しくは、申立人商品のシリーズ商品等のように、申立人の業務と何らかの関係があると認識して出所を混同するおそれがある(広義の混同)。
本件商標と引用商標が使用される商品分野「医療用機器」は、衣服類等の日用品とは異なり、人間の健康や生命に直結する商品であり、誤認・混同を生じることが決して許されない特別な商品分野であるといえる。このような「医療用機器」等の特殊性を考慮すると、医療用機器等の分野については、誤認・混同の生じるおそれの範囲は、需要者・取引者の保護のためにも、他の商品分野よりも広く解釈するべきである。
5 不正の目的について
前記1で述べたように、本件商標の指定商品の分野において引用商標は、その出願日に既に日本又は外国の需要者の間で広く認識されていた。また、前記2及び3で述べたとおり、本件商標は引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定商品は申立人の商品と同一又は類似する商品である。そうすると、本件商標が既成語でないことも相まって、本件商標の出願人が、このような本件商標を共通する商品分野について偶然採用したとは考え難い。
したがって、本件商標の出願人が、引用商標の著名性にフリーライドするという不正の目的をもって本件商標の出願をしたことが自然と推認できる。
6 小括
(1)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。また、本件商標は引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一又は類似する。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は引用商標1と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標1に係る商品と同一又は類似する。また、引用商標1は申立人の先願先登録商標である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標の著名性のため、本件商標に接する需要者は申立人の業務と何らかの関係があると認識して出所を混同するおそれがある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、外国又は日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。また、本件商標は引用商標と類似する商標であり、かつ、本件商標は不正の目的をもって出願されたことが容易に推認出来る。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
7 むすび
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
甲各号証及び申立人の主張によれば、申立人は、1945年(昭和20年)にドイツに設立され、内視鏡、医療用の各種装置の製造・販売の分野において、世界41か国に拠点を置き、事業を展開しているものであり(2号証)、日本では、1995年(平成7年)から事業を営んでいる(3号証)。そして、申立人が取扱う医学、獣医学、工業用内視鏡関連の器具は、15000品目以上にも達している(2号証)。そして、遅くとも2000年(日本においては2001年)から手術室の各種機械器具その他の医療用機械器具について「OR1」の文字を含む商標を継続的に使用してきたこと(21号証、22号証)、ウェブサイトに2010年ころから継続して外科用内視鏡を含む手術室で使用される医療用機械器具について引用商標1及び引用商標3を使用したカタログを掲載していること(44号証、45号証)、申立人手術室(OR1)とは、手術室内環境とIT関連機器を統合することで手術環境と操作・制御の簡素化・最適化を実現するための機器であること(46号証)、申立人手術室(OR1)は、申立人の代表的な製品であり(甲48)、今日までに世界各国で広く受け入れられてきたこと(50号証?58号証)、2014年5月の時点で引用商標使用手術室の設置数は全世界で4000室を超えていること(27号証)、医療関連団体や学会による申立人手術室(OR1)の紹介文も数多く見受けられること(59号証?62号証)及び外科用内視鏡(硬性内視鏡)市場におけるシェアが世界第1位であること(4号証)などが認められる。
以上によれば、引用商標1及び引用商標3は遅くとも本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、外科用内視鏡を含む手術室で使用される医療用機械器具について、我が国及びドイツなどの外国における取引者、需要者間において広く知られていたものと認められる。
なお、引用商標2は、その使用事実を示す証拠が少なく、その周知性を認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「ORI」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成は、同じ書体、同じ大きさにより等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、また、該文字は、特定の意味を有しない造語と認められるものであるから、その構成文字全体に相応して「オオアールアイ」又は「オリ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、本件商標構成中の「I」の文字部分はローマ数字の「1」を意味することもあるとして、本件商標からも「オオアアルイチ」又は「オオアアルワン」の称呼が生じ得る旨主張する。
しかし、本件商標における「I」の文字は、明らかに欧文字である「O」及び「R」に続いて一体に表されており、これらと同様、欧文字の「I」を表すものと解されるとみるのが自然であるし、本件商標が標準文字によるものであり、商標法第5条第3項に規定する標準文字にローマ数字は指定されていないことを踏まえると、欧文字三文字からなるとみるのが相当であるから、この点に関する申立人の主張は採用することができない。
一方、引用商標は、別掲1ないし別掲3のとおりの構成からなるところ、
引用商標1からは、その構成文字に相応して「オオアールワン」又は「オオアールイチ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものであり、引用商標2からは、構成文字全体に相応した「オオアールワンネオ」又は「オオアールイチネオ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものであり、その構成中、「OR1」の文字部分と「NEO」の文字部分とが分離して看取されることから、構成中の「OR1」の文字部分から「オオアールワン」又は「オオアールイチ」の称呼が生じ、特定の観念を生じない。また、引用商標3からは、構成文字に相応して「オオアールワン」又は「オオアールイチ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
本件商標が全ての文字を横一列に同じ高さで表されているのに対して、引用商標1は、黒地正方形内に白抜きで「OR」を横書きしその右に白抜きで「1」よりも約半文字分下に配して「R」の右下端と「1」の左上端を白色の縦線で結んだ構成からなるものであるから、その外観において、顕著な差異を有し、本件商標と引用商標1は、その構成文字及び構成態様において明らかに異なる。
したがって、本件商標と引用商標1とは、外観上互いに紛れるおそれはない。
引用商標2は、「OR1」の文字を小さく横書きし、その右に1文字相当の間隔を空けて大きく「NEO」の文字を横書きしてなるものであるから、本件商標と引用商標2全体とは、その構成文字及び構成態様において明らかに異なる。そして、引用商標2は、「OR1」の文字部分と「NEO」の文字部分とが、文字の大きさが異なる上に、やや離れた位置にあることから、それぞれの文字が分離して認識される場合も少なくないといえるものであるが、本件商標と引用商標2の「OR1」の文字部分との比較においても、第3文字におけるアラビア数字の「1」と欧文字の「I」との相違において、主に、専門的な高い知識を有する者により、商品の構造、機能、使用方法等を総合して検討し、慎重に取引される両商標の指定商品における取引者、需要者が通常払うべき注意力をもってすれば、両商標を見誤るおそれはないというべきである。
また、引用商標3と本件商標とは、冒頭2文字が「OR」で共通するが、第3文字がアラビア数字の「1」と欧文字の「I」を表示するものであって、それぞれの上端部の相違からすれば、本件商標の該文字部分が欧文字の「I」を表したものと、また、引用商標3の該当部分がアラビア数字「1」を表したものと容易に理解されるものであるから、両者は外観上十分区別することができ、外観において互いに相紛れるおそれはない。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観において互いに紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「オオアールアイ」の称呼と引用商標1及び引用商標3から生じる「オオアールワン」又は「オオアールイチ」の称呼とを対比すると、「オオアールアイ」の称呼と「オオアールワン」又は「オオアールイチ」の称呼とは、語頭において「オオアール」の部分を共通にするが語尾において「アイ」と「ワン」又は「イチ」との音が相違し、「オリ」の称呼と「オオアールワン」又は「オオアールイチ」の称呼との比較においても、それぞれの構成音、音数が相違するから、十分聴別することができるものである。
また、本件商標から生じる「オオアールアイ」の称呼と引用商標2から生ずる「オオアールワンネオ」又は「オオアールイチネオ」との対比においても、後半の「アイ」と「ワンネオ」又は「イチネオ」との音が相違し、「オリ」の称呼との比較においても、それぞれの構成音、音数が相違するから、十分聴別することができるものであり、また、引用商標2から「オオアールワン」、「オオアールイチ」又は「ネオ」の称呼が生じるとしても、本件商標から生じる「オオアールアイ」と「オオアールワン」又は「オオアールイチ」とは、語尾において「アイ」」と「ワン」又は「イチ」との音が相違し、「オリ」の称呼との比較においても、それぞれの構成音、音数が相違するから、十分聴別することができるものであって、称呼において互いに紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念を総合的に勘案すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、引用商標1及び引用商標3が外科用内視鏡について周知性を有するとしても、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、引用商標1及び引用商標2とは、上記2のとおり、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号の該当性について
引用商標1及び引用商標3が我が国において外科用内視鏡について著名性を有するとしても、上記2のとおり、本件商標とは、非類似の商標であって、別異の商標であるから、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者・需要者において、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号の該当性について
申立人は、本件商標が本号に規定する「不正の目的」をもって使用するも
のに該当する理由として、引用商標が外国又は日本国内の需要者の間に広く認識された商標であること及び本件商標が引用商標と類似する商標であることから本件商標は不正の目的をもって出願されたことが推認できると主張するところ、引用商標1及び引用商標3が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、外科用内視鏡等について、その取引者、需要者間において広く知られていたとしても、本件商標と引用商標とは、類似しない別異の商標である。
そうすると、本件商標は、商標権者がその指定商品について使用することが、引用商標の周知性ただ乗りする等の不正の目的をもって使用されるものであるということはできない。
その他、申立人は、商標権者が不正の目的をもって使用するものであるとする具体的な理由を主張、立証していない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第43条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号の規定のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲

1 引用商標1
(1)登録番号 商標登録第4442103号
(2)商標


(3)指定商品及び区分
第10類「手術用機械器具,その他の医療用機械器具」
(4)手続の経緯
出願日 平成12年5月17日(優先権主張 ドイツ 1999年11月18日)
登録日 平成12年12月22日

2 引用商標2
(1)登録番号 国際登録第1068808号
(2)商標


(3)指定商品及び区分
第9類「Apparatus for recording, transmission or reproduction of sound or images; data processing apparatus and computers; computer peripheral devices; computer hardware; computer programs; magnetic data carriers; optical apparatus and instruments; cameras, microscopes; remote control apparatus; electronic publications (downloadable).」
第10類「Surgical, medical, dental and veterinary instruments and apparatus with the exception of dental treatment chairs. 」
第16類「Printed matter; teaching and instruction means, excluding apparatus; brochures, catalogues; photographs.」
(4)手続の経緯
国際登録日 2011年1月25日( 優先権主張 ドイツ 2010年7月30日)
国内登録日 平成23年10月28日

3 引用商標3
申立人使用商標
「OR1」を横書きしたもの(第3文字にはベースライン・セリフがある。)
申立人主張の使用商品
手術用機械器具,その他の医療用機械器具







異議決定日 2016-06-17 
出願番号 商願2014-103799(T2014-103799) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W10)
T 1 651・ 25- Y (W10)
T 1 651・ 262- Y (W10)
T 1 651・ 222- Y (W10)
T 1 651・ 263- Y (W10)
T 1 651・ 271- Y (W10)
最終処分 維持  
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 小松 里美
今田 三男
登録日 2015-05-22 
登録番号 商標登録第5765598号(T5765598) 
権利者 マシモ・コーポレイション
商標の称呼 オリ、オオアアルアイ 
代理人 久保 怜子 
代理人 行田 朋弘 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
代理人 阿部 達彦 

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