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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X41 |
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管理番号 | 1317223 |
審判番号 | 取消2014-300009 |
総通号数 | 200 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-08-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-12-27 |
確定日 | 2016-07-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5317063号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5317063号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5317063号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成21年10月29日に登録出願、第41類「歯科医師国家資格取得講座における教授」を指定役務として、平成22年4月16日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成26年1月27日である。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第6号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述 (1)被請求人は、請求人に対して予備校の名称として本件商標の無償使用を許諾し、当該許諾に基づき請求人が本件商標を使用してきたなどと主張しているが、被請求人は、請求人の設立時の「取締役」にすぎないものであり、設立当時から現在まで被請求人が請求人の代表者であったことは一度もない(乙1?乙3)。そして、被請求人は、平成21年1月1日に請求人の取締役を辞任した(乙3、甲2)。 そして、「麻布デンタルアカデミー」の名称は、請求人が1988年に創業して以来継続して使用してきたものであるから、請求人が「麻布デンタルアカデミー」の名称を使用するにあたり、請求人以外の第三者からの使用許諾は必要ない。 よって、被請求人から請求人への使用許諾は存在しない。 また、乙第4号証、乙第8号証、乙第10号証ないし乙第13号証は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したとはいえないものであり、本件審判請求の登録前3年(以下「本件要証期間」という。)以内の証拠とはいえないから、請求人が、本件要証期間内に日本国内において「歯科医師国家資格取得講座における教授」について本件商標を使用したという根拠が示されておらず、被請求人の主張は失当である。 (2)被請求人は、平成22年8月1日以降、自己のホームページにおいて、「麻布デンタルアカデミー」の名称で受講生を募り、「麻布デンタルアカデミー」での受講を斡旋していること、事情により予備校に通うことができない受講生に対し、請求人が使用している教材を与えるなどして、本件商標を使用しつつ、それらの受験勉強を支援していること、請求人の役員退任後も、「麻布デンタルアカデミー」の特別顧問ないし相談役として活動していることを主張しているが、乙第6号証には、「麻布デンタルアカデミー」での受講を斡旋しているとの記載はどこにもなく、また、請求人が、被請求人から、そのような斡旋を受けた事実もないものであり、乙第6号証は被請求人の個人プロフィール(自己紹介)を示すためのサイトにすぎず、何らの斡旋業の広告を示したサイトではなく、同号証に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の表示はない。 また、乙第8号証は、被請求人の使用であることを示す根拠はなく、乙第9号証ないし乙第11号証における「麻布デンタルアカデミー」の横文字は「書籍」の出所を示す態様で使用されたにすぎないものであり、デザイン文字である本件商標とは、同一でなく、また、社会通念上同一でもない。乙第12号証における「麻布デンタルアカデミー」のデザイン文字の表示が、被請求人の使用であることを示す根拠はなく、その記載がいつなされていたものかが明らかではない。 よって、被請求人は、事情により予備校に通うことのできない受講生に対し、請求人が使用している教材を与えるなどして、本件商標を使用しつつ、それらの受験勉強を支援しているとの被請求人の主張は失当である。 (3)被請求人は、乙第14号証及び乙第15号証に基づき、大学歯学部の現役学生に対して、歯科医師国家試験受験のための講義をしている旨を主張するが、本件商標が使用されたか否か、あるいは、本件商標が使用された場合にどのような態様で使用されたのかを具体的に主張するものではない。 また、被請求人は、乙第5号証に基づき、自分の名刺に「麻布デンタルアカデミー相談役」「明海大学歯学部講師」として第三者に提供していると主張するが、乙第5号証は同名刺の存在を示すにすぎず、本件審判請求に係る指定役務「歯科医師国家資格取得講座における教授」についての使用事実を何ら推認させるものではない。 よって、被請求人が本件審判請求に係る指定役務に本件商標を使用した事実は存在せず、乙第5号証、乙第14号証及び乙第15号証に基づく被請求人の主張は失当である。 (4)以上のとおり、本件商標は、本件要証期間内に日本国内において、商標権者、専用実施権者又は通常実施権者の何れかが本件請求に係る指定役務の何れかについて使用した事実はない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第32号証を提出している。 1 請求人及び被請求人について 請求人は有限会社千乃を組織変更した株式会社であるところ(乙1?乙3)、有限会社千乃は被請求人が全額出資して設立したものであり、山藤千代子は名目上の代表取締役にすぎず、実質的な請求人の経営は全て被請求人が行っていた。歯科医師国家試験予備校を開設したのも被請求人の発意によるものであり、それは、被請求人の弟からの助言と、被請求人に歯学博士の友人がいたことをきっかけとするものであった。予備校に「麻生デンタルアカデミー」と名付けたのも被請求人である。そして、被請求人は、平成21年1月に請求人の取締役を辞任し、平成22年2月に昭和育英会の理事を辞任した(乙3、乙16)。 2 請求人に対する本件商標の使用許諾について 請求人は、「麻布デンタルアカデミー」の名称で歯科医師国家試験予備校を経営しているところ、その創業者であり、実質的経営者であった被請求人が請求人の営業の表示として使用していたものである。当時は商標権としての効力はないものの、被請求人による営業表示の使用許諾があったというべきであって、請求人は、当該許諾に基づき、本件商標を使用してきたのである。(乙1?乙6) 実質的に見れば、商標登録のない営業表示の使用許諾が、商標登録によって商標権の使用許諾に移行したものというべきであり、商標法50条の使用という観点からすれば、本件商標の通常使用権者による使用と解して差し支えないというべきである。 3 被請求人による本件商標の使用について (1)被請求人は、請求人の役員を退任後も、平成22年8月以降今日まで自身のウェブサイトに「麻布デンタルアカデミー」の相談役と表示し、受講生の進路相談、予備校選びなどの相談に応じる旨を記載している(乙6、乙15)。これは、役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当するというべきである。 また、被請求人は、色々な事情から予備校に通えない受講生に対して、発行者として「麻布デンタルアカデミー」の名称が付されている参考書を使用して、自ら教授している(乙9、乙10、乙15)。これは、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付した物を用いて役務を提供する行為に該当するものというべきである。 さらに、被請求人は、自身の名刺に「麻布デンタルアカデミー相談役」「明海大学歯学部講師」と記載して第三者に提供している(乙5)。これは、役務に関する広告に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為に該当するというべきである。 (2)被請求人は、明海大学から委嘱を受け、平成15年度から平成25年度及び平成26年5月27日に非常勤講師として歯科医師国家試験の受験指導を主な内容とする講義を行っているから、被請求人が本件指定役務を提供した(乙14、乙15、乙21、乙23?乙27、乙29?乙32)。 4 本件商標と使用に係る商標との同一性について 本件商標は、上記第1のとおりの構成であるところ、各証拠に表示されている標章は、いずれも「麻布デンタルアカデミー」の文字からなるものであって、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標である。 第4 当審の判断 1 商標法第50条第1項は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる、と規定しており、同項の審判の請求があった場合においては、被請求人はその取消請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明するか、あるいは、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れないものである(商標法第50条第2項)ことを踏まえて、本件商標について、本件審判請求に係る指定役務における商標の使用について検討する。 本件審判の請求の登録日は、平成26年1月27日であるから、本件審判の要証期間は、平成23年1月27日から平成26年1月26日である。 2 本件商標の使用について、提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 (1)請求人「株式会社千乃コーポレーション」は、昭和50年3月27日に設立された「有限会社千乃」が、平成8年2月23日に組織変更したものであり、「麻布デンタルアカデミー」(東京都港区麻布)を運営している。そして、商標権者は、「株式会社千乃コーポレーション」の取締役を平成21年1月1日に辞任していること、及びその関連法人「医療法人社団昭和育英会」の理事長を平成22年2月1日に辞任していることが認められる。(乙1?乙4、乙16、甲2、甲6) (2)乙第4号証は、「麻布デンタルアカデミー」(東京都港区麻布)について、請求人によって掲載されたウェブサイトであり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されていると認められるが、その掲載日は、少なくとも、当該ウェブサイトの出力である平成22年4月7日以前であるから、本件要証期間前である。なお、商標権者が、乙第4号証には、「特別顧問 医学博士 山藤 武久」の表示、及び乙第6号証(下記(3))には、「現・相談役」等の表示により、「麻布デンタルアカデミー」(東京都港区麻布)の関連をいうので、平成21年1月1日(取締役辞任)以降の商標権者と請求人との関係を確認できる証拠を求めたところ、被請求人は、これを確認できる客観的な証拠を提出していない。 また、乙第8号証は、「麻布デンタルアカデミー」の表示がされたウェブサイトであるところ、その電話番号の表示が乙第4号証に記載された番号の表示と符合することから、請求人の業務に係るウェブサイトであって、その最終更新日時の表示(2014年2月3日)からすると、本件要証期間経過後に掲載されたものと認められる。 (3)商標権者は、そのオフィシャルサイト(乙6)において、平成26年1月17日頃、商標権者自身の経歴を紹介するとともに、進路相談、予備校選びなどを無料で相談に応じること、「麻布デンタルアカデミー 山藤」として平成26年2月に行われる歯科医師国家試験受験者に向けてメッセージを発信していること(以上、2葉目)、請求人及び「麻布デンタルアカデミー」を商標権者が創設したこと(4葉目)、「麻布デンタルアカデミー」の「現・相談役」であること(5葉目)を掲載し、その他に、「麻布デンタルアカデミー」の出版物の企画・製作・販売を行う「株式会社麻布プレス」及びその出版物を紹介している(6葉目)。 しかしながら、当該オフィシャルサイトの記載内容から、商標権者が本件審判請求に係る役務及びその他の知識の教授を提供したことを認めることはできない。 (4)乙第5号証は、商標権者の名刺であるところ、「明海大学歯学部歯学部 講師」の表示から、下記(5)のとおり、講師が委嘱された平成15年度から平成25年度における、いずれかの時期の名刺であることが推認し得るものであり、商標権者が当該大学講師及び麻布デンタルアカデミー相談役であることが表示されているが、その他の提出に係る証拠と併せみても、商標権者が具体的に本件審判請求に係る役務を提供したことは認められない。 (5)商標権者は、平成15年度から平成25年度まで、学校法人明海大学歯学部から講師を委嘱されたこと(乙14、乙25、乙29、乙31、乙32)、平成26年5月27日に講義を行ったこと(乙26、乙27)が認められるものであり、商標権者がその講義で使用したと主張する「講義資料 歯科薬理学 第3回」(乙23)及び「演習問題 歯科薬理学 第3回」(乙24)(以下、これらを併せて、「明海大学資料」という。)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。 しかし、明海大学歯学部証明書(乙14)には、平成15年度から平成25年度までの非常勤講師が商標権者に委嘱されたこと、平成22年4月1日付け明海大学辞令(乙25)には、明海大学歯学部の非常勤講師が平成22年度において商標権者に委嘱されたこと、さらに、平成27年12月9日付け明海大学理事からの書簡(乙29)には、商標権者が、平成22年5月(本件要証期間前)と平成23年2月に明海大学歯学部3年生に対して講義を行ったことが記載されているが、いずれにも、その講義内容は具体的に記載されていない。 そして、平成26年4月1日付け明海大学辞令(乙26)及び平成26年4月30日付けメール送信文書(乙27)により、商標権者は、平成26年度に係る客員講師であったこと及び平成26年5月27日に講義を行ったものといえるが、この時期は、いずれも、本件要証期間経過後である。また、学校法人明海大学のシラバスとする乙第31号証及び乙第32号証には、商標権者が非常勤講師であることが記載されているが、これらは、平成20年度及び平成21年度のシラバスであり、本件要証期間前のものであって、当該シラバスによる商標権者の講義内容「メタボリックシンドローム」と「明海大学資料」の内容に関連性は見当たらず、「明海大学資料」が本件要証期間内に商標権者により使用されたものであることを推認することもできない。 (6)答弁書及び陳述書(乙21)において、商標権者は、歯科医師国家試験の受験指導を自ら行うと主張し、その際に使用するとして提出した乙第9号証、乙第10号証及び乙第11号証(以下「参考書」という。)は、請求人の運営する「麻布デンタルアカデミー」が平成22年5月10日及び同年7月17日に発行した参考書であって、その帯に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。 3 判断 (1)本件商標の使用について ア 商標権者による学校法人明海大学歯学部講師としての使用 商標権者は、本件要証期間が含まれる、平成15年度から平成25年度において、学校法人明海大学歯学部の非常勤講師であったことが認められる。そして、その間、商標権者が歯科医師国家試験の受験指導を主な内容とする同大学講義において使用したと主張する明海大学資料の表紙には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。 しかしながら、明海大学歯学部証明書(乙14)、平成22年度に係る明海大学辞令(乙25)、明海大学理事からの書簡(乙29)には、商標権者による学校法人明海大学歯学部における講義内容が具体的に記載されていないものであり、その他商標権者と学校法人明海大学に係る証拠をみても、本件要証期間内に、商標権者によって歯科医師国家資格取得に係る講義が行われたことを認めることはできない。また、商標権者が、上記講義において、明海大学資料を使用したことを客観的に認めることもできない。 したがって、商標権者が、本件要証期間内に、学校法人明海大学歯学部において何らかの講義を行ったことは認められるが、明海大学資料を使用し、本件審判請求に係る役務を提供したものと認めることはできない。 イ 請求人による使用 被請求人は、請求人が経営する「麻布デンタルアカデミー」の実質的経営者として、請求人に対し、予備校の名称として本件商標の無償使用を許諾していたものであって、請求人は、当該許諾に基づき、本件商標を使用してきたものであるから、請求人は、本件商標の通常使用権者であると主張するが、被請求人の提出に係る証拠において、請求人の業務に係る証拠と認められるものは、平成22年4月頃及び平成26年2月頃の請求人のウェブサイトである乙第4号証及び乙第8号証であるところ、これらは、いずれも、本件要証期間外のものである。また、本件商標についての使用許諾書の提出もない。 そして、その他提出に係る証拠を併せみても、商標権者が請求人の実質的な経営者であったとまで認めることはできないものであり、かつ、商標権者の請求人取締役辞任後において、請求人と被請求人との間に、本件商標に係る黙示の使用許諾を認め得るような営業上、密接な関連性があったものとは認められない。 なお、被請求人は、商標権者の請求人取締役辞任後においても相談役であったとして、商標権者の預金通帳(乙20)を提出しているが、本件要証期間外において、請求人が入金したことを認められるにすぎないものである。 したがって、提出された証拠によっては、請求人が本件商標の通常使用権者であると認めることはできないものであり、また、被請求人は本件要証期間内に、請求人によって、本件商標が使用されたことを証明したものということもできない。 ウ 商標権者による広告及び自らの知識の教授における使用 商標権者は、請求人役員(取締役)退任後も、平成22年8月以降今日まで自身のウェブサイトに「麻布デンタルアカデミー」の相談役と表示し、受講生の進路相談、予備校選びなどの相談に応じる旨を記載したものであり(乙6)、商標権者が、請求人の相談役として、請求人が経営する予備校での受講を勧めることは、実質的にみて予備校での教授と同視できること、また、これは、役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為であること、及び商標権者自身も、色々な事情から予備校に通えない受講生に対して、「麻布デンタルアカデミー」の名称が発行者として付されている参考書を使用して、自ら教授しており(乙9?乙11、乙15)、これは、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付した物を用いて役務を提供する行為に該当する旨、被請求人は主張する。 しかしながら、商標権者のオフィシャルサイト(乙6)において、「麻布デンタルアカデミー創業の経験をふまえて、・・・相談に応じます。」及び「麻布デンタルアカデミー」を紹介する記載が認められるが、仮に、これをもって、商標権者による「麻布デンタルアカデミー」での受講を勧誘する行為及び「麻布デンタルアカデミー」についての広告があったみることができるとしても、いずれにも「歯科医師国家資格取得」のための知識の教授を提供する行為は含まれないものであって、本件審判請求に係る役務とは明らかに異なるものであるというのが相当である。 また、参考書(乙9?乙11)を使用して、自ら本件審判請求に係る役務を提供していると主張する点について、商標権者(被請求人)は、自ら教授する個々の受講者の名前を明らかにすることは、個人情報保護の観点からできないなどと述べるにとどまるものであり、自宅に当該参考書が多数保管されていることのみにより、商標権者が上記参考書を使用して本件審判請求に係る役務を提供したことを、被請求人が立証したものとは認められない。 その他の被請求人の提出した証拠により、商標権者が、本件要証期間内に、自ら「歯科医師国家資格取得講座における教授」を行ったことを認めることはできない。 よって、被請求人の上記主張は、いずれも失当である。 (2)以上によれば、商標権者が、本件要証期間内において、明海大学歯学部において、講師を行ったことは認められるものの、商標権者が、本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を本件審判請求に係る役務に使用したものと認めることはできない。また、通常使用権者又は専用使用権者が、本件要証期間内において、本件商標を本件審判請求に係る役務に使用したものと認めることもできない。 4 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについて使用をしている事実を立証したものとは認められず、かつ、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったものとも認められないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) (色彩は原本参照) |
審理終結日 | 2016-05-17 |
結審通知日 | 2016-05-20 |
審決日 | 2016-06-01 |
出願番号 | 商願2009-82037(T2009-82037) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(X41)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 矢代 達雄 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 藤田 和美 |
登録日 | 2010-04-16 |
登録番号 | 商標登録第5317063号(T5317063) |
商標の称呼 | アザブデンタルアカデミー、デンタルアカデミー、アザブデンタル |
代理人 | 鶴本 祥文 |
代理人 | 高野 芳徳 |
代理人 | 喜多村 勝徳 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 東谷 幸浩 |