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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1315902 |
異議申立番号 | 異議2015-900090 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-03-20 |
確定日 | 2016-06-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5725048号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5725048号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5725048号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成26年7月2日に登録出願、同年10月20日に登録査定、第9類「電気通信機械器具」を指定商品として、同年12月12日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下の12件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。(以下これらをまとめて「引用商標」という。) (1)登録第1188318号(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:昭和47年4月24日 設定登録日:昭和51年3月11日 指定商品 :第9類「電気通信機械器具」を含む第7類、第9類及び第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 (2)登録1425551号(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:昭和51年4月5日 設定登録日:昭和55年6月27日 指定商品 :第9類「電気通信機械器具」を含む第7類、第9類及び第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 (3)登録第1632736号(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 登録出願日:昭和55年12月8日 設定登録日:昭和58年11月25日 指定商品 :第9類「電気通信機械器具」を含む第7類、第9類及び第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 (4)登録第3132548号(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲5のとおり 登録出願日:平成4年7月28日 設定登録日:平成8年3月29日 指定商品 :「電気通信機械器具」を含む第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 (5)登録3233282第号(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:別掲6のとおり 登録出願日:平成5年8月17日 設定登録日:平成8年12月25日 指定商品 :第9類「電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具」 (6)登録第3337556号(以下「引用商標6」という。) 商標の構成:別掲7のとおり 登録出願日:平成6年8月5日 設定登録日:平成9年8月8日 指定商品 :第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具」 (7)登録第4291983号(以下「引用商標7」という。) 商標の構成:別掲8のとおり 登録出願日:平成7年1月27日 設定登録日:平成11年7月9日 指定商品 :第9類「電気通信機械器具」 (8)登録第4253117号(以下「引用商標8」という。) 商標の構成:別掲9のとおり 登録出願日:平成9年11月18日 設定登録日:平成11年3月19日 指定商品 :第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」 (9)登録第2722719号(以下「引用商標9」という。) 商標の構成:別掲10のとおり 登録出願日:平成2年2月26日 設定登録日:平成9年8月8日 指定商品 :第9類「自動車用音響機械器具」 (10)登録第4035499号(以下「引用商標10」という。) 商標の構成:欧文字の斜体により表した「Nakamichi Mobile Sound System」 登録出願日:平成6年7月8日 設定登録日:平成9年8月1日 指定商品 :第9類「音声周波機械器具」 (11)登録第4261518号(以下「引用商標11」という。) 商標の構成:別掲11のとおり 登録出願日:平成9年8月26日 設定登録日:平成11年4月9日 指定商品 :第9類「自動車用音響機械器具」 (12)登録第4261595号(以下「引用商標12」という。) 商標の構成:Nakamichi SoundSpace (標準文字) 登録出願日:平成9年12月25日 設定登録日:平成11年4月9日 指定商品 :第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号違反について 本件商標と引用商標は、外観においては相違するものの、「Nakamichi」の文字部分を共通とし、かつ、当該部分はそれぞれ独立して識別機能を果たす要部として「ナカミチ」の称呼及び観念(姓)も同一である。 そして、本件商標は、その構成等に応じ、また、特に簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、「Nakamichi」の文字部分のみによって簡略に称呼、観念され得るものであり、当該文字部分は、引用商標の要部「Nakamichi」と共通する。 したがって、本件商標は、引用商標と同一の「ナカミチ」との称呼・観念を生じる類似商標であって、同一又は類似の商品(電気通信機械器具)に使用するものであり、商標法第4条第1項第11号に反して登録されたものといわなければならない。 (2)商標法第4条第1項第15号違反について 本件商標は、その構成から、申立人の提供するオーディオ関連商品を指称するものとして需要者らに広く知られた(引用商標を含む)「Nakamichi/ナカミチ」ブランドとの関係を認識させる。 また、本件商標は、「Nakamichi(ナカミチ)」の部分のみをもって簡略に称呼、観念され、当該部分が独立して自他商品識別機能を果たし得る「要部」である。 そうすると、本件商標は、申立人の「Nakamichi/ナカミチ」ブランドと同一の称呼・観念を生じ、その指定商品(オーディオ関連商品を含む「電気通信機械器具」)に使用された場合、申立人の業務に係る商品との誤認又は出所の混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわなければならない。 (3)結論 以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一の称呼・観念を生じる類似商標であって、同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 仮に、同号に該当しない場合であっても、申立人の提供するオーディオ関連商品を指称するものとして需要者らに広く知られた「Nakamichi/ナカミチ」ブランドと同一の称呼・観念を生じ、また、同ブランドとの関係を認識させるため、申立人の業務に係る商品との誤認又は出所の混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に違反してなされたものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録を取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、サイン風の書体により表された「N.Nakamichi」の文字を中央に大きく配し、その上に「Designed by」の文字を小さく横書きしてなるものであるところ、その構成中の「Designed by」の文字部分は、人名と結合して「?によってデザインされた」の意味を表すものとしても一般に広く親しまれた英語であり、また、欧文字1字とその人名の一部を「.」(ピリオド)を介して表し、全体として特定の者を表示することが普通に行われている。 そうすると、本件商標は、上記のとおりの構成からなるものであるから、その構成全体として「エヌ・ナカミチ氏によりデザインされたもの」程の意味合いを理解させるものである。また、その構成中に小さく表された「Designed by」の文字は、商品の品質を認識させるものであるから、商品の出所識別標識としての機能がないか弱いものとみるのが相当であり、一方、構成中に顕著に表された、商品のデザインをした者を表す「N.Nakamichi」の文字が強く印象に残るものである。 してみると、本件商標は、その構成中の「N.Nakamichi」の文字部分が、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、該文字部分から、その構成文字に相応して「エヌナカミチ」の称呼をも生じるといえる。 この点に関し、申立人は、「N.Nakamichi」の文字部分は「.」(ピリオド)によって分離され、一連に称呼しにくいことから「Nakamichi」の文字部分をもって取引に資され、むしろこれより生ずる「ナカミチ」が本件商標の自然な称呼である旨主張している。 しかしながら、構成中の「N.Nakamichi」の文字部分は、同じ書体によりまとまりよく構成され、外観上も「N」の文字と「Nakamichi」の文字との間に「.」(ピリオド)があるとしても、特に「Nakamichi」の文字が独立して強調された態様ではない。 また、上記のとおり、これより生ずると認められる「エヌナカミチ」の称呼も、冗長であったり、発音が困難であったりすることはなく、無理なく一連に称呼し得るものであり、かつ、観念上も「エヌ・ナカミチ氏」という人名を表したものとして看取されるものであって、サイン風に描かれた該文字部分全体をもって一体不可分のものとして、取引に資されるものとみるのが相当である。 そして、ほかに、本件商標の構成中、「Nakamichi」の文字部分のみが独立して認識されると見るべき特段の事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、その構成全体から生じる「デザインドバイエヌナカミチ」の称呼及び「エヌ・ナカミチ氏によりデザインされたもの」の観念のほかに、「エヌナカミチ」の称呼及び「エヌ・ナカミチ氏という人名」の観念をも生ずるものである。 イ 引用商標 (ア)引用商標1ないし引用商標5は、「NAKAMICHI」又は「Nakamichi」の文字と半円及び正方形を組み合わせて白色と黒色に配色した図形(以下「引用図形」という。)により構成されるところ、文字部分と引用図形とが常に一体不可分のものとして把握されるというべき特段の事情を見いだすことができないものであるから、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められる。 してみると、引用商標1ないし引用商標5は、その構成中の文字部分に相応して、「ナカミチ」の称呼を生じるものである。 (イ)引用商標6及び引用商標7は、「Nakamichi」の文字と引用図形の下に、「Mobile Navigation」又は「Mobile Sound System」の文字を、引用商標8は、「Nakamichi」の文字と引用図形の下に「Acoustic Design」の文字及び楕円等を結合したものであるところ、それぞれの構成中の「Mobile Navigation」の文字部分は「携帯できるナビゲーション」程の意味合いを、「Mobile Sound System」の文字部分は「携帯できる音響設備」程の意味合いを、「Acoustic Design」の文字部分は「音響デザイン」程の意味合いを理解させるものであるから、それらの表示は、その指定商品との関係において、商品の品質を表示するものといえるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。 また、引用商標6ないし引用商標8は、前記(ア)と同様に、「Nakamichi」の文字部分と引用図形等とが常に一体不可分のものとして把握されるというべき特段の事情を見いだすことができないものであるから、「Nakamichi」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められる。 してみると、引用商標6ないし引用商標8は、その構成中の「Nakamichi」の文字部分に相応して、「ナカミチ」の称呼を生じるものである。 (ウ)引用商標9ないし引用商標12は、「Nakamichi」の文字と「Mobile Sound」、「Mobile Sound System」又は「SoundSpace」の文字からなるものであるところ、それぞれの構成中の「Mobile Sound」の文字部分は「携帯できる音響」程の意味合いを、「Mobile Sound System」の文字部分は「携帯できる音響設備」程の意味合いを、「SoundSpace」の文字部分は「音響空間」程の意味合いを理解させるものであるから、それらの表示は、その指定商品との関係において、商品の品質を表示するものといえるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、「Nakamichi」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。 そうすると、引用商標9ないし引用商標12は、語頭に位置する「Nakamichi」の文字部分から、その構成文字に相応して「ナカミチ」の称呼を生じるものというべきである。 (エ)したがって、引用商標は、「ナカミチ」の称呼をも生じるものであるところ、「NAKAMICHI」及び「Nakamichi」の文字が、ありふれた氏とは認められないことから、直ちに特定の観念を生じないものとみるのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標は、前記1及び2のとおりの構成からなるものであるから、その構成態様が顕著に相違し、外観上明確に区別し得る差異を有するものである。 また、本件商標から生じる「エヌナカミチ」の称呼と引用商標から生じる「ナカミチ」の称呼を比較すると、語頭における「エヌ」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、両者を一連に称呼しても互いに紛れるおそれはないものである。 さらに、引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、観念について本件商標と比較することはできない。 したがって、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、両商標から生ずる外観及び称呼において明確な差異を有するものであり、これらを総合的に考察すると、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人は、「Nakamichi(ナカミチ)」ブランド(以下「申立人ブランド」という。)は、申立人によって「高級オーディオ機器」について継続的・反復的に使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名となっているとして証拠を提出し、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張している。 しかしながら、提出された証拠によれば、申立人ブランドは、もともと日本法人ナカミチ株式会社(昭和23年創業)が創案、構築したブランドであること(甲17、甲25の1)、その製品が、昭和49年から平成8年の間に13回程度、オーディオ専門誌に紹介されたこと(甲17)、平成18年3月頃、米国の調査会社による高級音響機器の人気ブランド第3位になったこと(甲21)、我が国において、引用商標が使用された申立人ブランドの商品カタログが、昭和59年10月、昭和62年5月、昭和63年11月及び平成16年4月に作成されたこと(甲28の1?4)が認められることからすると、申立人ブランド及び引用商標は、「高級オーディオ機器」において、ある程度知られていたものということができるとしても、その具体的な販売数量、市場占有率、宣伝広告の事実及び引用商標の使用開始時期等が明らかでないから、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国において取引者、需要者間に広く認識されているとまではいえない。 してみると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 そして、本件商標と引用商標とは、前記(1)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標であるから、本件商標から直ちに引用商標が連想、想起されるようなことはないというべきである。 そうすると、商標権者が、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはなく、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 なお、申立人は、商標権者は前記ナカミチ株式会社の技術者であり、同社の代表取締役社長も務めた人物であって、自身のパンフレットに「ナカミチ株式会社のチーフエンジニアであった」等、同社との関連を記載していることから、現在も申立人ブランドと製品開発や営業上の緊密な関係にある等と誤認されて出所の混同を生ずるおそれるがある旨主張しているが、上記のとおり、申立人提出の証拠により、本件商標の登録出願の時及び登録査定時における引用商標の著名性は認められず、かつ、本件商標と引用商標とは別異の商標と認められることから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号所定の要件を満たすものではない。 よって、前記、申立人の主張は採用できない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきでものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標1) 別掲3(引用商標2) 別掲4(引用商標3) 別掲5(引用商標4) 別掲6(引用商標5) 別掲7(引用商標6) 別掲8(引用商標7) 別掲9(引用商標8) 別掲10(引用商標9) 別掲11(引用商標11) |
異議決定日 | 2016-05-26 |
出願番号 | 商願2014-59346(T2014-59346) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W09)
T 1 651・ 262- Y (W09) T 1 651・ 263- Y (W09) T 1 651・ 271- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 矢代 達雄 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 藤田 和美 |
登録日 | 2014-12-12 |
登録番号 | 商標登録第5725048号(T5725048) |
権利者 | 中道 仁郎 |
商標の称呼 | デザインドバイエヌナカミチ、エヌナカミチ、ナカミチ |
代理人 | 秋山 朋子 |
代理人 | 和田 信博 |