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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1315894 
異議申立番号 異議2015-900326 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-10-16 
確定日 2016-05-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5779609号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5779609号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5779609号商標(以下「本件商標」という。)は、「GSFKCP」の文字を標準文字で表してなり、平成27年2月18日に登録出願、第12類「コンクリートポンプ車,コンクリートミキサー車,その他の自動車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として、平成27年6月1日に登録査定、同年7月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録が、商標法第4条第1項第19号及び同第7号に違反してされたものであるから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第19号該当性
本件商標は、申立人の業務に係る商品「コンクリートポンプ車」等を表示するものとして、国際的に広く認識されている「KCP」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)をそっくりそのまま含んでおり、極めて類似するものであって、かつ、不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものであり、その商標登録を認めることが商標法が予定する秩序に反するので、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれのある商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第19号について
ア 引用商標の周知性
(ア)申立人の提出に係る証拠及び申立ての理由によれば、以下の事実を認めることができる。
a.申立人は、「コンクリートポンプ車」等(以下「申立人商品」という。)の製造販売を主たる業務とする2002年(平成14年)に設立された韓国の法人であり、申立人商品に引用商標を使用している(甲2?甲8等)。
申立人商品の韓国国内のシェアは、2012年(平成24年)が36%、2013年(平成25年)が40%で、いずれの年も3社のうち1位であり、2014年(平成26年)が31%で4社のうち1位であった(甲9)。また、申立人商品の売上げ台数は、2012年(平成24年)が167台(うち輸出台数が80台)、2013年(平成25年)が255台(うち輸出台数が128台)、2014年(平成26年)が313台(うち輸出台数が164台)であった。なお、日本への販売は、2014年(平成26年)からである(甲10)。
b.申立人は、2014年(平成26年)に、スペイン、サウジアラビア、メキシコ、コロンビア、ペルー、イラン、キューバ、中国の展示会に申立人商品を出展した(甲13?甲20)。
c.申立人は、本件商標の登録出願日(平成27年2月18日)前である2008年(平成20年)にフィンランドの輸送や商用車関連の雑誌に申立人商品の広告をした(甲21)。また、2011年(平成23年)7月に、申立人と中国の企業とが業務上の協力関係を締結した際には、中国のバス等運送業関連のウェブサイトに申立人が紹介された(甲23)。
(イ)前記(ア)で認定した事実によれば、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日前に、韓国国内におけるコンクリートポンプ車を取り扱う分野の取引者・需要者の間においては知られていたものと認めることができる。
イ 本件商標と引用商標の類似性
(ア)本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「GSFKCP」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、申立人は、本件商標全体でひとつの既成語を構成しているという事情もなく、構成中に「KCP」の文字を含み、本件商標から生じる称呼中に「ケーシーピー」の称呼を含み、引用商標は、申立人の商品を表示するものとして国際的に周知であるため、この「KCP」部分から申立人ブランドとしての観念が生じるとし、本件商標の構成中「KCP」の部分が顧客吸引力を発揮する要部として把握される旨主張している。
しかし、本件商標は、「GSFKCP」の文字を標準文字でいずれも同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔で配置されており、全体としてもまとまりよく表され、外観上「GSF」の文字部分と「KCP」の文字部分が他の部分から独立して強調されていると見られる態様ではない。
また、「GSFKCP」の文字よりなる本件商標の構成文字全体に相応して生じる「ジーエスエフケーシーピー」の称呼も、特に冗長であったり、発音が困難であったりすることはなく、無理なく一連に称呼し得るものと認められる。
そして、本件商標の後半の文字部分が「KCP」であり、これより生じる「ケーシーピー」の称呼を含むものであるとしても、上記したとおり、全体としてまとまりよく不可分一体的に表されている本件商標からは、全体としての構成が強く印象に残るものであって、本件商標に接した一般の需要者及び取引者は、全体としてまとまった1つの商標としてのみ把握、認識するものと認められ、「KCP」は、当該文字列の中に埋没して客観的に把握されず、「KCP」を想起、連想させるものではないというべきであるから、申立人の主張は採用することができない。
さらに、「GSFKCP」の語は、辞書類に掲録されている成語又は特定の意味を有する語として一般に親しまれているものではないから、一見して造語として理解されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり、その構成文字全体に相応して「ジーエスエフケーシーピー」の称呼のみを生じさせ、特段の観念を生じない。
(イ)一方、引用商標は、「KCP」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「ケーシーピー」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを生じない造語よりなるものと認める。
(ウ)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標の構成は、上記1及び2のとおり、構成文字が相違するから、外観上明らかに区別し得るものである。
また、本件商標より生じる「ジーエスエフケーシーピー」の称呼と引用商標より生じる「ケーシーピー」の称呼とを比較すると、両者は、音構成、構成音数に顕著な差異を有するものであるから、称呼上明らかに区別し得るものである。
さらに、本件商標及び引用商標からは特定の観念が生じないから、本件商標と引用商標とは、その観念において比較することができず、類似するものとはいえない。
以上からすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
不正の目的
(ア)申立人は、申立人と商標権者の旧名称である「GSF Inc.」及び実質上同一法人であるウォンジン産業とは、2015年1月6日に申立人商品の販売について実際に取引を行っていたから、商標権者は出願時当時(2015年2月18日)、申立人の商標について当然知っていたし国際的にも周知であったことを知っていたはずである。また、両者は事実上販売代理店契約といえる関係があったこと、商標権者の代表バン氏は、申立人が日本市場を開拓するために日本人を雇用したことを知っていたものであり、商標権者は「GSF Inc.」からGSFKPC社に名称変更し、「弊社では『KCP』の商標権を所有しております。」という申立人と関連があるような記載の書類の配布等を行った。以上から、商標権者は、未だ本件商標が日本において商標出願されていないことを奇貨として、申立人の日本参入を阻止ないし困難にする目的、又は申立人との日本国内代理店契約締結を強制する目的、又は申立人の商標「KPC」の顧客吸引力を希釈化若しくはこれに便乗し不当な利益を得る目的等の不正の目的があったことが推認されると主張している。
(イ)これについて、申立人の提出に係る証拠によれば、以下のとおり認められる。
a.商標権者は元々「GSF Inc.」の商号を使用していたとの申立人の主張を裏付けるために提出された名刺(甲24)におけるGSF Inc.及びWonJin INDUSTRYの記載、名刺(甲24)に記載された「FUJI18z80」とGSF Inc.のバン・ジョンテからの2013年2月12日付けの電子メール(甲26)に「FUJI18z80」のデザインの進行状況の問い合わせがあったこと、並びに、電子メールにおけるGSF Inc.の電話番号(甲25?甲27)と「建設機械売買契約書」(甲28)に記載のウォンジン産業の電話番号が一致することから、GSF Inc.(代表者:Won-Seok,Jeong/鄭源錫、e-mail:wjin14@naver.com)とWonJin INDUSTRY(ウォンジン産業、代表者:ジョン・ヨングァン)とが関連会社又は実質的に同一の会社であると推認されること。
b.GSF Inc.のバン・ジョンテ(e-mail:johntepang@hotmail.com)が2012年(平成24年)12月25日付け、2013年(平成25年)2月12日付け、2013年(平成25年)11月11日付け及び2015年(平成27年)4月3日付けで送信した各電子メール(甲25?甲27、甲31)の宛先は、「To:wskim@kcppump.com」、「To:金・ウォンシック」、「To:“金・ウォンシック”〈wskim@kcppump.com〉」と記載されており、申立ての理由と合わせると申立人であると認められること、そして、上記の各電子メール(甲25?甲27、甲31)の内容から、GSF Inc.が申立人商品の日本における販売に何らかの関与をしていたと推認されること。
c.申立人とウォンジン産業との間で、2014年(平成26年)5月12日付け及び2015年(平成27年)1月6日付けで、建設機械売買契約を締結したこと(甲28?甲30)。
d.GSFKCP LTD.(e-mail:johnpang@hotmail.co.jp)なる会社が、2015年(平成27年)5月29日より少し前に、「ポンプ車のラジコン」に関するチラシを頒布したこと(甲32)、当該チラシには、「弊社では『KCP』の商標権を所有しております。・・」などと記載され、「GSFKCP」などの記載を合わせると、当該チラシを頒布した者は、商標権者であると推測することもできるが、当該チラシにおける「e-mail」のアドレスは、他の証拠(甲24?甲31)のいずれにも記載が見当たらず、その他、上記推測の域を越えて、当該チラシを頒布した者が商標権者であると断定するに足りる合理的な証拠は見いだせないこと。
e.以上によれば、申立人商品の販売に関し、何らかの関与をしていたと推認することができるGSF Inc.が商標権者の旧商号であったと認めるに足りる的確な証拠は見いだすことができない。この点に関し、申立人は、「GSFKCP社が『GSF Inc.』から『GSFKCP LTD.』に社名変更して営業活動をしていた事実がある。」と主張するが、当該事実を裏付ける証拠の提出はない。また、日本における建設機械売買業者6社の陳述書(甲33)には、商標権者の代表者が「方鍾泰(JOUG TAE PANG;JONG PANG)」であることの記載があるが、申立人は、これを裏付ける証拠を何ら提出していないばかりか、商標権者の代表者であるとする方鍾泰(JOUG TAE PANG;JONG PANG)とGSF Inc.ないしウォンジン産業とを関連付ける的確な証拠も見いだせない。その他、申立人は、商標権者の行為に不正の目的があった旨縷々述べるも、その事実を裏付ける証拠を提出していない。
したがって、申立人の提出した証拠をもってしては、本件商標が、不正の目的をもって使用されるものと認めることはできない。
エ 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、前記1のとおり、「GSFKCP」の文字を標準文字で書してなるものであるから、その構成が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字よりなるものということはできない。また、前記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない別異の商標であり、本件商標が不正の目的をもって出願され登録されたと認めるに足りる的確な証拠は見いだし得ないから、引用商標を剽窃したものとは認め難く、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情があるものと認めることはできない。その他、本件商標が、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」とみるべき理由があると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものと認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第第19号及び同第7号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-05-17 
出願番号 商願2015-14531(T2015-14531) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W12)
T 1 651・ 222- Y (W12)
最終処分 維持  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 小松 里美
今田 三男
登録日 2015-07-17 
登録番号 商標登録第5779609号(T5779609) 
権利者 ジー・エス・エフ・ケー・シー・ピー株式会社
商標の称呼 ジイエスエフケイシイピイ 
代理人 河野 誠 
代理人 河野 生吾 
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所 
代理人 楠 和也 

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