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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20159631 審決 商標
不服201513171 審決 商標
不服20139242 審決 商標
不服201413821 審決 商標
不服201411133 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29
管理番号 1315877 
審判番号 不服2015-16550 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-08 
確定日 2016-06-10 
事件の表示 商願2014-85876拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「赤のフルーツ」の文字を標準文字で表してなり、第29類「フルーツを加味した食用油脂,フルーツを加味した乳飲料,フルーツを加味した発酵乳,フルーツを加味した乳酸菌飲料,フルーツを加味したその他の乳製品」を指定商品として、平成26年10月10日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『赤のフルーツ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『赤』の文字部分は、『色の名』等の意味合いを表し、『フルーツ』の文字部分は、『くだもの、果実』程の意味合いを表すもので、近年、食品を取り扱う業界において、『紫のフルーツ』、『黄のフルーツ』のように、『○(色彩)のフルーツ』の文字が『○色のフルーツ、○色の果実』程の意味合いを表すものとして使用されている実情があり、『赤色のフルーツを使用した飲料』が製造・販売されていることをうかがい知ることができることから、これをその指定商品に使用しても、需要者等は、『赤色のフルーツを使用した商品』であると認識するにとどまり、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、自他商品の識別標識としては認識しないとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、本願の指定商品及び飲食料品との関係で、「○(色彩)のフルーツ」、「○(色彩)の果実」及び「○(色彩)の野菜」などのように「色彩」と「フルーツ」、「果実」又は「野菜」等の語が組み合わされたものが、商品(原材料)の色の特徴を表すものとして使用されている事実を発見したので、該事実について、別掲1及び2のとおり、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年2月1日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。

4 請求人の意見
請求人は、上記証拠調べ通知に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「赤のフルーツ」の文字を標準文字で表してなるから、これは、普通に用いられる方法で表示したものである。
そして、「赤のフルーツ」の文字は、「赤のフルーツ(果実)」であることを容易に認識させるといえるところ、前記3の証拠調べ通知書で示した別掲1及び別掲2の事実から、本願の指定商品をはじめとする飲食料品の分野において、「紫」、「赤」、「黄」及び「緑」といった色彩を表す語と「野菜」、「果実」及び「フルーツ」の語とを組み合わせた「○の野菜」、「○野菜」、「○の果実」及び「○のフルーツ」(○○は色彩をいう。以下同じ。)などの表示が、商品(原材料)の色の特徴を表すものとして類型的に使用されているものである。
してみると、これらの「○の野菜」、「○野菜」、「○の果実」及び「○のフルーツ」などの表示は、その構成中の色を表示する文字部分から直ちに特定の果実や野菜を認識し得ないとしても、少なくとも当該色の特徴を有する野菜や果実をその原材料に使用していることを表示してなるものと容易に認識し得るといえるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者が「赤色の特徴を有する野菜や果実をその原材料に使用した商品」であることを認識するにとどまるもの、すなわち、商品の原材料、品質を表示するにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえることから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「赤色のフルーツ」といっても、イチゴ、りんごなど、様々なフルーツが考えられ、また果物を色で分類するのに困難なものも多く、さらに食品の業界において、特定のフルーツの種類を表す用語として、普通に使用されている事実もないことから、本願商標は具体的な品質等を表すものではない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、「○の野菜」、「○野菜」、「○の果実」及び「○のフルーツ」などの表示が、本願の指定商品をはじめとする飲食料品の分野で使用されている事実から、本願商標をその指定商品に使用するときは、「赤色の特徴を有する野菜や果実をその原材料に使用した商品」であることを取引者、需要者に認識されるとみるのが相当であり、「赤色のフルーツ」の語が特定のフルーツを表すものとして使用されている事実がないことをもって、この取引者、需要者の認識が変わるものではない。
イ 請求人は、原審で示された新聞記事の情報のうち、日本食糧新聞の「紫のフルーツ」の事例では、5種類の果実と9種類の野菜を使用した、果実・野菜ミックスジュースとあり、紫色の果物ではないものが主たる原材料といえるものである。そして、その他の新聞記事では、「赤色のフルーツ」を使用したものであることは説明されておらず、商品パッケージを勘案しても、具体的な商品の原材料を把握することは難しいもの、また、具体的なフルーツの名称が掲載されているものであるから、本願商標とは、事案が異なるものである。そうすると、「赤または○のフルーツ」の文字が「赤色のフルーツ、○色のフルーツ」程の意味合いを表すものとして使用されている実情を証明するものとしては、妥当性を欠く旨主張する。
しかしながら、別掲1及び2の事実から、本願の指定商品の分野においては、「○の野菜」、「○野菜」、「○の果実」及び「○のフルーツ」などの表示が類型的に商品に使用されているものであるから、これらの表示を本願の指定商品に使用するときは、当該色彩の特徴を有する「野菜」、「果実」又は「フルーツ」が、その原材料に使用されていることを認識させるといえるものである。
ウ 請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断は、個別具体的に判断されるべきものであり、請求人の主張する登録例及び審決例は、本願商標といずれも事案を異にするものであるから、これらの判断例より本願商標の認定、判断が左右されるものではない。
エ 上記アないしウのとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願の指定商品に使用されている事実
(1)2009年5月28日付け「朝日新聞」(夕刊)の4ページにおいて、「プレゼント マリオン」の見出しの下、「■野菜をブレンドしたヨーグルト」として「ダノンジャパンが、20種類の野菜と3種類の果物をブレンドしたヨーグルト『ダノンビオ 紫の野菜』(写真、80グラム×4パック、オープン価格)を6個セットで読者60人に。ビートや紫イモ、赤ジソといった『紫色の野菜』を多く使った、すっきりとした味わい。」との記載がある。
(2)「森永乳業」のウェブサイトに、「ニュースリリース(2015年度)」の項目内に「2015年10月16日」付けの記事として、「『これでフルベジ10種類ヨーグルト』第2弾! フルーツと野菜、合計10種類を一度に摂れる健康アシストヨーグルト 『これでフルベジ10種類ヨーグルト 紫の果実と野菜』 10月20日(火)より全国にて新発売」の見出しの下、「1.商品特長」として「3種類の果肉(いちご、ブルーベリー、りんご)と、5種類の果汁(ラズベリー、クランベリー、ぶどう、カシス、ざくろ)、2種類の野菜汁(紫いも、赤しそ)が入ったヨーグルトです。」との記載がある。
(https://www.morinagamilk.co.jp/corporate/release/2015/1016_2688.html)
(3)「DANONe」のウェブサイトに、「ベビーダノンについて」の見出しの下、「製品ラインナップ」の項目内において、商品「緑の野菜10」の紹介として「ほうれん草、グリーンピース、トマト、キャベツ、小松菜、レタス、ブロッコリー、アスパラガス、ケール、パセリの10種類の野菜ソースとヨーグルト(砂糖不使用)の2層式で、野菜が苦手な赤ちゃんにもしっかり美味しく緑黄色野菜が食べられます。」及び商品「黄色の野菜10」の紹介として「かぼちゃ、さつまいも、にんじん、キャベツ、小松菜、レタス、ブロッコリー、アスパラガス、ケール、パセリの10種類の野菜ソースとヨーグルト(砂糖不使用)の2層式で、野菜が苦手な赤ちゃんにもしっかり美味しく緑黄色野菜が食べられます。」との記載がある。
(http://www.danone.co.jp/products/kids_series/baby/about/products.html)
(4)「WAKODO」のウェブサイトに、「くだもの食べよっ!」の見出しの下、商品「くだもの食べよっ!ぶどう&紫の野菜」の紹介として「くだものと紫色の野菜を混ぜ合わせました。ぶどうの香りがいっぱいに広がる、まろやかな味わいです。」との記載がある。
(http://www.wakodo.co.jp/product/babyfood/babyfood/kudamonotabeyo/index_3.html)

別掲2 本願の指定商品以外の飲食料品に使用されている事実
(1)2011年5月16日付け「日本食糧新聞」の6ページにおいて、「『農協健康菜園 ベジタブル』発売(雪印メグミルク)」の見出しの下、「〈紫のフルーツ&ベジタブル〉紫系野菜特有の癖を抑え、後味のキレをよくすることで飲みやすくなった。ブルーベリーを新たにプラス。」との記載がある。
(2)「オイシックス株式会社」のウェブサイトに、「2014年7月16日」付けの「ニュースリリース」として「鉄分・コラーゲン配合!キレイになりたい女性のための野菜ジュース スムージーのようなあらごし食感『Vegeel for Woman』」の見出しの下、「女性に不足しがちな鉄分4.3mg(*2)や美容成分として注目を集めるコラーゲン1,000mg、ポリフェノール(*3)を豊富に含む5種類の紫のフルーツ(ぶどう、プルーン、カシス、クランベリー、ざくろ)などをふんだんに詰め込んだジュースにしました。」との記載がある。
(http://www.oisix.co.jp/Portals/0/pdf2014/140716vegeelwoman.pdf)
(3)「カゴメ」のウェブサイトに、「ニュースリリース」の項目内に「2014年2月26日」付けの記事として、「野菜・果実由来の“ポリフェノール”が20%UP! 『野菜生活100 紫の野菜』 リニューアル発売 ?フルーティーなおいしさはそのままに、野菜の配合率を50%から65%へ?」の見出しの下、「『野菜生活100 紫の野菜』は2006年の発売以降、『野菜生活100』シリーズの定番商品として、そのすっきりとした飲みやすさが人気の商品です。紫にんじんや紫キャベツなどの18種類の野菜と、ぶどう、ブルーベリーなどの9種類の果実をブレンドし、女性を中心にご好評いただいております。」との記載がある。
(http://www.kagome.co.jp/company/news/2014/02/001656.html)
(4)「mognavi」のウェブサイトに、「カゴメ 野菜生活100 黄の野菜 パック200ml」の見出しの下、「商品情報詳細」として「『野菜生活 黄の野菜』の黄色は、黄にんじん、かぼちゃなどの黄色い野菜に由来しています。野菜は、黄赤緑紫の4色が基本です。野菜の色で、いきいきとした毎日を。おいしく手軽に野菜をジュースで摂りましょう。」との記載がある。
(http://mognavi.jp/food/182090)
(5)「Mixiコミュニティ」のウェブサイトに、「野菜生活100 赤の野菜」の見出しの下、「『野菜生活赤の野菜』の赤色はトマト由来のリコピン。リコピンには、カロテノイドとよばれる緑黄色野菜の天然色素で、活性酸素を除く効果があります。」との記載がある。
(http://mixi.jp/view_community.pl?id=966808)
(6)「伊藤園」のウェブサイトに、「伊藤園の野菜飲料シリーズ」の項目内における商品「緑の野菜ミックス 充実野菜」の紹介において、「商品詳細」の見出しの下、「ほうれん草、モロヘイヤ、緑豆スプラウトなどの緑の野菜を主体に、果汁をブレンドし、フルーティーに仕上げました。」及び「商品の特長」として「緑の葉野菜を主体にした21種類の野菜と、りんごを主体にした4種類の果実をミックスした野菜・果実混合飲料です。」との記載がある。
(http://www.itoen.co.jp/yasai/lineup/product42.html)


審理終結日 2016-04-12 
結審通知日 2016-04-13 
審決日 2016-04-26 
出願番号 商願2014-85876(T2014-85876) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 高橋 幸志
原田 信彦
商標の称呼 アカノフルーツ 
代理人 新井 悟 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 

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