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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z03
管理番号 1315846 
審判番号 取消2015-300476 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-06-30 
確定日 2016-05-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第2554275号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2554275号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヴィ・ヴィ」の片仮名及び「VIVI」の欧文字を2段に横書きしてなり、平成3年2月15日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年7月30日に設定登録、その後、同16年8月11日に、指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされ、さらに、同25年7月30日には、指定商品の区分が第3類に限定されて、存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成27年7月10日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第35号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標の商標権者は、日本国内において、本件商標を継続して3年以上その指定商品について使用していないし、商標登録原簿上は、本件商標に専用使用権あるいは通常使用権が設定、許諾されている事実も見当たらないことから、その登録は、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、審判事件答弁書において、「VIVI」の欧文字を横一連に書して表した表示を「使用商標」であるとし、これが本件商標との関係で商標法第50条第1項にいう「社会通念上同一と認められる商標」であると主張する。しかしながら、被請求人が本件商標の使用の事実を示す証拠として提出した乙第4号証ないし乙第17号証によれば、被請求人が主張する使用に係る商標(以下「被請求人等使用商標」という。)は「VIVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」であると解するのが相当であって、「使用商標」が「VIVI」であるとの前提に立つ被請求人の主張は失当であって理由がない。
(1)乙第4号証
乙第4号証は、被請求人の主張に係る商品の「箱包装」及び「商品容器」の写真を示すものであり、箱包装においては、箱の正面、平面、左側面の各面に、背景に円図形を伴って全体として図案化された「VIVICERAMIDE」の文字(以下「『VIVICERAMIDE』図形商標」という。)が最も大きく目立つ位置に表示されている。また、当該「VIVICERAMIDE」図形商標のすぐ真下に、普通の書体で小さく「VIVIセラミドクリーム」の文字が表示されている。商品容器においては、その正面側に「VIVICERAMIDE」図形商標が最も大きく目立つ位置に表示され、そのすぐ真下に普通の書体で小さく「VIV1セラミドクリーム」の文字が表示されている。また、一般的に商品についての説明書きが記載される商品容器の背面側において、その上部に、普通の書体で小さく「VIVIセラミドクリーム」の文字が表示されている。
このように、箱包装及び商品容器のいずれにおいても、「VIVICERAMIDE」図形商標が最も大きく目立つ位置に表示され、そのすぐ真下に普通の書体で小さく「VIVIセラミドクリーム」の文字が表示されている。そして、当該「VIVIセラミドクリーム」の文字のうち、「VIVIセラミド」の部分は、最も大きく目立つ位置に表示された「VIVICERAMIDE」図形商標中の「CERAMIDE」の部分のみを片仮名に変換したものであり、他方、「クリーム」の部分は、当該商品の普通名称を表示するものである。かかる使用態様においては、これに接した需要者・取引者は、まず最も大きく目立つ位置に表示された「VIVICERAMIDE」図形商標が当該商品の出所識別標識であると認識し、このすぐ真下に小さく表示された「VIVIセラミドクリーム」の文字は、「VIVICERAMIDE」図形商標と同一の称呼を生ずる「VIVIセラミド」の出所識別標識と、当該商品の普通名称を表す「クリーム」の文字とを横一連に表示したものと認識すると解するのが自然である。また、これに伴い、商品容器背面側に表示された「VIVIセラミドクリーム」の文字についても、「VIVIセラミド」の出所識別標識と、当該商品の普通名称を表す「クリーム」の文字とを横一連に表示したものと認識すると解すべきである。
(2)乙第5号証ないし乙第7号証
乙第5号証ないし乙第7号証は、被請求人の主張に係る商品の「箱包装」及び「商品容器」の写真を示すものであり、箱包装においては、箱の正面、平面、左側面の各面に、「VIVICERAMIDE」図形商標が最も大きく目立つ位置に表示されている。また、箱の正面及び左側面側においては、当該「VIVICERAMIDE」図形商標のすぐ真下に普通の書体で小さく「VIVIセラミド」の文字が表示され、さらにそのすぐ真下には普通の書体で小さく「しっとりローション」の文字が表示されている。箱の平面側においては、当該「VIVICERAMIDE」図形商標のすぐ真下に普通の書体で小さく「VIVIセラミドしっとりローション」、「しっとりミルク」及び「ふわふわウォッシュ」の文字が表示されている。商品容器においては、その正面側に「VIVICERAMIDE」図形商標が最も大きく目立つ位置に表示されている。そして、そのすぐ真下に普通の書体で小さく「VIVIセラミド」の文字が表示され、さらにそのすぐ真下には普通の書体で小さく「しっとりローション」、「しっとりミルク」及び「ふわふわウォッシュ」の文字が表示されている。また、一般的に商品についての説明書きが記載される商品容器の背面側において、その上部に、普通の書体で小さく「VIVIセラミドしっとりローション」、「VIVIセラミドしっとりミルク」及び「VIVIセラミドふわふわウォッシュ」の文字が表示されている。
このように、箱包装及び商品容器のいずれにおいても、「VIVICERAMIDE」図形商標が最も大きく目立つ位置に表示され、そのすぐ真下に、これと同一の称呼を生ずる「VIVIセラミド」の文字が普通の書体で小さく表示されている。そして、当該商品の品質及び普通名称を表す「しっとりローション」、「しっとりミルク」及び「ふわふわウォッシュ」の文字は、箱包装平面側及び商品容器背面側を除き、「VIVICERAMIDE」図形商標及び「VIVIセラミド」の文字とは別個に表示されている。また、箱包装平面側及び商品容器背面側においても、「VIVIセラミド」の文字部分と「しっとりローション」、「しっとりミルク」及び「ふわふわウォッシュ」の文字部分との間のスペースを若干広くとって「VIVIセラミド しっとりローション」、「VIVIセラミド しっとりミルク」及び「VIVIセラミド ふわふわウォッシュ」のように表示されている。かかる使用態様においては、これに接した需要者・取引者は、まず最も大きく目立つ位置に表示された「VIVICERAMIDE」図形商標が当該商品の出所識別標識であると認識するとともに、これに相応して、このすぐ真下に小さく表示された「VIVIセラミド」の文字も、「VIVICERAMIDE」図形商標と同一の称呼を生ずる出所識別標識と認識し、他方でこれとは別個に表示された「しっとりローション」、「しっとりミルク」及び「ふわふわウォッシュ」の文字は当該商品の品質及び普通名称を表示したものと認識すると解するのが自然である。また、これに伴い、箱包装平面側及び商品容器背面側に表示された「VIVIセラミド しっとりローション」、「VIVIセラミドしっとりミルク」及び「VIVIセラミドふわふわウォッシュ」の文字についても、「VIVIセラミド」の出所識別標識と、当該商品の品質及び普通名称を表す「しっとりローション」、「しっとりミルク」及び「ふわふわウォッシュ」の文字とを横一連に表示したものと認識すると解すべきである。
(3)乙第8号証ないし乙第11号証
乙第8号証は、被請求人に宛てた株式会社日本セラミド研究所(以下「日本セラミド研究所」という。)からの製品注文書の写しを示すものであり、乙第9号証は、被請求人による日本セラミド研究所宛ての請求明細書の写しを示すものであり、乙第10号証は、日本セラミド研究所に宛てられた商品注文書の写しを示すものであり、そして、乙第11号証は、日本セラミド研究所による注文者宛ての納品書の写しを示すものである。いずれの号証でも「商品名」を示す欄に、「VIVIセラミド クリーム」、「VIVIセラミド しっとりローション」、「VIVIセラミド しっとりミルク」及び「VIVIセラミド ふわふわウォッシュ」のいずれかの表示が確認できることから、それぞれ乙第4号証ないし乙第7号証に示される商品についての製品注文書であるものと推認される。乙第4号証ないし乙第7号証に示される商品に付された出所識別標識は、「VIVICERAMIDE」及び「VIVIセラミド」であることは上述のとおりであるところ、乙第8号証ないし乙第11号証に示される「VIVIセラミドクリーム」、「VIVIセラミドしっとりローション」、「VIVIセラミドしっとりミルク」及び「VIVIセラミドふわふわウォッシュ」の表示は、各商品に共通に付された「VIVIセラミド」の出所識別標識と、商品の性質を区別するための「クリーム」、「しっとりローション」、「しっとりミルク」及び「ふわふわウォッシュ」の品質表示及び普通名称とを、横一連に表示したものと解するのが相当であって、特にこれを妨げるようなその余の事情は認められない。
(4)乙第12号証ないし乙第13号証
乙第12号証は、日本セラミド研究所に宛てたヤマト運輸株式会社からの発送料請求書の写しを示すものであり、乙第13号証は、日本セラミド研究所に宛てたヤマトフィナンシャル株式会社からの代金引換精算書の写しを示すものであるが、乙第12号証ないし乙第13号証には何ら本件商標は表示されていない。
(5)乙第14号証ないし乙第17号証
乙第14号証は、日本セラミド研究所が平成20年4月22日前までに使用していたと被請求人が主張するパンフレットであり、乙第15号証は、日本セラミド研究所が平成20年4月22日から平成26年2月までに使用していたと被請求人が主張するパンフレットであり、乙第16号証は、日本セラミド研究所が平成26年3月に頒布したと被請求人が主張するパンフレットである。乙第14号証ないし乙第16号証には、乙第4号証ないし乙第7号証に示される商品の一部又は全部の商品に係る写真が表示されており、乙第14号証ないし乙第16号証は、乙第4号証ないし乙第7号証に示される商品の一部又は全部の商品に係るパンフレットであると推認される。乙第4号証ないし乙第7号証に示される商品に付された出所識別標識は「VIVICERAMIDE」及び「VIVIセラミド」であることは上述のとおりであるが、乙第14号証ないし乙第16号証においても、当該パンフレットの最上部の最も大きく目立つ位置に「VIVICERAMIDE」図形商標が表示され、その直ぐ右下に「VIVIセラミド」の文字が普通の書体で小さく表示されている。したがって、当該パンフレットに接した需要者・取引者は、一見して、「VIVICERAMIDE」及び「VIVIセラミド」が当該パンフレットにより紹介される商品の出所識別標識であると自然に認識すると解すべきである。
乙第17号証は、日本セラミド研究所が平成26年3月に頒布したパンフレットに同封したものであると被請求人が主張する通知であり、「価格について」の欄に、「VIVIセラミド クリーム」、「VIVIセラミド しっとりローション」、「VIVIセラミド しっとりミルク」及び「VIVIセラミド ふわふわウォッシュ」の表示が確認でき、「商品受注について」の欄に、「VIVIセラミドしっとりローション、ミルク、クリーム、ウォッシュ」の表示が確認できることから、それぞれ乙第4号証ないし乙第7号証に示される商品についての通知であるものと推認される。乙第4号証ないし乙第7号証に示される商品に付された出所識別標識は「VIVICERAMIDE」及び「VIVIセラミド」であることは上述のとおりであり、また、乙第17号証においても、「VIVIセラミド」の表示と、「クリーム」、「しっとりローション」、「しっとりミルク」又は「ふわふわウォッシュ」の表示との間に、1文字分程度のスペースが設けられていることや、「VIVIセラミドしっとりローション、ミルク、クリーム、ウォッシュ」のように「VIVIセラミド」の部分が各商品に共通に冠された表示として省略して表示されていることに鑑みれば、乙第17号証に示された「VIVIセラミド」の表示が各商品の出所識別標識と認識され、「クリーム」、「しっとりローション」、「しっとりミルク」、「ふわふわウォッシュ」、「ミルク」及び「ウォッシュ」の表示は、商品の品質及び普通名称を表すものと認識されると解するのが相当である。
なお、被請求人は、審判事件答弁書において、乙第14号証ないし乙第16号証に示されるパンフレット中に示された「VIVIセラミドクリーム」、「VIVIセラミドしっとりローション」、「VIVIセラミドしっとりミルク」、「VIVIセラミドふわふわウォッシュ」及び「VIVIセラミド」の表示のみに言及し、当該パンフレット中のこれらの表示において「VIVI」と「セラミド」の文字種の相違や間に設けられた若干のスペースが認められることなどを理由に、「VIVI」の部分が独立して要部として認識される旨主張する。しかしながら、上述のとおり、乙第4号証ないし乙第7号証に示される使用態様からは、乙第4号証ないし乙第7号証に示される商品に付された出所識別標識は「VIVICERAMIDE」及び「VIVIセラミド」であると認識されると解するのが自然であること、乙第4号証ないし乙第11号証、及び乙第17号証においては、むしろ、「VIVIセラミド」の表示と、「クリーム」、「しっとりローション」、「しっとりミルク」又は「ふわふわウォッシュ」の表示とを、間にスペースを設けたり、段を分けて表示することによって分離して表示する使用態様が多く認められることに加え、乙第14号証ないし乙第16号証においても、当該パンフレットの最上部の最も大きく目立つ位置に「VIVICERAMIDE」図形商標が表示されるとともに、その直ぐ右下に「VIVIセラミド」の文字が普通の書体で小さく表示されており、このようなパンフレット内において「VIVIセラミド」の文字を共通に冠された数種の商品が紹介されていることにも鑑みれば、被請求人の主張に係る各商品は、その需要者・取引者において、「VIVICERAMIDE」及び「VIVIセラミド」のブランドの下に展開される商品シリーズであると認識されると解するのが相当であって、被請求人の主張は失当と言わざるをえない。
また、被請求人は、乙第17号証を、平成26年3月に乙第16号証に示すパンフレットと同封して送付した通知であるとして提出し、本件審判の請求の登録前3年(以下「要証期間」という。)以内に日本セラミド研究所が当該パンフレットを頒布した旨主張するが、被請求人が提出した書証によっては、実際に乙第17号証に示す通知に乙第16号証に示すパンフレットが同封されて頒布されたことが客観的に立証されておらず、被請求人の主張には疑義がある(なお、被請求人は、頒布先についての記録は提出可能である旨述べているが、たとえ頒布先が示されたとしても、送付物の内容物が立証できなければ、乙第16号証に示すパンフレット及び第17号証に示す通知が頒布されたことの立証とはならない。)。乙第17号証それ自体についても、日本セラミド研究所の捺印が認められないカラー印刷の書面が提出されていることから、被請求人が日本セラミド研究所により頒布されたと主張する書面そのものを複写した控えではなく、書面の基となる電子データから直接印刷されたものと解する余地があり、証拠としての客観性・真実性に疑義がある。さらに、乙第14号証ないし乙第15号証にあっては、そもそも客観的に頒布の事実を立証する書証は何ら提出されていない。
(6)小括
以上のとおり明らかにしてきたように、被請求人が本件商標の使用の事実を示す証拠として提出した乙第4号証ないし乙第17号証により示された使用の態様を総合的に鑑みれば、仮に要証期間内に被請求人の主張するような使用の事実があったとしても、需要者・取引者は、「VIVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」が被請求人の主張に係る商品の出所識別標識であると認識すると解するのが自然である。
さらに、被請求人は、本件商標に係る商標登録出願とは別に、商標登録第4536683号「ヴィヴィ セラミド\VIVI CERAMIDE」に係る商標登録出願を行っており、被請求人自身もこれを本件商標とは別異の商標として認識していたものと推認される。また、被請求人は、当該商標登録第4536683号「ヴィヴィ セラミド\VIVI CERAMIDE」について別途係属中の取消審判事件(取消2015-300477)において、本件取消審判事件について提出された乙第4号証ないし乙第17号証と同一と認められる書証により、「VIVICERAMIDE」図形商標の使用が商標登録第4536683号に係る商標「ヴィヴィ セラミド\VIVI CERAM1DE」と社会通念上同一の商標の使用である旨主張している。すなわち、「VIVICERAMIDE」図形商標が「CERAMIDE」の文字も含め全体として一つの出所識別標識であることは、被請求人も自認するところであると解される。そして、被請求人が本件取消審判事件において提出した書証には、「セラミド」又は「CERAMIDE」の文字を伴わずに「VIVI」の文字のみが使用された例は一切示されておらず、上記(1)ないし(5)において明らかにした使用の態様も併せて総合的に鑑みれば、被請求人の主張に係る商品については、「VIVICERAMIDE」と「VIVI」の2種類の商標がそれぞれ別個に使用されたと解するのは極めて不自然であって、むしろ、一貫して「VIVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」の商標が使用されたと解するのが相当である。
したがって、被請求人等使用商標は「VIVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」であると解するのが相当であって、「使用商標」が「VIVI」であるとの前提に立つ被請求人の主張は失当であって理由がない。
(7)その他
ア 被請求人は、化粧品等の原材料として「セラミド」が一般に親しまれているとし、被請求人が使用を主張する表示において「VIVI」の文字部分か独立して要部として認識される旨主張する。しかしながら、ある商標の構成文字中に、商品の原材料名や普通名称等のそれ単独では自他商品識別標識としての機能を果たさないと考えられる文字が含まれている場合であっても、その商標の構成や使用態様により全体として一体不可分の商標として認識されることはあり得るのであって、仮に「セラミド」の語それ自体が化粧品等の原材料として知られているものであったとしても、そのことから当然に、被請求人が使用を主張する表示において「VIVI」の文字部分が独立して要部として認識されると判断すべきことにはならない。現に、特許庁においても、例えば、「オリザ」の商標と「オリザセラミド\ORYZA CERAMIDE\Oryza Ceramide」の商標、「パール」の商標と「パールセラミド」の商標、「shower\シャワー」の商標と「セラミドシャワー\CERAMIDESHOWER」の商標とが、ともに「化粧品」の範疇に属する商品を指定商品としているにもかかわらず互いに非類似の商標として併存登録されている事実が確認できる(甲3ないし甲5)。なお、化粧品等の原材料として知られている「コラーゲン」や「ヒアルロン」に関しても、「バルーン\BALLOON」の商標と「ba1loon collagen\バルーン コラーゲン」の商標、「ラボ」の商標と「ラボコラーゲン」の商標、「MISS」の商標と「ミスヒアルロン\MISSHYALURON」の商標といったように、同様の併存登録例が確認できる(甲6ないし甲8)。
イ 請求人は、図案化した「VIVI」の文字からなる商標について、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,洗濯用柔軟剤,靴クリーム」を指定商品として登録出願をしており(商願2015-32321)、これについて平成27年8月21日付発送の拒絶理由通知書において商標法第4条第1項第11号に基づく拒絶理由が通知されているが、これより前の平成27年7月9日付で被請求人が提出した刊行物等提出書により被請求人の保有する登録商標「ヴィヴィ セラミド\VIVI CERAMIDE」(商標登録第4536683号)について情報提供がされているにもかかわらず、当該拒絶理由通知書において商標登録第4536683号は類似商標として引用されていない(甲9)。これらの例は、商標の構成文字中に商品の原材料名が含まれる場合であっても、その商標が全体として一体不可分の商標として認識され得ることを示す一証左足り得るものである。そして、被請求人が示す使用の態様を総合的に鑑みれば、需要者・取引者は、「VIVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」が被請求人の主張に係る商品の出所識別標識であると認識すると解するのが自然であるのは上述のとおりであるから、被請求人等使用商標は、「VIVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」であると解するのが相当である。
ウ また、被請求人は、乙第22号証ないし乙第28号証により過去の審判決例を挙げ、これらが被請求人の主張に係る使用が本件商標と社会通念上同一の商標の使用であることの証左である旨主張する。しかしながら、例えば甲第10号証ないし甲第11号証に一例が示されるように、いわゆる品質等表示を伴った表示が登録商標の使用と認められなかった例もまた存在するし、登録商標と使用商標との社会通念上の同一性の判断は、現実の使用の態様等の事情も勘案して事案毎に個別具体的に行われるべきものであって、このような種々の事情を異にする過去の審判決例に基づく被請求人の主張は失当であって採用し得ないものである。
(8)本件商標と被請求人等使用商標の社会通念上の同一性
上記(1)ないし(7)で明らかにしたとおり、被請求人等使用商標は「VIVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」であると解するのが相当であるから、「VlVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」の商標が、本件商標との関係で、商標法第50条第1項にいう社会通念上同一と認められる商標に該当するかどうかにつき、以下に検討する。
本件商標は、「ヴィ・ヴィ」の文字と「VIVI」の文字を上下二段に併記してなるものであり、該構成より「ヴィヴィ(ビビ)」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
他方、被請求人等使用商標は、「VIVICERAMIDE」又は「VIVIセラミド」の文字よりなるものであり、該構成より「ヴィヴィセラミド(ビビセラミド)」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
そこで、本件商標と被請求人等使用商標とを比較すると、外観及び称呼において明らかに相違し、共通の観念も生じないものであるから、互いに非類似の商標であると解すべきほど相違するものであって、他に両者を社会通念上同一と認めるべき理由は見出せない。
以上より、被請求人等使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しない。
(9)まとめ
被請求人は、要証期間内に日本国内において本件商標が使用されていることを何ら証明していないから、本件商標の登録については、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、審判事件答弁書において、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第28号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)商標権者及び通常使用権者について
商標権者である黒龍堂は、日本セラミド研究所に本件商標の使用を黙示で許諾している。日本セラミド研究所は黒龍堂の完全子会社であり、黒龍堂の代表取締役が日本セラミド研究所の代表取締役も務めている(乙2及び乙3)。
後述のとおり、本件の使用立証に係る商品は、黒龍堂が製造し、当該商品を黒龍堂から日本セラミド研究所に納入した後、日本セラミド研究所が発売している。さらに、当該商品において黒龍堂が製造販売元、日本セラミド研究所が発売元と記載されている事実(乙4ないし乙7)及び日本セラミド研究所が継続して本件商標を使用している事実(乙10ないし乙17)からも、日本セラミド研究所がその許諾に基づき本件商標を使用していることが認められる。
以上より、日本セラミド研究所は、本件商標権の通常使用権者である。
(2)使用立証に係る商品について
本件商標権者及び通常使用権者は、本件商標を「VIVI セラミドクリーム」、「VIVI セラミドしっとりローション」、「VIVI セラミドしっとりミルク」及び「VIVI セラミドふわふわウォッシュ」の4種類の商品に使用している。
ア 「VIVI セラミドクリーム」
乙第4号証は、本件商標を付した商品「VIVI セラミドクリーム」の箱包装及び容器の写真であり、当該商品は、セラミドを含有するクリームであることから、本件商標権の指定商品中の「化粧品」に含まれる商品である。
イ 「VIVI セラミドしっとりローション」
乙第5号証は、本件商標を付した商品「VIVI セラミドしっとりローション」の箱包装及び容器の写真であり、当該商品は、セラミドを含有するローションであることから、本件商標権の指定商品中の「化粧品」に含まれる商品である。
ウ 「VIVI セラミドしっとりミルク」
乙第6号証は、本件商標を付した商品「VIVI セラミドしっとりミルク」の箱包装及び容器の写真であり、当該商品は、セラミドを含有する乳液であることから、本件商標権の指定商品中の「化粧品」に含まれる商品である。
エ 「VIVI セラミドふわふわウォッシュ」
乙第7号証は、本件商標を付した商品「VIVI セラミドふわふわウォッシュ」の箱包装及び容器の写真であり、当該商品は、セラミドを含有する洗浄料・洗顔料であることから、本件商標権の指定商品中の「せっけん類,化粧品」に含まれる商品である。
(3)使用の時期と立証期間及び使用立証
要証期間内における商標権者及び通常使用権者による使用を証明する。
ア 本件商標権者による製造及び販売
(ア)乙第4号証ないし乙第7号証は、本件商標を付した商品の写真であり、商品容器の背面ラベルにおいて、黒龍堂は、製造販売元と記載されていることから、黒龍堂が本件商標を付した商品の製造及び販売を行っている事実を証するものである。
乙第8号証は、要証期間内に日本セラミド研究所から黒龍堂に発行された「製品注文書」であり、黒龍堂が製品の注文を受けた事実を証するものである。製品注文書には、日付の他に、商品名・納品場所・納品指定日・注文個数・単価・金額等が記載されている。
乙第9号証は、要証期間内に黒龍堂から日本セラミド研究所に発行された「請求明細書」であり、黒龍堂から日本セラミドに製品を販売した事実を証するものである。請求明細書には、日付の他に、商品名・数量・単価・金額等が記載されている。
以上により、要証期間内において、日本セラミド研究所から注文を受けた黒龍堂が使用立証に係る商品を製造し、日本セラミド研究所に販売したことが証明される。
(イ)通常使用権者による販売
a 乙第10号証は、日本セラミド研究所が受け付けた「商品注文書」であり、要証期間内に日本セラミド研究所が製品の注文を受けた事実を証するものである。商品注文書には、日付の他に、商品名・注文者・注文口数・単価・金額・送付方法等が記載されている。
日本セラミド研究所は、注文者からの使用立証に係る商品の発注を当該商品注文書により受け付けており、要証期間内において、日本セラミド研究所が本件商標を付した商品の注文を受けた事実を証するものである。
b 乙第11号証は、日本セラミド研究所から注文者に発行している「納品書」であり、要証期間内に日本セラミド研究所が注文者へ商品を納品した事実を証するものである。納品書には、日付の他に、商品名・注文者・注文口数・単価・金額・送付方法等が記載されている。
なお、注文者には捺印した納品書を発行しているが、ペーパーレス化に伴い、捺印した納品書の写しを印刷したものの保管はせず、電子データでのみ保管しているため、乙第11号証は当該電子データを印刷したものである。
また、乙第12号証は、当該商品の発送業者であるヤマト運輸株式会社から日本セラミド研究所に宛てた発送料の請求書であり、乙第13号証は、代金引換の際の金銭を精算する精算書である。乙第12号証及び乙第13号証は、要証期間内に日本セラミド研究所から注文者への納品がなされた事実を証するものであり、乙第12号証及び乙第13号証における原票No.が、商品注文書(乙10)における宅配業者間合NO.と対応している。
以上により、要証期間内において、日本セラミド研究所が本件商標を付した商品を販売したことが証明される。
通常使用権者による商品に関する広告の頒布
(ア)日本セラミド研究所は当該商品に係るパンフレットを頒布している。乙第14号証は要証期間前のものであるが、「VIVI セラミドふわふわウォッシュ」が発売される平成20年4月22日以前に、これを除いた使用立証に係る商品を掲載して使用していたパンフレットである。
(イ)乙第15号証は、「VIVI セラミドふわふわウォッシュ」発売後の平成20年4月22日から平成26年2月までの消費税率が5%の時期に使用していたパンフレットである。
(ウ)乙第16号証は、消費税率の8%への引き上げに伴い改訂したパンフレットであり、日本セラミド研究所による本件商標の広告への使用を証するものである。パンフレットには、商品写真・商品説明・内容物・価格及び本件商標を含む商品名が記載されている。
(エ)乙第17号証は、平成26年3月にパンフレットと同封して送付した消費税変更に伴うお知らせであり、要証期間内に日本セラミド研究所がパンフレットを頒布した事実を証するものである。
(4)本件商標と使用に係る商標の同一性について
ア 前述したように本件商標は、「ヴィ・ヴィ」の片仮名と「VIVI」の欧文字を二段に併記したものであり、使用に係る商標(以下「使用商標」という。)は、「VIVI」の欧文字を横一連に書したもので構成されている。
本件商標の下段の欧文字「VIVI」と使用商標「VIVI」とは、同一の文字からなるものであって、これらから生ずる「ヴィヴィ」の称呼を共通にするもので異なる観念を想起させるものでもないことから、本件商標と使用商標とは社会通念上同一と認められる範疇に属するものであり、本件商標の使用に該当するものである。
イ 使用商標は、原材料である「セラミド」、セラミドを含有する商品を示す「セラミドクリーム」、「セラミドしっとりローション」、「セラミドしっとりミルク」及び「セラミドふわふわウォッシュ」の表示と一文字程度のスペースを空けた態様・一連の態様及び二段併記の態様が存在する。
「セラミド」とは、スフィンゴシンに脂肪酸が結合したものをいい、皮膚の角質細胞間脂質の約半分を占め、水分の蒸発を防ぐ効果があり(乙18)、皮膚の潤いを保つ働きがあることから化粧品等の原材料として使用され、一般に親しまれている実情がある。例えば、平成11年異議第91081号においても品質表示として普通に使用されているものと認定されている(乙19)。
また、特許情報プラットフォームにおける商品・役務名検索においても、セラミドを含有する商品が多数例示されていることからも、原材料の表示として認識されているといえる(乙20)。
さらに、「セラミド」以外の表示についても、日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosmeにおいて、「セラミドクリーム」、「セラミドローション」及び「セラミドミルク」の表示は複数の異なる主体により使用されている事実があり、自他商品識別標識としての機能を果たさない表示と認識されている(乙21)。
ウ 「VIVI」と「セラミドクリーム」、「セラミドしっとりローション」、「セラミドしっとりミルク」及び「セラミドふわふわウォッシュ」の表示とは、欧文字と片仮名・平仮名とそれぞれ異なる文字種で表されており、外観上容易に分離し得るものである。
加えて、これらの表示が品質等表示であることからも、外観上常に一体不可分のものとして認識されるとはいえず、「VIVI」の文字部分が独立して要部として認識される。
以下、商品ごとに詳述する。
(ア)「VIVI セラミドクリーム」
「セラミドクリーム」の表示は、当該商品との関係で「セラミドを含有するクリーム」と理解され、「VIVI」と「セラミドクリーム」とは、欧文字と片仮名と異なる文字種で表されており、外観上容易に分離し得るものである。さらに、「セラミドクリーム」が品質等表示であること及び「セラミド」の部分は同種の片仮名で表された「クリーム」と結合して認識されることから、「VIVI」の文字部分は、外観上独立して認識され得るといえる。
それに加えて、上記表示を一連で称呼する場合に、「ヴィヴィセラミドクリーム」と比較的長い称呼において、自他商品識別標識としての機能を果たさない表示に当たる部分を省略して、要部である「ヴィヴィ」の部分が分離して認識され得るものである。
(イ)「VIVI セラミドしっとりローション」
「セラミドしっとりローション」の表示は、当該商品との関係で「セラミドを含有するしっとりしたローション」と理解され、「VIVI」と「セラミドしっとりローション」とは異なる文字種で表されていることから、外観上容易に分離し得るものである。さらに、「セラミドしっとりローション」が品質等表示であることからも、「VIVI」の文字部分は、外観上独立して認識され得るといえる。
それに加えて、上記表示を一連で称呼する場合に、「ヴィヴィセラミドシットリローション」と比較的長い称呼において、自他商品識別標識としての機能を果たさない表示に当たる部分を省略して、要部である「ヴィヴィ」の部分が分離して認識され得るものである。
(ウ)「VIVI セラミドしっとりミルク」
「セラミドしっとりミルク」の表示は、当該商品との関係で「セラミドを含有するしっとりしたミルク(乳液)」と理解され、「VIVI」と「セラミドしっとりミルク」とは異なる文字種で表されていることから、外観上容易に分離し得るものである。さらに、「セラミドしっとりミルク」が品質等表示であることからも、「VIVI」の文字部分は、外観上独立して認識され得るといえる。
それに加えて、上記表示を一連で称呼する場合に、「ヴィヴィセラミドシットリミルク」と比較的長い称呼において、自他商品識別標識としての機能を果たさない表示に当たる部分を省略して、要部である「ヴィヴィ」の部分が分離して認識され得るものである。
(エ)「VIVI セラミドふわふわウォッシュ」
「セラミドふわふわウォッシュ」の表示は、当該商品との関係で「セラミドを含有するふわふわしたウォッシュ(洗浄液)」と理解され、「VIVI」と「セラミドふわふわウォッシュ」とは異なる文字種で表されていることから、外観上容易に分離し得るものである。さらに、「セラミドふわふわウォッシュ」が品質等表示であることからも、「VIVI」の文字部分は、外観上独立して認識され得るといえる。
それに加えて、上記表示を一連で称呼する場合に、「ヴィヴィセラミドフワフワウォッシュ」と比較的長い称呼において、自他商品識別標識としての機能を果たさない表示に当たる部分を省略して、要部である「ヴィヴィ」の部分が分離して認識され得るものである。
(オ)パンフレットにおける使用
パンフレットにおいては、要証期間前のものも含め、桃色地に白抜き文字で「VIVI セラミドクリーム」、青色地に白抜き文字で「VIVI セラミドしっとりローション」、橙色地に白抜き文字で「VIVI セラミドしっとりミルク」、緑色地に白抜き文字で「VIVI セラミドふわふわウォッシュ」及び黒色で「VIVI セラミド」の文字を使用している(乙14ないし乙16)。
「VIVI」と「セラミド」とは、欧文字と片仮名と異なる文字種で表されており、外観上容易に分離し得るものであるところ、当該パンフレットにおいて明確にスペースを空けて使用されており、より明白に「VIVI」の文字部分が外観上独立して認識されるということができる。
以上より、使用立証に係る商品及びパンフレットにおける「VIVI」の部分が、独立して要部として認識され得ることから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一と認められるものであり、本件商標の使用に該当するものである。
エ かかる主張を証左するものとして、乙第22号証ないし乙第27号証の審決に示すとおり、品質等表示を伴う商標の使用は、社会通念上同一であるとして登録商標の使用と認められている。加えて、乙第28号証以下の判決においても、その他の文字を伴う構成の使用商標について、登録商標の部分が独立して要部として認識され得るとして、登録商標と使用商標との社会通念上の同一性が認められている。
(5)むすび
したがって、本件商標は、本件商標権者及び通常使用権者によって、要証期間内において、日本国内で請求に係る指定商品中の「せっけん類,化粧品」について使用されていることが明らかである。

第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の主張及び提出された証拠によれば、本件商標の使用について以下のとおりである。
(1)乙第4号証は、「VIVIセラミドクリーム」と称する商品の「箱包装」及び「商品容器」の写真であって、箱包装の上面及び側面並びに商品容器の前面に二重線に挟まれるように「VIVIセラミドクリーム」の文字が横書きされており、商品容器の背面には、製造販売元として「(株)黒龍堂」の文字、発売元として「(株)日本セラミド研究所」の文字がある。
(2)「セラミド」について
「セラミド」は、「スフィンゴシンに脂肪酸が結合したもの。皮膚の角質細胞間脂質の約半分を占め、水分の蒸発を防ぐ。」(乙18)ものであり、化粧品の成分に使用され、例えば、「セラミドクリーム」及び「セラミドローション」のように、商品名に冠してセラミド入り商品を示す表示として使用されていることが認められる(乙21)。
(3)乙第15号証及び乙第16号証は、「VIVIセラミドクリーム」等の商品の宣伝広告用のパンフレットであるところ、該パンプレット中には、「VIVIセラミドクリーム」の商品の紹介として「ベタつきを抑えたセラミドたっぷりな保湿クリームです。」と記載されている。
(4)乙第8号証は、「(株)日本セラミド研究所」から仕入先である「(株)黒龍堂」に宛てた「製品注文書」であり、一方、乙第9号証は、「株式会社黒龍堂」から「(株)日本セラミド研究所」に宛てた「請求明細書」である。そして、同号からは、以下が認められる。
ア 上記「請求注文書」及び「請求明細書」においては、「(株)日本セラミド研究所」の住所が「東京都豊島区」と、「株式会社黒龍堂」の住所が「東京都港区」と記載されていることから、当該「請求注文書」及び「請求明細書」に係る取引は、日本国内で行われたものであると認められる。
イ 乙第8号証の1葉目は、2012年8月22日付け(乙8においては「2012/8/22」と記載。)「製品注文書」であり、「納品指定日」には「2012/9/28」、「商品名」には「VIVIセラミドクリーム」、「注文個数」には「86」の記載がある。
そして、乙第9号証の1葉目は、2012年9月27日付け(乙9においては「年」の欄に「12」、「月」の欄に「09」及び「日」の欄に「27」と記載。)の「請求明細書」であり、「商品コード/品名」には「VIVIセラミドクリーム」、「数量」には「86」の記載がある。
2 判断
(1)商標の使用及び使用時期等について
本件商標権者は、上記1(1)のとおり、「VIVIセラミドクリーム」の商品の箱包装の上面及び側面並びに商品容器の前面に「VIVIセラミドクリーム」の文字を付しているものであるから、該文字が商標として使用されているといえるものである。
そして、上記1(3)のとおり、「VIVIセラミドクリーム」の商品が、要証期間内である「納品指定日」に、ともに日本国内に住所を有する本件商標権者から「(株)日本セラミド研究所」に引き渡しされたものと推認される。
(2)本件商標と「VIVIセラミドクリーム」の同一性について
本件商標は、「ヴィ・ヴィ」の片仮名及び「VIVI」の欧文字を2段に横書きしてなるところ、上段部の片仮名は下段部の欧文字の読みを表したものと認められる。
そして、「VIVIセラミドクリーム」の商品の箱包装及び商品容器に表示された「VIVIセラミドクリーム」の文字は、「セラミドクリーム」の片仮名部分が、上記1(2)及び(3)のとおり、「セラミド入りのクリーム」の商品を表してなるといえるものであり、商品の出所識別標識としての称呼及び観念を生じるとはいえないものであることから、商品の出所を識別する標識として使用されているのは、欧文字部分の「VIVI」の部分であるとみるのが相当である。
そうすると、「VIVIセラミドクリーム」の文字のうち、商品の出所を識別する標識といえる「VIVI」の欧文字部分は、本件商標の構成中の「VIVI」の欧文字部分と同一の綴り字からなり、同一の称呼を生じるものであって、観念についても異なる観念を生じさせるような事情も認められないことから、本件商標と「VIVIセラミドクリーム」の商品に使用されている「VIVIセラミドクリーム」の文字からなる商標とは、社会通念上同一の商標といえるものである。
(4)使用商品
「VIVIセラミドクリーム」は、上記1(3)のとおり、「ベタつきを抑えたセラミドたっぷりな保湿クリームです。」との記載から「化粧品」の範ちゅうに属する商品といえるものであるから、本件商標の指定商品中の「化粧品」に含まれるものと認められる。
(5)小括
以上のとおり、上記(1)ないし(4)によれば、本件商標権者は、要証期間内に、本件商標の指定商品中、「化粧品」の範ちゅうに含まれる商品について、その包装に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを、「(株)日本セラミド研究所」に引き渡したものと認められ、同行為は、商標法第2条第3項第2号に該当する「使用」と認めることができる。
3 請求人の主張について
請求人は、商品の箱包装及び商品容器のいずれにおいても、「VIVICERAMIDE」図形商標が最も大きく目立つ位置に表示され、そのすぐ真下に普通の書体で小さく「VIVIセラミドクリーム」の文字が表示されている使用態様においては、これに接した需要者、取引者は、「VIVICERAMIDE」図形商標が当該商品の出所識別標識であると認識し、このすぐ真下に小さく表示された「VIVIセラミドクリーム」の文字は、「VIVICERAMIDE」図形商標と同一の称呼を生ずる「VIVIセラミド」の出所識別標識と当該商品の普通名称を表す「クリーム」の文字とを横一連に表示したものと認識すると解するのが自然である旨主張する。
しかしながら、「VIVIセラミドクリーム」の文字は、「VIVI」の欧文字と「セラミドクリーム」の片仮名が異なる文字の種類であり、「セラミドクリーム」の片仮名が、商品「化粧品」との関係において、「セラミド入りのクリーム」であることを認識させるものといえることを考慮すると、「VIVICERAMIDE」の文字が商品の箱包装及び商品容器に大書されているとしても、「VIVI」の欧文字と「セラミドクリーム」の片仮名が結合してなるものと認識されるとみるのが自然である。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、要証期間内に日本国内において本件商標権者が、本件商標の指定商品の範ちゅうに含まれる商品について、本件商標(社会通念上同一の商標)の使用をしていることを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-03-17 
結審通知日 2016-03-22 
審決日 2016-03-31 
出願番号 商願平3-14455 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 高橋 幸志
田中 亨子
登録日 1993-07-30 
登録番号 商標登録第2554275号(T2554275) 
商標の称呼 ビビ、ブイアイブイアイ 
代理人 土野 史隆 
代理人 川口 嘉之 
代理人 世良 和信 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 古井 かや子 

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