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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X03 |
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管理番号 | 1315817 |
審判番号 | 取消2013-301103 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-12-18 |
確定日 | 2016-01-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第535017号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第535017号商標(以下、「本件商標」という。)は、「サンローラン」の片仮名を横書きしてなり、昭和32年12月29日に登録出願され、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同34年3月26日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、平成21年3月11日に指定商品を第3類「人造じゃ香,その他の香料類(薫料・香精・天然じゃ香・芳香油を除く。),吸香,におい袋,香水,その他の香水類,フケ取り香水,香油,髪膏,おしろい,化粧下」とする指定商品の書換登録がされているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成26年1月15日にされている。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないから、その登録は取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人の提出に係る証拠は、いずれも本件商標の審判請求の登録前3年以内の使用の事実を証明するに足るものではない。 (1)乙第1号証について 乙第1号証の商品パンフレットには、その発行時期や配布時期に関する記述はなく、そのほかに該商品パンフレットが発行され、配布された時期を客観的に証明する資料もない。 被請求人は、過去に「サンローラン」の商標を使用して化粧品、香水等を販売していた事実があることは確認されているから、請求人が「サンローラン」の商標を使用して化粧品等を販売した当時に乙第1号証の商品パンフレットを製作し、使用・配布していたことは想定される事態である。しかしながら、請求人の調査によれば、被請求人の「サンローラン」シリーズの化粧品等は、少なくとも5年以上前に廃番となっているものであるから、本件においては、単に乙第1号証の商品パンフレットが存在する事実の主張及び立証だけでは足りず、乙第1号証の商品パンフレットが、本件審判の請求の登録日前3年以内に発行され、配布されていた事実の立証が不可欠であるから、それらを客観的に証明する資料の提出を求める。 また、被請求人は、「サロンベース(下地クリーム)」及び「サロンオーデトワレ(グリン)、(ブーケ)」の各商品の実物を口頭審理に持参する予定であるから、該各商品の実物とその他の各証拠によって、該商品パンフレットによらずとも、要証期間において実際に販売されている商品が存在することを証明することができると主張するが、本件審判で立証すべき事実は、該商品が存在することではなく、本件商標が付された指定商品が要証期間で販売等された事実である。 (2)乙第2号証及び乙第4号証(写真)について 乙第2号証及び乙第4号証の写真について、被請求人は、本件審判の請求後の平成26年2月13日に撮影した旨述べている点を考慮すれば、これらの写真は、単に、被請求人が「サンローラン」の商標を使用して化粧品等を販売していた当時の売れ残り品の写真を撮影したものであるとの疑義を抱かざるを得ない。 そして、本件においては、単に「サンローラン」の商標が使用されている乙第2号証及び乙第4号証の商品が実在する事実を立証するだけでは足りず、該商品が、本件審判の請求の登録日前3年以内に実際に販売された事実の立証が不可欠であるから、該写真のみでは、本件商標が「香水,その他の香水,化粧下」について本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者により使用されたことは、何ら証明されていない。 また、乙第2号証の写真を見る限り、オーデトワレの瓶及び包装箱のいずれにも「フローラルグリーン」又は「フレッシュブーケ」の種別は記載されていないから、乙第1号証の商品パンフレットに掲載されている「オーデトワレ(フローラルグリーン)」と乙第2号証の写真の商品とが客観的に関連付けられているとは到底いえない。 (3)乙第3号証及び乙第5号証(売上伝票)について ア 被請求人が提出した乙第3号証の1及び2は、それぞれ「2012年9月20日」、「2013年11月25日」の日付が付された被請求人の売上伝票とみられるところ、該売上伝票の「商品コード/品名」の欄には、それぞれ「498561471774 オードトワレ(フローラルグリーン)」との記載がある。 しかしながら、これらの伝票自体には、本件商標が使用されていない上、このような伝票は、被請求人自身が作成し、容易に打ち出しできるものであるから、証拠としての価値は極めて低い。その上、該伝票中、商品の買主の名称が記載されている「お得意様」の欄は、「有限会社」、「美容室」の部分を除いて黒塗りされており、取引先の住所等の記載もないため、商品の買主に関する情報が一切不明であり、これらの取引先が実在するか否かさえ疑義があるといわざるを得ないから、乙第3号証の1及び2の伝票が、取引先に実際にそれらの商品を販売したことの立証にはなり得ない。 さらに、乙第3号証の1及び2に記載されている「オーデトワレ(フローラルグリーン)」との商品名は、乙第1号証の商品パンフレットの20番の商品名「サロンオーデトワレ(グリン)、(ブーケ)」及び乙第2号証の商品、商品パッケージ背面に表示されている商品名「サロンオーデトワレ」とは、表記が異なるものである。 乙第3号証の1及び2の商品は、「(フローラルグリーン)」という香りの種類のオーデトワレであると思われるが、乙第2号証の商品及び商品パッケージには、該商品の香りの種類を特定する表示は一切ない。 したがって、乙第3号証の1及び2の売上伝票によっては、乙第2号証の写真が実際に取引先に販売されたことの立証にはなり得ない。 イ 乙第5号証は、「2011年2月9日」の日付が付された被請求人の売上伝票とみられるところ、該伝票にも、本件商標は使用されておらず、また、このような伝票は、被請求人自身が作成し、容易に打ち出しできるものであるから、証拠としての価値は極めて低い。その上、該伝票中、商品の買主の名称が記載されている「お得意様」の欄は、すべて黒塗りされており、住所等の記載もないため、商品の買主に関する情報が一切不明であり、これらの取引先が実在するか否かさえ疑義があるといわざるを得ないから、取引先に実際にそれらの商品を販売したことの立証にはなり得ない。 さらに、該伝票には、「サロンベースクリーム」との記載があるものの、「サロンベースクリーム」は、サロン専売又はサロン専用のベースクリーム(化粧下地)であるという商品の品質を表示する識別力のない表示にすぎず、被請求人が製造、販売する他のサロン専用ベースクリームにも使用され得る一般的な表示であるから、かかる記載のみでは、乙第5号証の伝票に記載されている「サロンベースクリーム」との商品が、乙第1号証の商品パンフレットの15番の商品及び乙第4号証の写真の商品であることは明らかでない。 したがって、請求人は、被請求人に対して、本件商標が付された商品が実際に得意先によって受領されたことを客観的に証明する資料を提出するよう求める。 ウ また、乙第3号証及び乙第5号証の原本の提出を求めると同時に、乙第3号証に記載されている「オーデトワレ(フローラルグリーン)」が、乙第1号証の20番の商品及び乙第2号証の写真の商品であり、乙第5号証に記載されている「サロンベースクリーム」が乙第1号証の15番の商品及び乙第4号証の写真の商品であることを証明する資料の提出を求める。 (4)乙第6号証(店頭販売の写真)について 乙第6号証の写真は、平成26年2月19日に撮影したと被請求人は主張するが、該写真には、撮影年月日の表示がなく、その他撮影日を客観的に証明する資料も提出されていない。また、被請求人は、乙第6号証の写真は、卸売業者の一で撮影したものと主張しているが、その具体的な撮影場所(卸売業者の名称及び住所)は、明らかにされていないうえ、該写真は、店舗の商品陳列棚の一部を撮影したにすぎず、卸売業者の店舗全体の様子等も一切不明であるから、かかる店舗が実在する店舗であるか否かさえも定かではない。 よって、請求人は、被請求人に対して、乙第6号証の写真の撮影日を客観的に証明する資料の提出を求めると同時に、乙第6号証の写真の卸売業者の名称及び店舗の住所を明らかにすることを求める。 (5)乙第7号証及び乙第8号証について 「オーデトワレ」は、化粧品の種類を表す普通名称にすぎず、乙第3号証、乙第7号証及び乙第8号証によっては、これらの売上伝票に記載の「オーデトワレ(フローラルグリーン)」が、乙第1号証の商品パンフレットに掲載された商品及び乙第2号証の写真の商品と同一であると認めることはできない。これらの売上伝票自体には、本件商標が表示されておらず、また、売上伝票の「オーデトワレ(フローラルグリーン)」との表示は、乙第1号証の商品パンフレット及び乙第2号証の商品及び包装箱に記載の表示とも一致しないから、乙第3号証、乙第7号証及び乙第8号証によって、本件商標が付されたオーデトワレが要証期間内に販売された事実が立証されているとはいえない。 (6)乙第9号証について 被請求人は、乙第7号証の1及び2の売上伝票に基づき、実際に支払いがあったことを示す当座勘定照合表を乙第9号証の1として提出し、その整合性を示す補完の証拠として、乙第9号証の2の売上伝票及び乙第9号証の3の払込取扱票を提出しているが、乙第7号証の1及び2の売上伝票に基づき実際に支払いがあったとしても、上述のとおり、そもそも乙第7号証の1に記載されている「オーデトワレ(フローラルグリーン)」が乙第1号証に掲載の「サロンオーデトワレ(グリン)、(ブーケ)」及び乙第2号証の写真の商品と同一であることが依然として不明である以上、上記売上伝票に基づき実際に支払いがあった事実により、本件商標が付された指定商品が要証期間内に商標権者によって販売されたことが立証されるものではない。 なお、乙第7号証の1と乙第9号証の2の売上伝票の金額の合計額は、乙第9号証の1において平成24年10月31日付けで「ユ)フエローニ」から入金されている金額と一致しない。 (7)乙第10号証及び乙第11号証について 被請求人は、乙第5号証の販売先を明記した売上伝票を乙痔10号証として提出し、乙第10号証に基づき実際に支払いがあったことを示す払込取扱伝票を乙第11号証として提出している。 しかしながら、乙第5号証及び乙第10号証の売上伝票自体には、本件商標の記載はなく、また、乙第5号証及び乙第10号証中の「サロンベースクリーム」の表示は、商品がエンドユーザー(個人消費者)向けではなく、美容院やエステサロン等の事業者用の商品であることを示す表示として「サロン仕様」、「サロン向け」等の態様で美容業界で一般的に使用されている「サロン」の文字と、「化粧下地」という化粧品の種類を示す語として化粧品を取り扱う業界で一般的に使用されている「ベースクリーム」の語を組み合わせて、全体で「サロン用のベースクリーム」であることを示すにすぎない識別力のない表示である「サロンベースクリーム」との表示は、あらゆるサロン向けのベースクリームとの関係で一般的に使用され得る表示であるから、乙第5号証及び乙第10号証の売上伝票のみでは、該売上伝票に記載の「サロンベースクリーム」との商品が乙第1号証掲載の「サンローラン」の「サロンベースクリーム」であり、乙第2号証の写真の商品と同一であると認めることはできない。 (8)乙第13号証及び乙第14号証について 被請求人は、乙第3号証の2及び乙第7号証の2の売上伝票に係る商品を購入したことをローナ美容室の代表者及びはたの真珠の代表者により確認した購入確認書をそれぞれ乙第13号証及び乙第14号証として提出している。 しかしながら、該購入確認書は、単に被請求人によって、被請求人の主張事実に合わせて作成された文書に、上記両者が依頼を受けて署名しただけのものであり、客観性がなく、証拠価値を認めることはできない。 (9)乙第15号証について 全商品の商品コードリストなるものを乙第15号証として提出しているが、該商品コードリストは、被請求人が取り扱っている全商品の商品コードリストであると述べるにとどまり、該商品コードリストでいかなる事実を証明しようとしているのか不明である。 また、乙第15号証には、「オーデトワレ(フローラルグリーン)」、「オーデトワレ(フレッシュブーケ)」等の商品名のみが記載されており、本件商標が付された各商品の商品写真等はないから、これらの商品に本件商標が使用されていたか否かは明らかでない。 なお、乙第15号証は、作成時期及び作成者が不明である上、一見して明らかなように、被請求人が表計算ソフトを使用して自社で作成したと思しき書面にすぎず、客観性がない。 3 まとめ 以上より、被請求人が提出した証拠によって、本件商標と社会通念上同一の商標について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内における使用が証明されていない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む。)を提出している。 1 答弁の理由 被請求人は、本件審判の請求の登録日前3年の間に日本国内において、本件商標をその指定商品中、少なくとも「香水,その他の香水類」及び「化粧下」について使用している。 (1)乙第1号証は、被請求人に係る「サンローラン サロンシリーズ」の商品パンフレットの写しである。該商品パンフレットにおいて、「サンローラン」の片仮名よりなる標章が表題として大きく付されているとともに、「サロンシリーズ」の各商品の写真と商品名及びその説明が掲載されている。 この「サンローラン」との標章は、各商品パッケージに付されている「SANLOURAN」の欧文字の片仮名表記であり、その使用態様は、商標として使用されているものであって、本件商標と社会通念上同一の商標であることが明らかである。 また、商品パンフレットに掲載の各商品のうち、「20番」の「サロンオーデトワレ」の商品は、その「魅力的なソフトな香りのするオードトワレ。」との説明からわかるように、本件商標の指定商品のうち「香水,その他の香水類」に該当する商品である。 (2)乙第2号証は、平成26年2月13日に、本件審判の代理人が、「サロンオードトワレ」の商品パッケージと商品を並べて撮影したものであって、商品パッケージと商品の背面を撮影した写真において、「サンローラン」の片仮名からなる標章が、やや太字にデザイン化された構成において大きく表示されているとともに、その下に「サロンオーデトワレ(オーデコロン)」と商品名が記載されている。 (3)乙第3号証は、被請求人が実際に商品を販売した事実を示す売上伝票の写しであって、該各売上伝票のうち、「オーデトワレ(フローラルグリーン)」が「サロンオーデトワレ」に該当する商品であり、各伝票における納品日である「12年9月20日」及び「13年11月25日」との記載より、「サロンオーデトワレ」の商品が、本件審判の請求の登録日前3年の間に日本国内において販売されている事実がわかる。 (4)以上のように、乙第1号証及び乙第2号証における「サンローラン」の片仮名の標章は、本件商標と社会通念上同一の商標であることが明らかである。また、「サロンオーデトワレ」の商品が、本件商標の指定商品「香水,その他の香水類」に該当することも明らかであるから、本件商標は、「香水,その他の香水類」について、被請求人によって使用されているものである。 そして、乙第3号証より、その使用も本件審判の請求の登録日前3年の間に日本国内においてなされていることがわかる。 (5)「化粧下」について 乙第1号証に係る商品パンフレットにおいて、「15番」の商品として、「サロンベース」の商品が掲載され、該商品は、「下地クリーム」とあるように、「化粧下」に該当する商品であることが明らかである。 また、乙第4号証は、平成26年2月13日に、本件審判の代理人が、該「サロンベース」の商品パッケージと商品を並べて撮影した各写真であって、商品パッケージと商品の背面を撮影した写真において、「サンローラン」の片仮名からなる標章がやや太字にデザイン化された構成において大きく表示されているとともに、その下に「サロンベースクリーム(メイクアップベース)」と商品名が記載され、「化粧下」に該当することも明らかである。 そして、乙第5号証の売上伝票において、「サロンベースクリーム」の記載があり、該伝票の納品日である「11年2月9日」との記載より、該商品が、本件審判の請求の登録日前3年の間に日本国内において販売されている事実がわかる。 (6)乙第6号証は、平成26年2月19日に、被請求人によって撮影された、卸売販売業者の一における店頭販売の様子を示す写真であって、「サンローラン」との表示のもとに、被請求人に係る各商品は、実際に販売がなされており、本件審判の請求の登録日前3年の間はもちろんのこと、現在においても、本件商標が継続して使用されていることは明らかである。 2 口頭審理陳述要領書 (1)乙第1号証に係る商品パンフレットの作成日及び配布日については、パンフレット自体に記載されておらず、また、その他の証拠もすでに消失していることから、準備することができない。 (2)乙第2号証の写真の撮影は、要証期間になされたものではないが、被請求人は「サロンオーデトワレ」の商品の実物を口頭審理に持参する予定であり、該写真によらずとも、各商品の実物とその他の各証拠によって、要証期間において実際に販売されている商品が存在することを証明する。 (3)被請求人の「サロンオーデトワレ」に係る商品には、「フローラルグリーン」と「フレッシュブーケ」の2種類存在し、乙第1号証に係る商品パンフレットは、その表記スペースとの関係により、商品を区別できる必要最小限度の記載として、端的に「グリン」、「ブーケ」と表記されているものである。また、乙第2号証においては、乙第1号証及び乙第3号証の記載によって、被請求人が「サロンオーデトワレ」の商品を要証期間に販売していることが明らかであり、商品の種類の詳細は不要と考えたことから、あえて説明を省いたものである。 乙第3号証と商品との関係については、持参する商品によって、要証期間に販売されていることが明らかになると考えるが、乙第3号証における販売先を明記した売上伝票の写しを乙第7号証の1及び2として提出し、さらに別の売上伝票を乙第8号証として提出する。 加えて、乙第7号証の1の売上伝票に基づき、実際に支払いがあったことを示す当座勘定照合表を乙第9号証の1として提出し、その整合性を示す補完の証拠として、本件には直接関連がないものの、他の商品に係る各売上伝票を乙第9号証の2として提出する。 また、乙第7号証の2に基づき、実際に支払いがあったことを示す証拠として、払込取扱票を乙第9号証の3として提出する。 (4)乙第5号証について、販売先を明記した売上伝票を乙第10号証として提出する。また、乙第10号証に基づき、実際に支払いがあったことを示す払込取扱票を乙第11号証として提出する。 (5)乙第6号証に係る写真は、要証期間のものではないが、撮影場所である株式会社岡本商会においては、要証期間より継続して被請求人に係る各商品が陳列販売されており、このことは、乙第12号証に係る仕入伝票からも明らかである。 なお、請求人は、弁駁書において、請求人の調査によれば、被請求人の「サンローラン」シリーズの化粧品等は、少なくとも5年以上前に廃番になっている旨主張するが、この点は、請求人のまったくの誤認であり、そのような事実はない。 3 上申書における主張及び立証 (1)乙第3号証の2及び乙第7号証の2の売上伝票に係る商品を購入したことをローナ美容室の代表者による購入確認書を乙第13号証として提出するとともに、乙第5号証及び乙第10号証の売上伝票に係る商品を購入したことを、はたの真珠の代表者による購入確認書を乙第14号証として提出する。 (2)被請求人が取り扱っている全商品の商品コードリストを乙第15号証として提出する。 (3)オーデトワレの包装箱に「フローラルグリーン」及び「フレッシュブーケ」と記載のある側面写真を乙第16号証として提出する。 (4)乙第3号証の1などの売上伝票に記載の取引先コードは、被請求人を意味するコード(4985614)で、これは、同売上伝票の商品コード・品名の欄に記載のJANコードの上7ケタと同じ数字であり、この売上伝票は、一般財団法人流通システム開発センターのチェーンストア向け統一伝票で、取引先コードの欄には、被請求人のコードを入力するようになっている。 (5)乙第9号証の1の最下段の「フェローニ」の金額と売上伝票(乙7の1及び乙9の2)との合計額との差額は、振込手数料に相当する額であり、フェローニが振込手数料を差し引いて入金したことにより生じた相違である。 (6)乙第15号証の商品コードリストは、被請求人が要証期間内に取り扱っていた全商品の商品コードリストと同じである。 (7)乙第6号証の所在地は、大阪市中央区西心斎橋2-6-15 株式会社岡本商会である。 第4 当審の判断 1 本件商標の使用について、被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、「サンローラン サロンシリーズ」との表題があり、その裏面には、「サンローラン化粧料」及び商標権者の表示のある商品パンフレットの写しと認められる。該商品パンフレットの中に「15番」の「サロンベース(下地クリーム) ¥2,500(税抜)」及び「20番」の「サロンオーデトワレ(グリン)(ブーケ) ¥3,500(税抜)」の商品が写真とともに掲載され、これら商品の商品パッケージには「SANLOURAN」の文字が表示されているが、該パンフレットの作成日、使用期間などの表示はない。 (2)乙第2号証は、「サロンオーデトワレ」の商品パッケージと商品の写真の写しであって、商品パッケージと商品の背面を撮影した写真において、「サンローラン」、「サロンオーデトワレ(オーデコロン)」及び商標権者の表示、該商品には、前記文字以外に「¥3,500(税抜)」の表示がある。乙第4号証は、「サロンベースクリーム」の商品パッケージと商品の写真の写しであって、商品パッケージと商品の背面を撮影した写真において、「サンローラン」、「サロンベースクリーム(メイクアップベース)」及び商標権者の表示があり、商品には、前記文字以外に「¥2,500(税抜)」の表示があるが、被請求人は、これらの写真の撮影日について平成26年2月13日である旨主張するものである。 (3)乙第7号証の1は、2012年9月20日付けで商標権者から有限会社フェローニに宛てた売上伝票の写しであって、「商品コード、品名」の欄に「4985614717741 オーデトワレ(フローラルグリーン)/3,500」、納品数量、単価、合計金額として「12848」の記載がある。 また、乙第7号証の2及び乙第8号証は、2013年11月25日の商標権者からローナ美容室に宛てた売上伝票の写しであって、「商品コード、品名」の欄に、それぞれ「4985614717741 オーデトワレ(フローラルグリーン)/3,500」及び「4985614717758 オーデトワレ(フレッシュブーケ)/3,500」、納品数量、単価、合計金額として、それぞれ「1837」及び「44152」の記載がある。 そして、乙第9号証の3は、平成25年12月30日に大阪貯金事務センターが取り扱った払込取扱票の写しであり、ローナ美容室が商標権者に対する払込金額を「¥45,989」とするものである。 (4)乙第9号証の1は、商標権者に関する平成24年10月31日の当座勘定照合表であるところ、「お振込人またはお取引内容」及び「お預り金額」の欄に「ユ)フエローニ」及び「41560」の記載がある。 また、乙第9号証の2は、2012年9月6日、同月13日及び同月20日の商標権者から有限会社フェローニに宛てた4葉からなる売上伝票の写しであって、合計金額として、それぞれ「7848」、「10342」、「1732」、「9630」の記載がある。 (5)乙第10号証は、2011年2月9日の商標権者からはたの真珠羽田野喜子に宛てた売上伝票の写しであって、「商品コード、品名」の欄に「4985614717680 サロンベースクリーム/2,500」、納品数量、単価、合計金額として「47040」の記載がある。 (6)乙第11号証は、平成23年3月3日に大阪貯金事務センターが取り扱った払込取扱票の写しであり、はたの真珠が商標権者に対する払込金額を「¥47,040」とするものである。 (7)乙第13号証は、ローナ美容室代表者の藤岡進が「写真と同じ商品を2013年11月25日に商標権者から購入したことに相違ない」旨を2014年9月11日に上申したものであって、該写真には、商品パッケージの表面、裏面、側面及び上面の写真写しが表示され、表面部分には「SANLOURAN」の表示、裏面には「サンローラン/サロンオーデトワレ/(オーデコロン)」及び商標権者の表示、側面には「オーデトワレ/フローラルグリーン」の表示がある。 (8)乙第14号証は、はたの真珠代表者の羽田野喜子が「写真と同じ商品を2011年2月9日に商標権者から購入したことに相違ない」旨を2014年9月12日に上申したものであって、該写真には、商品パッケージの表面及び裏面の写真写しが表示され、表面部分には「SANLOURAN/BASE CREAM」の表示、裏面には「サンローラン」等の表示がある。 (9)乙第16号証は、「サロンオーデトワレ」の二つの商品パッケージ側面の写真の写しであって、「オーデトワレ/フレッシュブーケ」及び「オーデトワレ/フローラルグリーン」の表示がある。 2 前記1で認定した事実から、以下のとおり判断する。 商標権者は、平成25年11月25日に「オーデトワレ(フローラルグリーン)」と「オーデトワレ(フレッシュブーケ)」について、ローナ美容室と該商品の取引があったことが、ローナ美容室との各売上伝票の金額と払込取扱票における金額の一致及び該美容室の代表者の上申から認められる。 また、商標権者は、平成24年9月20日に「オーデトワレ(フローラルグリーン)」について、有限会社フェローニと該商品の取引があったことが、有限会社フェローニとの各売上伝票の金額と当座勘定照合表における金額の一致(差額は、振込手数料。)から認められる。 そして、該オードトワレの商品パッケージの表面部分には「SANLOURAN」の表示、裏面には「サンローラン/サロンオーデトワレ/(オーデコロン)」及び商標権者の表示、側面には「オーデトワレ/フローラルグリーン」の表示がある(乙13)ことから、売上伝票に記載された「オーデトワレ(フローラルグリーン)」及び「オーデトワレ(フレッシュブーケ)」の商品と「サロンオーデトワレ/フローラルグリーン」及び「サロンオーデトワレ/フレッシュブーケ」とは、同一の商品であって、香水の範ちゅうに属するということができ、該商品には、「サンローラン」が表示されていることが認められる。 さらに、平成23年2月9日に「サロンベースクリーム」について、ローナ美容室と該商品の取引があったことが、はたの真珠との売上伝票の金額と払込取扱票における金額の一致及びはたの真珠の代表者の上申から認められ、該商品パッケージと商品には、「サンローラン」、「サロンベースクリーム(メイクアップベース)」等が表示されていることから、化粧下(メイクアップベース)であると認められる。 そうすると、商標権者は、本件審判の請求の登録(平成26年1月15日)前3年以内である平成24年9月20日及び平成25年11月25日に香水の範ちゅうに属する「オーデトワレ(フローラルグリーン)」と「オーデトワレ(フレッシュブーケ)」及び平成23年2月9日に「化粧下」について、本件商標と社会通念上同一の商標を商品の包装に表示し、取引したものといい得る。 したがって、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中、「香水,化粧下」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用したものと認められる。 3 結論 以上のとおり、被請求人は、商標権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中、「香水,化粧下」について、本件商標の使用をしていることを証明したと認められる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-20 |
結審通知日 | 2014-11-26 |
審決日 | 2014-12-10 |
出願番号 | 商願昭32-36458 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X03)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
寺光 幸子 手塚 義明 |
登録日 | 1959-03-26 |
登録番号 | 商標登録第535017号(T535017) |
商標の称呼 | サンローラン |
代理人 | 杉本 丈夫 |
代理人 | 太田 雅苗子 |
代理人 | 谷田 龍一 |
代理人 | 廣中 健 |