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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W25 |
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管理番号 | 1315789 |
審判番号 | 不服2015-4870 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-03-12 |
確定日 | 2016-06-17 |
事件の表示 | 商願2014-1340拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年1月10日に登録出願されたものである。 その後、指定商品については、当審における平成27年4月27日受付の手続補正書により、第25類「ベルト,革製ベルト,靴,ハーフブーツ」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、その構成を別掲に表示したとおり、横縞風の模様を正方形に描いてなるところ、その模様が単に連続しているため、単なる地模様と認識され得るものである。そうすると、本願商標を、その指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者が、その商品の型押し柄の一類型であると認識、理解することから、本願商標は、その商品の品質(型押し柄)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標は、その使用の実際を総合して勘案しても、使用された結果、当該商品が何人かの業務に係るものであることを認識できるほど、取引者、需要者間に広く知られるに至ったものとまでは認めることができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、別掲のとおり、灰色の濃淡によって、横方向の緩やかな波形が緊密に連続的に表され、全体として灰色の横縞風の模様を正方形に描いてなるにすぎず、特徴的な形態ないし特異性も見いだすことできないものである。 そうすると、本願商標は、その指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者に、商品の装飾的な地模様と認識され得るものであるから、一般的には自他商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものである。 (2)本願商標の識別性について 請求人は、甲第1号証ないし甲第99号証(枝番を含む)を提出し、仮に、本願商標に、自他商品の識別力がないとした場合であっても、本願商標は、請求人の長期的かつ一貫した使用により、本願商標の指定商品に関して、自他商品識別機能を獲得するに至ったものである旨主張する。 そこで、本願商標が自他商品識別機能を具備するに至っているか否かについて検討するに、請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 本願商標は、請求人により1985年に創作され、請求人の代表的な商品群に表示し、使用している(甲1、甲2)。本願商標は、麦の穂が風にたなびく様子を図案化したもので、「麦の穂」を意味するフランス語「epi」にちなんで、「エピ」、「エピ・マーク」と称され、また、本願商標を使用した商品群は「エピ・ライン」と、本願商標を使用した皮革は「エピ・レザー」とも称されている。 また、甲第2号証には「『エピ』と言えばルイ・ヴィトン。1985年の誕生以来、特徴のあるグレイン加工が施されたこのレザーは、メゾンの象徴的シグネイチャーとして愛されてきました。幾何学的で独特な表情をもつエピは、シティバックに多く用いられ、常に進化し続けています。・・次はジュエリーやシューズでも冒険して-・・」及び「Epi leather. メゾンにとって歴史的な意味を持つレザー。・・1980年代にバック用レザーとして絶大な人気を博したエピにひねりが加えられ・・シューズやブーツにも、マットもしくは光沢感のあるエピは、動いて光を捉えるたびに魅惑的に反射することから、『エピ エレクトリック』としても知られています。また、ジュエリーや大ぶりのカフスにも使用されています。」の記載がある。 イ 請求人は、1854年に創業し、160年以上の歴史を誇る、フランスに拠点を置く、国際的なファッション会社である。請求人は、世界65カ国以上に19,000人の従業員を擁し、世界中で460以上の直営店及び販売代理店を通じて、また世界10か国ではインターネットを通じて、皮革製品、高級既製服、履物、時計や宝飾品、身飾品、筆記具等の商品を取り扱っている(甲3)。 我が国では、1978年に東京の銀座に1号店を出店、1981年には請求人の日本子会社LVJグループ株式会社(現、ルイ・ヴィトン・ジャパン株式会社)を設立、現在、日本国内57の直営店・専門店及びインターネットを通じて事業を展開している(甲3、甲5)。 ウ 請求人は、本願商標を1985年以来、30年以上の長期にわたり、日本を含む世界中で一貫して継続的に使用してきた。 本願商標を使用した商品は、使用当初のかばん類ばかりでなく、本願商標の指定商品を含む、ベルト、履物、袋物、アクセサリー等にもおよぶ(甲4、甲6、甲7)。 エ 日本における本願商標を使用した商品の売り上げは、直近5年間をみると、2009年度は約53億円、2010年度は約46億円、2011年度は約44億円、2012年度は約53億円、2013年度は約66億円に及び(甲8)、本願商標の指定商品の範囲では、2010年度は約1億6,800万円、2011年度は約1億7,400万円、2012年度は約1億5,200万円、2013年度は約1億5,200万円、2014年度は約1億3,400万円の売り上げを記録した(甲9)。 また、本願商標を使用した商品の販売数量は、2012年3月から2015年3月までの間では、皮革製品及びアクセサリー類が約23万8千点、靴が940点に及び、日本国内ほぼ全域の消費者に販売されている(甲10)。 オ 本願商標を使用した商品は、提出された証拠によれば、1993年10月から2015年3月の期間に、「non-no」、「CanCan」、「JJ」、「AneCan」、「Sweet」、「美人百花」、「GINGER」、「MORE」、「with」、「CLASSY.」、「25ans」、「MISS」、「Oggi」、「FRaU」、「CREA」、「InRed」、「VERY」、「Marisol」、「Domani」、「STORY」、「Precious」、「GINZA」、「Harper’s BAZAAR」、「SPUR」、「ELLE/エル・ジャポン」、「VOGUE JAPAN」、「Numero TOKYO」、「FIGARO japon」、「marie claire」、「DAZZLE」、「GOLD」、「ミセス」、「HERS」、「婦人画報」、「家庭画報」、「Rolling Stone」、「LEON」、「Men’s Ex」と、国内の主要なファッション関連雑誌において、商品の写真及び、「エピ」、「エピ・ライン」等の名称と共に、繰り返し紹介、宣伝され、その頻度は、ほぼ毎月のようにいずれかの雑誌に掲載されていた(甲11?甲98)。 カ 以上からすれば、請求人は、1985年から、かばん類について、本願商標の使用を開始し、その後、遅くとも本願商標の出願前から、袋物、ベルト、靴、アクセサリー等、本願商標の指定商品を含む多様な商品についても使用し,現在に至るまで継続して使用していること、また、本願商標を使用した前記商品は、いずれもファッション性が重視される商品であることから、その需要者を共通にする場合が多いこと、本願商標を使用した前記商品は、ファッション関連雑誌等において、本願商標の創作に由来する「エピ」、「エピ・ライン」等の名称を有する出願人の業務に係る商品として頻繁に、かつ、継続的に紹介、宣伝されていることを総合して判断すると、本願商標は、その指定商品について請求人により使用をされた結果、請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されているものと認めることができるものであるから、本願商標は、自他商品識別機能を具備するものというべきである。 (3)むすび 以上のとおり、本願商標は、自他商品識別機能を具備するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本願商標 |
審決日 | 2016-06-07 |
出願番号 | 商願2014-1340(T2014-1340) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
WY
(W25)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 貴博 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
藤田 和美 田中 幸一 |
代理人 | 栃木 順子 |
代理人 | 達野 大輔 |
代理人 | 中山 真理子 |
代理人 | 竹中 陽輔 |