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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W01
審判 全部申立て  登録を維持 W01
審判 全部申立て  登録を維持 W01
管理番号 1314574 
異議申立番号 異議2015-900337 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-10-23 
確定日 2016-05-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5781178号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5781178号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5781178号商標(以下「本件商標」という。)は、「ANTOX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年2月20日に登録出願、第1類「化学品」を指定商品として、同年6月16日に登録査定、同年7月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりの商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1733631号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ANTAROX」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年9月30日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同59年12月20日に設定登録、その後、平成18年2月1日に指定商品を第1類「化学品」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第4002779号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ANTAROX」の欧文字を横書きしてなり、平成7年9月20日登録出願、第1類「工業用化学品,その他の化学品」を指定商品として、同9年5月23日に設定登録されたものである。
(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものであって、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
(1)商標の類否についてのまとめ
本件商標と引用商標とは、外観・称呼において類似するものである。観念についてはいずれも生じないため比較の対象とならない。また、両商標の類似性を妨げるような取引の実情もうかがわれないため、これらの事情を総合して全体的に観察すれば、両商標は互いに類似する。
(2)外観について
本件商標と引用商標は、いずれも格別特異な態様からなるものではなく、普通に用いられる書体をもって欧文字の大文字で表してなるものであり、引用商標は、本件商標の構成文字を全て含み、中間の文字「A」、「R」のみが異なるにすぎないものである。
文字のみからなる商標については、外観においても、語頭及び語尾に注意が注がれ、中間部分については、比較的印象の薄いものとなるのであるため、時と所を異にして離隔的に観察した場合においては、その差異が明確に印象に残るともいえず、両商標は近似するとみるのが相当である。
(3)称呼について
ア 本件商標と引用商標は、いずれも辞書等に掲載された日本人に馴染みのある言葉ではなく、造語であるため、必ずしも正確な称呼を期待することはできない。
本件商標については、称呼認定の手掛かりとして、例えば、ある程度まとまりある音節に基づき、前半と後半とに分けて称呼する場合、前半部「ANT」が「アント」の称呼、及び、後半部の「OX」から「オックス」、「オクス」の称呼が生じることもあり、全体では、「アントオックス」、「アントオクス」と称呼し得る。
引用商標についても前半部「ANTAR」が「アンター」の称呼及び後半部の「OX」から「オックス」、「オクス」の称呼が生じ、全体では、「アンターオックス」、「アンターオクス」と称呼し得る。
(ア)前半部「アント」と「アンター」について
差異音を「ト」と「ター」の部分であると考えても、比較的印象の薄い中間における差異である「ト」と「タ」の音は子音(t)を同じくする同行音であり、舌先と上歯茎との接触による調音方法を共通にすることから、音質も相似たものとなり、しかも、帯有する母音「o」と「a」は、母音三角形の隣同士に位置し、母音の中でも調音方法が似た音であるから近似した音として聴取されるものということができる。そうすると当該差異が全体に及ぼす影響は大きいものとはいえない。
また、長音「ー」は「タ」の母音(a)に吸収され余韻として残る程度の弱い音となり、明確に聴取されないものであるため、全体の語感に影響を与えない。
(イ)後半部「オックス」について
差異音はなく、同一となる。
(ウ)以上を併せ考慮すれば、両商標全体をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が相近似し、かれこれ聴き誤るおそれがある。
イ 引用商標を「アンタロックス」と称呼するとしても、称呼の識別上最も重要な部分であり、通常強く発音される語頭の「アン」及び語尾の「ックス」が共通しているから、その差異は微妙なものでしかない。
(ア)差異音を「ト」と「タ」の部分であると考えても、上記ア(ア)と同様に当該差異が全体に及ぼす影響は大きいものとはいえないため、これらを併せ考慮すれば、全体をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が相近似し、かれこれ聴き誤るおそれがないとはいえない。
(イ)差異音を「ロ」が付加されている点であると考えても、差異音「ロ」は、比較的聴取し難い中間音であるため、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語調、語感が極めて近似する。
(4)取引の実情
本件商標権者が本件商標を付して販売する商品は、界面活性剤であり、引用商標権者が引用商標を付して販売する商品も界面活性剤である。
したがって、その生産部門、販売部門、原材料、品質、需要者層及び用途が一致し、この点も、申立人が大変懸念するものであり、両商標の併存は認められるべきではない。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「ANTOX」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、一般の辞書等に収録された語ではないことから、このような場合、取引者・需要者は、ローマ字読み又は我が国において外国語として最も親しまれている英語風の読み方をするのが一般的であり、本件商標からは、「アントックス」の称呼を生じるものである。
そして、本件商標は、一種の造語を表したものと認識し、把握されるといえるから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、「ANTAROX」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、本件商標と同様に、一般の辞書等に収録された語ではないことから、ローマ字読み又は英語風の読み方をするのが一般的であり、引用商標からは、「アンタロックス」の称呼を生じるものである。
そして、引用商標は、一種の造語を表したものと認識し、把握されるといえるから、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)外観について
本件商標及び引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、両商標は、中間において「AR」の文字の有無に差異を有するものであり、5文字と7文字という比較的短い構成からなる商標にあっては、2文字の差異は大きいものといえるから、両商標は、外観上、相紛れるおそれのないものである。
(イ)称呼について
本件商標から生じる称呼「アントックス」と引用商標から生じる称呼「アンタロックス」とを比較すると、両称呼は、中間における「ト」の音と「タロ」の音に差異を有するところ、6音と7音という比較的短い称呼にあっては、その差異は大きいものといえるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語感、語調が相違し、相紛れるおそれはないものというのが相当である。
(ウ)観念について
本件商標と引用商標は、共に造語と認められ、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において相紛れるおそれはない。
(エ)小活
以上のとおり、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標である。
エ 本件商標と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品は「化学品」であるところ、引用商標1の指定商品は「化学品」であり、引用商標2の指定商品は「工業用化学品,その他の化学品」であるから、本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品といえる。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではなく、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-04-25 
出願番号 商願2015-15621(T2015-15621) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W01)
T 1 651・ 261- Y (W01)
T 1 651・ 262- Y (W01)
最終処分 維持  
前審関与審査官 赤星 直昭 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 大森 健司
原田 信彦
登録日 2015-07-24 
登録番号 商標登録第5781178号(T5781178) 
権利者 日本乳化剤株式会社
商標の称呼 アントックス 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

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