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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35384142
審判 一部申立て  登録を維持 W35384142
審判 一部申立て  登録を維持 W35384142
審判 一部申立て  登録を維持 W35384142
管理番号 1314571 
異議申立番号 異議2014-900239 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-08-27 
確定日 2016-05-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5676598号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5676598号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5676598号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年10月9日に登録出願され、第35類「広告用具の貸与」、第38類「電気通信(「放送」を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,放送番組の制作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」並びに第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品及び指定役務として、平成26年5月12日に登録査定、同年6月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号、同19号及び同第7号に該当するとして登録異議の申立ての理由として引用する商標は、申立人が「広告用具の貸与、ウェブサイト上における商品及びサービスに関する広告用スペースの提供、携帯電話を利用した広告スペースの提供」に使用していると主張する、以下の4件の商標である。
1 「T-MALL」の文字よりなる商標(以下「引用商標1」という。)
2 「Tモール」の文字よりなる商標(以下「引用商標2」という。)
3 別掲2のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標3」という。)
4 別掲3のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標4」という。)
(以下、引用商標1ないし引用商標4をまとめて「引用商標」という。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第35類「全指定役務」、第38類「全指定役務」、第41類「全指定商品」及び第42類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第88号証を提出した。
1 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性
申立人は、引用商標を2008年7月より使用して「T-MALL」ウェブサイトを運営し、該ウェブサイトでは、第35類「広告用具の貸与、ウェブサイト上における商品及びサービスに関する広告用スペースの提供、携帯電話を利用した広告スペースの提供」の役務を行っているものであり、引用商標は、申立人の役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている(甲3?甲88)。
本件商標は、引用商標と類似する商標であり、申立人の上記役務と本件商標の指定商品及び指定役務中、第35類「広告用具の貸与」は類似のものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性
引用商標は、申立人の業務に係る役務について使用する商標として需要者の間に広く認識されている(甲3?甲88)。
そうすると、商標権者が、本件商標を、その指定商品及び指定役務中、第35類「広告用具の貸与」に使用した場合、申立人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある。
また、申立人は、引用商標を使用して、第38類、第41類及び第42類の役務の提供を行っている(甲49、甲80?甲86)。
したがって、商標権者が、本件商標を、その指定商品及び指定役務中、第38類、第41類及び第42類の役務に使用した場合、申立人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性
引用商標は、申立人の役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標であり、本件商標は、引用商標と同一又は類似である。
商標権者は、申立人と同業のインターネットショッピングモールサイトの運営者であることから、申立人運営のインターネットショッピングモール「T-MALL(Tモール)」が日本において著名であることを知りながら本件商標の登録を受けたものであって、本件商標を不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標の指定商品及び指定役務中、第35類、第38類、第41類及び第42類の全指定役務は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、申立人が運営する「T-SITE」「T-MALL」等のインターネットショッピングサイトと同様のインターネットショッピングモールを中国及び日本で運営する商標権者が、日本へ商標登録出願したものである。
したがって、商標権者が、申立人の著名な引用商標にフリーライドする意思で日本において商標権取得を試みた当該行為は、公の秩序、善良の風俗を害するものであるから、本件商標の指定商品及び指定役務中、第35類、第38類、第41類及び第42類の全指定役務は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
申立人は、昭和55年(1980年)に設立され、書店事業を中心としたエンタテインメント事業、Tポイントを中心としたデータベース・マーケティング事業等を行っている企業であるところ(甲88)、2008年7月10日から運営を開始したポイント蓄積式カード「Tカード」の契約会員である「T会員」向けのインターネットショッピングモール及びインターネットポイントモールとして「T-MALL(Tモール)」を開設し(甲3?甲86)、Tポイントを利用するT会員数は、2008年8月に約3000万人、2012年5月に約4000万人となり、2014年9月には約5000万人に増加したものであり(甲50?甲60)、電子メールアドレスを登録するT会員に対して、「T-MALL」の各情報や案内を掲載した「Tモールメールマガジン」が3日?10日に1回発行・配信され、その受信者は、電子メールからT-MALLの各ショッピングサイトに接続され、買い物ができる(甲49)。
一方、申立人主張によれば、T-MALLの参加店舗は、百貨店、家電量販店、服飾品量販店、レコード店、電子書籍店、食品店、化粧品・薬店等、2012年12月時点で1067店舗に達しているとするものであり、また、T-MALLを紹介するウェブサイトないしT会員向けのメールマガジンには冒頭に引用商標3と同一の標章が表示されている(甲8?甲38、甲49)。
そして、参加店舗の募集に係るウェブサイトにおいては、主に「Tポイント(T-POINT)」についての説明がされて、引用商標3の構成中、左端に配された図形(以下「T図形」という。)及び「Tカード」が表示されている(甲39、甲40)。
また、上記ウェブサイト等においては、T図形は、常に表示されているものの、T図形のみ及び引用商標3と同一の標章のほかに「T-SITE」、「T-POINT」、「T CARD」、「T-MALL」等の文字とともに使用されているものであり、T図形と特定の文字が常に一体に表示されているものではなく、そのT図形が、他の文字及び購入ポイント等と共に、又、T会員が利用するカード等に単独で使用されていることが、むしろ、多いといえる。
引用商標1及び2の表示は、上記ウェブサイト、ニュースリリース等のポイントシステム等の説明文中に、単に使用されている(甲31、甲38、甲42?甲46、甲48、甲49等)。
(2)上記(1)の事実によれば、申立人は、その業務に係るインターネットショッピングモールにおいて、T会員向けの各ショッピングサイトへの接続及び情報の提供、「Tカード」に係るポイント管理業務等のほかに、参加店に対して「ウェブサイト上における商品及びサービスに関する広告用スペースの提供、携帯電話を利用した広告スペースの提供」を行っていることを認めることができる。
しかしながら、引用商標1ないし3は、T会員やT-MALLの利用者には認識されているとしても、単独でも使用されることの多いT図形自体に比較すると、その認知度は低いものといわざるを得ず、また、引用商標4は、使用された事実が確認できない。
そうとすれば、提出された各号証によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、引用商標は、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていた商標とは認めることができない。
(3)本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、別掲1のとおり、文字の大きさが異なる「天猫」の漢字及び「TMALL.COM」の欧文字からなる構成であるところ、「.COM」の文字は、インターネット上におけるトップレベルドメインを理解させるものであり、ドメイン名において、「.com」部分自体は、識別標識としての機能を果たし得ず、しばしば省略して表示され称呼されることが少なくないものであって、その前の部分が自他識別の要部となるものといえる。また、「天猫」及び「TMALL」の文字は、その大きさが異なるものの、同一のデザイン文字からなるものであり、かつ、両文字は特定の意味合いを理解させない造語であり、いずれかの文字部分が捨象されて取引されるというべき特段の事情はない。
そうすると、本件商標は、その構成中「天猫TMALL」の文字部分が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、本件商標の全体から生ずる「アマネコティーモールドットコム」又は「テンビョーティーモールドットコム」の称呼のほか、該文字部分から「アマネコティーモール」又は「テンビョーティーモール」の称呼をも生ずるものであり、親しまれた既成の観念を生じないものとみるのが相当である。
一方、引用商標1及び2は、前記第2のとおり、「T-MALL」及び「Tモール」の文字からなるから、いずれも「ティーモール」の称呼を生じ、また、親しまれた既成の観念を有するものではない。
そして、引用商標3は、別掲2のとおりの構成からなるところ、T図形とその右側に配された「T-MALL」の文字とは、常に不可分一体にのみ認識されるべき格別の理由は見いだし難く、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、読み易い「T-MALL」の文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資される場合が決して少なくないといえるから、その構成文字に相応して「ティーモール」の称呼を生ずるものである。また、引用商標3は、親しまれた既成の観念を有するものとは認められない。
そこで、本件商標と引用商標1ないし3とを対比するに、両者は、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生ずる「アマネコティーモールドットコム」、「テンビョーティーモールドットコム」、「アマネコティーモール」又は「テンビョーティーモール」の各称呼と引用商標1ないし3から生ずる「ティーモール」の各称呼とは、構成音数が相違するばかりでなく、「アマネコ」、「テンビョー」又は「ドットコム」の音の有無という顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感、音調が著しく相違し明瞭に聴別することができる。
さらに、本件商標及び引用商標1ないし3は、共に特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。
してみれば、本件商標と引用商標1ないし3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれはないから、非類似の商標である。
(4)以上のとおり、本件商標と引用商標1ないし3とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、また、引用商標4は、申立人の提出に係る証拠において、その使用の事実が認められない。
そして、引用商標1ないし4は、いずれも、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られているものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
上記のとおり、本件商標と申立人の使用に係る引用商標1ないし3とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、別異のものであること、引用商標1ないし3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の役務を表示する商標として取引者、需要者の間に広く知られていると認められないことから、本件商標を、その指定商品及び指定役務中、第35類中「広告用具の貸与」、第38類、第41類及び第42類の全指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人は、商標権者は中国で「淘宝網(タオバオネット)を運営し、日本で中国輸入サイト「AlibabaJapan」を運営しており、同サイトは申立人が引用商標を使用して運営する「T-MALL(Tモール)」と同様のインターネットショッピングモールサイトであり、商標権者が申立人サイト「T-MALL(Tモール)」を知っていることは明らかであるから、本件商標は申立人の信用にフリーライドし不正の利益を得る目的等の不正の目的をもって使用するものである旨主張する。
しかしながら、商標権者が申立人サイトと同様のインターネットショッピングサイトを運営し、申立人及び申立人サイトの存在を知っていたとしても、そのことのみにより本件商標が不正の目的をもって使用されるものであるということはできない。
本件商標と引用商標1ないし3とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものであること、引用商標1ないし3はT図形ほどには広く知られていないこと及び引用商標4は申立人の業務に係る商標として使用されている事実を確認することはできないから、引用商標は、申立人の役務を表示する商標として取引者、需要者の間に広く知られていると認められないことは前示のとおりであり、また、本件商標が申立人や引用商標の信用にフリーライドし、不正の利益を得る目的、申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものであることを具体的に示す証左はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
4 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
商標権者と申立人が同業のインターネットモールサイトの運営を行っているとしても、本件商標と引用商標1ないし3とは、前述のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものであり、引用商標4は申立人の業務に係る商標として使用されている事実を確認することはできないことから、本件商標の採択・使用が直ちに公の秩序、善良の風俗を害するものとはいえないし、インターネットショッピングサイトの利用者の取引秩序を害するものともいえない。
もとより、本件商標は、その構成自体が矯激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字及び図形からなるものではない。また、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用することが、社会公共の利益に反し又は社会の一般的道徳観念に反するものではなく、他の法律によって禁止されているものでもないし、特定の国若しくはその国民を侮辱するものでもなく、一般に国際信義に反するものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標3 色彩については原本参照)


別掲3(引用商標4 色彩については原本参照)



異議決定日 2016-04-26 
出願番号 商願2013-78823(T2013-78823) 
審決分類 T 1 652・ 222- Y (W35384142)
T 1 652・ 22- Y (W35384142)
T 1 652・ 25- Y (W35384142)
T 1 652・ 271- Y (W35384142)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 敦子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 藤田 和美
堀内 仁子
登録日 2014-06-13 
登録番号 商標登録第5676598号(T5676598) 
権利者 アリババ グループ ホウルディング リミテッド
商標の称呼 ティエンマオテイモールドットコム、ティエンマオテイモールコム、ティエンマオテイモール、アマネコテイモールドットコム、アマネコテイモールコム、アマネコテイモール、ティエンマオ、アマネコ、テンビョー、テイモールドットコム、テイモールコム、テイモール 
代理人 田辺 敏郎 
代理人 田辺 恵 
代理人 福田 伸一 

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