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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W02
審判 一部申立て  登録を維持 W02
審判 一部申立て  登録を維持 W02
管理番号 1313270 
異議申立番号 異議2015-900316 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-10-09 
確定日 2016-04-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5778339号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5778339号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5778339号商標(以下「本件商標」という。)は、「TIGEREX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年2月2日に登録出願、同年6月22日に登録査定がされ、第2類「下塗り用塗料,無機塗料,難燃塗料,耐火性塗料,耐熱性塗料,断熱性塗料,粉末塗料,防水塗料,その他の塗料」のほか、第1類、第16類、第17類、第19類、第24類及び第27類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年7月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりの商標であり(以下、これらの商標を総称する場合は「引用商標」という場合がある。)、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2724089号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TIGER」の欧文字を横書きしてなり、平成4年3月30日登録出願、第3類「塗料」を指定商品として、同10年5月22日に設定登録、その後、同20年7月30日に指定商品を第2類「塗料」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)国際登録第1091708号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2011年1月14日に、Austriaにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2011年(平成23年)7月8日に登録出願、第2類「Lacquers; powder lacquers; colors (paints); coatings; distempers; wood coatings (paints); primers.」を指定商品として、平成24年4月27日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第2類「塗料」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。(以下「甲第○号証」の表示は、「甲○」と簡略する。)
(1)商品の抵触について
本件商標は、その指定商品に「塗料」を含み、引用商標1及び引用商標2は、その指定商品に「塗料」又は「coatings; distempers; wood coatings (paints)(塗料,水性塗料,木材用塗料)」を含む。
したがって、本件商標と引用商標の指定商品は、「塗料」において抵触する。
(2)商標の類似について
ア 本件商標と引用商標の観念が類似すること
本件商標は、「TIGEREX」の欧文字を標準文字で書してなる。
一方、引用商標は「TIGER」の欧文字を書してなる。
本件商標は、欧文字を横一連に書した商標ではあるが、文字の組み合わせから語頭の「TIGER」が「虎」を意味する「タイガー」であることが容易に推測できる。そして、「タイガー/虎」は、猛獣・肉食獣で、強さを表わす象徴的な存在として、スポーツチームや企業の名称に用いられるなど、我が国でも片仮名又は欧文字表記のままで広く認識されている単語である。
一方、商標の後半部分を構成する「rex」は、「王、君」などを意味する英単語であると思料する(甲4)。
したがって、本件商標は全体として「虎の王」の意味合いを有するほかに、称号に用いられる「REX」の部分を除いた「TIGER」の部分のみで需要者に認識され得るものであるから、両商標は、相紛らわしい観念上類似の商標といえる。
イ 本件商標と引用商標の称呼が類似すること
上記アのとおり、本件商標中の「TIGER(虎)」は、肉食獣・猛獣として我が国で広く認識されている単語である一方、「REX」は、君主の称号(敬称)に用いられる英単語であることから、全体として「タイガレックス」の一連の称呼が生じるが、他に称号という比較的識別力の弱い「レックス」の部分を除いた「タイガー」の部分のみの称呼で商取引に資される可能性は否めない。
そうとすれば、「タイガー」の称呼を共通にする本件商標と引用商標では、本件商標の「TIGER」が語頭の目立つ場所に位置することもあいまって、称呼上相紛らわしい類似する商標であるといえる。
このように、本件商標と引用商標は、その観念及び称呼が類似するものであるから、両商標は、彼此相紛らわしい類似の商標とするのが相当である。
(3)むすび
以上から明らかなように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、「TIGEREX」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該構成文字は、同書、同大、等間隔で表され、本件商標全体として、一体のものと看取されるものであって、「TIGEREX」の文字は、一般の辞書等に掲載されていないものであるから、本件商標は、特定の意味を有しない造語であり、観念は生じないものである。
また、欧文字からなる造語を称呼するに際しては、英語風読み又はローマ字読みをする場合が多いことから、本件商標からは、「タイゲレックス」又は「チゲレックス」の称呼が生じるというのが相当である。
そして、本件商標の構成中の「TIGER」の文字部分のみをもって取引に資されるというべき特段の事情は見いだせない。
(2)引用商標
引用商標1は、「TIGER」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2は、別掲のとおり、黄色地内に赤色輪郭線を配し、その中に「TIGER」の欧文字を赤色で書してなるものであるところ、「TIGER」の文字は、「虎」の意味を有する英語として広く一般に知られている語であるから、引用商標からは「タイガー」の称呼及び「虎」の観念が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観
本件商標は、上記(1)のとおり、「TIGEREX」の欧文字7文字からなるのに対し、引用商標は、「TIGER」の欧文字5文字からなるものであるところ、比較的短い文字数からなる商標にあっては、2文字の有無の差は大きいものといえるから、両者は、外観上、相紛れるおそれはないものである。
イ 称呼
本件商標から生じる「タイゲレックス」又は「チゲレックス」の称呼と引用商標から生じる「タイガー」の称呼を比較すると、構成音において明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が相違し、明瞭に聴別でき、両者は、称呼上、相紛れるおそれはないものである。
ウ 観念
観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであり、引用商標は「虎」の観念を生じるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはないものである。
エ 以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、非類似の商標というべきである。
オ 商品
本件商標の指定商品中の「塗料」と引用商標1及び引用商標2の指定商品中の「塗料」又は「coatings; distempers; wood coatings (paints)」とは、同一又は類似の商品である。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではなく、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2)(色彩は原本参照)



異議決定日 2016-03-31 
出願番号 商願2015-9332(T2015-9332) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W02)
T 1 652・ 262- Y (W02)
T 1 652・ 261- Y (W02)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 大森 健司
原田 信彦
登録日 2015-07-10 
登録番号 商標登録第5778339号(T5778339) 
権利者 タイガレックス株式会社 吉野石膏株式会社
商標の称呼 タイゲレックス、タイガーイイエックス、タイガーエクス 
代理人 近藤 利英子 
代理人 菅野 重慶 
代理人 菅野 重慶 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 岡田 薫 
代理人 近藤 利英子 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 
代理人 岡田 薫 

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