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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1313264 
異議申立番号 異議2015-900306 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-30 
確定日 2016-04-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5778533号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5778533号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5778533号商標(以下「本件商標」という。)は、「伊盛堂」の文字を標準文字で表してなり、平成27年1月23日に登録出願、第3類「化粧品,香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛,せっけん類,歯磨き」を指定商品として、同年5月14日に登録査定され、同年7月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は次のとおり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第4923920号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 資生堂
指定商品及び指定役務 第1類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成17年3月31日
設定登録日 平成18年1月27日
イ 登録第5038252号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品及び指定役務 第1類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成18年8月23日
設定登録日 平成19年4月6日
ウ 登録第393944号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 シセイドー(縦書き)
指定商品及び指定役務 第3類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和24年1月17日
設定登録日 昭和25年11月16日
(2)具体的な理由
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「伊盛堂」の文字を標準文字で表されてなり、該文字に照応して、「イセイドー」の称呼が自然に生ずるものである。
他方、引用商標は、「資生堂」の漢字を横書きにして、「SHISEIDO」の欧文字をデザイン化して、又は「シセイドー」の片仮名を縦書きにして、それぞれ表されてなり、これらの文字に照応して、「シセイドー」又は「シセイドウ」の称呼が自然に生ずることとなる。
してみれば、本件商標と引用商標は、語頭音の「イ」と「シ」の差異しか存在しないことに加え、差異音たる「イ」と「シ」は母音を共通にすると共に、これに続く「セ」の音に吸収されて聴取し難いことに鑑みると、両称呼を一気一連に称呼した場合、両者は語感・語調が近似し、称呼上相紛れることは明らかであるから、類似の商標である。
そして、本件商標と引用商標の指定商品は、前掲のとおりであり、同一又は類似の関係といえるものである。
したがって、引用商標に係る出願日及び登録日のいずれもが本件商標の出願日及び登録日に先立つものであることも考慮すると、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
イ 商標法第4条第1項第15号について
(ア)申立人について
申立人は、1872年に我が国初の洋風調剤薬局として創業された資生堂薬局を前身とし、1927年に株式会社として設立された、東京都中央区に本店を有する、我が国最大手かつ世界有数の化粧品メーカーである(甲5)。
申立人の事業内容は周知のとおり多岐にわたっているが、その中でも化粧品・化粧用具・トイレタリー製品・理美容製品・食品・医薬部外品の製造・販売が中心となっており、申立人の業務に係るこれらの製品は、百貨店、ドラッグストア、薬局、コンビニエンスストア、各種量販店、インターネット等の多様なチャネルを介して提供され、需要者に購入されている(甲6)。
(イ)申立人の使用に係る商標について
申立人は、需要者のニーズに最大限応えるべく、取扱い製品である化粧品、化粧用具、医薬部外品、食品等につき、年齢や使用目的に適合させた多数のブランドを保有し、これらの下に事業を行っており(甲7)、街頭や店頭における試供品の提供や新聞・雑誌・TV・インターネット等のあらゆる媒体を通じた宣伝広告活動を積極的に行い、2013年度の広告費は492億円が計上され、更に2014年度の広告費は532億円にも達している(甲8)。
そして、TVコマーシャルを中心とした申立人の宣伝広告においては、申立人を指称するハウスマークたる「SHISEIDO」の欧文字をデザイン化して表されてなる商標(甲9)や「資生堂」の漢字からなる商標(以下「使用商標」という。)がブランド名称等と共に頻繁に表示されており(甲10、甲11)、その結果、申立人の使用商標は、その業務に係る各々のブランド以上に需要者・取引者に認知され、申立人の事業展開にて多大な貢献をし、申立人の業績は近年も右肩上がりで堅調に推移し、2014年度の全世界の売上高は7,777億円に達し、国内だけを取っても3,656億円もの売上を誇っている(甲5)。
上述のように、申立人は、自己の業務に係る製品や企業イメージの普及、定着及びその周知に努める(甲12?甲17)と共に、製品の高品質性、その時代に適合した斬新かつ効果的な宣伝広告の手法、百貨店等での使用商標を随所に表示した対面式アドバイスによる販売方法(甲18?甲20)とあいまって、申立人の業務に係る製品等は市場でも高い評価を得ているのみならず、申立人自身も我が国を牽引する代表的な企業として位置付けられており、その名声は極めて高いものとなっている。
また、申立人にあっては、「資生堂」及び「SHISEIDO」の文字からなる商標について数多の防護標章登録を取得している。
このように、使用商標が申立人に係る商標の中でも突出した評価と名声を長きにわたって得続けている著名なものであることは明白であって、使用商標は、申立人を指称するいわゆるハウスマークとして十分認知されているのと同時に、化粧品を含む多種多様な商品との関係で、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、我が国の需要者の間に広く知られていると考えられるものである(甲21)。
(ウ) 商標法第4条第1項第15号について
a 使用商標の周知著名性について
使用商標が申立人自身を指称するいわゆるハウスマークとして、我が国の需要者・取引者の間に広く認識されていることは上述したとおりである。
上述の状況に鑑みると、使用商標は、申立人の業務に係る商品に付される商標として、又は申立人の名声を得た著名な略称として、需要者・取引者に広く認知されており、このような長年にわたる努力の結果得られた業務上の信用を保護するのが商標法制定の趣旨といえるものである。
b 本件商標と引用商標等との混同について
本件商標と使用商標との類似性は上述のとおりであり、いわゆる一般的出所の混同という観点からも両者が互いに相紛れるものであることは明白であるが、使用商標にあっては、申立人のTVコマ-シャルを介した積極的な宣伝広告において、「資生堂」、「SHISEIDO」、「シセイドー」の各文字が発音されることとあいまって、「シセイドー」又は「シセイドウ」の称呼自体も強く印象付けられていることは想像に難くないことを勘案すると、極めてその著名性の高い使用商標と語頭音しか相違せず、又その差異音たる「シ」と「イ」が母音を称呼上共通にする本件商標が付された本件指定商品、即ち、申立人の主たる業務と極めて関係性の高い商品が取引に資された場合、正に申立人と経済的・組織的に何らかの関係性を有する者の業務に係る商品であると需要者等に容易に想起させ得るものであり、具体的な取引の実情という観点からも、本件商標は出所の混同を生じさせるものである。
c 小結
したがって,本件商標が付された本件指定商品が実際の商取引に資された場合、これに接した需要者・取引者は、申立人を容易に想起又は連想し、更にその商品が申立人又はこれらと営業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせる蓋然性は極めて高いものであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)むすび
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し商標登録を受けることができないものである。

3 当審の判断
(1)使用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び職権調査によれば、使用商標(申立人のいう「使用商標」は、引用商標1及び引用商標2(色彩の異なるものを含む。)と実質的に同一の商標と判断した。)は、本件商標の登録出願の日前から、申立人の業務に係る商品(化粧品等)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日においても継続していたものと認められる(甲5、甲6、職権調査)。
しかし、引用商標3は、申立人提出の甲各号証及び職権調査によっても、使用されている事実は確認できず、申立人の業務に係る商品(化粧品等)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、上記1のとおり「伊盛堂」の文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「イセイドー」の称呼を生じ、該文字は、特定の意味合いを生じない一種の造語であるから、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標1は、上記2(1)アのとおり「資生堂」の文字からなり、引用商標2は、別掲のとおり「SHISEIDO」の文字をやや図案化してなり、両商標は上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品(化粧品等)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標であるから、該文字に相応し「シセイドー」の称呼を生じ、「(化粧品等のブランドとしての)資生堂」の観念を生じるものである。
引用商標3は、上記2(1)ウのとおり「シセイドー」の文字からなり、該文字は、特定の意味合いを生じない一種の造語といえるものであって、また、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品(化粧品等)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標とも認められないものであるから、該文字に相応し「シセイドー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ そこで、本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観において、本件商標と引用商標1とは、尾部の「堂」の文字を共通にするものの、頭部の2文字が「伊盛」と「資生」であり、両者には外観上何ら共通性がなく著しく相違する文字であるから、共に3文字からなる両商標にあっては、その差異は大きく、外観上、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
また、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、それらの構成文字の種類(漢字、欧文字、片仮名)の差異により、外観上、相紛れるおそれのないものであること明かである。
そして、称呼においては、本件商標の称呼「イセイドー」と引用商標の称呼「シセイドー」とは、称呼の識別上重要な要素である語頭において「イ」と「シ」の差異を有するものであり、この差異が共に長音を含む5音という比較的短い音構成からなる称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであり、引用商標1及び2は「(化粧品等のブランドとしての)資生堂」の観念を生じるものであり、引用商標3は特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品(化粧品等)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められるものの、上記(2)のとおり本件商標は、使用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標である。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条
の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2)





異議決定日 2016-03-24 
出願番号 商願2015-5453(T2015-5453) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 赤星 直昭 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
土井 敬子
登録日 2015-07-17 
登録番号 商標登録第5778533号(T5778533) 
権利者 木村 健
商標の称呼 イセイドー、イセードー、イセー 
代理人 田中 尚文 
代理人 岡部 讓 

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