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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服201422921 | 審決 | 商標 |
不服201514675 | 審決 | 商標 |
不服201515653 | 審決 | 商標 |
不服201515304 | 審決 | 商標 |
不服201510960 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W35 審判 査定不服 観念類似 登録しない W35 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W35 |
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管理番号 | 1310820 |
審判番号 | 不服2015-11079 |
総通号数 | 195 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-06-10 |
確定日 | 2016-01-21 |
事件の表示 | 商願2014-33479拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「IDC MarketScape」の欧文字を横書きしてなり、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析」を指定役務として、平成26年4月28日に登録出願されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第4186611号商標(以下「引用商標」という。)は、「Marketscape」の欧文字と「マーケットスケープ」の片仮名とを上下二段に書してなり、平成8年8月13日に登録出願、第35類「広告,経営の調査・診断及び指導,市場調査,広告に関する情報の提供,経営の調査・診断及び指導に関する情報の提供,市場調査に関する情報の提供,商品の販売に関する情報の提供,書籍の販売に関する情報の提供,財務書類の作成又は監査若しくは証明に関する情報の提供,文書又は磁気テープのファイリングに関する情報の提供,商品展示会及び商品見本市の企画・運営」を指定役務として、同10年9月11日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標と引用商標の類否 本願商標は、「IDC MarketScape」の文字からなるところ、その構成文字に相応して、「アイディーシーマーケットスケープ」の称呼を生ずるものであるが、その称呼は、15音と冗長なものであり、また、「IDC」の文字部分と「MarketScape」の文字部分との間に一文字分のスペースがあることから、本願商標を構成する文字部分が、二つの文字部分からなるものであることを看取させるものである。加えて、該「IDC」の文字部分及び「MarketScape」の文字部分は、双方とも、特定の意味を表す語として親しまれているものとはいえず、前部の「IDC」の文字は、欧文字の3文字からなるありふれた略語的な文字部分であるのに対し、後部の「MarketScape」の文字は、一種の造語として認識され、前部の「IDC」の文字と比較して、特徴的な文字部分として看取される場合があるといえるものである。 そして、「IDC」の文字部分と「MarketScape」の文字部分とは、その全体をもって特定の観念が生じる等、両者を常に一体のものとして捉えなければならない特段の事情も見当たらないものであり、それぞれの文字部分を分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものでもないから、両文字部分は、それぞれ独立して自他役務の識別機能を果たすものといえるものである。 さらに、本願商標に接する取引者、需要者は、前部のありふれた欧文字の3文字からなる「IDC」の文字部分に対し、後部の造語と認識される「MarketScape」の文字部分に注目し、該文字部分から生ずる「マーケットスケープ」の称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないものと判断するのが相当である。 したがって、本願商標からは、「アイディーシーマーケットスケープ」の一連の称呼のほか、「IDC」、「MarketScape」の各文字部分に相応した「アイディーシー」、「マーケットスケープ」の称呼をも生ずるものであり、特定の観念を生じないものである。 他方、引用商標は、「Marketscape」及び「マーケットスケープ」の文字からなるところ、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを特定しているものと認められるから、下段の文字から「マーケットスケープ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 そこで、本願商標と引用商標の類否を比較するに、外観においては、それぞれ上記したとおりの構成からなるところ、本願商標は、その要部となり得る「MarketScape」の文字部分が、引用商標の構成中の「Marketscape」の文字部分と、7文字目の「S」において、大文字と小文字の違いにすぎないものであるから、両者は、外観上近似した印象を与えるものである。 また、本願商標と引用商標とは、共に「マーケットスケープ」の称呼を生じるものであるから、両者は、称呼を共通にするものである。 さらに、本願商標と引用商標とは、共に特定の観念が生じないものであるから、両者は、観念上比較することができない。 そうすると、本願商標と引用商標とは、観念上比較できないとしても、外観上近似した印象を有し、称呼を共通にすることから、互いに紛らわしい類似の商標というのが相当である。 イ 本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否 本願の指定役務である「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析」は、引用商標の指定役務中の「経営の調査・診断及び指導,市場調査,経営の調査・診断及び指導に関する情報の提供,市場調査に関する情報の提供,商品の販売に関する情報の提供,書籍の販売に関する情報の提供,商品展示会及び商品見本市の企画・運営」と同一又は類似するものである。 ウ 小括 したがって、本願商標と引用商標とは、類似の商標であり、その指定役務も同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、「『-scape』の文字は名詞と連結することにより、その名詞に、風景や視野、光景、眺望などの意味を絵画的に与える用語であって、『MarketScape』の文字は、市場景観、市場眺望という観念を生じ、実質的な『Dictionary term』であるから、特別顕著性が希薄である。したがって、本願商標から『MarketScape』の文字を抽出し、抽出した部分だけを引用商標と比較して類否を判断することは妥当でない。」旨主張する。 しかしながら、本願商標中の「market」の文字が「市場、食料品店」等の意味を有し、「-scape」の文字が名詞と結びついて、「?の景色」のような意味合いを生じる語であるとしても、両語の語頭を大文字にして一連に表した「MarketScape」の文字は、英和辞典等に記載がなく、また、請求人の主張する「市場景観、市場眺望」といった意味を表すものとして一般に知られているものともいえないから、該「MarketScape」の文字は、特定の意味合いを有しない一種の造語として理解され、かつ、自他役務の識別標識としての機能を有するものである。 そして、本願商標は、二つの文字部分で構成されているとしても、その結合力は決して強いものではなく、上記(1)のとおり、該「MarketScape」の文字部分を抽出することに妥当性がないということはできない。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 イ 請求人は、「本願商標中の『IDC』の文字部分は、請求人であるインターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社の親会社である米国の『International Data Corporation』の略称であり、業界でも周知又は著名な社名の略称である。」と述べ、証拠として甲108号証及び甲109号証を提出し、「周知著名な『IDC』を先頭においた本願商標『IDC MarketScape』に需要者が接したとき、需要者は、『IDC』がハウスマークであり、『MarketScape』は、ファミリーネーム又はペットネームとして認識するから、『IDC MarketScape』の第一義的な出所識別機能は『IDC』が発揮していると認定すべきである。」旨主張する。 しかしながら、「IDC」が「International Data Corporation」の略称を表示したものであるとしても、該「IDC」が著名な略称とは認められず、ハウスマークとペットネームの関係を理解させるものではないことから、上記(1)のとおり、本願商標中の「MarketScape」の文字部分についても、独立して自他役務の識別機能を有するものというのが相当である。 なお、「IDC」の文字が周知・著名であることを証する証拠は2件のみであって、広告宣伝、売上げ、商標の使用実績等の証拠が提出されていないから、その周知性は認められない。そして、仮に、周知性があるとしても、本願商標の構成においては、両文字部分を分離して捉えることは妥当なものといえるものである。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 ウ 請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張する。 しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の審決例や登録例に拘束されることなく、個々の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人が主張する過去の登録例は、欧文字3字が特定の意味を有するものであったり、欧文字3字とともに表された文字が、造語でなく既成語であったり、指定商品及び指定役務が異なるなど、商標の構成や指定役務等を異にする事案であって、該事例をもって本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは適切ではない。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-11-13 |
結審通知日 | 2015-11-17 |
審決日 | 2015-12-07 |
出願番号 | 商願2014-33479(T2014-33479) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(W35)
T 1 8・ 261- Z (W35) T 1 8・ 263- Z (W35) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 早川 文宏、下山 月菜、小俣 克巳 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
清棲 保美 榎本 政実 |
商標の称呼 | アイデイシイマーケットスケープ、アイデイシイ、マーケットスケープ |
代理人 | 平井 正司 |
代理人 | 神津 堯子 |