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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900396 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W0942
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W0942
管理番号 1309826 
異議申立番号 異議2015-900124 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-04-15 
確定日 2015-12-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5733579号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5733579号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5733579号商標(以下「本件商標」という。)は、「四次元ポケット」の文字を標準文字で表してなり、平成26年9月5日に登録出願、第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「気象情報の提供,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同年12月18日に登録査定され、同27年1月16日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、我が国を代表する漫画・アニメの主人公「ドラえもん」の代名詞である「四次元ポケット」と同一の構成文字からなる商標であり、その指定商品は、申立人の業務に係る商品と類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、「ドラえもん」の代名詞である「四次元ポケット」と同一の構成文字からなる商標であるから、これがその指定商品又は役務について使用した場合、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、「ドラえもん」及びその代名詞である「四次元ポケット」に化体した顧客吸引力に便乗する剽窃的な意図をもって登録出願されたものであるから、信義誠実の原則を損ない、公正な取引秩序を阻害し、公の秩序を乱すおそれがあるものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2の規定により、その登録が取り消されるべきである。

第3 取消理由通知
当審において、商標権者に対して平成27年8月25日付けで通知した取消理由は、次のとおりである。
1 「四次元ポケット」の文字(語)について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実を認めることができる。
ア 申立人は、娯楽及び教育等を提供する法人であり、その一環として、本件商標の登録出願の日前から、「オバケのQ太郎」、「ドラえもん」、「ポケットモンスター」などのキャラクターに関連する商品化事業等を行っている(申立人主張,職権調査:申立人ホームページ)。
イ 「ドラえもん」は、藤子・F・不二雄氏作による漫画、アニメであり、1969年に雑誌の連載が開始、1973年にテレビ放送が開始、さらに1980年にはアニメーション映画の上映が開始され、現在においてもテレビ放送は毎週、映画は毎年、放送及び上映が続けられている(申立人主張,職権調査:フリー百科事典「Wikipedia」ほか)。
ウ 「ドラえもん」は、上記漫画、アニメの主人公でもあり、株式会社ビデオリサーチが毎年2回(6月,12月)実施する「キャラクターと子供マーケット調査」において、子供が選ぶ人気キャラクターで、2009年(平成21年)6月から2014年(平成26年)6月まで11回連続1位であった。また、母親が選ぶ人気キャラクターでは、少なくとも2013年(平成25年)6月及び2014年6月はいずれも8位であった。(甲2,3)
エ 「ドラえもん」(漫画、アニメ)では、主人公であるネコ形ロボット「ドラえもん」が、腹部の「四次元ポケット」から各種の「ひみつの道具」を取り出し、用いて、もう一人の主人公である「のび太」を助ける、といったストーリーが展開される(甲4?6,職権調査:フリー百科事典「Wikipedia」ほか)。
オ 「四次元ポケット」は、本件商標の登録出願の日前に発行された「ドラえもん」に係る図鑑、事典において、「ひみつの道具」などの一つとして掲載されている(甲7?11)。
(2)上記(1)の事実からすれば、本件商標の登録出願の日前から長年にわたり、「(キャラクターとしての)ドラえもん」が需要者の間に広く認識されていること、また、「四次元ポケット」が「(漫画・アニメの)ドラえもん」で毎回のように「ひみつの道具」を取り出す場所ないし「ひみつの道具」の一つとして表されていること、さらに、「四次元ポケット」の語が他に意味を有しない造語であることゆえに該語から「(キャラクターとしての)ドラえもん」を想起し得ることから、「四次元ポケット」の語は、本件商標の登録出願の日前から、「ドラえもんのひみつの道具(の一つ)」を表す語として、需要者の間に広く認識されていたものと判断するのが相当であり、それらの認識は、本件商標の登録査定の日はもとより、現在も継続しているものといえる。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標は、前記第1のとおり、「四次元ポケット」の文字からなるものである。
そして、該文字は、上記1(2)のとおり、「ドラえもんのひみつの道具(の一つ)」として、本件商標の登録出願の日前から現在まで継続して、需要者の間に広く認識されている「四次元ポケット」の語と同一の文字からなるものである。
(2)ところで、申立人提出の甲各号証によれば、「ドラえもん」に係る商品は、文具、生活雑貨、洋服、おもちゃを含む多種多様な商品等が販売され、「四次元ポケット」にちなんだ商品やプロジェクトも存在している事実が認められる(甲12?27)。
そして、人気のキャラクターについては、該キャラクターに係る多種多様な商品(いわゆる「キャラクター商品」)等が販売されることが一般的であることを併せみれば、前記1(1)ウの事実から人気のキャラクターといえる「ドラえもん」についても、本件商標の登録出願の日前から多種多様なキャラクター商品等が販売されていたと推認できる。
(3)上記(1)及び(2)からすれば、「四次元ポケット」の文字からなる本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、これをその指定商品及び指定役務について使用した場合、これに接する需要者をして、多種多様なキャラクター商品が販売されている「ドラえもん」を想起・連想し、当該商品及び役務を、「ドラえもん」に係る権利を有する者(例えば、申立人)あるいは「ドラえもん」に係るキャラクター商品を販売等する者など「ドラえもん」に係る権利を有する者の業務に係る商品や役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
3 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)本件商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願の日前から「ドラえもんのひみつの道具(の一つ)」として需要者の間に広く認識されている「四次元ポケット」の語と、同一の文字からなるものである。
(2)そして、「四次元ポケット」が需要者の間に広く認識されていること、及び「四次元ポケット」の語が他に意味を有しない造語であることからすれば、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、本件商標の登録出願の時に、「ドラえもんのひみつの道具(の一つ)」である「四次元ポケット」を知っていたとみるのが自然である。
(3)さらに、商標権者が「ドラえもん」に係る権利を有する者とは認めらないことを併せみれば、本件商標は、「四次元ポケット」ないしそれから想起・連想される「ドラえもん」が有する周知性及び顧客吸引力に便乗して、不当な利益を得ようとの目的をもって登録出願されたものと推認せざるをえず、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないから、公の秩序又は善良の風俗に反するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に違反してされたものといわなければならない。

第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標についてした前記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであるといわざるを得ないから、その他の登録異議の申立ての理由について判断するまでもなく、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-11-05 
出願番号 商願2014-75354(T2014-75354) 
審決分類 T 1 651・ 22- Z (W0942)
T 1 651・ 271- Z (W0942)
最終処分 取消  
前審関与審査官 岩本 和雄 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
堀内 仁子
登録日 2015-01-16 
登録番号 商標登録第5733579号(T5733579) 
権利者 三大システム株式会社
商標の称呼 ヨジゲンポケット、ヨジゲン 
代理人 一之瀬 香子 
代理人 柏 延之 
代理人 谷口 登 
代理人 高田 泰彦 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 塩谷 信 
代理人 宮嶋 学 
代理人 岩瀬 ひとみ 

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