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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2015900245 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
管理番号 1309818 
異議申立番号 異議2015-900217 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-06-26 
確定日 2016-01-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5754096号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5754096号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5754096号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハッピーグリーンフラッシュ」の文字を標準文字で表してなり、平成26年11月14日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成27年2月19日に登録査定、同年3月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する商標は以下のとおりである。
(1)登録第5100642号商標(以下「引用商標1」という。)は、「GREEN FLASH」の文字を標準文字で表してなり、平成18年12月15日に登録出願、第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」を指定商品として、平成19年12月21日に設定登録されたものである。
(2)別掲(1)ないし(4)のとおりの構成よりなる商標(以下、順に「引用商標2」、「引用商標3」などといい、引用商標2?5を併せていうときは、「引用商標」という。)

3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成文字を称呼した場合は、その称呼は冗長であり、また、その構成中の「グリーンフラッシュ」の文字部分は、申立人の業務に係る「靴、かばん類」を表示するものとして、取引者・需要者に広く認識されている商標と同一である。
してみると、本件商標は、その構成中の「グリーンフラッシュ」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるから、これより「グリーンフラッシュ」の称呼及び「緑の閃光」の観念を生ずる。
これに対し、引用商標1は、構成文字に相応して、「グリーンフラッシュ」の称呼及び「緑の閃光」の観念を生ずる。
したがって、本件商標と引用商標1は、称呼及び観念を同じくする類似の商標である。
また、本件商標の指定商品中の「履物」は、引用商標1の指定商品と類似する商品である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
ア 引用商標の周知性
引用商標は、1930年代の中頃には、テニスシューズ及びスニーカーについて使用され、特に、1934年(昭和9年)から1936年(昭和11年)にかけて、テニスの四大国際大会の一つであるウィンブルドン選手権の男子シングルで優勝したイギリス選手が履いていたテニスシューズに“GREEN FLASH 1555”の表示が付されていたことから、一躍有名になった。また、1970年代から1980年代の初期にかけて、引用商標が付された運動靴は、イギリスの各学校で体育の授業用として指定を受けるようになった。さらに、申立人が製造・販売するスニーカーが2004年(平成16年)度の“スニーカー・オブ・ザ・イヤー”を受賞し、その包装には、引用商標3が付されている。そして、引用商標は、現在に至るまで、イギリス、ドイツを中心とした欧州各国、北米、アジア等の各国において、履物、運動用特殊靴について継続して使用されている(以上、甲9?甲14)。
申立人は、引用商標を付した商品の販売促進のため、雑誌広告やイベント開催などによる宣伝活動を行っている(甲15、甲16)。引用商標を付した商品の全世界の総売上は、2004年(平成16年)が約6617千ユーロ(約10億6500万円)、2005年(平成17年)が約6823千ユーロ(約10億9800万円)、2006年(平成18年)が約5125千ユーロ(約8億2500万円)であり、そのうちの約90%がイギリス、ドイツの合計売上であった(甲17)。
したがって、引用商標は、申立人の業務に係る履物、運動用特殊靴を表示するものとして、海外とりわけイギリス、ドイツの取引者・需要者の間に広く認識されている。このことは、引用商標を付した商品がイギリスの多数の雑誌において取り上げられた事実からも裏付けられる(甲18)。
イ 本件商標と引用商標との類否
前記(1)のとおり、本件商標は、その構成中の「グリーンフラッシュ」の文字部分より、「グリーンフラッシュ」の称呼を生ずるものであるから、「グリーンフラッシュ」の称呼を生ずる引用商標とは、称呼を共通にする類似の商標である。
ウ 以上のとおり、本件商標は、指定商品中の「履物及び運動用特殊靴」に関して、本件商標の出願日及び登録査定日の時点において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されていた商標に類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用する商標であるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
また、本件商標が、「履物及び運動用特殊靴」以外の指定商品について使用されるときは、申立人等と何らかの関連を有する者の製造販売に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「ハッピーグリーンフラッシュ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同一の書体をもって一連一体に書され、外観上の一体性が強いといえるものである。また、Wikipediaの「グリーンフラッシュ」の項目(甲7)には、「グリーンフラッシュ(英:Green flash)とは、太陽が完全に沈む直前、または昇った直後に、緑色の光が一瞬輝いたようにまたたく、非常に稀な現象。緑閃光ともいわれる。」、「見られる確率が非常に低いことから、ハワイやグアムではグリーンフラッシュを見たものが幸せになるという言い伝えがある。」などと記載されていることが認められ、「幸せな、幸福な」などを意味する「ハッピー」と「緑閃光ともいわれる稀な自然現象」を意味する「グリーンフラッシュ」との結合である本件商標は、観念上からみても、構成全体の結びつきは決して弱いということはできない。さらに、本件商標の構成文字全体から生ずると認められる「ハッピーグリーンフラッシュ」の称呼は、簡潔なものとはいえないとしても、極めて冗長というほどのものではなく、よどみなく称呼し得る程度のものといえる。
そうすると、本件商標は、外観、観念及び称呼からみて、構成全体をもって一つの商標を表したと認識されるとみるのが相当であって、その構成中の「グリーンフラッシュ」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものとはいえない。また、後記(2)アの認定のとおり、引用商標が申立人の業務に係るテニスシューズ、スニーカーなどの履物、運動用特殊靴(以下「申立人商品」という。)を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成26年11月14日)及び登録査定日(平成27年2月19日)の時点において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないし、その他、本件商標中の「グリーンフラッシュ」の文字部分のみを抽出して観察しなければならない格別の事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ハッピーグリーンフラッシュ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、「幸せのグリーンフラッシュ(緑閃光)」なる観念を生ずるものといわなければならない。
してみると、本件商標を「ハッピー」と「グリーンフラッシュ」とに分離した上で、「グリーンフラッシュ」の文字部分のみを抽出し、これを前提として、本件商標と引用商標1とが称呼及び観念を同じくする類似の商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきであり、採用することはできない。その他、本件商標と引用商標1とが類似するとみるべき特段の理由は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
ア 引用商標の周知性
申立人の提出した証拠によれば、引用商標は、申立人商品について、1930年代の中頃よりイギリスにおいて使用され、その後、申立人商品は、イギリス、ドイツを中心とした欧州各国、米国などに販売地域が拡大されたこと、申立人は、申立人商品について、本件商標の登録出願日前である2005年(平成17年)及び2006年(平成18年)に、主としてイギリスで発行された雑誌等に広告をしたこと、申立人商品の全世界の総売上は、2004年(平成16年)が約6617千ユーロ(約10億6500万円)、2005年(平成17年)が約6823千ユーロ(約10億9800万円)、2006年(平成18年)が約5125千ユーロ(約8億2500万円)であり、そのうちの約90%がイギリス、ドイツの合計売上であったこと、また、申立人商品は、2005年(平成17年)ないし2006年(平成18年)にイギリスで発行されたと認められる雑誌に、少なからず取り上げられたこと、などを認めることができる。
そうすると、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日前には、主としてイギリス、ドイツの取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
しかし、引用商標が、我が国において、申立人商品を表示するものとして、報道されたり、広告等がされた結果、我が国において「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるようになった商標」と認めるに足りる証拠の提出はない。
この点に関し、申立人は、申立人商品に関する前記実情並びに近時、商品や人的な国際交流等が盛んになるとともに、インターネットによる商品の流通や商品に関する情報の行き来が活況を帯びている現況において、商品はいまだ輸入されていないか極めて少ない輸入量であるが、いわゆる「ブランド商品」として海外帰国者等により知られているもの、また、マスコミ等により我が国に紹介されているものが少なくない状況等を併せ考えれば、引用商標は、我が国においても申立人商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時には、既に需要者・取引者間に広く認識されていたものと推認できる旨主張し、東京高裁平成3年(行ケ)第29号判決(甲19)を提出する。 上記判決(甲19)によれば、「商標法第4条第1項第10号所定の『他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標』とは、わが国において商標として使用された結果『他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され』るようになった商標をいうだけではなく、主として外国で商標として使用され、それがわが国において報道、引用された結果わが国において『他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され』るようになった商標を含むものと解するのが相当である。」と判示していることが認められる。しかし、上記認定のとおり、申立人が、申立人商品に関し、我が国において広告をした事実を明らかにする証拠の提出は一切なく、また、輸入実績や販売実績等を明らかにする証拠の提出もない。わずかに、2001年(平成13年)頃に「BURRO-TOKYO CUSTOMIZED DUNLOP EXHIBITION」なる展示会において芸術家等が参加して、申立人商品に様々な手を加え、申立人商品を作り変えたという事実を明らかにする証拠(甲16)を提出したにすぎないものであって、この展示会とても、どの程度の規模で、どの程度の入場者があったのかなどは一切不明であり、また、これがマスコミ等に取り上げられたのかも不明である。してみると、引用商標のイギリス、ドイツにおける周知性、近時における取引社会の実情等を考慮し、申立人の提出した全証拠を総合しても、引用商標が申立人商品を表示するものとして周知であったことを認めるに足りないから、申立人の上記主張は採用することができない。
したがって、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の対比
(ア)本件商標
本件商標は、前記(1)認定のとおり、その構成文字に相応して、「ハッピーグリーンフラッシュ」の称呼及び「幸せのグリーンフラッシュ(緑閃光)」の観念を生ずるものである。
(イ)引用商標
引用商標2は、別掲(1)のとおり、緑色に塗られた横長長方形内に、該横長長方形の内側に沿って白色の破線を描き、該破線内に、「GREEEN」の文字と「FLASH」の文字を白色で二段に横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「グリーンフラッシュ」の称呼及び「グリーンフラッシュ(緑閃光)」の観念を生ずるものである。
引用商標3は、別掲(2)のとおり、緑色に塗られた横長長方形内に、該横長長方形の内側に沿って灰色様の色彩で破線を描き、該破線内に、大きく表した「GREEEN」の文字と「FLASH」の文字を灰色様の色彩で二段に横書きし、これらの文字の下に、同様に灰色様の色彩で表した「by DUNLOP」の文字と、該「by」と「DUNLOP」の各文字の間に、特定の称呼、観念を生じない抽象的図形を配してなるものであるから、その構成文字に相応して、「グリーンフラッシュバイダンロップ」又は大きく表された「GREEEN」及び「FLASH」の各文字より、「グリーンフラッシュ」の称呼及び「グリーンフラッシュ(緑閃光)」の観念をも生ずるものである。
引用商標4は、別掲(3)のとおり、黒色に塗られた横長長方形内に、特定の称呼、観念を生じない抽象的図形と「DUNLOP GREENFLASH」の文字を灰色様の色彩で表してなるものであるから、その構成文字に相応して、「ダンロップグリーンフラッシュ」の称呼を生ずるものであって、「ダンロップ社のグリーンフラッシュ」なる観念を生ずるとみるのが相当である。
引用商標5は、別掲(4)のとおり、「1555 Green Flash」の文字を緑色で横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「センゴヒャクゴジューゴグリーンフラッシュ」、「イチゴーゴーゴーグリーンフラッシュ」の称呼、あるいは、数字を省略した場合の「グリーンフラッシュ」の称呼を生ずるものであって、構成全体として特定の観念を有しないか、あるいは、「Green Flash」の文字部分を抽出した場合は、「グリーンフラッシュ(緑閃光)」の観念を生ずるものといえる。
(ウ)本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標は、それぞれ前記又は別掲(1)?(4)のとおりの構成よりなるものであるから、外観上明らかに相違するものであって、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはないものである。
また、本件商標より生ずる「ハッピーグリーンフラッシュ」の称呼と引用商標より生ずる「グリーンフラッシュ」、「グリーンフラッシュバイダンロップ」、「ダンロップグリーンフラッシュ」、「センゴヒャクゴジューゴグリーンフラッシュ」、「イチゴーゴーゴーグリーンフラッシュ」の称呼は、構成する音数の相違、構成する音の配置・音質・音感の相違等により、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調、語感が著しく相違するものであるから、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は、「幸せのグリーンフラッシュ(緑閃光)」の観念を生ずるものであるところ、これと同一の観念を生ずる引用商標は存在しないから、本件商標と引用商標は、観念において類似するものとはいえない。
(エ)したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 商標法第4条第1項第10号について
上記アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。
また、本件商標と引用商標とが非類似の商標であること、上記イのとおりである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する商標ということはできない。
エ 商標法第4条第1項第15号について
以上のとおり、引用商標の周知性が認められないことに加え、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることからすれば、本件商標に接する取引者・需要者が、引用商標を想起又は連想することはないとみるのが相当であるから、本件商標は、これをその指定商品のいずれについて使用しても、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標と認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標ということはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)引用商標2


(2)引用商標3


(3)引用商標4


(4)引用商標5


(上記、引用商標2ないし引用商標5の色彩については、各原本を参照のこと。)



異議決定日 2015-12-21 
出願番号 商願2014-96106(T2014-96106) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W1825)
T 1 651・ 25- Y (W1825)
T 1 651・ 261- Y (W1825)
T 1 651・ 262- Y (W1825)
T 1 651・ 271- Y (W1825)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小松 里美 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 前山 るり子
中束 としえ
登録日 2015-03-27 
登録番号 商標登録第5754096号(T5754096) 
権利者 株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド
商標の称呼 ハッピーグリーンフラッシュ、ハッピーグリーン、ハッピー、グリーンフラッシュ、フラッシュ 
代理人 川崎 仁 
代理人 三嶋 景治 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 中里 浩一 
代理人 朝倉 美知 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 

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