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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W35
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W35
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W35
管理番号 1309807 
異議申立番号 異議2015-900105 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-30 
確定日 2015-12-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5729831号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5729831号商標の指定役務中、第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5729831号商標(以下「本件商標」という。)は、「アルプス価格」の文字を標準文字で表してなり、平成26年8月13日に登録出願、「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を始めとする第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年12月1日に登録査定され、同年12月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5189105号商標(以下「引用商標」という。)は、「ALPS」の欧文字を横書きしてなり、平成19年5月30日に登録出願、第35類「電気機械器具類(電気磁気測定器を除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同20年12月12日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第43条の2第1号によりその指定役務中の「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録が取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第67号証を提出した。
申立人の業務に係る商品及び該商品に関連する役務には全て商標「ALPS」が付されており、複数の「アルプス」と称呼させる前記第2に記載の引用商標及びその他14件の登録商標を有している。また、これらの引用する商標の一部は、防護標章登録を有しており、申立人の商標として取引需要者に広く知られるに至っている。また、申立人は、「アルプス」として著名な略称となっている。
一方、本件商標は、その構成中の「価格」の文字が、当該指定役務である小売及び卸売業界において「値段、プライス」の意味を有し、「(商標)+価格」として普通に使用されている実情がある(甲18?26)ことから、引用商標及びその他14件の登録商標と類似関係が成立する(商標法第4条第1項第11号)。
また、本件商標は、これが申立てに係る指定役務に使用された場合、その取引者・需要者が申立人の業務に係る役務又は子会社等の関連役務であると誤認し、該役務の出所について混同を生ずるおそれがある(商標法第4条第1項第15号)。
さらに、本件商標は、その構成中に「アルプス」という申立人の著名な略称が含まれており、登録を受けることができない(商標法第4条第1項第8号)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号及び同甲第15号に違反して登録されたものであるから、その指定役務中の「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録は取り消されるべきである。

第4 本件商標に対する取消理由
当審において、平成27年8月25日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
1 「ALPS」について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実が認められる。
ア 申立人は、1948年設立の「総合電子部品メーカー」であり、同人を中心とするアルプス電気グループは、日本を核にアメリカ、ヨーロッパ、アジア地域に開発・生産・販売拠点を展開している(甲32,33)。
イ 申立人は、1964年(昭和39年)12月に社名を「アルプス電気株式会社」に変更したこと(甲33)、及び昭和40年8月に「ALPS」の文字からなる商標を指定商品「電気通信機械器具」などを指定商品として商標登録出願していることから、昭和40年頃からハウスマークとして商標「ALPS」の使用を開始し(甲3,職権調査:商標登録原簿,申立人主張)、かつ、現在まで継続して使用していると推認できる(甲3?16)。
ウ 申立人が所有する「ALPS」の文字からなる登録第2071307号商標と同一の標章について、第9類、第11類、第12類及び第28類の各種商品を指定商品として、平成12年ないし平成13年に防護標章登録がなされている(甲28?31)。
エ 申立人の2014年(平成26年)3月期売上額は、単独事業で約2,818億円、関係各社との連結で約6,843億円であった(甲40)。
オ 申立人は、2006年から2008年にかけて、「ALPS」の文字を表示した電子部品に係る全ページ広告を全国紙に10回掲載した(甲42?51)。
カ 申立人は、遅くとも2011年1月には通販サイト「電即納」において電子部品の販売を行っており、少なくとも2015年3月には同サイトに「ALPS」の文字が表示され、現在も表示されている(甲36,61,職権調査:「電即納」ウェブページ)
キ 申立人は、「アルプス」と略称されることが少なくない(甲61?67)。
(2)上記(1)の事実からすれば、次のとおり認めることができる。
「ALPS」の文字は、「アルプス」と称呼され、本件商標の登録出願の日前から、申立人の業務に係る商品(電子部品)を表示するものとして需要者の間に広く認識され、その認識は本件商標の登録査定の日はもとより現在においても継続しているものと判断するのが相当である。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「アルプス価格」の文字からなるものであり、その構成中の「アルプス」及び「価格」の各文字が片仮名と漢字とからなっており文字の種別が相違すること、また、各文字(語)がよく知られた既成語であることから、容易に「アルプス」と「価格」の2語を結合したものと理解し得るものである。
そして、前記1(2)のとおり、「ALPS」の文字が「アルプス」と称呼され、本件商標の登録査定の日において、申立人の業務に係る商品(電子部品)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること、「ALPS」の文字は「アルプス」と発音されるものとして一般に親しまれていること、本件登録異議の申立てに係る指定役務は「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件役務」という。)であること、及び「電気機械器具類」には「電子部品」が含まれ、それ以外の商品も「電子部品」と完成品と部品との関係にあり、生産・販売部門を共通にすることが少なくないなど密接な関連性を有するものであることを併せみれば、「アルプス価格」の文字からなる本件商標は、これを本件役務について使用するとき、取引者・需要者をして、該文字中「アルプス」の文字から申立人の商標「ALPS」を連想、想起し、構成文字全体から「アルプス(申立人)の製品の価格」「アルプス(申立人)による価格」の意味合いを認識することが少なくないものと判断するのが相当である。
このことは、例えば、通信販売サイト「アマゾン」での販売価格を「アマゾン価格」、コーヒーのチェーン店「スターバックス」での販売価格をその略称を用いて「スタバ価格」、大手電機メーカー「東芝」製品の価格を「東芝価格」のように、それぞれ称している事実があること(甲18,20,22)からも裏付けられる。
そうすると、本件商標は、これを本件役務について使用するとき、取引者・需要者に対し、その構成中の「アルプス」の文字部分が役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。
してみれば、本件商標は、これを本件役務について使用するとき、該「アルプス」の文字に相応して「アルプス」の称呼及び「(申立人のブランドとしての)アルプス(ALPS)」の観念を生じるといわなければならない。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「ALPS」の文字からなるものであり、該文字に相応して「アルプス」の称呼を生じ、前記1(2)の事情から「(申立人のブランドとしての)ALPS(アルプス)」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標を比較すると、両者の外観は、それぞれ上記のとおりであり、区別し得るものであり、また、本件商標の構成中において、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「アルプス」の文字部分と引用商標とについてみても、両者の構成文字が片仮名と欧文字とで相違することから区別し得るものである。次に、称呼についてみると、両者は「アルプス」の称呼を共通にするものである。また、観念については、本件商標から「(申立人のブランドとしての)アルプス(ALPS)」の観念、引用商標から「(申立人のブランドとしての)ALPS(アルプス)」の観念がそれぞれ生じるものであるところ、両者は、実質的に同一のものといえるものである。
そうすると、両者は、外観において区別し得るものの、称呼及び観念を共通にするものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛らわしい類似の商標と判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、類似する商標といわなければならず、かつ、本件役務と引用商標の指定役務とは同一又は類似の役務である。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件役務について商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
したがって、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定役務である第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(本件役務)について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわなければならない。

第5 商標権者の意見
前記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断
本件商標についてした前記第4の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、「結論掲記の指定役務」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-11-05 
出願番号 商願2014-74970(T2014-74970) 
審決分類 T 1 652・ 262- Z (W35)
T 1 652・ 263- Z (W35)
T 1 652・ 261- Z (W35)
最終処分 取消  
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 堀内 仁子
酒井 福造
登録日 2014-12-26 
登録番号 商標登録第5729831号(T5729831) 
権利者 株式会社岩田鉄工所
商標の称呼 アルプスカカク 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 前田 勘次 

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