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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 103 |
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管理番号 | 1309730 |
審判番号 | 取消2015-300067 |
総通号数 | 194 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-02-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-02-02 |
確定日 | 2016-01-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1708986号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1708986号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり,「Bespa」の欧文字と「ベスパ」の片仮名とを上下2段に書してなり,昭和56年1月20日に登録出願,第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として,同59年8月28日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,指定商品については,平成16年11月17日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 なお,本件審判の請求の登録日は,平成27年2月17日である。 第2 請求人の主張 請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書において,その理由を要旨次のように述べ,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 請求の理由 請求人が調査したところ,本件商標の商標権者は,指定商品について過去3年以内に本件商標を日本国内において使用していないことが判明した。 また,本件商標の登録原簿による限り,現在までに本件商標の商標権について専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされた事実もない(甲1)。 してみると,本件商標権者,専用使用権者または通常使用権者のいずれもが本件商標を日本国内において継続して3年以上,上記商品について使用していないと判断されるものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を答弁書及び審尋に対する回答書において要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第14号証及び別紙1ないし3を提出した。 1 答弁の理由 (1)ベスパインターナショナル株式会社による使用 本件商標は,ベスパインターナショナル株式会社により使用されているものである。 ベスパインターナショナル株式会社は,本件商標権者の関連会社であり(乙2の6頁),本件商標権者は,ベスパインターナショナル株式会社(以下「通常使用権者」という。)に本件商標の通常使用権を許諾しているものである。 (2)本件商標の指定商品への使用 通常使用権者は,通信販売向けの化粧品,理美容院向けの化粧品等の企画・製造・販売を事業内容とする企業である(乙2)。 そして,通常使用権者は,同者の製造・販売する化粧品の外箱,容器及び取扱説明書に「BESPA」又は「ベスパ」の文字を付しているとともに,購入した化粧品を入れる紙袋に「BESPA」の文字を付している(乙3ないし乙6)。 また,通常使用権者は,同者の製造・販売する化粧品のカタログ及びチラシに「BESPA」の文字を付して頒布している(乙7ないし乙9)。 さらに,通常使用権者は,名古屋市北区萩野通1丁目13番1号に存する通常使用権者の本社ビルの看板に「BESPA」の文字を付して展示している(乙10)。 (ア)登録商標の使用であること 本件商標は,欧文字「Bespa」と片仮名「ベスパ」とを二段併記で表示した構成態様からなる商標である。 ここで,本件商標を構成する「Bespa」と「ベスパ」の文字は,特定の観念を有さない造語である。 一方,通常使用権者は,化粧品の外箱,容器及び取扱説明書,購入した化粧品を入れる紙袋,化粧品のカタログ及びチラシ,通常使用権者の本社ビル看板に「BESPA」(以下「使用商標1」という。)又は「ベスパ」の文字(以下「使用商標2」という。)を表示している(乙3ないし乙10)。 この場合,使用商標1は,本件商標の上段の「Bespa」の使用に相当し,本件商標の「Bespa」の部分と社会通念上同一と認められるものである。 また,使用商標2は,本件商標の下段の「ベスパ」と同一と認められるものである。 そして,本件商標の構成文字「Bespa」と「ベスパ」が特定の観念を生じないものであったとしても,使用商標1及び2は,本件商標の構成文字中の欧文字部分又は片仮名部分に該当するものであって,本件商標と称呼「ベスパ」を同じにし,観念の変動を伴うものではない。 したがって,使用商標1及び2は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標とみて差し支えがないものである(乙11)。 (イ)第3類「化粧品,せっけん類」への使用 通常使用権者の製造・販売する商品は,ファンデーション,クリーム,口紅,顔用パウダー,洗顔料,化粧液,体臭消臭剤,ヘアマニキュア等に該当するものである(乙3?乙5,乙7?乙9)。 例えば,乙第3号証ないし乙第5号証は,ファンデーションの外箱,容器及び取扱説明書に使用商標1及び2を使用するものである。 また,乙第7号証は,ファンデーション,クリーム,口紅,顔用パウダー,洗顔料,化粧液,ヘアマニキュア等のカタログに使用商標1を使用するものである。 さらに,乙第8号証は,体臭消臭剤のチラシに使用商標1を使用するものであり,乙第9号証は,ファンデーションのチラシに使用商標1を使用するものである。 そして,これらのファンデーション,クリーム,口紅,顔用パウダー,洗顔料,化粧液,体臭消臭剤,ヘアマニキュアは,第3類の指定商品のうち,「化粧品」に該当する(乙12)。 また,通常使用権者の製造・販売する商品は,シャンプーに該当するものである(乙7)。そして,乙第7号証は,シャンプー等のカタログに使用商標1を使用するものである。さらに,シャンプーは,本件審判請求に係る第3類の指定商品のうち,「せっけん類」に該当する(乙12の1)。 ウ 商標としての使用であること 使用商標1及び2は,化粧品の外箱,容器及び取扱説明書,購入した化粧品を入れる紙袋に表示されるものである。 また,使用商標1は,化粧品のカタログ及びチラシ,通常使用権者の本社ビル看板に表示され頒布又は展示されるものである。 そして,化粧品の外箱及び容器,購入した化粧品を入れる紙袋に商標を表示する行為は,商品の包装に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)又は商品の包装に標章を付したものを譲渡等する行為(商標法第2条第3項第2号)に該当し,化粧品の取扱説明書,化粧品のカタログ及びチラシ,看板に商標を表示して頒布又は展示する行為は,商品に関する広告,取引書類等に標章を付して展示し,若しくは頒布する行為(同項第8号)に該当する。 よって,使用商標1及び2の使用は,商標法上の使用に該当する。 エ 審判の請求の登録前3年以内の使用であること 乙第7号証において,4頁右下に作成年月として2012.05の数字が表示されている。これは,乙第7号証が2012年(平成24年)5月に作成されたことを示すものである。 また,乙第7号証に掲載されている商品は,審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)に販売されていたものである(乙13,乙14)。 乙第13号証は,2013年(平成25年)7月1日付で通常使用権者が発行した請求書の写しであり,乙第7号証の3頁中段に掲載されているファンデーション「リファイン オールシーズンファンデEX」及び洗顔料「リファイン クレンズウォッシュP」,同号証の4頁中段に掲載されている日やけ止めクリーム「ベスパ 日よけ色白美人」が,2013年(平成25年)6月に販売されたことを示すものである。また,乙第7号証の3頁下段に掲載されている「リファイン クリーンシャンプーP」が,2013年(平成25年)6月に販売されたことを示すものである。 なお,乙第13号証中,「13年」の記載は「2013年」を表すものであり,「オールファンデEX」の記載は「オールシーズンファンデEX」を表すものである。 乙第14号証は,2013年(平成25年)8月1日付で通常使用権者が発行した請求書の写しであり,乙第7号証の4頁下段に掲載されている白髪専用ヘアマニキュア「ベスパ ネオカラートリートメント」,同号証の3頁中段に掲載されているファンデーション「リファイン オールシーズンファンデEX」及び洗顔料「リファイン クレンズウォツシュP」等が,2013年(平成25年)7月に販売されたことを示すものである。また,乙第7号証の3頁下段に掲載されている「リファイン クリーンシャンプーP」が,2013年(平成25年)7月に販売されたことを示すものである。 なお,乙第14号証中,「13年」の記載は「2013年」を表すものであり,「オールファンデEX」の記載は「オールシーズンファンデEX」を表すものである。 そして,上記商品の販売に際して,乙第7号証が需要者・取引者に頒布されていたものである。 以上のとおり,乙第7号証のカタログは,本件審判の予告登録日前より作成され,頒布されていたものであり,使用商標1は,同カタログに表示され,要証期間に使用されているものである。 2 回答書(平成27年7月31日付け) 被請求人は,平成16年12月17日より,ベスパインターナショナル株式会社に対し,本件商標権の通常使用権を許諾していたものであり(別紙1),また,ベスパインターナショナル株式会社は,被請求人より,本権商標権の通常使用権の許諾を受けていたものである(別紙2)。 3 まとめ 以上より,本件商標は,通常使用権者により,本件審判の請求に係る第3類の指定商品のうち「化粧品,せっけん類」について,日本国内において,本件審判の予告登録日前3年以内に使用されているものである。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠について (1)乙第2号証は,ベスパインターナショナル株式会社の会社案内(写し)であり,その表紙の上部分には,「BESPA INTERNATIONAL」の欧文字が表示され,下部分には,「ベスパインターナショナル株式会社」の文字が表示されている。 そして,その4頁には,「ベスパの製品」の表示の下,「【すっぴん美女シリーズ】自然な仕上がりで,まるで素肌のような感覚のうす化粧シリーズ。・・・」,「【リファインシリーズ】デリケートなお肌の方に適した無香料・無着色(基礎化粧品)の安心化粧品。・・・」,「【リビーネシリーズ】さまざまな悩みやニーズに対応した特殊化粧品。・・・」の記載がある。 また,その6頁の「事業内容」には,「通販向特殊化粧品,理美容向特殊化粧品・・・などの企画,製造,販売」の記載がある。 さらに,最終頁には,左下部分に「ベスパインターナショナル株式会社」及び住所が記載され,右下部分には,「MAR.2004」の記載がある。 (2)乙第7号証は,「ベスパ化粧品総合カタログ」(写し)であり,その表紙の上部分には,「BESPA INTERNATIONAL」,「ALL BASIC COLLECTION」の欧文字が表示され,下部分には,図形と「BESPA」の欧文字が表示されている。 そして,その2葉目及び3葉目には,ファンデーション,口紅,アイライナー,洗顔料,化粧液等が「すっぴん美女シリーズ」として,3葉目には,洗顔料,化粧液,保湿クリーム等が「リファインシリーズ」として,その4葉目には,美容液,クリーム,化粧水等が「リビーネシリーズ」として掲載され,税込み価格が表示されている。 また,例えば,3葉目の「リファインシリーズ」には,「リファイン オールシーズンファンデEX<ナチュラル>/<ライトオークル>/<オークル>」,及び「リファインクリーンシャンプーP」の記載と,商品の写真が掲載され,4葉目に右下部分には,「ベスパインターナショナル株式会社」及び住所,「2012.05」の記載がある。 (3)乙第13号証は,2013年7月1日を発行日とする,愛知県名古屋市中川区の株式会社に宛てた通常使用権者名の「請求書」であり,その内訳において,6月20日の欄には,商品名が「リファインクリーンシャンプーP」を数量「3」,6月26日の欄には,商品名が「リファイン オールファンデ EX<ナチュラル>」を数量「6」,また,6月28日の欄には,商品名が「リファイン オールファンデ EX<ナチュラル>」を数量「6」,及び商品名が「リファイン オールファンデ EX<オークル>」を数量「6」の記載がある。 そして,乙第14号証は,2013年8月1日を発行日とする,愛知県名古屋市中村区の株式会社に宛てた通常使用権者名の「請求書」であり,その7月17日の欄には,商品名が「リファイン オールファンデ EX<オークル>」を,数量「1」,7月18日の欄には,商品名が「リファイン オールファンデ EX<ナチュラル>」を,数量「1」,「<ライトオークル>」を数量「2」,「<オークル>」を数量「1」,7月19日の欄には,商品名が「リファイン オールファンデ EX<ライトオークル>」を数量「1」,7月22日の欄には,商品名が「リファインクリーンシャンプーP」を数量「3」,及び商品名が「リファイン オールファンデ EX<オークル>」を数量「1」,7月23日の欄には,商品名が「リファイン オールファンデ EX<ナチュラル>」を数量「1」の記載がある。 (4)回答書(平成27年7月31日付け)により提出された,平成27年7月29日付けの本件商標権者の代表者が,記名,捺印した書面によれば,「商標登録番号 第1708986号」の商標権につき,平成16年12月17日より通常使用権を許諾していることに相違ない旨が記載され,「通常使用権者」の項には「住所 名古屋市北区・・・」及び「名称 ベスパインターナショナル株式会社」,「通常使用権の範囲」の項には,「地域:日本全国」及び「内容:全指定商品」と記載されている。 そして,平成27年7月27日付けのベスパインターナショナル株式会社の代表者が,記名,捺印した書面によれば,「商標登録番号 第1708986号」,「商標権者 住所 名古屋市西区・・・」及び「名称 日本メナード化粧品株式会社」の商標権につき,平成16年12月17日より通常使用権について許諾を受けていることに相違ない旨,「通常使用権の範囲」には,「地域:日本全国」及び「内容:全指定商品」と記載されている。 2 以上によれば,次のとおり判断できる。 (1)通常使用権者について 本件商標権者は,ベスパインターナショナル株式会社に対し,平成16年12月17日より,本件商標の通常使用権の許諾をしているものであり,また,ベスパインターナショナル株式会社は,本件商標権者から本件商標の通常使用権について許諾を受けているものであるから,ベスパインターナショナル株式会社は,本件商標の通常使用権者と認められる。 (2)販売に係る商品について 通常使用権者は,各種化粧品等の企画,製造,販売する者であって(乙2),要証期間である2012年5月に発行した自身の総合カタログにおいて,「BESPA」の商標を表示して,「ファンデーション,口紅,アイライナー,洗顔料,化粧液,クリーム,美容液,化粧水,シャンプー」等の各種商品を掲載し,それらの商品販売の情報を記載したものである(乙7)。 そして,通常使用権者が,2013年7月1日及び8月1日に発行した「請求書」によれば,該総合カタログに掲載されている化粧品等の「リファイン オールファンデ EX」及び「リファインクリーンシャンプーP」が,要証期間である,2013年6月26日,同年7月17日,18日,19日,22日及び23日に取引きされたものと推認できる。 (3)本件商標の使用について 本件商標は,「Bespa」の欧文字と「ベスパ」の片仮名とを上下二段に書してなるところ,下段の文字は,上段の欧文字の読みを表したものと認められ,構成各文字からは,「ベスパ」の称呼を生ずるものであり,また,該「Bespa」及び「ベスパ」の各文字からは,特定の観念を生じないものである。 そして,前記商品に関する総合カタログ表示された「BESPA」の表示は,本件商標の構成中「Bespa」の欧文字部分と綴りが同一であり,本件商標の構成中「ベスパ」の片仮名を欧文字で表したものといえるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。 (4)まとめ そうとすると,本件商標の通常使用権者は,要証期間に日本国内において,その指定商品の「化粧品」に含まれる「ファンデーション,口紅,アイライナー,洗顔料,化粧液,クリーム,美容液,化粧水」,及び「せっけん類」に含まれる「シャンプー」等に関する総合カタログに,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示して,広告のために頒布したものである。 そして,通常使用権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものと認められる。 3 請求人は,前記第3の被請求人の答弁に対し,何ら弁駁するところがない。 4 むすび 以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標の通常使用権者が,その請求に係る指定商品中,「化粧品,せっけん類」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審理終結日 | 2015-08-14 |
結審通知日 | 2015-08-18 |
審決日 | 2015-08-31 |
出願番号 | 商願昭56-3203 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(103)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 三男 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 井出 英一郎 |
登録日 | 1984-08-28 |
登録番号 | 商標登録第1708986号(T1708986) |
商標の称呼 | ベスパ |
代理人 | 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 |
代理人 | 中村 知公 |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |
代理人 | 前田 大輔 |