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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない 042 |
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管理番号 | 1309683 |
審判番号 | 無効2015-890038 |
総通号数 | 194 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-02-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2015-04-28 |
確定日 | 2015-12-24 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3112304号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3112304号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成4年9月30日に登録出願され,第42類「入浴施設の提供」を指定役務として,同8年1月31日に設定登録され,その後,同18年11月17日商標権の存続期間の更新登録がされたものであり,現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は,「本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする」,との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第11号証を提出した(無効審判弁駁書の「甲第9号証」は,番号が重複して提出されているため,後出の「甲第9号証」を「甲第11号証」とする。)。 1 商標法第4条第1項第16号該当性 (1)商標の全体構成 本件商標は,「湯?とぴあ」と「ラドン健康パレス」とを二段に配置してなる。「湯?とぴあ」の語は,「湯」の文字から,需要者には入浴施設であることを容易に理解,把握される。加えて,この語を含む類似の商標が登録されていることを踏まえると,少なくとも本件商標の登録時において,入浴施設を直接的または間接的に表す語として一般に使用されていたと推認される(甲2)。 また,「ラドン健康パレス」の部分は,「ラドン」,「健康」,「パレス」に分離把握され,「健康」,「パレス」の語からは,それぞれ,健康に良い,場所,といった程度の意味合いが生ずる。 (2)「ラドン」の語の意義 「ラドン」とは,例えばインターネット上の辞書サイト「ウィキペディア」の「ラドン」の項目に「ラドン温泉」の項が設けられていることからも分かるように,温泉の含有成分の一種であることが一般に知られている(甲3)。 上記サイトによれば,少なくとも本件商標の登録時から約40年前である1950年代ごろまでには,ラドンやラジウム(甲3)の名称が知られるようになっており,その後80年代にはすでにラドンを含む温泉が健康に良いと注目されていることが認められる(甲4)。 その結果,少なくとも本件商標の登録時点までには,日本各地に多数のラドンまたはラジウムを含む湯を用いた入浴施設が存在することが1986年(昭和61年)出版の書籍に記載されている(甲5)。また,例えば2001年(平成13年)と2004年(平成16年)には,ラドン(ラジウム)を含む湯の効能がテレビ報道等でも取り上げられるほど,その存在が広く知れわたるようになった(甲6,甲7)。 (3)ラドンと他の語との関係性 以上のように,少なくとも本件商標の登録時までには「ラドン」の語が需要者に広く知られたと推認される。そして,「ラドン」の語が,入浴施設であることを示す「湯」および「湯?とぴあ」の語とともに使用されれば,需要者は,直ちに「ラドン」の語を湯と結び付け,その結果,湯の性質としてのラドンの意味であると容易に理解する。 そして,このことは,「ラドン」が「健康パレス」と結合されて用いられていても変わりない。なぜなら,前述のように「ラドン」の語と「湯」の語は結びつきやすく,且つ「湯」は目立つ黄色で大きく表示されているため,「ラドン」の語を見た需要者は即座に湯と結びつけると推定される。また,「健康パレス」は「健康になる場所」程度の意味であるから,「ラドン健康パレス」全体としてもラドンの湯質の効果によって健康になる場所といった意味を需要者に容易に想起させるからである。このように,「ラドン」の語単体でも「ラドン健康パレス」の語全体としても,湯の質としてのラドンを需要者に強く想起させる。 換言すれば,本件商標に接すれば,単純泉,硫黄泉,塩化物等々の成分のお湯ではなく,ラドンないしラドンと何らかの関係がある放射性物質を成分として含有する特別な湯の提供を行っていると理解するのが需要者のごく当然の反応である。 (4)需要者の入浴施設への期待 上述のとおり,入浴施設の利用者にとって湯の成分は重大な関心事であり,とりわけ「ラドン」は放射能泉として良く知られており,その効能に特別の期待をもつ利用者も多い(甲3ないし7)。つまり,需要者は,本件商標を用いて入浴施設の提供を行う者に対して,ラドンを含有していない湯にはない,放射能泉の特有の効果を期待することが容易に想定される。よって,指定役務「入浴施設」のうち,ラドンないしラドンと関係がある放射性元素を含まない湯を用いた入浴施設に本件商標が使用された場合には,利用者の期待を大きく失墜させることになる。 (5)特許庁の審査実務 一般的に,構成中に湯の成分を直接的・具体的に表す語を含む商標を役務「入浴施設の提供」に使用した場合に,誤認混同を生ずるおそれがあることは,不服2000-8617号(甲8),審判1999-18760号(甲9),および登録商標第446433号(甲10)に係る特許庁の審査実務においても裏付けられる。 (6)関連する商標登録出願の経過情報 加えて,上記登録商標のうち,不服2000-8617号については,本件商標と同一の権利者による出願であり,審査において拒絶理由通知を受け,これに対して指定役務を「温泉施設の提供」から「ラドン泉を泉質とする温泉施設の提供」に補正している。このことは,「ラドン」の語を含む商標を役務「入浴施設の提供」に使用した場合に誤認混同が生ずる可能性を,本件商標権者自らが認めている証拠といえる。 (7)小括 以上のとおり,本件商標が,指定役務のうち,ラドンを含まないお湯,例えば,水道水を沸かしたお湯や,ラドン元素を含まない源泉などを汲み上げたお湯を用いた入浴施設の提供に使用された場合,役務の質について誤認を生ずるおそれがある。そして,この誤認によって需要者が被る不利益を無視することはできない。 2 答弁に対する弁駁 (1)標章の構成態様について 本件標章は,被請求人も認めているとおり,「湯?とぴあ」の図案部分と「ラドン健康パレス」の文字部分とによって構成され,「ラドン健康パレス」部分は,「ラドン」,「健康」,および「パレス」の一般的用語の組み合わせによって成り立っている。このような構成態様によって,被請求人も認めているとおり,この標章に接した需要者は,この標章が「ラドンが用いられた施設」を意味するものであると容易に理解する。 なお,このことは,「湯?とぴあ」の語が造語であるとかないとかとは無関係である。本件標章には,「ラドン健康パレス」の文字が明確に表されているからである。 仮に,被請求人のいうように,特徴的に図案化がなされた「湯?とぴあ」部分が標章の中核部分であったとしても,その場合は「ラドン健康パレス」の文字部分は非中核部分ないし付記的部分ということになるが,一般的に商標の付記的部分には商品や役務の品質・質が表されることが通例であり,非中核的部分だからといって,中核部分よりも自他商品役務識別力が弱いということはあっても,品質・質の表示機能を発揮していないということにはならない。むしろ,非中核的部分だからこそ品質・質を表示している部分であると需要者は強く認識させられるというのが一般的な取引事情であって,本件商標もその例外でない。 (2)本件標章が指定役務に使用された場合の結果について 上述のような構成態様を有する標章を「入浴施設の提供」に使用した場合に,役務の質について誤認のおそれが生じるか否かが問題となる。ここで,指定役務「入浴施設の提供」には「ラドンを用いた入浴施設の提供」も「ラドンを用いていない入浴施設の提供」も含まれることは,被請求人も認めるとおりである。そして,この標章が「ラドンを用いていない入浴施設の提供」について使用された場合,需要者は,当該入浴施設がラドンを含有した湯による入浴サービスを提供するものであろうと当然に理解し,また期待するのは明らかである。このように,本件商標には,役務の質について誤認のおそれがあることが明らかである重大な瑕疵が存在するから,無効とすべきである。 (3)その他 被請求人も認めているとおり,本件標章は,これに接した需要者に対し,「ラドン」,「健康」,「パレス」という語の組み合わせの存在によって,少なくとも,ラドンを用いた健康増進施設であると容易に理解させるものである。 また,「湯」は,広辞苑第5版によれば,「ア 水を沸かしたもの。イ 温泉,いでゆ。ウ 湯あみすること。また,その設備をした場所。風呂。浴場。湯殿。湯屋。エ 煎じ薬。湯薬とうやく。または,くすりゆ。オ 船中に浸み入って溜った水を忌んでいう語。あか。ふなゆ。カ 金属を熔かしたもの。日葡辞書『ナマリヲユニワカス』」等の記載がある(甲11)。すなわち,一般的需要者にとって「湯」といえば入浴を無理なく想起するし,「湯」に関係する「健康増進施設」といえば,直ちに入浴施設をイメージするというのが需要者の一般的感覚であって,湯沸かし器や食品等と結びつけることにはかなり無理がある。 加えて,「湯?とぴあ」の部分は,水や水滴をあしらった図案化が施されており,このことからも,本件標章に接した需要者は,ラドンを用いた入浴施設の提供を無理なくイメージすることができる。 このように,本件商標に接した需要者は,ラドンを用いた健康増進施設としての入浴施設を容易にイメージするのであって,入浴施設を理解できないなどとする被請求人の主張は妥当でない。そして,上述のとおり,「ラドン健康パレス」の文字部分からラドンが用いられているという入浴施設の提供についての質が容易に理解されるのであるから,本件標章がラドンを用いていない入浴施設の提供に使用された場合に役務の質について誤認のおそれが生じることは明らかである。 したがって,本件登録商標は,商標法第4条第1項第16号に該当し,商標法第46条第1項第1号の規定により,無効とすべきである。 第3 被請求人の主張 被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第16号に該当しない理由 本件商標には,「ラドン健康パレス」の語が含まれるが,本件商標の要部は「湯?とぴあ」の部分であるから,本件商標に接した需要者は,「『理想郷』を意味する英語の『utopia』の日本語表記『ゆーとぴあ』の造語」と理解する。 仮に,「ラドン健康パレス」部分を「湯?とぴあ」部分と結びつけて理解するとしても,本件商標に接した需要者は,「ラドンを利用した『湯?とぴあ』という健康増進施設」程度にしか理解できない。 したがって,本件指定役務「入浴施設の提供」には,ラドンを含まない湯を用いた入浴施設を含むとしても,本件商標をラドンを含まない湯を用いた入浴施設の提供に使用した場合であっても,役務の質について誤認を生ずるおそれはない。 2 本件商標の観念するところ (1)「湯?とぴあ」部分から生じる観念について 請求人の主張する本件商標の全体構成については,とくに争うものではない。もっとも,本件商標は,「湯?とぴあ」部分と「ラドン健康パレス」部分とを二段に配置してなるところ,「湯?とぴあ」部分は「ラドン健康パレス」部分と比較して大きな文字で描かれており,「ラドン健康パレス」部分が「ラドン」「健康」「パレス」という一般的用語の組み合わせに過ぎないことからすると,本件商標が需要者に与える印象は「湯?とぴあ」部分が中核をなしているということができる。 ところで,「湯?とぴあ」部分は,「理想郷」を意味する英語の「utopia」の日本語表記「ゆーとぴあ」の「ゆ」を「湯」に,「-」を「?」に置き換えた造語である。そして,「湯」自体は,入浴施設以外にも,湯沸かし器,湯を利用した食品等にも用いられ得るのであり,「入浴施設」を直接に想起させるものではない。 たしかに,「湯?とぴあ」部分が入浴施設に使用された場合には,理想的に快適な浴場であることを想起させるが,「湯?とぴあ」部分だけからは,入浴施設であることは容易には理解できるものではない。 そうだとすると,本件商標に接した需要者は,「『理想郷』を意味する英語の『utopia』の日本語表記『ゆーとぴあ』の造語」と理解するものといえる。 (2)「ラドン健康パレス」部分を含めて生じる観念について 仮に,「ラドン健康パレス」部分を「湯?とぴあ」部分と結びつけて理解するとしても,本件商標に接した需要者は,「ラドンを利用した『湯?とぴあ』という健康増進施設」程度にしか理解できない。 すなわち,上記のとおり,「湯?とぴあ」部分からは,入浴施設であることは容易には理解できるものではない。 また,「ラドン健康パレス」部分は,「ラドン」「健康」「パレス」という一般的用語の組み合わせであり,「ラドン」を利用した健康増進法は,ラドン温泉だけでなく,ラドンミスト装置(乙1,乙2)やラジウムラバーシート(乙3)等様々なものが含まれる。そうだとすると,「ラドン健康パレス」部分からは,ラドンを利用した健康増進施設であることは理解できるとしても,ラドン温泉を提供する入浴施設とまでは理解できない。 したがって,本件商標に接した需要者は,「ラドンを利用した『湯?とぴあ』という健康増進施設」程度にしか理解できない。 ところで,請求人は,「湯?とぴあ」の語は,「湯」の文字から,需要者には入浴施設であることを容易に理解,把握されると主張する。 しかし,上記のとおり,「湯」自体は,入浴施設以外にも,湯沸かし器,湯を利用した食品等にも用いられ得るのであり,「入浴施設」を直接に想起させるものではなく,「湯」の文字から直ちに「入浴施設」を理解させるというのは飛躍している。 また,請求人は,甲第2号証を根拠として,「湯?とぴあ」を含む類似の商標が登録されていることを踏まえると,少なくとも本件商標の登録時において,入浴施設を直接的または間接的に表す語として一般に使用されていたと推認されると主張するが,甲第2号証に挙げられた登録時に存在していた施設は4件であり,その程度では一般に使用されていたと評価できるまでの事情ではない。 (3)小括 以上からすると,本件指定役務「入浴施設の提供」には,ラドンを含まない湯を用いた入浴施設を含むとしても,本件商標を,ラドンを含まない湯を用いた入浴施設の提供に使用した場合であっても,役務の質について誤認を生ずるおそれはない。 3 特許庁の審査実務 請求人は,甲第8号証ないし甲第10号証を根拠に,本件商標が誤認混同を生ずるおそれがあることは特許庁の審査実務においても裏付けられていると主張する。 しかし,「ラドン泉」(甲8),「ラドン温泉」(甲9)は,明らかに入浴施設の「性質」を表した語であり,本件商標と同様に考えることができない。また,「北白川天然ラジウム温泉」(甲10)は「地名」+「質」であって,やはり本件商標と同様に考えることはできない。 よって,請求人の挙げる根拠には理由がない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号には該当せず,商標法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきものではない。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第16号該当性について (1)「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」について 商標法第4条第1項第16号でいう,「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」とは,指定商品又は役務に係る取引の実情の下で,公益性を担保するという観点から,取引者又は需要者において,当該商標が表示していると通常理解される品質又は質と,指定商品が有する品質又は役務が有する質とが異なるため,商標を付した商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである。(参考:知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10086号 平成20年11月27日判決) そして,同号でいう,商品の品質又は役務の質とは,抽象的な内容のものを指すのではなく,取引者又は需要者が当該商標から看取する具体的な商品の品質又は役務の質をいうものとみるのが相当である。 (2)本件商標について 本件商標は,別掲のとおり,上段に青色で「ラドン健康パレス」の文字と下段に文字が黄色でその文字の周辺と文字の輪郭を青色でややレタリングされた「湯?とぴあ」の文字を上下二段に表してなるものである。 そして,上段の文字部分は,「希ガス元素の一種,元素記号Rn,原子番号86,ラジウムの壊変に際して生じる気体」等の意味を有する「ラドン」の文字と「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと,達者,丈夫」等の意味を有する「健康」の文字と「宮殿,御殿」等の意味を有する「パレス」の文字(いずれも,「広辞苑」第六版 株式会社岩波書店)を一連にして,「ラドン健康パレス」と表してなるところ,その構成文字の全体からは,特定の意味合いを有しないものであって,一種の造語とみるのが相当である。 また,下段の「湯?とぴあ」の文字部分は,辞書等に載録されていない語であって,何ら特定の意味合いを有しない造語とみるのが相当である。 そして,請求人が提出した証拠(甲3ないし甲7)からも,「ラドン健康パレス」の文字が「入浴施設の提供」の役務の質を表すものとすべき事実は見あたらない。 したがって,取引者又は需要者が本件商標に接する場合,その構成中の「ラドン健康パレス」の文字が,第42類「入浴施設の提供」の役務の質を表すものとはいえないものである。 (3)請求人の主張について 請求人は,「『ラドン』の語は,前記第2の1(1)のとおりインターネット上の辞書サイトによれば,温泉成分を表す記載があり,その後,書籍,テレビ報道によりラドン(ラジウム)を含む湯の効能が広く知れわたるようになった(甲5ないし甲7)。よって,『ラドン』の語が,本件商標の指定役務である『入浴施設の提供』との関係において,『湯』及び『湯?とぴあ』の文字と共に使用されれば,需要者は,直ちに『ラドン』の語を湯と結びつけ,湯の性質としてのラドンであると容易に理解する。そして,『ラドン』が『健康パレス』と結合されて,『ラドン健康パレス』の文字全体としてもラドンの湯質の効果によって健康になる場所といった意味合いを需要者に想起させるものである。このように,『ラドン』の語単体でも『ラドン健康パレス』の文字全体としても,湯の質としてのラドンを需要者に強く想起させ,本件商標をその指定役務に使用した場合,役務の質の誤認を生じるおそれがある。」と主張する。 しかしながら,請求人の提出に係る証拠(甲3ないし甲7)によれば,「ラドン」の文字は,「泉」「温泉」「温浴」などの文字と一緒に使用されたときに温泉成分として,取引者又は需要者に理解されるものであることは,ある程度認められるものであるとしても,本件商標の構成においては,上記(2)のとおり,造語である「湯?とぴあ」の文字と,「ラドン健康パレス」の文字中に「希ガス元素の一種」を意味する「ラドン」の文字のみがあるだけであり,そのいずれの文字においても,本件商標の指定役務である「入浴施設の提供」の役務の質を直ちに表示するものということはできないものである。 よって,請求人の主張は採用することができない。 (4)小活 以上によれば,本件商標をその指定役務の第42類「入浴施設の提供」に使用した場合,その取引者又は需要者は,本件商標の構成中,「ラドン」の文字及び「ラドン健康パレス」の文字が,商標法第4条第1項第16号でいう「役務の質」を表示するものということはできない。 してみれば,本件商標をその指定役務に使用しても,役務の質の誤認を生ずるおそれはないものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。 2 まとめ 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではないから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効にすることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 (色彩については,原本参照。) |
審理終結日 | 2015-10-27 |
結審通知日 | 2015-10-29 |
審決日 | 2015-11-13 |
出願番号 | 商願平4-280960 |
審決分類 |
T
1
11・
272-
Y
(042)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 三男、野口 美代子 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
清棲 保美 榎本 政実 |
登録日 | 1996-01-31 |
登録番号 | 商標登録第3112304号(T3112304) |
商標の称呼 | ラドンケンコーパレス、ユートピア |
代理人 | 特許業務法人朝日特許事務所 |
代理人 | 土橋 順 |