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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1308520 
異議申立番号 異議2015-685004 
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-02-10 
確定日 2015-10-14 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1199210号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1199210号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1199210号商標(以下「本件商標」という。)は、「CREZALTUS」の欧文字を横書きしてなり、2014年3月11日にSwitzerlandにおいてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2014年(平成26年)3月19日に国際商標登録出願、第5類に属する「Pharmaceutical preparations for the treatment of multiple sclerosis.」(仮訳:多発性硬化症治療用薬剤)を指定商品として、同26年10月6日に登録査定され、同年11月21日に設定登録されたものである。
2 引用商標及び使用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の2件(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれも、現に有効に存続しているものである。
ア 登録第5172873号商標(以下「引用商標1」という。)
商標 「レザルタス/REZALTAS」
指定商品 第5類「薬剤」
登録出願日 平成20年4月2日
設定登録日 平成20年10月10日
イ 登録第5331390号商標(以下「引用商標2」という。)
商標 別掲のとおり
指定商品 第5類「薬剤」
登録出願日 平成21年12月4日
設定登録日 平成22年6月18日
(2)申立人が、申立人の業務に係る商品「薬剤」に使用している商標は、「REZALTAS」及び「レザルタス」の各文字からなる商標であり、これらをまとめて、以下「使用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標の類否
本件商標は、「CREZALTUS」の欧文字を書してなり、構成文字に相応して「クレザルタス」の称呼を生じる。一方、引用商標1は、「レザルタス」の片仮名及び「REZALTAS」の欧文字を二段に書してなり、また、引用商標2は、「Rezaltas」の欧文字及び図形よりなるものであるから、いずれもその構成中の文字に相応して「レザルタス」の称呼を生じる。
そこで、本件商標から生じる「クレザルタス」と、引用商標から生じる「レザルタス」の称呼とを対比すると、6音中5音が共通し、語頭における「ク」の音の有無のみに差異を有する一音相違の商標であるところ、該差異音が語頭に存するといえども、両商標の称呼においては、「ザ」の音が最も強く発音されるため、後半の「ザルタス」が称呼上非常に強い印象を与えるものであり、「クレ」の音と「レ」の音との差異が、両商標の称呼全体に与える影響は極めて少ないものといわざるを得ず、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、称呼上相紛らわしい類似の商標というのが相当である。
また、後述のとおり、引用商標が申立人の商品の名称として、医薬品の分野において広く認識されていることからすれば、欧文字1文字である「C」が商品の型式・品番を表す記号・符号の一類型として用いられるものであることも相侯って、本件商標からは、その構成中「REZALTUS」の文字部分に着目し、「レザルタス」の称呼も生じ得るところ、該称呼と引用商標の称呼は同一である。
次に、本件商標の外観と、引用商標の外観とを対比すると、本件商標「CREZALTUS」と引用商標1における「REZALTAS」の文字及び引用商標2における「Rezaltas」の文字とは、9文字中7文字が共通するものであるから、外観上相紛らわしい商標というのが相当である。
さらに、後述するように、引用商標に係る申立人の商品が、我が国の医療用医薬品ベスト100に継続的にランクインする著名な薬剤であるという取引実情に鑑みれば、これらと1音相違であって、外観上も相紛らわしい本件商標からは、「レザルタス(REZALTAS)」という申立人の著名な販売名であるとの観念を誤って想起させるおそれがあるから、観念においても相紛らわしい商標である。また、欧文字1文字である「C」が商品の型式・品番を表す記号・符号の一類型と看取されることからすれば、本件商標が申立人の著名な商品の姉妹商品であるかのような印象をも与える。
したがって、本件商標は、引用商標と、外観、称呼及び観念において混同を生じる類似の商標である。
イ 本件商標と引用商標の指定商品
引用商標の指定商品「薬剤」は、本件指定商品と同一の商品を含んでいる。
ウ 取引の実情
引用商標は、申立人の商品を示す商標として、取引者、需要者の間に広く親しまれている事実があり、本件商標に接した取引者・需要者等は、申立人の製造・販売に係る商品であるかの如き観念ないし印象を想起するから、本件商標は、引用商標とは、取引者に与える印象、記憶、連想等において、相紛らわしい類似の商標であるといわざるを得ない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、同一の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 使用商標の著名性
申立人の医療用医薬品「レザルタス」及び「REZALTAS」(甲7)(以下「申立人商品」という。)は、2010年の発売以来、国内において1万5838商品が存在するとされる医療用医薬品において(甲8)、2011年には135億円を売り上げ、トップ100にランクインしている大型医療用医薬品である。過去3年度分の売上高は、2011年度は第73位、135億円(甲9)、2012年度は、第99位、169億円(甲10)、2013年度は、第87位、185億円(甲11)、2014年度の見込み売上額は、220億円(甲11)とされている。
また、申立人は、「血圧」(発行部数1万部、甲12、甲13)等の医科向け雑誌に申立人商品の広告を継続的に行うほか、申立人は、自社に2000名以上に及ぶ医療情報担当者を有しており、医療機関、医師・薬剤師等の医療従事者向けに、あるいは、取引先である医薬品卸(商社)を通じて、申立人商品のプロモーション活動を盛大に行ってきた。
そうとすれば、申立人商品は、その知名度は増すことはあっても、著名性の程度が極めて高いものであることを否定することは不可能といえる。
以上から明らかなように、少なくとも本件商標の登録出願時において、使用商標である「レザルタス」及び「REZALTAS」は、取引者及び需要者間で広く認識されていたことは明白であり、その著名性を認定し得ないとみるべき理由はない。
イ 使用商標の独創性の程度
使用商標は、格別の意味を有しない造語である。そして、薬剤の分野において使用商標の各文字を名称に含む薬剤は他に存在しないことはもとより、「レザルタス」の称呼を一部に含む商標や、使用商標の文字を一部に含む商標は、全区分を通じて我が国において存在しない(甲14ないし甲16)ことからすれば、使用商標は、独創性の極めて高い商標であるといわざるを得ない。
ウ 本件商標と使用商標の類似性
本件商標と使用商標とは、極めて類似性が高い商標である。
また、医療用医薬品国内売上高ランキング上位100に入る申立人の件外製品「メバロチン」は、過去の審決及び判決において、その著名性が幾度も認定されており(平成16年(行ケ)第256号東京高裁商標「メバスロリン」事件判決、平成16年(行ケ)129号東京高裁商標「メバロカット」事件判決等)、申立人は、語頭「メバ」の2音のみが共通する他社商標を、混同を生ずるものとして、審判、訴訟を提起して排除してきた実績があり、本件商標の場合は、6音中5音(レザルタス)が共通するものであり、使用商標と混同を生ずるおそれがないということはできない。
エ 申立人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性、商品等の取引者並びに需要者の共通性及びフリーライド商標となる可能性
本件商標は、使用商標と指定商品が共通するため、取引者及び需要者の共通性が明白であるところ、取引者、需要者に広く親しまれた使用商標と類似する本件商標が、申立人以外の者に使用されるとすれば、取引者、需要者は、あたかも申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の製造、販売に係る商品であると出所の混同を生じるおそれは極めて高いものといわざるを得ない。
オ 小括
上記アないしエの事情を総合勘案すると、本件商標に接する取引者、需要者は、普通に払われる注意力において、容易に申立人の使用商標及びその商品を連想、想起するものといえる。
以上よりすれば、本件商標は、これが付された商品に接した取引者、需要者をして、申立人又は申立人と資本関係ないしは業務提携関係にある会社の業務に係る商品と誤認混同を生ぜしめるおそれの高いものであるといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
申立人商品が我が国において著名であることは、我が国において医薬品の製造販売をする本件商標の権利者であれば、当然に知っている事実と考えられる。また、本件商標の語尾「_TUS」と使用商標の語尾「_TAS」とは、称呼「_タス」が一致するため、「U」と「A」の構成文字の相違は微小なものと評価できる。
そうとすれば、商標権者は、あえて、申立人の著名な使用商標の語頭に「C」の一文字のみを付加したかのような印象を与えることとなり、本件商標を薬剤の名称として採択し使用することは、長年の営業活動によって築き上げた申立人商品に関する営業上の信用や名声にフリーライドするものとなり、使用商標の出所表示機能を希釈化せしめるものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標の登録及び使用は、申立人商品と、他社の商品との区別を困難なものとして、市場における混乱を招くばかりか、症例や効能等に適した製品の選択の妨げとなり、ひいては医療過誤等の極めて深刻な事態を招くおそれがある。とりわけ、医療用医薬品に関する商標は、平面状の媒体に使用されるのみとは限らず、むしろ、薬剤の瓶などの容器の丸みを帯びた面、注射器などの円柱部分の面、主に樹脂で製造されている点滴静注バッグ(袋)の可変的な面などに付される場合が多い。
そうとすれば、立体的に視認されるため、角度によってその名称の一部が視認できない場合もあり、特に差異が文字の左右にある場合には、名称を見間違えるおそれがあり、これに起因する薬剤の取り違えは厳として防止しなければならない。
したがって、迅速を要する場合のある医療現場の実情からすれば、新しい医療用医薬品の名称は、称呼、外観、観念ともに、明確に区別できるものでなければならず、紛らわしい新規承認医薬品名称は、厚生労働省によって、名称は変更されなければならないものとされているところ、その趣旨は、薬剤の取り違え等による公衆の衛生を害するおそれを防止し、医療安全を厳格に確保するためにほかならない。
また、使用商標は、他に類をみない独創的な商標であることからすれば、本件商標の構成は、使用商標における印象をうまく取り入れた剽窃とも理解されるものであり、使用商標の剽窃と考えることができる程に相紛らわしい本件商標を、申立人に無断で先取り的に登録出願することは、商道徳的にも許されるべきものではない。
よって、本件商標は、申立人商品と薬剤の取り違え等による公衆の衛生を害するおそれがあるほか、使用商標の剽窃とも理解できるものであって、公衆の衛生を含む公の秩序又は善良の風俗に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものである。
そして、著名商標と極めて近似した商標の登録は、国を挙げて日本ブランドを発信し、国内外の第三者による安易な模倣品を排除せんとする我が国の国際競争力を低下させるばかりか、商標に化体した業務上の信用を適切に保護し、健全な競業秩序の維持を図ることを目的とする商標法第1条の趣旨に反する事態を招くおそれがある。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「CREZALTUS」の欧文字を横書きしてなるところ、構成各文字は同書同大等間隔で外観上まとまりよく一体的に表わされているものであり、構成全体から生じる「クレザルタス」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。また、「C」の文字が商品の型式・品番等を表す記号・符号の一類型として用いられる場合があるとしても、上記構成態様の本件商標において、これに接する取引者、需要者が、語頭にある「C」の文字を、後に続く「REZALTUS」の文字と切り離して、本件商標の指定商品の型式・品番として認識し、捨象するとはいい難いものである。
そうすると、本件商標は、その構成中の「REZALTUS」の文字部分のみが殊更に分離、抽出され、該文字部分のみをもって取引に資されるとはいい難く、構成全体をもって取引に資されるとみるのが自然であるから、「クレザルタス」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、上記2(1)のとおり、「レザルタス」の片仮名と「REZALTAS」の欧文字を2段に横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「レザルタス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標2は、別掲のとおり「Rezaltas」の欧文字と図形からなるものであるから、その構成中の「Rezaltas」の文字部分に相応して「レザルタス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1は、それぞれ、上記ア及びイ(ア)のとおりの構成からなるものであり、外観においては、その全体として、判然と区別し得る差異を有するものであり、また、本件商標と引用商標1の「REZALTAS」の文字部分を比較しても、看者の注意を強く惹くといえる語頭において「C」の文字の有無を異にし、さらに、「T」の文字に続く文字に「U」と「A」の文字の差異を有するものであるから、その印象は異なるものといえるものであり、区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「クレザルタス」の称呼と引用商標から生じる「レザルタス」の称呼は、語頭において、「ク」の音の有無を異にするものであり、6音と5音という簡潔な音構成にあって、称呼において重要な語頭音における「ク」の音の有無が称呼全体に与える影響は少なくなく、無理なく聴別し得るものである。
さらに、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであり、その観念を比較することができないものであるから、互いに類似するということはできないものである。
以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできないものである。
(イ)本件商標と引用商標2との類否について
本件商標と引用商標2とを比較すると、外観においては、その全体として、判然と区別し得る差異を有するものであり、本件商標と引用商標2の「Rezaltas」の文字部分を比較してみても、該文字は引用商標1とその綴りを同じくするものであるから、上記(ア)と同様に、外観においては区別し得るものである。さらに、称呼及び観念においても、上記(ア)と同様に、本件商標と引用商標2とは類似するということはできないものである。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできないものである。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 使用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、申立人は、2010年(平成22年)から、「レザルタス」及び「REZALTAS」の商標(使用商標)を使用した医療用医薬品(申立人商品)の販売を開始したところ、該商品は、「高血圧症」に用いられるものであり(甲7)、2011年(平成23年)度に135億円を売り上げ医療用医薬品国内売上高ランキングにおいて73位(甲9)、2012年度に169億円を売り上げ99位(甲10)、2013年度に185億円を売上げ87位(甲11)を達成し、2014年度見込み売上額は220億円(甲11)とされており、2013年(平成25年)には、9月1日発行の医科向けの雑誌「血圧」において、その広告が掲載されたこと(甲12)などが認められる。
しかしながら、これら提出された証拠によっては、申立人商品の売上げ高及び医科向けの雑誌に広告を一回掲載したことは認められるものの、その他、広告宣伝の期間、手段、規模等や申立人商品の市場占有率等は明らかでないから、申立人の提出に係る証拠によっては、使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。
また、職権を持って調査するも、使用商標が周知、著名であるとすべき事情を見出すこともできないから、申立人の主張は採用することができない。
イ 本件商標と使用商標の類似性について
(ア)本件商標は、上記(1)アのとおり、「CREZALTUS」の欧文字からなるところ、その構成文字に相応して「クレザルタス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、使用商標は、上記2(2)のとおり「レザルタス」の片仮名及び「REZALTAS」の欧文字からなるところ、その構成文字に相応して「レザルタス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)そこで、本件商標と使用商標とを比較すると、使用商標は、引用商標1と同じ文字構成からなるものであるから、両者は、上記(1)ウ(ア)と同様に、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということができないものである。
ウ 小括
上記ア及びイのとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前から取引者、需要者の間に広く認識されていたということはできないものであり、しかも、本件商標と使用商標とは類似する商標ということができないものである。
加えて、本件商標の指定商品は、上記1のとおり「Pharmaceutical preparations for the treatment of multiple sclerosis.」(仮訳:多発性硬化症治療用薬剤)であり、また、申立人商品は「高血圧症」に使用される薬剤であるから、その用途における関連性も高いとはいえないものであることをも踏まえるならば、本件商標は、その指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させるということはできないから、その商品が申立人、あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるということはできないものである。
なお、申立人は、過去の審判決で医療用医薬品の国内売上高ランキング上位100位に入る「メバロチン」が語頭の「メバ」の2音のみが共通する他社商標を排除しているので、それより音構成を共通にする本件商標と使用商標とが混同を生じないとすることはできない旨主張しているが、該判決は、「メバロチン」の著名性が認められ商標法第4条第1項第15号に該当するものと判断された事例であり、本件においては、上記アのとおり、使用商標が周知著名ということができないのであるから、かかる申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するということはできないものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記(2)のとおり、使用商標とは類似しないものであって、使用商標を連想又は想起させるものということもできないものである。しかも、本件商標が不正の目的をもって使用するものと認め得る具体的事情を発見することもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するということはできないものである。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、上記(2)のとおり、使用商標とは類似しないものであり、出所の混同を生じるおそれがあるということもできないものであるから、市場において混乱を招くおそれや、医療過誤等の深刻な事態を招くおそれがあるものとも認めることができない。
また、他に、本件商標を国際信義に反したり、公序良俗を害するものとすべき事情は発見できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するということはできないものである。
(5)その他の申立人の主張について
申立人は、本件商標の登録は商標法第1条の趣旨に反する旨主張しているが、上記(1)ないし(4)を踏まえると、本件商標が商標法第1条の趣旨に反するものであるとすべき事情は見いだせない。
(6)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2015-10-07 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W05)
T 1 651・ 262- Y (W05)
T 1 651・ 271- Y (W05)
T 1 651・ 261- Y (W05)
T 1 651・ 222- Y (W05)
T 1 651・ 22- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 中束 としえ
大森 健司
登録日 2014-03-19 
権利者 F. Hoffmann-La Roche AG
商標の称呼 クレザルタス 
代理人 大房 孝次 
代理人 谷山 尚史 

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