ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
---|---|
管理番号 | 1308513 |
異議申立番号 | 異議2015-900138 |
総通号数 | 193 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-01-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-05-07 |
確定日 | 2015-12-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5737617号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5737617号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5737617号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、2013年(平成25年)7月8日に大韓民国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成26年1月6日に登録出願された商願2014-284の商標法第10条の規定による新たな商標登録出願(分割出願)として、平成26年11月27日に登録出願、第9類「携帯電話機,テレビジョン受信機,USBドライブ,コンピュータ用モニター,ラップトップ型コンピュータ,コンピュータ,DVDプレーヤー,携帯型ハードディスクドライブ,音響又は映像の記録用・送信用又は再生用の機械器具,電子計算機用アプリケーションソフトウェア,音声受信機,監視ネットワークシステム用監視カメラ,データ通信ネットワークを用いた監視装置用監視カメラ,データの送信及び受信機能付の音声・画像・映像を使用する電子広告表示装置,カラープリンタ,タブレット型コンピュータ,セットトップボックス,スキャナー,コンピュータ用マウス,自動車用スピーカー,プロジェクター,電子広告表示装置,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成27年1月6日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下の2件であり(これらをまとめていうときは、以下「引用商標」という。)、その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第2184860号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和60年8月30日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年10月31日に設定登録され、その後、平成11年10月5日及び平成21年7月7日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、平成21年7月29日に、指定商品を第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする書換の登録がされたものである。 (2)登録第4730932号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成15年3月4日に登録出願、第14類「時計,時計の部品及び附属品,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,キーホルダー,貴金属製宝石箱,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」を指定商品として、平成15年12月5日に設定登録され、その後、平成25年11月19日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。 3 登録異議申立ての理由 (1)商標法第4条第1項第10号該当性 ア 商標の類否について 本件商標と引用商標は、いずれも6文字よりなり、そのうちの「W(w)atch」の5文字が同一である点、いずれも3音節からなる点及び商標の構成が「一文字の英文字」+「W(w)atch」である点が共通する。 また、本件商標は「時計型ウェアラブルコンピューター」に(甲4)、引用商標は「時計」にそれぞれ使用されるところ、これらの商品に表示される商標は自ずと小さな文字となり、一般需要者がよほど注意を払わない限り、その相違には気付かず出所の混同を生じることは明らかである。 したがって、本件商標と引用商標は、その外観が類似する。 イ 商品の類否について 本件商標が実際に使用される商品は、いわゆる「ウェアラブルコンピューター」である(甲4)。 一方、引用商標の指定商品は、「時計、時計の部品及び付属品」を含む。 上記のいわゆる「ウェアラブルコンピューター」には、各種の形態が存在するが、その中でも「腕時計型ウェアラブルコンピューター」は、現在、一般的な形態である(甲5?甲7)。当該「腕時計型ウェアラブルコンピューター」は、商標法上、第9類に属する商品であるが、実情としてその主な機能は第14類「時計」であることは明らかであるから、「腕時計型ウェアラブルコンピューター」と「時計」は、市場において明らかに類似する商品である。 上記のことから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、互いに関連する商品であり、類似すると認められる。 ウ 引用商標の周知性 引用商標を付した時計は、1983年(昭和58年)の発売以来、常に高い人気を博し、その人気は現在においても衰えていない(甲8)。例えば、インターネットのウェブサイト「ベストプレゼント」の人気のブランド腕時計において、メンズは、85ブランド中54位であり(甲9)、レディースは、107ブランド中19位である(甲10)。 また、2014年(平成26年)5月、申立人の新商品発売の際は、なでしこジャパンの岩清水梓選手及び外国人タレントのパンツェッタ・ジローラモ氏を起用して発表会を開き、メディアの注目を浴びた(甲11?甲13)。 さらに、引用商標を付した時計は、1996年(平成8年)アトランタオリンピックの、2000年(平成12年)シドニーオリンピックの、2004年(平成16年)アテネオリンピックの公式タイマーとして採用され(甲14)、その事実は、引用商標の世界における著名性を揺るぎないものとし、引用商標が日本のみならず、世界においても極めて著名な商標であることを証左するものである。 エ 以上のとおり、本件商標は引用商標と外観及び指定商品が類似し、申立人の業務に係る商品を表すものとして需要者の間に広く認識されていることから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性 前記(1)のとおり、本件商標と引用商標は、外観及びその指定商品が類似するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 引用商標の周知性については、前記(1)ウのとおりである。 また、本件商標に使用される「腕時計型ウェアラブルコンピューター」と引用商標に使用される「時計」は、市場において相違がないに等しいか、あるいは、非常に密接な関係を有する商品である。 してみると、引用商標の著名性から、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは誤認されることは明らかであり、当該商品が申立人の業務に係る商品であると誤認されるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性 引用商標の周知性については、前記(1)ウのとおりである。 本件商標の商標権者は、引用商標が世界的に周知な商標であることを知らなかったとはいえず、「一文字の英文字」+「Watch」の構成よりなる本件商標を採用したことは、申立人の名声に只乗りし、市場において、出所の混同を惹起し、需要者を欺く行為である。そして、本件商標の商標権者は、本件商標を使用することにより、不正の利益を得ようとしていることは明らかである。 したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第10号について ア 引用商標の周知性について 申立人の提出する証拠(甲8?甲15)を総合すると、引用商標は、申立人の業務に係る商品「時計」について使用されるブランドであること、フリー百科事典「ウィキペディア」の「スウォッチ」の項目(甲14)には、「1960年代から1970年代までに市場を席巻した日本製クォーツ時計からシェアを奪い返すことを意図して開発され、1983年に発売された。・・・1996年アトランタオリンピックで公式スポンサーとなり、公式タイマーに採用された。以後2000年シドニーオリンピックと2004年アテネオリンピックでも同様に採用されている。」との記載があり、引用商標は、我が国においては、片仮名で「スウォッチ」と表記され、かつ、「スウォッチ」と称呼されていることなどを認めることができる。 しかし、引用商標の周知性を明らかにする上記証拠のうち、甲第8号証、甲第11号証ないし甲第13号証は、いずれも本件商標の登録出願日(優先権主張の基礎となった2013年(平成25年)7月8日をいう。以下同じ。)以降に掲載されたものと認められ、また、甲第9号証及び甲第10号証にしても、いつの時点における「人気ブランド腕時計のランキング」であるのか明らかではない。さらに、引用商標を使用した時計について、申立人が本件商標の登録出願日までに我が国において、どの程度の宣伝広告をしたか、あるいは、どの程度の売上を得たのかなども明らかではない。その他、本件商標の登録出願日において引用商標が周知であったことを認めるに足りる証拠の提出はない。 してみると、提出された証拠をもってしては、引用商標が申立人の業務に係る商品「時計」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日(平成27年1月6日)の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 イ 本件商標と引用商標との類否について (ア)本件商標 本件商標は、別掲(1)のとおり、「G Watch」の文字を横書きしてなるものであるところ、「G」と「Watch」の各文字の間に一文字程度の間隔があるとしても、これらの文字は、同一の書体をもって外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく、該文字より生ずると認められる「ジーウォッチ」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。してみると、本件商標は、構成全体をもって、「ジーウォッチ」とのみ称呼される造語商標を表したと把握、認識されるとみるのが相当である。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ジーウォッチ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生じないものと認める。 (イ)引用商標 引用商標は、別掲(2)のとおり、いずれもやや図案化した「swatch」の文字を横書きしてなるものであるところ、前記アのとおり、引用商標は、我が国において、「スウォッチ」と称呼されている事実があるところから、「スウォッチ」との称呼をもって商品の取引に資される場合が多いとみるのが相当である。 したがって、引用商標は、その構成文字より生ずる自然の称呼は、「スウォッチ」であって、構成全体として特定の意味合いを有するものではないから、造語よりなるものと認める。 (ウ)本件商標と引用商標との対比 前記認定のとおり、本件商標は、「G Watch」の文字を横書きしてなるものであるのに対し、引用商標は、いずれもやや図案化した「swatch」の文字を横書きしてなるものであって、両商標は、看者の注意を最も強く引く語頭において、大文字の「G」と小文字の「s」の差異を有するばかりか、本件商標は、ローマン体風の書体をもって「G」と「Watch」との間に一文字程度の間隔を空けて横書きしてなるものであるのに対し、引用商標は、上記のとおり、やや図案化した文字をもって、「swatch」と一連に横書きしてなるものであるから、後記のとおり、両商標より生ずる称呼が明瞭に聴別し得ることも相まって、本件商標と引用商標は、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、通常の注意力をもってすれば、互いに見誤るおそれはないものといえる。 この点に関し、申立人は、両商標が「腕時計型ウェアラブルコンピューター」又は「時計」に付された場合は、商標としての表示は小さく、一般需要者がよほど注意を払わない限り、その相違には気付かず出所の混同を生じる旨主張するが、仮に本件商標が、申立人主張のとおり、「腕時計型ウェアラブルコンピューター」に使用され、引用商標が「時計」に使用された場合、いずれの商品も日常的に購入する安価な商品とは異なり、比較的高額な商品であって、相当に商品選択性の強い部類に属する商品といえるから、これら商品に付される商標の異同についても相当の注意を払うものと考えられる。したがって、上記外観上の差異を有する両商標を互いに見誤るおそれはないということができるから、申立人の上記主張は採用することができない。 また、本件商標より生ずる「ジーウォッチ」の称呼と引用商標より生ずる「スウォッチ」の称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭部において「ジー」と「ス」の音の顕著な差異を有するものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、全体の語調、語感が著しく相違するから、互いに聞き誤るおそれはないものである。 さらに、両商標は、いずれも特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、観念においては比較することができない。 したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 ウ 商品の類否について 商品の類否について、申立人は、本件商標が実際に使用される商品は「腕時計型ウェアラブルコンピューター」であり、その主な機能は「時計」であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は互いに関連する商品であって、類似する商品である旨主張する。 しかし、本件商標の指定商品は、主として電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品を含む第9類に属する商品であり、一方、引用商標の指定商品は、「時計、時計の部品及び付属品」、又はこれらを含む第14類に属する身飾品、宝玉等であるから、両者は、商品の用途、目的、性質、品質等において著しく相違するばかりか、商品の生産者、流通系統、販売場所等においても明確に相違するものである。したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、商標法上、類似の商品ということはできない。仮に本件商標が、申立人主張のとおり、「腕時計型ウェアラブルコンピューター」に使用されるものであるとしても、該商品は、コンピューターとしての機能を主目的に取引される電子応用機械器具の範ちゅうに属するものであるから、二次的に時計の機能をも有するとしても、引用商標が使用される商品とは、主たる機能等において異なり、したがって、上記と同様に解することができるのであって、非類似の商品というべきである。してみると、上記に関する申立人の主張は理由がない。 エ 以上アないしウによれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号で規定する要件を充足しない商標であるから、同規定に該当するものではない。 (2)商標法第4条第1項第11号について 前記(1)イ及びウ認定のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、その指定商品も非類似の商品というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 前記(1)ア認定のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品「時計」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。 また、前記(1)イ認定のとおり、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。 そうとすれば、本件商標をその指定商品について使用しても、それに接する需要者が、引用商標を想起又は連想することはなく、該商品を申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれはないものと認める。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標と認めることはできない。 (4)商標法第4条第1項第19号について 前記(1)ア認定のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品「時計」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。また、引用商標が外国の需要者に間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出はない。 さらに、前記(1)イ認定のとおり、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。 してみれば、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標であるということはできない。その他、本件商標が不正の目的をもって使用する商標であると認めるに足りる的確な証拠の提出はない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する商標と認めることはできない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(1)本件商標![]() 別掲(2)引用商標1及び引用商標2 ![]() |
異議決定日 | 2015-11-27 |
出願番号 | 商願2014-100157(T2014-100157) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W09)
T 1 651・ 271- Y (W09) T 1 651・ 222- Y (W09) T 1 651・ 261- Y (W09) T 1 651・ 262- Y (W09) T 1 651・ 25- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 石塚 利恵 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 中束 としえ |
登録日 | 2015-01-30 |
登録番号 | 商標登録第5737617号(T5737617) |
権利者 | エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド |
商標の称呼 | ジイウオッチ、ウオッチ |
代理人 | 山川 茂樹 |
代理人 | 山川 政樹 |
代理人 | 田島 壽 |
代理人 | 青木 篤 |