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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1308501 |
異議申立番号 | 異議2014-900198 |
総通号数 | 193 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-01-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-07-22 |
確定日 | 2015-11-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5663293号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5663293号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5663293号商標(以下「本件商標」という。)は、「Absolute Shot」の欧文字を横書きしてなり、平成25年8月9日に登録出願され、平成26年3月7日に登録査定、第9類に属する別掲のとおりの商品を指定商品として、平成26年4月11日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「ABSOLUT」の文字を横書きしてなり、昭和63年11月14日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年12月25日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、更に、平成14年6月19日に指定商品を第33類「ウオッカ」とする指定商品の書換登録がされている登録第2363841号商標をはじめ、その構成中に「ABSOLUT」の文字を有する、国際登録第989549号、登録第1674694号、登録第2049638号、登録第2363842号、登録第4097984号、登録第4200813号、登録第4056142号、登録第4410323号、国際登録第798414号、国際登録第833298号、国際登録第847540号、登録第4983836号、国際登録第885152号、国際登録第902968号、国際登録第946245号、国際登録第959032号及び登録第5419141号の各登録商標を引用している。 以下、これらの登録商標を一括して単に「引用商標」ということがある。 第3 登録異議申立ての理由の要点 (1)引用商標は、申立人の業務に係る商品「ウオッカ」を表示する商標として需要者の間で広く認識されていること、本件商標中の「Absolute」の文字部分は、引用商標とは「アブソルート」の称呼を同一にし、また、引用商標の「ABSOLUT」に「E」を追加しただけで外観上も相紛らわしく、両者は類似するものであること、同じく「Shot」の文字部分は、引用商標の指定商品「ウオッカ」と密接に関係するSHOT GLASS(ショットグラス)や酒の一杯の単位として使用される語であること、などから本件商標をその指定商品に使用すると申立人の業務に係る商品であると誤認され、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 (2)本件商標権者が周知・著名な引用商標と類似する本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標の周知性に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、本件商標の採択・使用は偶然の一致とは認め難く、引用商標の高い信用性にただ乗りする意図が推認され、本件商標は引用商標と類似する商標を不正の目的で使用するものである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について (1)「ABSOLUT」の周知性について 申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標を構成する「ABSOLUT」の文字は、「アブソルート」と称呼され申立人の業務に係る商品「ウオッカ」について、南スウェーデンで製造され、126の国と地域で販売されていること(甲24、42)、2013年に世界的な「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティッション」のウオッカ部門で最優秀金賞並びウオッカ世界一とされる「The Best in Show」を受賞したこと(甲25)、ウオッカの販売数において世界一であること(甲24、25)が我が国の一般紙及び醸造業界紙を含む新聞紙上又はウェブサイトにおいて掲載されていることが認められることから、ウオッカに使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、酒類を取り扱う業界においては相当程度広く認識されていたものと認められる。 (2)本件商標について 本件商標は、その構成中の「Absolute」の文字が「完全な、絶対の、無条件の」等を、同じく「Shot」の文字が「(鉄砲・弓などの)発射、シュート、ひとつき、(強い酒の)一口」等をそれぞれ意味する英単語として知られていることから、全体として「完全なショット」程の意味合いを理解させる。そして、本件商標は、全体が同一の書体により外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく、その構成後半の「Shot」の語が「(強い酒の)一口」の意味を有するとしても、本件商標の指定商品との関係において、上記両語に観念上の軽重の差はないことからすれば、全体をもって一体不可分の一種の造語として認識し把握され、「アブソルートショット」の一連の称呼のみを生じ、「完全なショット」程の観念を生じるものというべきである。 (3)引用商標について 引用商標は、前記第2のとおり、「ABSOLUT」及びその構成中に「ABSOLUT」の文字を有する構成からなるものであり、上記(1)のとおり「アブソルート」の称呼を生じるものであり、我が国において広く親しまれた成語とは認められないことから、直ちに特定の観念を生じないとみるのが自然である。 (4)本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標「ABSOLUT」とを対比するに、両者は「Shot」の文字の有無という顕著な差異及び小文字と大文字との差異により、外観上判然と区別することができるものである。 なお、申立人は、本件商標の「Absolute」の文字部分のみを分離抽出して引用商標と比較しているが、本件商標は、前示のとおり、全体をもって一体不可分のものとして認識し把握されるものであるばかりでなく、「Absolute」の文字部分のみが特に看者の注意を強く惹くというような格別の理由も見いだし難いものであるから、「Absolute」の文字部分のみを分離抽出して引用商標と比較することは適切でない。 また、本件商標から生ずる「アブソルートショット」の称呼と引用商標から生ずると認められる「アブソルート」の称呼とは、構成音数を異にするほか、「ショット」の音の有無という顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感、音調が著しく相違し、明瞭に区別することができるものである。 さらに、引用商標は、既成の親しまれた観念を有しないものである以上、観念上、本件商標と比較することもできない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、観念上、比較し得ないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標とみるのが相当であり、両者は別異のものとして看取されるというべきである。 加えて、本件商標の指定商品は、前記第1のとおりであり、引用商標が使用されている商品「ウオッカ」とは産業分野を異にし、製造業者、取引業者はもとより、商品の原材料、品質、用途、流通系統、需要者等が明らかに異なるものである。 (5)小括 以上を総合すると、本件商標をその指定商品について使用した場合、引用商標の周知性を考慮したとしても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 2 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について 引用商標は、ウオッカに使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、酒類を取り扱う業界においては相当程度広く認識されていたものの、本件商標と引用商標とが相紛れるおそれない非類似の商標であることは、前示のとおりである。また、申立人の提出に係る証拠を精査しても、本件商標が不正の利益を得る目的、申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを示す具体的な理由は見いだし得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標の指定商品) 第9類「携帯電話機,テレビジョン受信機,USBドライブ,コンピュータ用モニター,ラップトップ型コンピュータ,コンピュータ,DVDプレーヤー,携帯型ハードディスクドライブ,音響又は映像の記録用・送信用又は再生用の機械器具,音声受信機,監視ネットワークシステム用監視カメラ,データ通信ネットワークを用いた監視装置用監視カメラ,データの送信及び受信機能付の音声・画像・映像を使用する電子広告表示装置,カラープリンタ,タブレット型コンピュータ,セットトップボックス,スキャナー,コンピュータ用マウス,自動車用スピーカー,プロジェクター,MP3プレーヤー,電話機及びその部品,ワイヤレス電話機及びその部品,携帯用通信機械器具,電話の受話器,トランシーバー,衛星電話機,携帯情報端末装置,テレビジョン受信機用リモートコントローラ,テレビジョン画質改善用半導体チップ,デジタルメディア放送受信機,携帯電話機用ヘッドセット,携帯電話機のバッテリー用及びデジタルカメラのバッテリー用携帯型充電器,デジタルフォトフレーム,音響又は映像の記録用・送信用又は再生用電気通信機械器具,オーディオ及びビデオ機器並びにそれらの部品及び附属品,携帯電話機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,テレビジョン受信機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,個人用モニタ用コンピュータアプリケーションソフトウェア,家庭用電気製品用コンピュータアプリケーションソフトウェア,冷蔵庫用コンピュータアプリケーションソフトウェア,電気洗濯機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,電気掃除機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,食器洗浄機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,オーブン用コンピュータアプリケーションソフトウェア,電子レンジ用コンピュータアプリケーションソフトウェア,衣類管理装置用コンピュータアプリケーションソフトウェア,空気清浄機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,浄水器用コンピュータアプリケーションソフトウェア,ホームシアター用DVDプレーヤー,ホームシアター用スピーカー,ホームシアター用音声・映像受信機,ホームシアター用マルチメディアプロジェクター,集積回路,ETC(自動料金収受システム)用車載器,ETC(自動料金収受システム)用コンピュータ,ETC(自動料金収受システム)用電子計算機用プログラムが記憶されたICカード,トランスポンダ,車載用電子商取引用端末装置,閉回路テレビカメラ,サーマルプリンタ,レーザープリンタ,インクジェットプリンタ,記録されたコンピュータプログラム,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,パーソナルコンピュータ用カメラ,デジタルボイスレコーダー,ビデオカセットレコーダー,電話通信及びデータ通信ネットワーク用監視装置,モニター付監視装置,教育用コンピュータソフトウェア,電子ノートパッド,対話型電子ホワイトボード用コンピュータ,ダウンロード可能な電子雑誌・電子新聞・電子書籍・電子応用機械器具に関する電子マニュアル,テレビ会議システム用電気通信機械器具,テレビ会議用モニター,テレビ会議用カメラ,テレビ会議用スピーカー,テレビジョン受信機用立体画像用の眼鏡,DNAチップ,投薬用ディスペンサー,毛細管,酸素詰替え装置,細菌培養器,試験管,食品分析装置,理化学機械器具,物理学実験用機械器具,実験室用クロマトグラフ装置,ピペット,化学研究室用機械器具,放射線治療における線量測定用コンピュータソフトウェア,医療用コンピュータソフトウェア,バイオチップ,細胞チップ,細胞チップを利用した試験装置(医療用のものを除く。),細胞チップを利用した実験用分析装置,薬剤の実験・分析・研究用のDNAチップ,医療用疾患診断用コンピュータソフトウェア,医療用電子カルテ用コンピュータソフトウェア,自動車用放送受信チューナー,自動車用カセットプレーヤー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子広告表示装置,バッテリーチャージャー,電子商取引用端末装置,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電子出版物,監視カメラ」 |
異議決定日 | 2015-11-17 |
出願番号 | 商願2013-62520(T2013-62520) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W09)
T 1 651・ 222- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 忠司 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 藤田 和美 |
登録日 | 2014-04-11 |
登録番号 | 商標登録第5663293号(T5663293) |
権利者 | エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド |
商標の称呼 | アブソリュートショット、アブソリュート、ショット |
代理人 | 神蔵 初夏子 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 田島 壽 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 柳生 征男 |