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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W2941 |
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管理番号 | 1308454 |
審判番号 | 不服2014-19333 |
総通号数 | 193 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-09-29 |
確定日 | 2015-12-15 |
事件の表示 | 商願2013-78245拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「肉ソムリエ」の文字を標準文字で表してなり、第29類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年10月7日に登録出願されたものである。 そして、本願の指定商品及び指定役務については、当審における同26年9月29日付け手続補正書により、第29類「食肉」及び第41類「肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格検定試験の実施,肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格の認定及び付与,肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格検定試験に関する情報の提供,肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格取得に関する知識の教授」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『肉ソムリエ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『ソムリエ』の文字は、『レストランでワインの仕入れ・管理を担当し、客の相談を受けてワインを選定・提供する専門職。』を意味する語として一般的に知られており、ワイン以外の分野においても専門的な知識を有する者を『○○ソムリエ』(『○○』は商品名)と称していることがあることよりすれば、本願商標よりは『肉に関する専門的な知識を有する者』ほどの意味合いを容易に把握させものであるから、本願商標をその指定役務について使用したときには、これに接する取引者、需要者は、該役務が『肉の専門家の資格検定試験の実施,肉の専門家の資格の認定及び付与,肉の専門家の資格検定試験に関する情報の提供,肉の専門家の資格取得に関する知識の教授』であること、すなわち、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と理解するにとどまり、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審における手続の経緯 当審において、平成27年3月13日付け証拠調べ通知書により、商品「肉(食肉)」に関連し、「肉(食肉)における専門知識を有する者」程の意味合いを表すものとして、「肉ソムリエ」、「肉のソムリエ」あるいは「ビーフソムリエ」の文字が使用されている実情が見受けられるとして、請求人に対し、別掲2に示すウェブサイトを提示し、意見を求めたところ、請求人は、同年4月16日付けで意見書を提出した。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、上記1のとおり、「肉ソムリエ」の文字を標準文字で表してなり、その構成中「肉」の文字部分は、「食用とする鳥獣のにく」の意味を、また、「ソムリエ」の文字部分は、「ワインに関する専門的知識をもち、レストランなどで客の相談に応じてワインを選ぶ手助けをする給仕人」の意味を有するものである(いずれも、大辞林[第三版]三省堂)。 ところで、「ソムリエ」の文字は、ワイン以外の分野においても専門的な知識を有する者を「○○ソムリエ」(「○○」は商品名)と称して使用されており、さらに、食品に関する資格やその検定を取り扱う業界においても、近年、特定の食品分野における一定の専門知識を有する者であることを証する資格の名称を表すものとして、本願商標と同様の構成である「食品名」と「ソムリエ」の2語を結合した「○○ソムリエ」(「○○」は食品名)の語が広く採択されている実情がある。 また、別掲1及び2のとおり、商品「肉(食肉)」に関連し、「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」を「(お)肉ソムリエ」あるいは「肉のソムリエ」と称している事実があり、さらに、「牛肉に関する専門知識を有する者」を「ビーフソムリエ」と称している事実もある。 以上の事実があることからすると、「肉ソムリエ」の文字は、「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させるものであるといえる。 そして、本願商標の指定役務中「肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する知識」は、「肉(食肉)に関する専門知識」の範疇に属するものであるといえることから、「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」である「肉ソムリエ」は、肉(食肉)に関する専門知識、すなわち、肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する知識を有している者であるといえる。 そうとすると、「肉ソムリエ」の文字からなる本願商標を上記1に記載の補正後の指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該役務が「肉(食肉)の専門知識を有する者に関する役務の提供」、すなわち、「肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格検定試験の実施,肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格の認定及び付与,肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格検定試験に関する情報の提供,肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格取得に関する知識の教授」であることを容易に理解、認識するにとどまるものである。そして、本願商標は、標準文字で表したものであるから、その構成文字の態様に特徴があるということもできない。 したがって、本願商標は、その指定役務との関係において役務の質を表示したものであるにすぎないというのが相当であるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、「肉ソムリエ」の文字からなる本願商標に接した取引者、需要者は、補正後の指定役務との関係において、単に指定役務の質を表したものと理解、認識するとはいえない旨、また、本願商標から「食肉の専門知識に関係する役務」を需要者に想起させても、本願商標の指定役務である「検定試験の実施」などを取引者、需要者が想起するものではない旨主張する。 しかしながら、本願商標の補正後の指定役務中の「肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する」との記載は、「食肉に関する専門知識に関すること」の具体的な内容の一類型を表しているというのが相当であって、上記(1)で述べたとおり、「肉ソムリエ」の文字からなる本願商標をその補正後の指定役務について使用しても、その取引者、需要者は、それぞれ提供される「資格検定試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報の提供,知識の教授」の役務の内容が「食肉の専門知識を有する者に関するもの」であるということを容易に想起、認識するものであるといえる。 イ 請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標が、補正後の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有するものである旨主張する。 しかしながら、本願商標は、「肉」と「ソムリエ」の文字とを結合して表したものであり、その構成全体からは、役務の質を表示するものと認識されるといえること、上記(1)のとおりである。そして、登録出願に係る商標が自他役務の識別標識として機能し得るか否かは、該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであり、請求人の挙げる登録例は、商標の構成文字又は指定商品(役務)において本願とは事案を異にするものであるから、本願商標についての判断が、該登録例をもって左右されるものではない。 ウ したがって、請求人のア及びイの主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(平成26年6月30日付け拒絶査定をもって開示した事実)(なお、下線については当合議体が付加した。以下同様。) (1)「丸ノ内朝大学」に係るウェブサイト 「No Meat No Life 肉ソムリエクラス?あなたはまだお肉の楽しみ方を知らない?」の見出しにて、「第3回 10月30日(水)良い肉との出逢い方:牛肉の選び方・・・一般的な用途に合わせた牛肉の選び方・買い方や部位による仕込みや保存方法を学ぶ。」及び「第5回 11月20日(水)肉の調理編:牛・豚・鶏肉・・・塩加減、火の入れ具合、タイミングなど着地点を見据えた調理法を体験。」と記載されている。(http://asadaigaku.jp/course/index.cgi?c=zoom&pk=213) (2)「杜の都仙台名物肉厚牛タン通販専門店」に係るウェブサイト 「肉のいとうってどんなお店?」の見出しにて、「店主はこんな人 『肉のソムリエ』と言われている、『食肉技術専門士』の資格を保有。」と記載されている。 (http://www.nikuatsu-gyuutan.com/) なお、該ウェブサイトのアドレスは、拒絶査定の記載から上記のとおり変更されている。 (3)「かわちどん」に係るウェブサイト 「こだわり」の見出しにて、「技術力 お客様に常に最善の商品を提供するための『鮮度管理技術』、カット・盛り付けなどの『加工技術』やお客様に対しての『接客技術』など。セルフパック販売にはないプロの技でお応えします。そして、特におすすめしたい事は、弊社には『お肉ソムリエ資格』を導入しておりますので、お肉の事なら何でもお尋ね下さい。」と記載されている。(http://www.sale.kawachidon.com/persistence/index.html) 別掲2(平成27年3月13日付け証拠調べ通知書をもって開示した事実) (1)「株式会社FM」に係るウェブサイト 「肉の藤枝」の見出しにて、「肉ソムリエの常駐する、町の”ご用聞き”的精肉店。店頭には肉のコンシェルジュが立ち、焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、お惣菜まで、ご家庭での肉のお悩みをすべて解消!」と記載されている。 (http://food-majority.co.jp/catering.html) (2)「宅配弁当 蔵本」に係るウェブサイト 「牛肉豚肉」の見出しにて、「『肉ソムリエ』の資格を持った卸問屋が、国産にこだわって、全国飛び回り納得のいくもののみを仕入れております。」と記載されている。 (http://bentou-kuramoto.com/?mode=f1) (3)「仙台屋」に係るウェブサイト 「肉ソムリエが見極めた美味しい部位をお届け!」の見出しにて、「食肉界では『肉のソムリエ』と言われる資格『食肉技術専門士』があります。当店では肉ソムリエの中でも特に仙台牛を知り尽くしたこの道40年の仙台牛ソムリエによる厳しい視点で見極めた最高の仙台牛を最高の状態とタイミングでご提供いたします。」と記載されている。 (http://beef.soko-ne.com/) (4)「こちら秘書室(株式会社ぐるなび運営)」に係るウェブサイト 「熟成肉専門但馬屋E-ma」の見出しにて、「肉を熟知した”肉のソムリエ”が、ゲストの皆様を至極のお食事へとエスコートします。」と記載されている。 (http://r.gnavi.co.jp/c935202/secretary/) (5)みしまぽけっと(みしま街づくり株式会社運営)に係るウェブサイト 「だいいちはむ」の見出しにて、「肉のソムリエともいうべき、食肉技術専門士を取得したご主人が、確かな技術と肉の本質を見極める目で選び抜いた、安心・安全なお肉が販売されています。」と記載されている。 (http://www.mishima-pocket.com/shop/763/) (6)「焼肉東京(別冊東京生活)151頁」(えい出版発行)の記事が掲載されているウェブサイト ※(出版社名「えい」の文字は、漢字で表され、へんが「木」で、つくりが「世」。) 「厳選和牛焼肉Ginseng」の見出しにて、「スタッフは、焼肉に関するあらゆることを熟知しているプロ、肉のソムリエと呼ばれる彼らに焼いてもらうのもいい。」と記載されている。(https://books.google.co.jp/books?id=0xzgnefj2UwC&pg=RA1-PA51&lpg=RA1-PA51&dq=%E8%82%89%E3%81%AE%E3%82%BD%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%82%8B%E5%BD%BC%E3%82%89%E3%81%AB&source=bl&ots=vImGKB91P2&sig=YxGWibP8zK8VM0sGTXG76au_b4Y&hl=ja&sa=X&ei=khoBVYjrLIbr8gXkvYCYDQ&ved=0CB0Q6AEwAA#v=onepage&q=%E8%82%89%E3%81%AE%E3%82%BD%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%82%8B%E5%BD%BC%E3%82%89%E3%81%AB&f=false) (7)「神戸牛懐石511」に係るウェブサイト 「お肉のスペシャリスト”ビーフソムリエ”。」の見出しにて、「511は、ビーフソムリエとも言うべき、神戸ビーフに関しての豊富な知識を修得し、専門性の高いサービスを心がけております。さまざまな部位についての専門的知識やふさわしい調理法など、神戸ビーフについて広く深く学び、お客様にご満足いただけるお料理の提供に、誠心誠意尽くしています。」と記載されている。 (http://www.a511.jp/jp/concept/beef.php) (8)「株式会社高知ビーフ」に係るウェブサイト 「ビーフソムリエとは?・・・」の見出しにて、「『弊社で扱う牛肉は、きちんと安全と味を保障し、責任を持ってお届けしたい』という姿勢から、平成22年に導入した独自の認定制度で、牧場での現場研修や生産管理・品質管理などの経験を10年以上持つ社員が、この資格を持ちます。」と記載されている。 (http://www.kochibeef.jp/sommelier/index.html) |
審理終結日 | 2015-06-12 |
結審通知日 | 2015-06-15 |
審決日 | 2015-06-30 |
出願番号 | 商願2013-78245(T2013-78245) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W2941)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 貴博、清川 恵子 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
真鍋 伸行 中束 としえ |
商標の称呼 | ニクソムリエ、ソムリエ |
代理人 | 工藤 一郎 |