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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20152765 審決 商標
不服20156858 審決 商標
不服20153917 審決 商標
不服20151398 審決 商標
不服20156508 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
管理番号 1308405 
審判番号 不服2015-5074 
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-27 
確定日 2015-11-12 
事件の表示 商願2013-91921拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ワンタッチネイル」の片仮名と「ONE TOUCH NAIL」の欧文字とを二段に横書きしてなる構成からなり、第3類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年11月12日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品及び指定役務については、当審における平成27年2月27日付け手続補正書により、第3類「つけづめ」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ワンタッチネイル』の文字と『ONE TOUCH NAIL』の文字とを二段に書してなるところ、その構成中の『ワンタッチ』『ONE TOUCH』の文字が、『一度触れるだけで、簡単に始動・操作・着脱などができること。』を意味する語であり、また、『ネイル』『NAIL』の文字が『爪』を意味する語であるから、本願商標は、全体として『簡単に着脱できる爪』程の意味合いを理解させるものである。そして、本願の指定商品を取り扱う業界又は指定役務を行ういわゆる美容業界において、『簡単に着脱できるつけ爪』のことを『ワンタッチネイル』と称して、これが販売又は『簡単に着脱できるつけ爪の施術』がされている事実がある。そうすると、本願商標は、これを『簡単に着脱できるつけづめ』及び指定役務中の『簡単に着脱できるつけづめの施術による美容』に使用しても、前記商品・役務であることを認識させるにとどまり、単に商品の品質及び役務の質を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品及び前記役務以外の『美容,理容』に使用するときは、商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3項第1項第3号該当性について
本願商標は、「ワンタッチネイル」の片仮名と「ONE TOUCH NAIL」の欧文字とを二段に横書きしてなるところ、その構成中の「ワンタッチ」及び「ONE TOUCH」の文字は、「一つの操作。また、機器などの操作が極度に簡単であること。」を意味する(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)ものとして、また、「ネイル」及び「NAIL」の文字は、「爪」を意味するものとして、ともに慣れ親しまれた外来語であるといえる。
そして、本願の指定商品である「つけづめ」の分野においては、別掲のとおり、簡単に着脱できるつけ爪に「ワンタッチタイプ」の語が使用されており、また、爪の手入れやネイルアートをほどこす美容院を「ネイルサロン」、つけ爪のことを「ネイルチップ」及びつけ爪用の接着剤のことを「ネイルグルー」等と称しており、爪を表す語として「ネイル」の文字が広く使用されていること考慮すると、「ワンタッチネイル」及び「ONE TOUCH NAIL」の文字とを二段に表してなる本願商標は、全体として「簡単に着脱できる爪」ほどの意味合いを容易に理解させるものであるといえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から「簡単に着脱できるつけ爪」であることを把握、理解する、すなわち、商品の品質を認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であるため、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証を提出している。
そこで以下検討する。
ア 請求人は、平成21年10月9日に設立(甲4)され、商品「つけ爪」に「ワンタッチネイル」及び「ONE TOUCH NAIL」の名称を使用し、製造、販売を行っている(甲5)。また、請求人は、当該商品を販売するために第三者(以下「パートナーサロン」という)と契約を結んでおり、「全国の正規取扱店」は131店舗(甲10)で、取引先は、日本全国393箇所(甲11)に及んでいて、年間の売上高は、平成25年4月期で約6600万円である(甲17)。さらに、請求人の代表取締役である中村純子氏が平成5年に設立したボディ・インターナショナル株式会社(甲1)が「ワンタッチネイル」の名称を使用した「つけ爪」の業務を行い、該会社は過去に3億円を超える売上高があり、請求人が設立された後は、請求人がその業務を行っている旨主張している。
しかしながら、請求人は、商品「つけ爪」に「ワンタッチネイル」及び「ONE TOUCH NAIL」を使用していると認められ、請求人の代表取締役である中村純子氏がボディ・インターナショナル株式会社を設立した者であることを考慮すると、当該会社の業務を引き継いだものと推認する余地はあるといえるものの、上記提出された証拠は、契約関係にある店舗数や売上高にすぎないものであって、「ワンタッチネイル」及び「ONE TOUCH NAIL」の名称が使用された「つけ爪」の販売数量や市場の占有率など、本願の指定商品における請求人の取り扱いにかかる商品の規模を具体的に証明するような証拠は提出されていない。
イ 請求人は、広告宣伝について、パートナーサロンには、販売に際して、請求人の取り扱いにかかる商品であることを明示するよう指示しており、それを証するものとして、パートナーサロンのウェブサイトの写しを提出している(甲12ないし甲14)。また、メディア等で請求人や中村純子氏が多数取り上げられており、1998年以降代表的なもので、150を超えていること(甲18)及び毎年東京ビックサイトで行われているビューティーワールドジャパンに2006年以降毎年出展(甲23及び甲24)している旨主張する。
しかしながら、パートナーサロンのウェブページの記載は、「ワンタッチネイル」及び「ONE TOUCH NAIL」の名称が使用されたつけ爪が請求人の取り扱いに係る商品であることを明示しているにすぎないものであって、請求人の商品を広く宣伝しているものということはできない。また、メディア等に取り上げられた回数にしても、近年の状況を見ると2013年3回、2012年2回、2011年6回であって、請求人の商品が多数取り上げられたといえるものではなく、ビューティーワールドジャパンへの出展については、2010年に請求人が出展した事実は確認できるものの、他の年の開催については、出展の事実が確認できないばかりか、請求人の展示ブースへの来訪者数など、具体的な証拠は提出されていない。
ウ 請求人は、パートナーサロンが「ワンタッチネイル」及び「ONE TOUCH NAIL」の名称が使用されたつけ爪を販売する際には、該商品が請求人に係る商品であることが需要者に認識されるように、請求人が製造・販売元であることが明示された取扱説明書を必ず添付するように指示している。そして、パートナーサロンより「ワンタッチネイル」及び「ONE TOUCH NAIL」の名称が使用されたつけ爪の販売に際して、上記取扱説明書とともに販売しており、消費者に請求人に係る商品であると認識されている旨の証明書が提出されている(甲9)。
しかしながら、上記証明書によれば、請求人の指示の下、商品の販売に際して上記取扱説明書とともに販売していることは証明されているものの、パートナーサロンが販売している地域において請求人の取り扱いに係る商品であると認識されている主張については、請求人の商品の具体的な販売数量などは明らかにされていない。
エ 以上のことから、請求人は、平成21年10月9日に設立されて以降、商品「つけ爪」に「ワンタッチネイル」及び「ONE TOUCH NAIL」を使用し、商品の製造、販売を行ってきたことは認められるものの、本願の指定商品における販売数量や市場の占有率など、その規模を表す具体的な証拠は提出されておらず、さらには、メディア等に取り上げられた回数についても、必ずしも多いものとはいえないばかりか、ほかに請求人が本願商標を使用した商品について、積極的に広告宣伝を行ったという事実を見いだすこともできない。
そうすると、請求人の主張及び提出の甲各号証によって、本願商標が、使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品として認識するに至っているものということができない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
「ワンタッチタイプ」「ネイルサロン」「ネイルチップ」「ネイルグルー」の語が使用されている例。
(1)「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」(株式会社三省堂)の768頁の「ネイルサロン」の項に「爪の手入れやネイルアートをほどこす美容院」及び同頁の「ネイルチップ」の項に「ネイルアート用品の1.つけ爪.」との記載がある。
(2)「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」のウェブサイトにおける「ネイルチップ」の項に「ネイルチップとは、両面テープや接着剤で爪に貼り付ける『付け爪』のことである。」及び「概要/・・・市販のネイルチップには、剥離紙をはがす手間なく、爪に押し付ければすぐに装着できる粘着剤つきのワンタッチタイプや最初から接着剤が付いているネイルチップもあり、また、繰り返し使用できるネイルチップ用の接着剤もある。それら市販品には、国内生産品のみならず、低価格な海外生産品などもある。」との記載がある。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%83%E3%83%97)
(3)「ジュエリーみたいに輝く指先になろう!/Jewelry Nail」のウェブサイトに、「ネイルチップの付け方&はずし方」の見出しの下、「一般的に、ネイルチップの装着方法は3通りあります。1つは、ネイルグルーという爪用接着剤を使用する方法。もう1つは「ワンタッチタイプ」といい、爪にワンタッチで貼り付けられるもの。・・・ワンタッチタイプは最初から粘着剤がネイルチップに付いているため、面倒な手間がいらず、開封してすぐにネイルに貼り付けるだけです。」との記載がある。
(http://the.girlsgate.to/nail/how_to/tips01.htm)
(4)YAHOO!JAPANショッピングサイト内の「ドリーム」のウェブサイトにおいて、「ネイルチップ つけ爪 ヒイラギフレンチ パーティーネイル オフィスネイル」見出しの下、「当店ネイルアートのドリームの,ネイルチップは,簡単に装着出来るワンタッチタイプのテープで、気軽にご利用頂けます。」との記載がある。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/eastdream10/na0yz9spmn.html)
(5)「Royal Kaila Nail Salon」のウェブサイトに、「ネイルチップについて」の見出しの下、「●ワンタッチタイプ」として「ネイルチップに特殊なグルーが塗布されており、手軽ながらネイルグルーのようにしっかりとくっつき何度でも使える新しいネイルチップです。水平に引っ張ることで簡単に取り外すことが出来ます。」との記載がある。
(http://www.royalkaila-nailsalon.com/useful/useful09.html)


審理終結日 2015-08-27 
結審通知日 2015-09-04 
審決日 2015-09-18 
出願番号 商願2013-91921(T2013-91921) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 高橋 幸志
原田 信彦
商標の称呼 ワンタッチネイル、ワンタッチネール、ワンタッチ 
代理人 田中 尚幸 

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