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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W34 |
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管理番号 | 1307549 |
異議申立番号 | 異議2015-900177 |
総通号数 | 192 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-06-01 |
確定日 | 2015-11-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5744239号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5744239号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5744239号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZIG ZAG」の欧文字を標準文字で表してなり、平成26年1月17日に登録出願、第34類「葉巻たばこ,たばこ」を指定商品として、同27年2月6日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第5324526号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成21年12月2日に登録出願、第34類「紙巻きたばこ用紙,葉巻たばこ,たばこ,葉巻たばこ貯蔵箱,たばこ紙巻き器,紙巻たばこ用の筒,喫煙用たばこフィルター,金属製タバコケース,喫煙用具」を指定商品として、同22年5月21日に設定登録、その後、商標法第50条第1項の規定による商標権の一部取消審判の請求があり、同27年1月29日に、その指定商品中の第34類「葉巻たばこ,たばこ」について、その登録を取り消す旨の審判の確定登録がされ、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。 (1)本件商標と引用商標の類似性 ア 称呼上の対比 本件商標は、「ZIG ZAG」の文字からなり、その欧文字の綴りに応じた「ジグザグ」の称呼が生じる。一方、引用商標は、別掲のとおりの構成であるところ、図形部分は、我が国で知られた特定人の顔ではなく、特定の称呼が生じるわけではないから、「ZIG-ZAG」の文字部分に応じた「ジグザク」の称呼のみが生じる。 そうすると、称呼上の対比において、両商標は、「ジグザグ」の称呼が共通すると容易に理解できるものである。 イ 観念上の対比 両商標の上記称呼を表記した「ジグザク」は、「ぎざぎざに屈曲した線。Z字形。」(広辞苑)との意味を有する我が国で慣れ親しまれた語である。 よって、「ジグザク」の称呼が生じる両商標からZ字状に折れ曲がった共通の事象を容易に想起し得るというのが相当であるから、本件商標と引用商標とは、需要者をして同一の観念を認識するというのが相当である。 ウ 外観上の対比 本件商標は、「ZIG」と「ZAG」の標準文字で構成されており、引用商標は「男性の顔」と「ZIG-ZAG」の文字を結合した構成からなるところ、両商標の外観を対比すると「男性の顔」とハイフンの有無に差異がある。しかし、両商標は、共に特定の称呼と観念が生じる「ZIG」と「ZAG」の構成文字に着目されて取引されると考えるのが自然であるから、これらの文字は両商標の要部といえるものである。 したがって、本件商標と引用商標とは、要部において外観上近似すると判断するのが相当である。 エ 小括 本件商標と引用商標とは、上記のとおり、称呼と観念が共通する上に、外観の近似性をも総合的に判断すると、互いに類似する商標といい得るものである。 (2)引用商標の周知性及び独創性 申立人は、「手巻きたばこ」の作成に必要な「手巻きたばこ用紙」、「たばこ紙巻き器」等に引用商標を付し、代理店を通して日本の市場に当該商品を流通させている(甲2等)。 愛煙家の中には、「シャグ」と呼ばれる手巻きたばこ専用の「刻み葉」をたばこ紙巻き器に詰めて細長円筒形の固まりを成型し、その固まりに「紙巻きたばこ用紙」を巻きつけて作成する「手巻きたばこ」の味を楽しむ人たちがいる。「手巻きたばこ」は、シャグ、巻き用紙あるいはフィルターといった「部品」を選んで自分好みにカスタマイズできることが最大の魅力であり、完成品である「紙巻きたばこ」と比べてより嗜好性の高い商品であるといえる。現在、シャグや紙巻きたばこ用紙は、世界各地で製造された多くの商品が我が国に輸入され、その商品原料や品質は様々であるから、これら商品を入手するには、まずは相当の商品知識を有する従業員が配された煙草専門店で入手するのが一般的である。シャグは、そのような専門店で温度・湿度を管理されて販売されているから、紙巻きたばことは異なり街角の自販機で手軽に入手するものではない。 そのような専門店に行くと、ほとんどの店で目に付くのが申立人の引用商標が付された「紙巻きたばこ用紙」や「フィルター」等の商品である。このような専門店のいくつかに聞き取りをしたところ、申立人の引用商標が付された商品は10年近く取り扱っていること、あるいは、近年「紙巻きたばこ」から経済的な「手巻きたばこ」に乗り換える人が多く、申立人の商品も売れ行きも伸びているから、ジャグを買い求める当該店の顧客で申立人の引用商標を知らない人はいない、といった趣旨の回答が返ってきた。 当該資料によると、「紙巻きたばこ用紙」が収められた「BOOKLETS(ブックレット)」は、遅くとも2004年に日本に輸入され、当該年は代理店である「SHINYO」が扱った6050箱と「TSUGE」が扱った2678箱をあわせた8728箱が日本市場に流通した。ブックレットは、たばこ用紙50枚が収められているから、約43万本分のたばこが消費されたと推定できる。そして、このブックレットの販売数は、2014年には、「SHINYO」の24480箱と「TSUGE」の69889箱をあわせた94369箱に相当する約470万本分のたばこが消費されたことになる。 これは、引用商標が、申立人の「紙巻きたばこ用紙」等に付されて継続的に使用された結果、申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く知られ、「ジグザク」の称呼、観念及びその独創的外観が着目され、強い顧客吸引力を取得するに至ったので、2004年からの10年で10倍の伸び率を獲得したと考えるのが相当である。そして、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、既に取引者又は需要者、特に煙草専門店で商品を買い求める嗜好性の高い愛煙家の間で周知・著名な商標となっていたものである。 (3)本件商標の指定商品等と引用商標に係る商品等との関連性と取引の実情 本件商標の指定商品である「たばこ」に含まれる「手巻きたばこ」は、その嗜好性の高さと湿度管理等の品質管理の点から、それ相当の煙草専門店から入手するのが一般的である。本件商標の指定商品である「葉巻たばこ」も、その嗜好性の高さと品質管理の点において、それ相当の煙草専門店で入手する。そのような専門店では、一般大衆的な「紙巻きたばこ」も販売されている。 そして、引用商標が使用されている「紙巻きたばこ用紙」や「たばこ紙巻き器」は、「手巻きたばこ」の完成に必要不可欠な「部品」等であるから、上述のような煙草専門店で販売されているのが普通である。つまり、本件商標の指定商品と引用商標が付された商品とは、その関連性の程度の高さから、販売場所を同じくするというのが相当である。また、両商品の取引者及び需要者が、喫煙家、愛煙家で共通することは明らかである。 (4)混同を生じるおそれ 以上の事情及び実情をからすると、引用商標に類似する本件商標をその指定商品に使用する場合、これに接する取引者、需要者においては、周知、著名となっている引用商標を連想、想起することは必定であって、該商品が申立人又は申立人と組織的、経済的に密接な関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれがあるものというべきである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標が使用されている商品について 引用商標は、上記2のとおり、当初、第34類「紙巻きたばこ用紙,葉巻たばこ,たばこ,葉巻たばこ貯蔵箱,たばこ紙巻き器,紙巻たばこ用の筒,喫煙用たばこフィルター,金属製タバコケース,喫煙用具」を指定商品として、平成22年5月21日に設定登録されたものであるところ、平成26年2月4日に、本件商標の商標権者(当時は商標登録出願人)から、その指定商品中の「葉巻たばこ,たばこ」について、商標法第50条第1項の規定による商標権の一部取消審判の請求があり、被請求人(本件登録異議申立ての申立人)が答弁するところがなく、登録商標の使用が証明されずに、請求に係る指定商品の「葉巻たばこ,たばこ」について商標登録を取り消す旨の審決があり、その審決が確定したものである(なお、本件商標も、その審決が確定した後、平成27年2月6日に登録査定されたものである。)。 この点、申立人も、引用商標を「紙巻きたばこ用紙」、「たばこ紙巻き器」等の商品に使用していると主張してはいるが、「葉巻たばこ,たばこ」について使用しているとは主張しておらず、甲第2号証においても、「ジグザク(42)」の記載の下に記されているのは、「ローリングペーパー(22)」、「ローラー&ローリングマシーン(4)」、「フィルター(8)」及び「その他(8)」(マッチ、チューブ、チューブ専用マシーン等)である。 そうすると、引用商標は、「紙巻きたばこ用紙」、「たばこ紙巻き器」に使用されてはいるが、第34類「葉巻たばこ,たばこ」の範ちゅうに含まれる商品については使用されていないとみるのが相当である。 そして、引用商標が使用されている「紙巻きたばこ用紙」、「たばこ紙巻き器」は、手巻きのたばこのための喫煙用具の一種というべきものである一方で、本件商標の指定商品は、葉巻たばこ、かぎたばこ、かみたばこ、紙巻きたばこ、刻みたばこ、葉たばこ、葉巻たばこ等の「たばこ」自体といえるものであって、両者は、ともに喫煙に関する商品とはいえ、製造部門、原材料等が異なるものであるから、非類似の商品といえるものである。 (2)引用商標の周知性について 申立人は、引用商標が我が国において周知、著名であると主張して、甲各号証を提出しているが、そのうちの甲第2号証は、引用商標を使用した商品の輸入代理店と申立人が主張する者のインターネットの写しであり、その取扱商品の一つとして「ジグザク」の商品が掲載されているにとどまるものである。 また、甲第3号証は、「セクシーな女の子がたばこを巻いてくれる『手巻きたばこ』専門バーがオープン」と題したインターネット情報の写しであるところ、該情報は、そこに「ZIG-ZAG」の欧文字が表されたシャツを着た女性や「ZIG ZAG」の欧文字が書かれた看板の写真が掲載されているとしても、引用商標を使用した商品を紹介するというものではなく、セクシーな女の子がたばこを巻いてくれる店舗のオープンを知らせる内容のものといわざるを得ないものである。しかも、同情報によれば、該店舗のオープンは2012年6月であり、該看板には「日本初手巻きタバコBar」と記載されていることを踏まえると、我が国においては手巻きたばこが広く普及しているとはいえない状況を窺わせるものといえる。 そして、甲第4号証として提出している店舗の写真も、甲第3号証の店舗の写真であって、引用商標又は「ZIG-ZAG」の欧文字を使用した店舗が多数あることを証明しているわけではない。 さらに、甲第6号証は、申立人の商品の販売量を示す表であり、申立人の主張によれば、紙巻きたばこ用紙が収められた「BOOKLETS(ブックレット)」が2014年(平成26年)には94,369箱が販売され、それは紙巻きたばこ約470万本分に相当するとのことであるが、その販売量の我が国におけるシェア等は明らかになっておらず、その他、該商品の販売店舗数、広告の方法や期間、回数なども明らかになっていない。しかも、上述のとおり、我が国においては手巻きたばこが広く普及しているとはいえない状況が窺われるばかりでなく、職権をもって調査するに、国内の紙巻きたばこの販売数量が2014年で1,124億本であること(「国内紙巻きたばこ月次販売実績速報|JTウェブサイト」参照。http://www.jti.co.jp/investors/domestic_cigarette/index.html)を踏まえると、申立人の商品の販売量は国内の紙巻きたばこの販売量に比べ極めて少数といわざるを得ないことからも、本件商標を紙巻きたばこを含む指定商品に使用したときに、引用商標や申立人もしくはそれと組織的、経済的に関係のある者を連想、想起する者が多くないであろうことが容易にうかがわれるといえる。 加えて、申立人は、専門店で聴き取りをしても、引用商標を知らない人はいないとの回答を得ていると主張するが、そのような回答を得たことを裏付ける証拠は何ら提出されていない。 そうすると、申立人提出の甲各号証、さらには、職権での調査によっても、引用商標が我が国において周知、著名であるということはできない。 (3)引用商標の独創性について 申立人は、商標法第4条第1項第15号該当性の判断においては、他人の商標(本件における引用商標)の独創性を考慮すべきとし、引用商標がその独創的外観に着目され、強い顧客吸引力を取得するに至っていると主張している。 しかし、申立人が本件商標と引用商標とが類似の商標であると主張しているのは、上記3(1)のとおり、文字部分の近似性によるものであるところ、引用商標の構成中の「ZIG-ZAG」の文字部分は、その欧文字の綴りを同じくする「zig・zag」の文字が「ジグザグ形(のもの)」、「ジグザグ形の」を意味する親しまれた既成の英語であることを勘案するならば、独創的ということはできないものであるから、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性の判断においては、引用商標を独創的ということはできない。 (4)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は、上記(1)のとおり、その指定商品と引用商標が使用されている商品とは非類似の商品であり、しかも、引用商標は、本件商標との関係においては、上記(3)のとおり、独創的なものともいえないものであり、上記(2)のとおり、我が国において周知、著名であるともいい得ないものである。 そうすると、本件商標と引用商標とが類似の商標であったとしても、本件商標は、その指定商品に使用しても、それに接する取引者、需要者が、引用商標や申立人もしくはそれと組織的、経済的に関係のある者を連想、想起するということはできない。 したがって、本件商標は、その指定商品に使用しても、申立人の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるということはできないから、商標法第4条第1項第15号に該当するということはできない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標)![]() |
異議決定日 | 2015-10-26 |
出願番号 | 商願2014-3006(T2014-3006) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W34)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 吉野 晃弘 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 林 栄二 |
登録日 | 2015-02-27 |
登録番号 | 商標登録第5744239号(T5744239) |
権利者 | ノース アトランティック オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド |
商標の称呼 | ジグザグ、ジッグザッグ |
代理人 | 岡田 稔 |
代理人 | 鈴木 昇 |
代理人 | 坂上 正明 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |
代理人 | 曾我 道治 |