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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1306658 
異議申立番号 異議2015-685003 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-02-03 
確定日 2015-09-01 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1189007号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1189007号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1189007号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2013年(平成25年)11月15日に国際商標登録出願、第3類「Bleaching preparations and other substances for laundry use;cleaning,polishing,degreasing and abrasive preparations;soaps;perfumes,essential oils,cosmetics,hair lotions;dentifrices;hair removers;make-up removing products;lipstick;beauty masks;shaving products;preservatives for leather (polishes);creams for leather.」を指定商品として、平成26年7月22日に登録査定、同年11月14日に設定登録されたものである。
第2 本件登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3の規定により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第4486251号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成12年5月25日に登録出願、第3類「スキンクリーム,スキンローション,頭髪用化粧品,その他の化粧品,せっけん類,香料類,歯磨き,つけまつ毛,つや出し剤,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム」を指定商品として、同13年6月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標
本件商標は、前記第1のとおりであり、引用商標は上記1のとおりである(甲1及び甲2)。
したがって、引用商標が本件商標よりも先願に係る登録商標であること、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が抵触することは明らかである。
(2)商標の類似
ア 本件商標の称呼について
本件商標は、その構成からみて「カダリ」の称呼が生じうる。
本件商標は、指定商品の購買者層における取引の実情を勘案すると、フランス語読みの発音が生じるとみるのが自然である。まず、本件商標権者はフランスの法人であり(甲1及び甲3)、また、同社が本件商標を付した商品は、フランスのブランドとして提供されている(甲3ないし甲7)。本件商標を付した商品は、ウェブサイト上ではフランス語のサイトを中心に宣伝、販売がされている。
したがって、本件商標に接する取引者、需要者が、本件商標はフランス語的な読み方をすると認識、想定することはごく自然であって、取引の実情にも即しているものである。
このように、もともとフランス企業が提供するフランスの化粧品ブランドであるうえ、実際にもフランス語を中心としたウェブサイトで宣伝・広告、販売されていることから考えると、本件商標がフランス語的な読み方をされることは容易に想定することができる。
さらに、本件商標の指定商品中「化粧品、香水」については、フランス語が慣用されているという長年の取引の実情がある。
したがって、このことからみても、取引者、需要者にとって、本件商標がフランス語的な読み方をされることは容易に想定でき、本件商標からフランス語的な読み方の称呼が生じるということができる。
本件商標をフランス語的な読み方で称呼する場合、「カダリ」の称呼が生じる。すなわち、フランス語では、一定の文字以外は語末の子音字の発音が省略される(甲8及び甲9)ことから、本件商標の場合も語尾にある「S」は発音されず、「カダリ」と称呼される。
よって、本件商標からは「カダリ」の称呼が生じる。
イ 引用商標の称呼について
引用商標は、その構成に照らして「コダリ」の称呼が生じる。
ウ 両称呼の対比
本件商標から生じる「カダリ」の称呼と引用商標から生じる「コダリ」の称呼を対比するに、両称呼は語調、語感が近似しており、これを聴く者が両称呼を相紛れて聴取するおそれがある。
まず、両称呼は、いずれも3音からなる点で共通している。さらに、3音中2音は音そのものも、順番も同一であって、相違するのはわずか1音のみである。
しかも、相違する1音、「カ」と「コ」にしても、子音(k)を同じくするばかりでなく、それらの母音(a)と(o)はいずれも後舌母音で、母音の中では調音方法が近似する相紛れやすい音であるから、相違する音がいくら語頭にあるとはいえ、この相違音が称呼全体に与える影響はさほど大きいとはいえない。また、商標はそれ自体で前触れなく称呼されることが少なくないから、語頭音は聴者が未だ聴く態勢になっていないうちに発音される部分であることから聴き誤り易いものである。このように、両称呼は語調、語感が互いに近似し、本件商標と引用商標に接する取引者、需要者は両称呼を聴き誤るおそれがきわめて高いというべきである。
よって、本件商標と引用商標は、称呼上類似する。
エ 審決例
称呼上の差異が「カ」と「コ」のみである商標について、それぞれ両商標は類似すると認定した審決例がある(甲10及び甲11)。
オ 以上のことから、本件商標と引用商標は類似する。
(3)商品の類似
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中、第3類「スキンクリーム,スキンローション,頭髪用化粧品,その他の化粧品,せっけん類,香料類,歯磨き,つや出し剤,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム」と類似する。
このように、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が類似することは明らかである。
(4)結論
以上のとおり、本件商標は引用商標と類似し、かつ、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と類似であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「KADALYS」の欧文字を書してなるところ、その構成文字は、辞書等に掲載のないものであり、かつ、親しまれた意味を有するものとして一般に知られているとも認められないから、特定の意味を有しない一種の造語といえるものである。
そして、特定の意味を有しない欧文字にあっては、我が国において親しまれたローマ字又は英語風の読みに倣って発音されるというのが一般的である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「カダリス」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「CAUDALIE」(「I」の文字にはアクサンテギュが付されている。以下、同じ。)の欧文字を上段に、「コダリ」の片仮名を下段に表してなるところ、「CAUDALIE」及び「コダリ」の文字は、共に辞書等に掲載のないものであり、かつ、親しまれた意味を有するものとして一般に知られているとも認められないから、特定の意味を有しない一種の造語といえるものである。
また、一般に欧文字と片仮名を併記した構成の商標において、その片仮名部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは、片仮名部分より生ずる称呼が、その商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当であるから、引用商標は、「コダリ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであり、その構成は明らかに相違するものであるから、外観において相紛れるおそれはないものである。
次に、本件商標から生じる「カダリス」の称呼と、引用商標から生じる「コダリ」の称呼を比較すると、本件商標は4音の構成、引用商標は3音の構成と、音の構成において相違し、語頭における「カ」の音と「コ」の音における差異及び語尾における「ス」の音の有無という差異があることから、この差異が、比較的長くはない両者の音構成からなる称呼に及ぼす影響は小さいものとはいえず、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはないものと判断するのが相当である。
そして、観念については、本件商標及び引用商標のいずれからも、特定の観念が生じないものであるから、観念において、両者を比較することはできないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その観念は比較できないとしても、外観及び称呼の点において、相紛れるおそれのないものであるから、全体を総合的に考察すれば、取引者、需要者に与える印象、記憶が異なり、両商標を同一又は類似の商品に使用した場合においても、商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 申立人の主張について
申立人は、本件商標権者がフランス法人であり、本件商標を付した商品はフランスのブランドとして提供されていること、フランス語のサイトを中心に宣伝、販売されていること(甲1及び甲3ないし甲7)から、本件商標はフランス語的な読み方をすると認識、想定されることが自然であり、フランス語的な読み方で称呼する場合、本件商標の構成中後尾にある「S」の発音がされず、「カダリ」の称呼が生じる旨主張する。
しかしながら、我が国におけるフランス語の普及度を考慮すれば、後尾の文字は発音されない場合があることが一般に知られているとはいい難いものであり、また、本件商標に接する取引者、需要者は、我が国において広く親しまれているローマ字又は英語風読みに倣って称呼するとみるのが自然であるから、本件商標は、上記(1)のとおり、「カダリス」の称呼が生じるものというのが相当である。
したがって、申立人の主張は、採用できない。
3 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2015-08-26 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 梶原 良子
松浦 裕紀子
登録日 2013-11-15 
権利者 SHB SAS
商標の称呼 カダリス 
代理人 中山 真理子 
代理人 竹中 陽輔 

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