• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3541
審判 全部申立て  登録を維持 W3541
審判 全部申立て  登録を維持 W3541
審判 全部申立て  登録を維持 W3541
審判 全部申立て  登録を維持 W3541
管理番号 1306657 
異議申立番号 異議2014-900364 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-12-26 
確定日 2015-10-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5705734号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5705734号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5705734商標(以下「本件商標」という。)は,「Fashion TV」の文字を標準文字で表してなり,平成26年2月8日に登録出願,第35類「テレビジョンによる広告,その他の広告業」及び第41類「娯楽用テレビ番組の制作又は配給,その他の放送番組の制作又は配給」を指定役務として,平成26年7月30日に登録査定され,同年9月26日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性
本件商標は,「ファッション関係のテレビ番組」の意味合いが想起されるから,これをその指定役務中の第35類「ファッション関係のテレビ番組を対象としたテレビジョンによる広告」及び第41類「ファッション関係のテレビ番組の制作又は配給」について使用するときは,役務の質を表示するにすぎない。
また,本件商標は,これを上記役務以外の役務について使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性
ア 「FashionTV」及びその周知著名性について
(ア)衛星放送(スカパー)には,ファッション専門のチャンネルである「ファッションTV」がある(甲6,甲7)。「ファッションTV」は,日本において1997年12月から2000年9月まで放送された。また,株式会社Fashiontv Japan(以下「Fashiontv Japan」という。)が,2006年に,FashionTV本社から日本における放送権を含むマスターライセンスを取得して,2008年4月から「スカパー!e2」で放送を開始した(甲11)が,2009年3月31日で終了した。また,上記Fashiontv Japanによる放送期間中に,株式会社JFCC(以下「JFCC」という。)が放送権を取得し,同社は,2008年12月1日から「スカパー!」で放送を開始し,2009年4月からは「スカパー!e2」で放送を開始し,さらに,2010年4月からは,「ひかりTV」でIPTVの放送を開始したが(甲12),2012年3月で放送終了となった。その後,「スカパー!」は全チャンネルがHD(ハイビジョン)放送に移行したため,JFCCは,2012年から「スカパー!」646チャンネルでHD放送を開始し,現在まで継続している(甲13)。
そして,Fashiontv JapanやJFCCが放送するチャンネル及び番組には,「fashiontv」の文字よりなる商標(以下「引用商標1」という。),又は別掲のとおり,「fashiontv」の文字に図形が付加された商標(以下「引用商標2」という。)が使用されており,2010年7月からチャンネル名として,「ファッションTV」の文字よりなる商標(以下「引用商標3」といい,引用商標1?3をまとめていうときは,以下,単に「引用商標」という。)も使用されている。
(イ)現在,「FashionTV(日本語表記:ファッションTV)」に係る衛星放送のチャンネル等の視聴可能者世帯数は,日本全国で約125万である。現在の日本の世帯数が約5000万を超えていることを考えると,上記125万世帯は多いとはいえないが,ファッションという特殊な分野に特化していることを考えると決して少ない数字とはいえない。のみならず,前記(ア)のとおり,ファッション専門のテレビ番組が30年近くにわたって放送されていることを考えると,引用商標は,ファッション業界ないしファッションに興味のある者の間に広く認識されているものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標は,その構成より「ファッションティーヴィー」の称呼が生じ,引用商標からも「ファッションティーヴィー」の称呼が生じる。
したがって,本件商標と引用商標は類似の商標である。
ウ 本件商標の指定役務(以下「本件役務」という。)と引用商標が使用される役務(以下「引用役務」という。)との類似性
JFCCが行っている役務は,「放送」であるから,本件役務とは同一とはいえないが,放送事業者が番組を制作したり,広告事業を行うことは一般に行われているところから,両役務は,同一の事業者により行われる役務であり,類似する。
エ したがって,本件商標は,他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似するものであり,その役務に類似する役務について使用するものであるから,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
仮に本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当しない場合であっても,本件役務とJFCCが我が国で行っている役務とが,ともにテレビというメディアに関係するものであるから,本件商標を本件役務について使用した場合,該役務がJFCC又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,「ファッションティーヴィー ホールディング リミテッド(FashionTV Holding Ltd.)」を筆頭とするファッションティーヴィーグループ(FashionTV Group)の一社である(甲20)。このグループには,「FashionTV」を商号の要部とする5社が含まれており,このグループに属する企業は「ファッションティーヴィー」と略称されて広く認識されている。
本件商標は,他人の名称の著名な略称からなるものであり,その他人の承諾を得ていないものであるから,商標法第4条第1項第8号に該当する。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号,並びに商標法第4条第1項第10号,同第15号及び同第8号に違反してされたものであるから,取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は,前記1のとおり,「Fashion TV」の文字を書してなるところ,該文字は,「Fashion」と「TV」の各文字の間に1文字程度の間隔があるとしても,同一書体をもって,外観上まとまりよく表されているばかりでなく,これより生ずると認められる「ファッションティーヴィー」の称呼もよどみなく称呼し得るものといえる。そうすると,本件商標は,その外観上及び称呼上,一体的な商標として把握されるものである。
また,本件商標を構成する文字のうち,「Fashion」の文字部分は,「はやり。流行。特に,服装・髪型などについていう。また転じて,服装。」(甲2)を意味する語として,「TV」の文字部分は,「テレビジョンの略。」(甲2)を意味する語として,いずれも我が国においてよく知られ,それぞれ普通に使用されているものであるから,本件商標は,「Fashion」の語と「TV」の語を結合したものであることは明らかである。そして,「Fashion」と「TV」の2語を結合することによって,我が国において親しまれた熟語的な意味合いが生ずるものではないから,「流行のテレビジョン」,「ファッション性を重視したテレビジョン」などといった意味合いが生ずる余地があり,必ずしも申立人の主張する「ファッション関係のテレビ番組」の意味合いのみが直ちに生ずるものではない。
してみれば,本件商標は,構成全体をもって,一体不可分の造語よりなるものと理解,認識されるとみるのが相当である。
したがって,本件商標は,これを本件役務について使用しても,役務の質(内容)を直接的,かつ,具体的に表示するものではなく,自他役務の識別標識としての機能を果たし得る商標ということができる。
また,本件商標は,前記のとおり,一体不可分の造語よりなるものであるから,これを本件役務のいずれについて使用しても,役務の質について誤認を生じさせるおそれはないものである。
以上によれば,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する商標と認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用商標の周知性
(ア)申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記。なお,商標法施行規則第22条第7項で準用する特許法施行規則第61条で規定する訳文の添付がない証拠については採用しない。)及び申立ての理由によれば,以下のとおりである。
a Wikipediaの「Fashion TV」の項目(2015年3月26日にプリントアウトされたもの)には,「FashionTV(ファッションティーヴィー)は世界195か国・地域,約3億6000万世帯が視聴する世界中の最新のファッション・トレンド,ハイクオリティーなライフスタイル情報を24時間365日放送する“世界で唯一のファッション専門エンターテイメント・チャンネル”の名称である。」,「FashionTVは1997年にフランスのMichel Adam Lisowskiによって設立された。現在世界202か国において,31の放送衛星と約2000のケーブルテレビおよびブロードバンドで配信されている。視聴可能世帯はヨーロッパやアジアを中心に3億世帯以上となっており,世界で最も視聴されているチャンネルの一つである。」の記載があり,また,「日本での展開」欄には,「衛星放送/1997年12月からディレクTVで放送開始。ディレクTVの営業終了に伴い2000年9月に放送を終了。その後,Yahoo!動画や4th MEDIAのブロードバンドで番組の一部が配信された。2008年4月1日に株式会社Fashion TV Japanがスカパー!e2(現・スカパー!)(委託放送事業者はシーエス日本)で放送を開始。放送内容はFashionTV本社が制作する東アジア向けの国際放送であり,番組で使われている言語は英語が中心で日本語は字幕を含めて使われていない。CMも国際放送のものをそのまま放送していた。2008年10月29日よりアクトビラのコンテンツとしても一部番組を期間限定で配信した。2008年12月1日より株式会社JFCCがFashionTV本社から放送権利を取得し,スカパー!(現・スカパー!プレミアムサービス)Ch.SD765にてFashionTVの放送を開始(放送開始時の委託放送事業者は日本教育放送)。東アジア向けの国際放送をメインに,番組やCMの一部を日本独自の内容に差し替えて放送している。2009年3月31日をもって株式会社Fashion TV Japanによるスカパー!e2での放送が終了。この期間,スカパー!とスカパー!e2では日本版放送の有無により放送内容が一部異なっていた。2009年4月より株式会社JFCCがスカパー!e2のスカチャンHD800(現・スカチャン0)で『I love FashionTV !』の放送を開始。ハイビジョン画質の無料番組で,日本版を中心に30分にまとめた内容となっている。毎月2本ずつ新作が繰り返し放送されている。スカパー!HDの開始とともに,スカチャンHD190(現・スカチャン0)でも同じ放送を開始した。その後も放送メディアを拡大しアクトビラでの配信を開始,2010年4月からはひかりTV ch.824,ケーブルテレビ品川でも放送を開始する。・・・2010年7月1日,スカパー!はJFCCの衛星役務利用放送に移行するとともに,チャンネル名を『ファッションTV』に変更。・・・2012年10月1日,スカパー!プレミアムサービスにてハイビジョン放送を開始と同時に,視聴料金を410円から1575円に値上げした。2012年12月1日,スカパー!プレミアムサービス標準画質(Ch.SD765)の放送事業者がスカパー・ブロードキャスティングに変更。」などの記載がある(甲13)。
b 「ウィメンズ・ウエア・デイリー・ジャパン」(2008年3月31日発行)には,引用商標1が大きく表示され,「世界202ケ国・地域で放送,約3億5000万世帯が視聴」,「世界最大のファッション専門チャンネル」,「fashiontv ON AIR NOW!!」,「2008年4月1日(火)よりe2 by スカパー!(ch.291)で放送中」などの記載がある広告が掲載された(甲11)。
c 「CABLE GUIDE ケーブルテレビ番組ガイド」(2013年12月1日発行)の「チャンネルラインナップ」欄には,「ファッションTV」の文字の記載がある(甲8)。
d JFCCは,「ひかりTV」において,「ひかりTVのch824でファッションTVを楽しもう!」の文字とともに引用商標3を表示して,広告をした(甲12)。
e 申立人は,「ファッションティーヴィー ホールディング リミテッド(FashionTV Holding Ltd.)」を筆頭とするファッションティーヴィーグループ(FashionTV Group)の一社である(申立ての理由)。
(イ)前記(ア)によれば,「Fashion TV」は,2008年(平成20年)3月31日現在,世界202ケ国・地域で放送され,約3億5000万世帯が視聴するファッション専門チャンネルであること,我が国においては,1997年(平成9年)12月からディレクTV(衛星放送サービス)において放送が開始されたが,ディレクTVの営業終了に伴い,2000年(平成12年)9月に放送が終了したこと,その後,2008年(平成20年)4月1日に,Fashiontv Japanがスカパー!e2で放送を開始したが,内容は,“FashionTV本社”が制作する東アジア向けのもので英語が中心で日本語は使用されておらず,この放送も2009年(平成21年)3月31日に終了したこと,他方,JFCCは,“FashionTV本社”から放送権利を取得して,2008年(平成20年)12月1日からスカパー!(現スカパー!プレミアムサービス)で放送を開始し,2009年(平成21年)4月からは,「I love FashionTV!」の放送をスカパー!e2で開始した。スカパー!は,2010年7月1日のHD(ハイビジョン)放送移行を機に,チャンネル名を「ファッションTV」に変更し,JFCCは,以来スカパー!646チャンネルで放送を継続しているものである。
そして,Fashiontv Japanは,上記2008年(平成20年)4月1日にスカパー!e2で放送を開始するに際し,ファッションに関連すると思われる雑誌に引用商標1を表示して広告をしたこと,JFCCは,ひかりTVにおいて,「ファッションTV」を放送していることを広告したものである。
なお,甲第12号証は,作成年月日が明らかではないが,ひかりTVにおいて,「ファッションTV」が放送された期間が2010年(平成22年)4月から2012年(平成24年)3月である(申立ての理由)ことからすると,本件商標の登録出願前に広告したものと推認することができる。
以上によれば,「Fashion TV」ないし「ファッションTV」は,衛星放送で配信されているファッション専門の特化したチャンネルであって,主として,2008年(平成20年)4月1日から現在に至るまで,Fashiontv JapanやJFCCによって放送が継続していることが認められる。
しかしながら,該チャンネルは,上記のとおり,ファッション専門の特化したチャンネルであって,かつ,有料の放送であるから,一般の需要者が日常的に見るチャンネルであるとは認め難く,したがって,ファッションに興味のある一部の需要者の間においては,ある程度知られていたとしても,それ以外の一般の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
この点に関し,申立人は,現在,「FashionTV」に係る衛星放送のチャンネル等の視聴可能者世帯数は,日本全国で約125万であり,ファッションという特殊な分野に特化していることを考えると決して少ない数字とはいえない旨主張するが,これを裏付ける証拠の提出はないばかりか,仮に「FashionTV」に係る衛星放送のチャンネル等の視聴可能者世帯数が日本全国で約125万であったとしても,実際に放送を視聴する者の数は明らかではない。
したがって,申立人の提出した証拠をもってしては,引用商標がJFCCの業務に係るテレビジョン放送を表示するものとして,本件商標の登録出願前より,我が国の需要者の間に広く認識されていたとまで認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は,「Fashion TV」の文字を書してなるものであるのに対し,引用商標1は,「fashiontv」の文字を書してなり,引用商標2は,別掲のとおり「fashiontv」の文字に図形が付加された商標であり,引用商標3は,「ファッションTV」の文字よりなる商標であるところ,本件商標及び引用商標は,いずれもその構成文字に相応して「ファッションティーブイ」の称呼が生じるものである。
また,本件商標の「Fashion」及び引用商標の「fashion」又は「ファッション」の文字部分は,「はやり。流行。特に,服装・髪型などについていう。また転じて,服装。」(甲2)を意味する語であり,「TV」及び「tv」の文字部分は,「テレビジョンの略。」(甲2)を意味する語として,いずれも我が国においてよく知られ,それぞれ普通に使用されているものであるとしても,「Fashion」と「TV」の2語を結合することによって,我が国において親しまれた熟語的な意味合いが生ずるものではなく,直ちに何らかの意味合いが生ずるものではない造語といえるものである。
そこで,本件商標と引用商標とを比較すると,その文字構成を異にすることから,外観においては相違し,観念においては,比較することができないとしても,称呼において「ファッションティーブイ」の称呼を同じくする,互いに類似の商標というべきである。
ウ 本件役務と引用役務の類似性
本件役務は,第35類「テレビジョンによる広告,その他の広告業」及び第41類「娯楽用テレビ番組の制作又は配給,その他の放送番組の制作又は配給」である。
これに対して,引用役務は,「テレビジョン放送」である。
してみると,本件役務と引用役務とは,テレビジョンを媒介して提供される役務という点において,一部共通するものといえる。しかし,広告は,典型的には,広告代理店の業務を指すが,その他,広告業者が自ら広告物を掲示したり,広告物を頒布することにより,広告主から当該行為に対する報酬を受け取る業務も含まれるものである。また,テレビジョン等の番組の制作又は配給は,一般的には,放送事業者に対し番組を制作して配給する役務である。
これに対して,「テレビジョン放送」等放送に関する役務は,一般公衆によって直接受信されることを目的とした無線通信等の送信を行うものであり,一般的には,電波法又は放送法の規定により事業の承認を受けた放送事業者(一般放送事業者等)により行われる。
そうすると,本件役務と引用役務とは,役務提供の目的において大きく異なるばかりでなく,その需要者の範囲・規制する法律も異なり,一般的には,同一の事業者によって提供される役務とはいえない。
したがって,本件役務と引用役務とは,非類似の役務というべきである。
この点に関し,申立人は,放送事業者が番組を制作したり,広告事業を行うことは一般に行われている旨主張し,JFCCの業務内容(甲14)を示すところ,JFCCの業務内容(甲14)によれば,確かに「一般放送事業,ファッションを中心とした放送番組の企画,制作と放送・販売に関する事業,上記番組の広告・宣伝及び販売促進に関する企画製作業務」等の記載が認められるが,これをもって,放送事業者が広告事業を行うことが一般的であると直ちに認めることはできない。その他,本件役務と引用役務とが類似する役務であることを明らかにする証拠の提出はない。
エ 小括
以上のアないしウによれば,申立人の引用商標と本件商標とは,類似の商標であるとしても,役務において非類似のものであり,また,申立人の引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間で広く認識されているということはできないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
前記(2)のとおり,引用商標は,JFCCの業務に係るテレビジョン放送を表示するものとして,本件商標の登録出願前より,我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
また,本件役務と引用役務とは,役務提供の目的・事業者等を異にするばかりでなく,その需要者をも異にするものであって,その関連性は低いものである。
してみれば,本件商標は,引用商標と商標において類似するとしても,本件商標をその指定役務について使用しても,その需要者をして,該役務がJFCC又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第8号について
「FashionTV」の表示が,申立人及びそのグループ会社の略称を表示するものとして,本件商標の登録出願日前より,我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって,本件商標は,申立人及びそのグループ会社の著名な略称を含む商標ということはできないから,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第16号,同第10号,同第15号及び同第8号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

(別掲)引用商標2


異議決定日 2015-09-01 
出願番号 商願2014-9272(T2014-9272) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W3541)
T 1 651・ 271- Y (W3541)
T 1 651・ 272- Y (W3541)
T 1 651・ 23- Y (W3541)
T 1 651・ 13- Y (W3541)
最終処分 維持  
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 金子 尚人
榎本 政実
登録日 2014-09-26 
登録番号 商標登録第5705734号(T5705734) 
権利者 ファッション テレビジョン エルエルシー
商標の称呼 ファッションティービー、ファッションテイブイ、ファッションテレビ、ファッション 
代理人 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ