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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W10 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W10 |
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管理番号 | 1306623 |
審判番号 | 不服2014-650016 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-02-21 |
確定日 | 2015-09-03 |
事件の表示 | 国際登録第1109077号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第10類「Implants for osteosynthesis,ortheses,endoprostheses and organ substitutions,anchors for endoprostheses and dental protheses,articular surface replacement,bone spacers;hip joint balls,acetabular shell,acetabular fossa and knee joint components.」を指定商品として、2011年7月25日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2012年(平成24年)1月18日に国際商標登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、ピンク色に着色された中央に円形のくぼみを有する半球体の形状からなるところ、該形状は、本願商標の指定商品の形状と認識されるにとどまるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲のとおり、球体の一部を切断し、その切断面の中央に半球状のくぼみを有するピンク色の図形を立体的に表した構成からなるところ、請求人が審判請求書に添付した第3号証ないし第11号証によれば、人工股関節などに用いられるインプラントには、球体状のヘッド(head)及びそれを受けとめるカップ(cup)又はインサート(insert)、これらを骨に接合するためのステム(stem)などの部位が存在しており、各社から提供されているヘッドは、その全体がピンク色、白色、クリーム色などの単色で表されているものであって、カップ又はインサートの中で可動するように球体状をし、ステムとつなぐためのくぼみを有するという共通の特徴があることが認められる。 また、審判請求書において、請求人は、本願商標の図形立体的形状が「BIOLOX DELTA」の名称で出願人(請求人)が製造販売する「ボールヘッド型インプラント」であることを自認している。 上記実情からすれば、本願商標は、これに接する者に、人工股関節などに用いられるヘッドと称するインプラントを立体的に表したものと容易に、認識、把握させるにとどまるものということができる。 してみれば、本願商標の図形は、人工股関節などに用いられるヘッドと称するインプラントの形状と認められるから、本願商標をその指定商品中、人工股関節などに用いられるインプラントに照応する商品に使用しても、取引者、需要者は、その商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものとして理解するにとどまり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項について 請求人は、本願商標の図形が「BIOLOX DELTA」の名称で出願人(請求人)が製造販売する「ボールヘッド型インプラント」を表したものであり(第3号証)、当該製品は、1974年の販売開始以来、累計800万件以上の臨床実績を有し(第4号証)、人工股関節用セラミックインプラントに占める請求人のシェアは約80%に至っているものであって(第5号証)、出願人は、自社製品を全てピンク色に着色し(第12号証)、製品説明資料(第13号証)のみならず、2008年頃よりは展示会においても製品のピンク色を強調したブース展示を行ったり(第14号証、第15号証)、ピンク色の販促グッズ(第16号証)を用意したりするピンク色を強調するマーケティングを行っていることから、本願商標の図形に接した需要者は、当該製品を出願人の商品と認識するのであって、本願商標の図形が使用による自他商品識別機能を獲得しており、このことはドイツで行ったアンケート結果(第17号証)からも裏付けられるから、本願商標は、商標法第3条第2項によって登録されるべきものである旨主張している。 ところで、商標が商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られると解されるところ、本願商標の指定商品には、関節以外の体内器官に用いられるインプラントや歯科用のインプラントなど使用に係る商品以外の商品を含んでいるものである。 また、本願商標が使用された結果、出願人の業務に係るものとして、需要者間に広く認識されるに至っているか否かは、我が国の商標法、我が国の取引の実情の下で、我が国の需要者の視点に立って判断されるべきものであるところ、上記アンケート結果は、2012年5月24日ないし同月25日にドイツ、ベルリンにおいて開催された「第13回EFORT」と称する国際会議の会場内で行われたものであり、同会議の運営者の公式発表によれば、6,998人の参加者があるところ、アンケートの回答者は、その内の僅か239人であり、その国籍も不明であるから、回答者の4割弱の者が本願商標に係る立体的形状から出願人又は出願人の商品名である「BIOLOX DELTA」と回答したとしても、本願商標に係る立体的形状のみをもって、出願人の業務に係るものとして、我が国の需要者間に広く認識されているとは認めることができず、ほかに我が国の需要者の認識を明らかにするものは提出されていない。 なお、職権による調査によれば、「BIOLOX DELTA」と称する商品は、日本ストライカー株式会社のウェブサイトに掲載されたカタログ(http://www.stryker.co.jp/wp-content/uploads/2013/07/HE01-133.pdf)においては、日本ストライカー株式会社の製品として掲載されており、また、「メディカルオンライン」のウェブサイト(http://dev.medicalonline.jp/index/product/eid/58998)においては、「製造販売企業:バイオメット・ジャパン」と記載されていることからすると、当該商品に接する取引者、需要者は、「BIOLOX DELTA」の文字が出願人以外の者の業務に係る商品の出所表示と認識するとみるのが商取引の実際に照らして自然というべきである。 してみれば、請求人の提出した証拠を総合して勘案しても、本願商標が、その指定商品に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。 したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであるとする請求人の主張は、採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 2014-07-31 |
結審通知日 | 2014-08-08 |
審決日 | 2014-08-28 |
国際登録番号 | 1109077 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W10)
T 1 8・ 17- Z (W10) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
手塚 義明 山田 和彦 |
代理人 | 窪田 英一郎 |