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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y07
管理番号 1306483 
審判番号 取消2014-300343 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-05-12 
確定日 2015-07-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第432866号の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第432866号の1商標(以下「本件商標」という。)は、「ART」の欧文字を横書きしてなり、昭和27年8月30日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同28年10月13日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、さらに、平成19年8月15日に指定商品を第7類「金属加工機械器具(電気機械器具に属するものを除く。),さく岩機,選鉱機,さく井機,穿孔機,パワーショベル,トラッククレーン,くい打ち機,くい抜き機,ブルドーザー,ローラー,コンクリートミキサー,アスファルト散布機,しゅん泥機,クレーン(電力起重機を除く。),コンベヤー,巻上機,エスカレーター,エレベーター,動力ジャッキ,網揚げ機,トロールウィンチ,圧搾機(化学機械器具),かくはん機,乾燥機(化学機械器具),混合機(化学機械器具),焼結機,洗浄機,選別機,分離機,ろ過機,業務用電気掃除機,繊維機械器具(手編機及びその部品を除く。),穀物処理機械器具,醸造機械器具(酒・しょうゆ等醸造品搾り用袋を除く。),アイスクリーム製造機,牛乳均質機,肉ひき機,水産製品製造機械器具,缶詰機械,瓶詰機械,サイダー製造機,製茶機械,製糖機械,製油機械,製パン機,練り製品製造機械,帯のこ盤,丸のこ盤,木工機械器具,合板機械器具,パルプ製造機械器具,製紙機械器具,紙工機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,動力耕うん機,栽培機械器具(農器具に属するものを除く。),乾燥機(収穫機械器具),脱穀機(脱穀器を除く。),もみすり機,植物粗製繊維加工機械器具,飼料粉砕機,牛乳ろ過器,搾乳機,ふ卵器,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,内燃機関のピストン(陸上の乗物・船舶・航空機用のものを除く。),蒸気発動機のピストン(陸上の乗物・船舶・航空機用のものを除く。),蒸気タービン(陸上の乗物・船舶・航空機用のものを除く。),その他の動力機械器具(原子力原動機を除く。)(陸上の乗物・船舶・航空機用のものを除く。),ポンプ,送風機,遠心圧縮機,修繕用機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。),軸・軸受・軸継ぎ手・ベアリング(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),制動装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),バルブ(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),コック(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),ばね緩衝器(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),ばね油圧緩衝器(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。)」、第11類「熱交換器,蒸気過熱器,換熱器,蒸発装置,蒸留装置,牛乳殺菌機,工業用炉(電気炉・るつぼを除く。),蓄熱器,ボイラー(輸送機械用のものを除く。),水道用栓,タンク用水位制御弁,蒸気暖房装置,温水暖房装置,冷凍機械器具(冷却用電気機を除く。),アイスボックス,氷冷蔵庫」及び第12類「荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,動力伝導用ベルト(陸上の乗物用の機械要素),乗物用盗難警報器」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成26年5月27日である。
第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中の『金属加工機械器具(電気機械器具に属するものを除く。)』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として、「本件商標は、その指定商品中の『金属加工機械器具(電気機械器具に属するものを除く。)』について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、上記指定商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。」旨述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証を提出した。
1 使用の事実
被請求人(本件商標権者)は、本件審判の請求日である平成26年5月12日以前から現在に至るまで継続して、その請求に係る「金属加工機械器具(電気機械器具に属するものを除く。)」(以下「請求に係る商品」という場合がある。)について、本件商標を使用している。
(1)外径仕上げ機(カムレス機)についての使用
ア 乙第1号証に写っている機械は、「外径仕上げ機(又はカムレス機)」と称されるもので、ピストンを回転させながら、その外周に刃物を当て、データ入力されたプログラムに沿って複雑な形状をつける作業を行うものであり、金属加工機械器具のうちの「旋盤」に該当する。
イ 上記機械は、2012年(平成24年)5月に「立科金属株式会社」(以下「立科金属」という。)へ販売されたものであって、同社の工場内において設置、使用されている。該機械の筐体の背面(乙7の写真D)には、本件商標権者の社内における製品管理番号である「VFA110001」の表示があり、同じく、筐体の操作側下部(筐体台座部)に貼付されている金属製プレート(乙7の写真C及び写真E)には、「“ART”」及び「アート金属工業株式会社」の各表示並びに機械No.としての「VFA-110001」及び製造年月としての「2011.12.27」の各表示が4段に表されている。該プレートは、No.がVFA-110001である機械が2011年(平成23年)12月27日に製造され、ARTの商標が使用されていることを証している。
ウ 上記機械の取引について、本件商標権者から購入者あてに発行された2012年(平成24年)5月29日付け納品書(乙2)及び同月31日付け請求書(機械分)(乙3)、購入者による支払いを示す振込明細(乙4)並びに本件商標権者の口座への振込を示す当座勘定お取引照合表(乙5)及び仕訳帳(乙6)を提出する。これらによれば、本件商標権者が、2012年(平成24)5月29日に立科金属へ納品販売(該当する機械を含め、総額40,000,000円)し、同月31日に立科金属へ42,000,000円(消費税含む)の請求書を発行したこと、同年6月28日に立科金属から本件商標権者へ41,999,685円(上記42,000,000円から振込手数料315円を差し引いた額)が振り込まれたことが分かる。
そして、上記取引は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。)に行われたものである。
(2)外径荒引き・オイル穴機(外荒・オイル穴機)及び内径・リング機についての使用
ア 乙第8号証に写っている機械は、「外荒・オイル穴機」(正しくは外径荒引き・オイル穴機)と称されるもので、ピストン素材の外周部を粗削りするものであり、金属加工機械器具のうちの「旋盤」に該当する。
イ 上記機械は、2014年(平成26年)2月に立科金属へ販売されたものであって、同社の工場内において設置、使用されている。該機械の外側背面(乙8の写真A)には、本件商標権者の社内における製品管理番号である「VRA130019」の表示があり、同じく、その操作面には、上方に「OP-2」、下方に「外荒・オイル穴」の表示(乙8の写真B及び写真D)がある。また、上記筐体の操作側下部(筐体台座部)に貼付されている金属製プレート(乙8の写真E及び写真F)には、「“ART”」及び「アート金属工業株式会社」の各表示並びに機械No.としての「VRA-130019」及び製造年月としての「2013.10」の各表示が4段に表されている。該プレートは、No.がVRA-130019である機械が2013年(平成25年)10月に製造され、ARTの商標が使用されていることを証している。
ウ 乙9号証に写っている機械は、「内径・リング機」と称されるもので、ピストンの加工基準となる内径とピストンのリング部を削るものであり、金属加工機械器具のうちの「旋盤」に該当する。
エ 上記機械は、2014年(平成26年)2月に立科金属へ販売されたものであって、同社の工場内において設置、使用されている。該機械の筐体の背面(乙9の写真A)には本件商標権者の社内における製品管理番号である「VIA130020」の表示があり、同じく、筐体の操作側下部(筐体台座部)に貼付されている金属製プレート(乙9の写真D及び写真G)には、「“ART”」及び「アート金属工業株式会社」の各表示並びに機械No.としての「VIA-130020」及び製造年月としての「2013.10」の各表示が4段に表されている(乙9の写真D及び写真H)。該プレートは、No.がVIA-130020である機械が2013年(平成25年)10月に製造され、ARTの商標が使用されていることを証している。
オ 上記各機械の取引について、本件商標権者から購入者あてに発行された2014年(平成26年)2月28日付けの納品書(乙10及び乙11)及び請求書(機械設備及び金型代)(乙12ないし乙14)、購入者による支払いを示す振込明細(乙15)並びに本件商標権者の口座への振込を示す当座勘定お取引照合表(乙16)及び仕訳帳(乙17)を提出する。これらによれば、本件商標権者が、2014年(平成26年)2月28日に立科金属へ納品販売するとともに請求書を発行したこと(機械設備合計157,500,000円及び金型代2,415,000円)、同年3月28日に立科金属から本件商標権者へ159,914,685円(上記機械設備及び金型代の合計金額159,915,000円から振込手数料315円を差し引いた額)が振り込まれたことが分かる。
そして、上記取引は、要証期間内に行われたものである。
(3)使用商標の態様
上記(1)及び(2)の各商品に貼付されている金属製プレートには「“ART”」(以下「使用商標」という。)が表示されているところ、使用商標の構成中の「ART」の文字は、本件商標と比較するときは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものであって、称呼及び観念を同じくするものであり、また、使用商標の構成中のいわゆるコーテーションマーク「“”」は、そのマークが付された対象を際立たせ、強調するために用いる符号の類であることからすれば、そのマークが付加されることにより、本件商標との社会的同一性が阻害されることはない。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
2 まとめ
以上によれば、本件商標は、請求に係る商品中の「旋盤」に該当する商品について、要証期間内に、商標権者により使用されたことは明らかであるから、その登録は、取り消されるべきではない。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第7号証は、立科金属の常務取締役工場長から本件商標権者へあてた平成26年10月15日付けの「証明書」とされる書面であって、添付した写真(乙第1号証と実質的に同一のものと認める。)について、以下に相違ない旨の記載がある。
ア 立科金属の工場内に設置されている機械設備の写真であること。
イ 上記機械設備に係る機械は、カムレス機(別称:外径仕上げ機)であること。
ウ 上記カムレス機は、マシニングセンターとともに、2012年5月29日に本件商標権者から立科金属へ販売されたものであること。
エ 上記カムレス機の筐体の後ろ側の上部には「VFA-110001」の文字が表示されていること。
オ 上記カムレス機の操作部下部(写真B及び写真C)には本件商標権者の金属製プレートが貼付(ねじ止め)されていること。
カ 上記金属プレートには、写真Eのとおり、「“ART”」、「アート金属工業株式会社」、機械No.として「VFA-110001」、製造年月として「2011.12.27」の各表示があること。
(2)上記乙第7号証に添付の写真に写っている「カムレス機(別称:外径仕上げ機)」と称する機械は、ピストンを回転させながら、その外周に刃物を当て、データ入力されたプログラムに沿って複雑な形状をつける作業を行うものとされていることからすれば、金属加工機械器具のうちの「旋盤」に該当するといえる。
そして、上記機械にねじ止めされている金属製プレートには、「“ART”」及び「アート金属工業株式会社」の各表示があるほか、機械No.としての「VFA-110001」及び製造年月としての「2011.12.27」の各表示が打刻されている。
(3)乙第2号証は、本件商標権者から立科金属へあてた2012年(平成24年)5月29日付け「納品書(控)」であって、品名欄に「マシニングセンター」、「カムレス機」及び「カムレス機」の各記載があるほか、それぞれの備考欄には「No.186110093」、「No.VFA110002」及び「No.VFA-110001」の各記載があり、さらに、これらの金額の合計として「40,000,000」の記載がある(その下方の欄外には、消費税込みの金額に相当する「42,000,000」の記載がある。)。
(4)乙第3号証は、本件商標権者から立科金属へあてた2012年(平成24年)5月31日付け「5月分請求書(機械分)」であって、その1葉目の請求額の欄には、内訳としての「マシニングセンター他売却(税込)」の記載及び金額としての「42,000,000」の記載があるほか、振込先としての「八十二銀行上田支店 当座2001189」の記載及び支払期限としての「2012年6月25日」の記載がある。
また、上記請求書の2葉目には、「機械設備売却価格について」の見出しの下、乙第2号証に記載されている「マシニングセンター」、「カムレス機」及び「カムレス機」の売却金額(税込)が42,000,000円(合計(税抜)が40,000,000円、消費税が2,000,000円)である旨の記載がある。
(5)乙第4号証は、株式会社八十二銀行の望月支店から立科金属へあてた「振込明細」(振込指定日は平成24年6月28日)であって、その中には、振込先を「八十二銀行上田支店」、受取人を「アートキンゾクコウギョウ(カ」(当座預金、口座番号2001189)、金額を「41999685」とする振込がされた旨の記載がある。
(6)乙第5号証は、八十二銀行上田支店から本件商標権者へあてた「当座勘定お取引照合表」であって、その中には、平成24年6月28日に「タテシナキンゾク」から金額を「41999685」とする入金がされた旨の記載がある。
(7)乙第6号証は、本件商標権者に係る「仕訳帳」であって、2012年(平成24年)6月28日に立科金属から八十二銀行上田支店の当座預金へ「41,999,685」の入金がされ、その振込手数料が「315」である旨の記載がある。
2 上記1において認定した事実によれば、本件商標権者は、要証期間内である2012年(平成24年)5月29日から同年6月28日までの間に、立科金属に対し、「カムレス機」(外径仕上げ機)と称する金属加工機械器具のうちの「旋盤」に該当するといえる商品を譲渡し、引き渡したものと認められる。
また、上記商品にねじ止めされた金属製プレートに表示されている使用商標は、本件商標を構成する「ART」の欧文字に引用符を付記したものと認められ、その付記により、本件商標から生ずる「アート」の称呼及び「芸術」の観念と別異の称呼及び観念が生ずるとはいい難いものであることからすれば、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
してみれば、本件商標権者は、要証期間内に、請求に係る商品について本件商標と社会通念上同一の商標を使用(商標法第2条第3項第2号にいう行為)したものと認められる。
3 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-02-09 
結審通知日 2015-02-13 
審決日 2015-02-24 
出願番号 商願昭27-22366 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y07)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 敬規
井出 英一郎
登録日 1953-10-13 
登録番号 商標登録第432866号の1(T432866-1) 
商標の称呼 アート 
代理人 杉本 ゆみ子 
代理人 三浦 光康 

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