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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y20 |
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管理番号 | 1306482 |
審判番号 | 取消2013-300939 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-11-06 |
確定日 | 2015-07-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第0605982号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第0605982号の2商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第0605982号の2商標(以下「本件商標」という。)は、「ライン」の片仮名を横書きしてなり、昭和34年8月8日に登録出願、第59類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同38年2月23日に設定登録された登録第0605982号から同57年7月12日に第59類「硬質合成樹脂製の家具、建具、及び本類に属するその類似商品」を指定商品として分割移転されたものであり、その後、平成16年8月4日にその指定商品を第20類「硬質プラスチック製家具」とする指定商品の書換登録がされ、同25年1月15日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人の主張は、(a)ユニット家具の使用商標が「LINE UNIT」であり、かつ、(b)使用商標「LINE UNIT」と登録商標「ライン」とは社会通念上同一であるという2点の両方が認められることを前提とするものである。 しかし、ユニット家具について識別力を発揮している表示は、稲葉物置総合カタログ195頁のユニット家具の直近に記載されている「Rivest」という表示であって、「LINE UNIT」ではないので、「LINE UNIT」は、ユニット家具について使用されている商標であると認めることはできない。 また、仮にユニット家具の使用商標が「LINE UNIT」であるという被請求人の主張を前提としても、「LINE UNIT」は、登録商標「ライン」と社会通念上同一の商標とはいえないので、被請求人が登録商標を使用しているとはいえない。 3 平成26年10月9日付け上申書 請求人は、上申書において「弁駁書によりすでに主張立証を尽くしたと考えており、口頭審理には参加しない」旨述べた。 第3 被請求人の主張 1 平成26年1月6日付け審判事件答弁書 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。 (1)イナバ物置2013年度版 総合カタログVOL.53(以下「イナバ物置総合力夕ログ」という。)(乙1)の195頁右下部には、「ユニット家具」あるいは単に「ユニット(UNIT)」と称される家具(使う人が目的に合わせて組み合わせて使えるように設計された家具)の写真が表示され、その写真の左上方には「LINE UNIT」の文字からなる商標が表示されている。 (2)「ユニット(UNIT)」の語は、広辞苑第三版2448頁(乙2)によると「ユニット-システムに使う単位部分。ユニット・システム 単位組み立て方式。同種製品に共通に使用できるような単位(ユニット)を作り、この標準化された単位を組み合わせて完成品を作り上げる方式。建築・機械・家具などに応用。」の意味を有し、またイナバ物置総合カタログ195頁の左上方では「このユニットも…」の記載のように一般的な用語として使用されている。 したがって、家具等に対して使用される「ユニット(UNIT)」の語はその商品特性や普通名称を示すに止まり、商標「LINE UNIT」の要部は「LINE」であるといえる。 (3)「LINE」の文字は、本件商標「ライン」と同一の称呼及び観念を有していることから、商標「LINE UNIT」は、本件商標「ライン」と社会通念上同一であると認められる。 (4)なお、商品特性や普通名称を示す語の有無において相違する2つの商標について社会通念上同一であると認めた審決例として、例えば、登録商標「PMT」と「PMTエキスパンダー」若しくは「PMT EXPANDER」を社会通念上同一と認めた取消2001-30248(乙3)、登録商標「YOU」と「youナビ」を社会通念上同一と認めた取消2003-31596(乙4)、登録商標「APATO」と「COSME/APATO」を社会通念上同一と認めた平成10年審判第31302号(乙5)などが存在する。 (5)また、イナバ物置総合カタログに掲載された「ユニット家具」は、その生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、並びに需要者の範囲等の共通性を考慮すれば、本件商標に係る指定商品「硬質プラスチック製家具」に属し得るものである。 (6)イナバ物置総合カタログの裏表紙(乙1)の右下部には、カタログの発行者を示すものとして本件商標の権利者が表示されると共に、カタログの発行時期を示すものとして「このカタログの記載内容は平成25年9月現在のものです。」との記載がある。 (7)本件商標の権利者が凸版印刷株式会社に対して送付した平成25年9月11日付けのイナバ物置総合カタログの配送計画書(乙6)によれば、本社(東京都大田区)、柏(千葉県柏市)、大和(神奈川県大和市)、仙台(宮城県仙台市)、犬山(愛知県犬山市)、大阪、福岡の各営業所に対し、到着日を同年9月20日または同年9月21日として計30万部のイナバ物置総合カタログの配布が行われている。 同様に、平成25年10月8日付けのイナバ物置総合カタログの配送計画書(乙7)によれば、本社、柏、大和/藤沢(神奈川県藤沢市)、犬山、大阪、福岡の各営業所に対し、到着日を同年10月24日又は同年10月25日として計30万部のイナバ物置総合カタログの配布が行われている。 したがって、本件商標が掲載されたイナバ物置総合カタログは、本件審判の請求の登録前3年以内に配布されたものである。 (8)以上のように、本件審判の請求の登録前3年以内において、本件商標の権利者は、本件商標「ライン」と社会通念上同一と認められる商標「LINE UNIT」を指定商品「硬質プラスチック製家具」に対して使用していることは明らかである。 2 平成26年9月24日付け上申書 被請求人は、上申書において「答弁書によりすでに主張立証を尽くしたと考えており、口頭審理には参加しない」旨述べた。 第4 当審の判断 1 商標法第50条第1項による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項本文は、「その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定し、同項ただし書において、「その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。」と規定している。 2 そこで、被請求人提出に係る証拠(乙1ないし乙7)が、商標法第50条第2項本文の要件を満たすものであるか否かについて検討する。 (1)乙第1号証について 乙第1号証は、「イナバ物置総合2013年度版 総合力夕ログvol.53」であるところ、その195頁の右下に「LINE UNIT」の標章とともに家具と思しき写真が掲載されている。 そこで、当該標章「LINE UNIT」についてみると、乙第1号証の被請求人がいう「ユニット家具」との関係においては、標章全体がまとまりよく一体に表示されていることと相まって、需要者をして、標章「LINE UNIT」全体で「並べる(ための)個々のユニット」程の意味合いを認識するとみるのが自然であり、「ラインユニット」の称呼のみが生じるというべきであって、殊更「LINE」の文字部分のみが分離抽出して認識され、自他商品識別標識として機能を発揮するものとはいえない。 そうすると、当該標章「LINE UNIT」は、本件商標「ライン」から生じる称呼及び観念と同一の称呼及び観念を生じるものとはいえないし、その他に、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる標章の使用も見当たらない。 また、写真に示された商品が「硬質プラスチック製家具」であることも確認できない。 (2)乙第2号証ないし乙第7号証について いずれの証拠においても、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる標章の使用が見当たらない。 3 小括 以上のとおり、乙第1号証ないし乙第7号証は、いずれも商品「硬質プラスチック製家具」との関係で本件商標が使用されている事実を立証するものではないから、商標法第50条第2項本文の要件を充足するものではない。 4 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったのみならず、使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-05-15 |
結審通知日 | 2015-05-19 |
審決日 | 2015-06-11 |
出願番号 | 商願昭34-24238 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Y20)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 大森 健司 |
登録日 | 1963-02-23 |
登録番号 | 商標登録第605982号の2(T605982-2) |
商標の称呼 | ライン |
代理人 | 特許業務法人大島特許事務所 |
代理人 | 工藤 一郎 |